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お披露目①
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「はぁ~、しんど」
今日の私は超着飾っていた。真っ赤なドレスを身に着けるなど、生まれて初めての事だ。髪はがっちり片側カールにセットされており、その頭上にはキンキラキンのティアラが乗っかっている。更に首元には大粒の真珠のネックレスがぶら下がり。耳にはでっかいダイヤのイヤリング。靴は何とクリスタルだ。
うん、クリスタルの靴だけは意味が分からん。
足めっちゃ痛いし。
今日は王子の婚約記念――2度目だが――パーティー。当然私の身に着けている高価な衣装や装飾は、パーティー用に王家が用意してくれたものだ。こんな高額な物が木っ端男爵の娘に用意できるわけがない。
「やれやれ、名探偵も形無しだね」
私に用意されたゲストルームのソファーで一息ついて寛いでいろと、ノックもせずに王子が入って来る。婚約者とはいえ相手は女性なのだから、ノックする位のデリカシーは持ち合わせて欲しいものだ。
「木っ端貴族の私は、こういう場に慣れてないんですから。しょうがないじゃないですか」
ほほほほ笑ってりゃいいとか高を括っていたが、世の中そんなに甘くは無かった。王子にだけおべんちゃらを使ってればいい物を、他の貴族達が私にまで色々話しかけて来るから死ぬ程疲れてしまった。
「これからもちょくちょくこういう場に出て貰う事に成るから、早く慣れてくれよ」
「はぁ……」
王子の言葉に、気の無い返事を返す。正直私には向いていないので、勘弁してほしい気持ちでいっぱいだ。
「それより、ちゃんとチェックはしたかい?」
「ええ、ちゃんと――」
王子の質問に答えようとすると、ノックの音に遮られてしまう。どうやら来た様だ。来訪者が訪れるのは分かってはいたが、王子の訪れたタイミングにかち合うとは思わなかった。
少し迷って王子の方を見ると、彼は無言で頷いた。どうやら問題ないらしい。まあ婚約者同士だ。王子が夜分私のゲストルームに居ても、変な噂が立ったりはしないだろう。
「どうぞ」
そう答えると扉が開く。
「夜分遅く申し訳ありませんわ」
金髪巻き毛の着飾った可憐な女性が姿を現す。その背後には数名の従者が。
「ラーラ、どうかしたのかい?」
彼女の名はラーラ・ボヘミアン。ボヘミアン侯爵家の令嬢であり、ストーキング王子の次の婚約者の最有力候補だった女性だ。
しかし王子のごり押しによって私が選ばれ、その話は流れてしまっている。つまり私には良い感情を抱いていないという事だ。そんな彼女が夜間に私のゲストルームに訪れた。この意味は考えるまでも無いだろう。
「まあ、王子もいらっしゃったのですね」
まあとか言っているが、全然驚いている様に見えない。その体温は特段上がっておらず、冷静そのものだ。どうやら態と王子がいるタイミングでやって来た様だ。余程私に恥をかかせたいらしい。
「ああ、彼女と色々と将来の事を語り合っていたのさ」
「そうですか、仲がお宜しいのですね」
「僕達はラブラブだからね」
しかし、よくもまあすらすらと嘘が言えるものだ。流石腹黒王子と言わざるを得ない。
「あの……大変申し上げにくいのですが……」
ラーラは王子とのやり取りをそこそこで切り上げ、本題に入ってきた。長々とここで談話されても鬱陶しいので、手っ取り早くて助かる。
「実は家宝の翡翠の腕輪をなくしてしまいまして。それでその、レア・ホームズ様に心当たりがないか伺いに参りましたの」
伺いに来た。回りくどい言い方だが、要はお前が取ったんだろうと彼女は言いたいのだろう。そう、彼女は私に盗みの濡れ衣を着せる為、此処へとやって来たのだ。
「存じ上げませんわ」
私はにっこりと微笑み。真っ向から彼女の挑戦を受けて立った。
今日の私は超着飾っていた。真っ赤なドレスを身に着けるなど、生まれて初めての事だ。髪はがっちり片側カールにセットされており、その頭上にはキンキラキンのティアラが乗っかっている。更に首元には大粒の真珠のネックレスがぶら下がり。耳にはでっかいダイヤのイヤリング。靴は何とクリスタルだ。
うん、クリスタルの靴だけは意味が分からん。
足めっちゃ痛いし。
今日は王子の婚約記念――2度目だが――パーティー。当然私の身に着けている高価な衣装や装飾は、パーティー用に王家が用意してくれたものだ。こんな高額な物が木っ端男爵の娘に用意できるわけがない。
「やれやれ、名探偵も形無しだね」
私に用意されたゲストルームのソファーで一息ついて寛いでいろと、ノックもせずに王子が入って来る。婚約者とはいえ相手は女性なのだから、ノックする位のデリカシーは持ち合わせて欲しいものだ。
「木っ端貴族の私は、こういう場に慣れてないんですから。しょうがないじゃないですか」
ほほほほ笑ってりゃいいとか高を括っていたが、世の中そんなに甘くは無かった。王子にだけおべんちゃらを使ってればいい物を、他の貴族達が私にまで色々話しかけて来るから死ぬ程疲れてしまった。
「これからもちょくちょくこういう場に出て貰う事に成るから、早く慣れてくれよ」
「はぁ……」
王子の言葉に、気の無い返事を返す。正直私には向いていないので、勘弁してほしい気持ちでいっぱいだ。
「それより、ちゃんとチェックはしたかい?」
「ええ、ちゃんと――」
王子の質問に答えようとすると、ノックの音に遮られてしまう。どうやら来た様だ。来訪者が訪れるのは分かってはいたが、王子の訪れたタイミングにかち合うとは思わなかった。
少し迷って王子の方を見ると、彼は無言で頷いた。どうやら問題ないらしい。まあ婚約者同士だ。王子が夜分私のゲストルームに居ても、変な噂が立ったりはしないだろう。
「どうぞ」
そう答えると扉が開く。
「夜分遅く申し訳ありませんわ」
金髪巻き毛の着飾った可憐な女性が姿を現す。その背後には数名の従者が。
「ラーラ、どうかしたのかい?」
彼女の名はラーラ・ボヘミアン。ボヘミアン侯爵家の令嬢であり、ストーキング王子の次の婚約者の最有力候補だった女性だ。
しかし王子のごり押しによって私が選ばれ、その話は流れてしまっている。つまり私には良い感情を抱いていないという事だ。そんな彼女が夜間に私のゲストルームに訪れた。この意味は考えるまでも無いだろう。
「まあ、王子もいらっしゃったのですね」
まあとか言っているが、全然驚いている様に見えない。その体温は特段上がっておらず、冷静そのものだ。どうやら態と王子がいるタイミングでやって来た様だ。余程私に恥をかかせたいらしい。
「ああ、彼女と色々と将来の事を語り合っていたのさ」
「そうですか、仲がお宜しいのですね」
「僕達はラブラブだからね」
しかし、よくもまあすらすらと嘘が言えるものだ。流石腹黒王子と言わざるを得ない。
「あの……大変申し上げにくいのですが……」
ラーラは王子とのやり取りをそこそこで切り上げ、本題に入ってきた。長々とここで談話されても鬱陶しいので、手っ取り早くて助かる。
「実は家宝の翡翠の腕輪をなくしてしまいまして。それでその、レア・ホームズ様に心当たりがないか伺いに参りましたの」
伺いに来た。回りくどい言い方だが、要はお前が取ったんだろうと彼女は言いたいのだろう。そう、彼女は私に盗みの濡れ衣を着せる為、此処へとやって来たのだ。
「存じ上げませんわ」
私はにっこりと微笑み。真っ向から彼女の挑戦を受けて立った。
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