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第7話 やっぱ無理
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「あれがターゲットの屋敷か……」
私の目的に必要とは言え、やはり気が進まない。
「迷っていても仕方ないわね」
邪神が復活すれば、多くの人間が命を落とす事になるだろう。
復活して、被害が出る前に即討伐とは行かない。
何故なら、邪神には聖女を殺すという大役を務めて貰わなければならないのだから。
直接的ではないにしろ、私はこれから自らの目的の為に多くの命を奪う事になるのだ。それが一人や二人増えるからと言って、手を拱く用では話にならない。
屋敷を魔法でサーチして、中の様子を探る。
だがそれは結界によって探索は阻害されてしまう。
まあ予想はしていた事だ。
「ガード」
「はい!僕の出番ですね!」
私が小声で名前を呼ぶと、馬鹿みたいな大声で使い魔が答えて来る。
幸い少々距離のある場所だったので警備には築かれなかったが、私は黙ってガードの頭に拳骨を落とす。
「あいたぁ!」
「次に叫んだら、もっときついのかますわよ」
「ぅぅぅ……すいません」
ガードには熱感知の能力と、超聴覚を付与してある。
流石に結界も、目視による熱感知と聴力による探索には対応していないだろう。
私はスーザンに書いて貰った見取り図を広げ、警備の配置と動きを書き込ませた。
「ガードは此処で待機。警備に大きな動きがあったら派手に騒いで陽動して頂戴」
見つかるのは基本論外だが、万一と言う事もある。
その時の為の保険だ。
「陽動の際は、危ないと感じたら逃げなさい。良いわね?」
「はい!!」
私はガードに再び拳骨を落とし、屋敷へと近づく。
手を翳して結界に穴を開け、結界の内部へと潜入する。
内部に潜入した私は慎重に進んでいく。
結界の中にも当然セキュリティは用意されており、私は魔力の流れからそれらを察知して目的の場所へと向かう。
目的の貴族の部屋へと窓から侵入し、魔力や音が外部から感知されない様結界を張る。私がこれから行うのは……対象の殺害と抹消。
遺体と殺害の痕跡を完全に消す事で、駆け落ちを演出するつもりだ。
目の前で寝息を立てている男の新しい恋人は庶民だ。
スーザンとの婚約は正式に破棄されているみたいだけど、とはいえ新しい恋人との仲は当然家族には反対されている。
駆け落ちに見せかけた殺人。
それが今回の計画。
「悪いわね。貴方に恨みはないけれど、私の目的の為よ」
私は手にした短な棒に、魔力の刃を灯らせる。
魔法の光が男の姿を浮かび上がらせた。
とても幸せそうに眠っている。
私は男の胸に、魔法の刃を突き立て――
「くっ……」
瞬間、眠っている男の姿にカール王子の姿が重なる。
手が震え。
腕が途中で止まってしまう。
「似ても似つかないって言うのに……」
本当にそれでいいのかと、私の良心が悲鳴を上げる。
私は王子と一緒になりたい。
手段を選ぶつもりはなかった。
でも……でも本当にそれでいいのだろうか?
血塗られた私に、彼の傍に居る資格はないんじゃないかと葛藤する。
……
…………やめた。
やっぱこんな事は間違ってる。
大体、日本人の私に人殺しなんて向いてないのよね。
私はその部屋を後にして、屋敷を脱出する。
私の目的に必要とは言え、やはり気が進まない。
「迷っていても仕方ないわね」
邪神が復活すれば、多くの人間が命を落とす事になるだろう。
復活して、被害が出る前に即討伐とは行かない。
何故なら、邪神には聖女を殺すという大役を務めて貰わなければならないのだから。
直接的ではないにしろ、私はこれから自らの目的の為に多くの命を奪う事になるのだ。それが一人や二人増えるからと言って、手を拱く用では話にならない。
屋敷を魔法でサーチして、中の様子を探る。
だがそれは結界によって探索は阻害されてしまう。
まあ予想はしていた事だ。
「ガード」
「はい!僕の出番ですね!」
私が小声で名前を呼ぶと、馬鹿みたいな大声で使い魔が答えて来る。
幸い少々距離のある場所だったので警備には築かれなかったが、私は黙ってガードの頭に拳骨を落とす。
「あいたぁ!」
「次に叫んだら、もっときついのかますわよ」
「ぅぅぅ……すいません」
ガードには熱感知の能力と、超聴覚を付与してある。
流石に結界も、目視による熱感知と聴力による探索には対応していないだろう。
私はスーザンに書いて貰った見取り図を広げ、警備の配置と動きを書き込ませた。
「ガードは此処で待機。警備に大きな動きがあったら派手に騒いで陽動して頂戴」
見つかるのは基本論外だが、万一と言う事もある。
その時の為の保険だ。
「陽動の際は、危ないと感じたら逃げなさい。良いわね?」
「はい!!」
私はガードに再び拳骨を落とし、屋敷へと近づく。
手を翳して結界に穴を開け、結界の内部へと潜入する。
内部に潜入した私は慎重に進んでいく。
結界の中にも当然セキュリティは用意されており、私は魔力の流れからそれらを察知して目的の場所へと向かう。
目的の貴族の部屋へと窓から侵入し、魔力や音が外部から感知されない様結界を張る。私がこれから行うのは……対象の殺害と抹消。
遺体と殺害の痕跡を完全に消す事で、駆け落ちを演出するつもりだ。
目の前で寝息を立てている男の新しい恋人は庶民だ。
スーザンとの婚約は正式に破棄されているみたいだけど、とはいえ新しい恋人との仲は当然家族には反対されている。
駆け落ちに見せかけた殺人。
それが今回の計画。
「悪いわね。貴方に恨みはないけれど、私の目的の為よ」
私は手にした短な棒に、魔力の刃を灯らせる。
魔法の光が男の姿を浮かび上がらせた。
とても幸せそうに眠っている。
私は男の胸に、魔法の刃を突き立て――
「くっ……」
瞬間、眠っている男の姿にカール王子の姿が重なる。
手が震え。
腕が途中で止まってしまう。
「似ても似つかないって言うのに……」
本当にそれでいいのかと、私の良心が悲鳴を上げる。
私は王子と一緒になりたい。
手段を選ぶつもりはなかった。
でも……でも本当にそれでいいのだろうか?
血塗られた私に、彼の傍に居る資格はないんじゃないかと葛藤する。
……
…………やめた。
やっぱこんな事は間違ってる。
大体、日本人の私に人殺しなんて向いてないのよね。
私はその部屋を後にして、屋敷を脱出する。
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