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「全員警戒! ダンのえっちが始まるのっ!」
「全員まとめて幸せにしてやるーっ! かかってこいやぁっ!」
ニーナの警戒警報と、みんなを迎え撃つ俺の言葉を客観的に見てしまうと、気が触れたようにしか思えないな?
シャロとキュールを除いた家族全員との手合わせは、エロ四天王の一角である最強の肉壁エロブタムーリちゃんを倒したところで更に加熱していく。
俺に許された攻撃はエロ攻撃のみというハンデなのかご褒美なのか分からないルールの中、みんなのエロい体に傷1つ付けないように、けれどみんなの剣と槍にも全力で応じていく。
また一段と腕を上げているフラッタとヴァルゴが俺の正面から切り込んできて、ニーナが遊撃、ティムルとリーチェが後方に回るのはいつもの流れなんだけど、なんか遊撃のニーナが速すぎてビビるんだよ!?
下手したらニーナ、サンダースパークやクルセイドロアの衝撃波を走って避けれるんじゃ……。
しかもニーナ、俺が守ること前提でチャールとシーズを無視して突っ込んできやがって!
突っ込むのは俺の仕事なのっ! 突っ込んでぐりぐりして中に出すのは俺の役目なんだってばっ!
「やあああっ!」
「せぇいっ!」
無視されてるチャールとシーズも、俺の事を全力で信頼して殺す気で掛かってきてくれる。
もう自分がなにを言っているのか全然分からないんだよ?
チャールは槍、シーズはショートソードとダガーの双剣を握って全力で武器を繰り出してくる。
我が家にはラトリアとヴァルゴという最高の師匠が居る為か、チャールとシーズの武器の扱いも既に自然な動作になっていて、とても武器を握り始めてまだ3ヶ月くらいしか経ってないとは思えない上達速度だ。
師匠も最高だけど、身体操作性と五感補正を意識して取った辺りが関係してそうだな。
ヴァルゴのジャベリンソウルは2人の身体を縫うように槍を繰り出してくるし、オーラを纏ったフラッタのドラゴンイーターは2人を巻き込むことも厭わず叩き込まれるから怖いんだよっ!?
2人の信頼と1撃が重いよっ! 主に1撃が重すぎるよっ!
えっち耐性が比較的低いだろうチャールとシーズを先に可愛がってあげたいところだけれど、閃刃を纏ったカレンとそれ以上に速いコンコンニーナが流星のような1撃を放っては離脱して行くので、マジでエロいことをしている余裕が無いんだよ?
余裕が無いのにトラ耳を生やしたガウガウアウラがあまりにも可愛すぎて、さっきからどうしても目が惹かれちゃうんだよーっ!?
一旦距離を取って仕切り直そうとしても、俺が下がろうとした気配を察知してターニアが頭上から突っ込んでくるし、遊撃手がカレンとニーナと竜化ラトリアに竜化エマと、遊撃手が豊富すぎて剣閃が雨の如く降り注いで止まないんだけど?
まさかこの俺がえっちを許可されていても完封されるとは……!
今すぐみんなを押し倒して、えっちなおっぱいをちゅぱちゅぱしながらえっちな身体をずんずん突き上げたいのにぃっ!
「ダンさんが手を拱いていますよっ!? こ、これはもしかしたら押し切れるんじゃ……!」
「気を抜くでない母上! ダンが怖いのはここからなのじゃ! 妾たちにえっちがしたい一心でとんでもない集中力を発揮してくるのがダンなのじゃーっ!」
「フラッタちゃんの言う通りよっ! 全員警戒してっ! ダンの魔力、いつも通りまたなんか不穏な動きをし始めてるわぁっ!」
「フラッターーーっ! ティムルーーーっ! 終わったら憶えてろよーっ! 滅茶苦茶可愛がってやるからなーっ!」
不穏な動きってなんだよ不穏な動きって!
俺自身さえまだ認識してない魔力の流れを先んじてディスらないでくれるかな、ティムルお姉さんってば!
いつもの超高速戦闘の中に、みんなと速度が違うノイズのような攻撃がいくつか混ざることで、なんだか逆に全く隙が無くなっている。
というかノイズ部分を俺自身がフォローしてるのが意味不明なんだよっ! なんで相手側のフォローをしつつ手合わせしなきゃならないんだってのっ!
「このままじゃ埒が明かないならぁ……! 無理矢理でも応えてやるぜっ、フラッタの期待になぁっ!」
「望む所なのじゃーーーっ! じゃが静かに集中などさせるつもりはないのじゃーーっ!」
爆撃のようなフラッタの1撃は流石にメタドライブを使用していてもまともに受けることが出来なくて、チャールとシーズに怪我をさせないように魔法障壁と合わせて受け流すしかないようだ。
これもう人間族とか竜人族とか関係なく、フラッタの1撃をまともに受け止められる奴なんてこの世に居なくねぇ!?
下手にまともに受けても吹き飛ばされるだけだし、吹き飛ばされた先にはニーナとかラトリアとか待ち構えてるし、数テンポ遅れてカレンとかチャールたちが追いついてくるのが普通に厄介なんだけどっ!
この包囲網を打ち破るにはメタドライブすら不足してるとか、我が家の家族は強くなりすぎなんだよ?
メタドライブで足りないなら……。
魔力制御の究極形と評価されたメタドライブでも届かないなら、俺に残された伸び代はどこにある?
……その時頭をよぎったのは、最近体験したばかりのヌルヌルとした姉妹の感触。
「――――だから出会ったのか、湖人族にっ!!」
今までの常識では、メタドライブを越える魔力制御なんて有り得なかった。
ヴァンダライズもエーテルジェネレイターもメタドライブと同じ制御技術の延長線上でしかなく、6種族しか居なかった今までの常識ではその先に向かうことは出来なかった。
だけど湖人族は今までこの世界には間違いなく居なかった存在で、職業の祝福とは全く異なる技術で、職業の祝福以上の能力を発揮する液化という能力を披露してくれた。
そしてこれこそが俺が先に進むための新たな鍵なのかっ……!
「くっ……くくっ! やっぱり俺の進むべき道の先は、みんなとのえっちの先にしか存在してないようだなぁっ!?」
「旦那様、何か掴まれたようですね……。本当に何処までも強くなるお方ですよっ……!」
クラーとミレーを始め、液化した湖人族とはたっぷりえっちしたから液化のイメージは万全だ!
クラーのぬるぬるおっぱいとミレーのぬるぬるおっぱいを思い出して、彼女たちの液化魔力をメタドライブで再現しろ!
「なっ……!? なにこれっ!? ダンの魔力が、宙に溶けて……!」
水と一体化する液化を、そのまま陸上で再現しても意味がない。
水と混ざり合い一体化する能力はそのままに、一体化する対象を水から空気に拡張しろ。
いや、物理法則が曖昧な世界で空気と同調するイメージなんか抱いても仕方が無い。
そもそも科学知識なんてさっぱりな俺は、空気中の成分なんて酸素と窒素と二酸化炭素くらいしか知らないからな。
明確なイメージなんて出来るはずも無い。
ならここでイメージすべきものは決まっている。
大気中に漂う魔力、しかも異界から流れ込んだ魔力ではなく、この世界に馴染んだ祝福の力と同じ魔力と同化しろ。
そうしてこの世界全ての存在との道が開いたら、俺がいつも繋がってる、愛しいみんなの魂を手繰り寄せるんだ……!
「な、なんですかこれ……。剣を合わせていないはずの私たちにすら、ご主人様の魔力が伝わって……」
「なんだこれなんだこれなんだこれぇっ!? こんなことがあって、こんなことが人に出来ていいの!? ダンさん、精霊魔法のように大気中の魔力を捉えながら、その魔力と1つに溶け合って……!?」
離れて見ているキュールに俺の魔力が触心出来たという事は、俺の魔力が肉体から溢れてみんなと繋がってくれた何よりの証拠だろう。
気をつけるべきは液化のように、使いすぎて大気と混ざり合って戻ってこれないことだけど……。多分大丈夫だ。
大気に混ざり合う魔力を使って物質を形作る魔力操作は、先日ユニに強制的に教えてもらったばかりだ。
ユニとアウラ、俺の愛しい2人娘のどちらか一方でも欠けていたら、俺はこの領域に辿り着くことは絶対に出来なかっただろう。
「まるでヴァンダライズやエーテルジェネレイターの時みたいに、ダンの魔力がぼくたちと繋がって……ううんっ! あの時よりもずっと優しく、ずっと自然にダンの想いが伝わって……繋がってくるっ……!」
「う、うわぁ……。ダンがこの手合わせで私たちをどれだけ守ってくれてたのか、鮮明に伝わって来ちゃったんですけどぉ……」
「くっそー! 俺だってお前の事が大好きなんだよ! なのに、なのに全然足りてねーじゃねーか! 好きな相手を想う気持ちですら、俺はダンの足元にも及んでねーんじゃねーかよっ!」
ああ、やっぱりみんなと繋がるのは本当に気持ちいい。
剣を交え槍を放たれても、みんなの想いが乗っていればコミュニケーションでしかないね。
俺が一方的に全ての情報を読み取り、現状を正確に把握するフルファインダーとは違う、みんなの思考がそのままダイレクトに伝わってくるような幸福感。
みんなの動きも狙いも、そして俺への想いも余すことなく流れ込んできて、えっちなんかよりも何億倍も心地いいっ!!
「あはーっ。36人も一気に受け入れちゃったから、ダンの体から愛情が溢れてきちゃってるみたいねーっ?」
「あっはっは! 信じられないのっ! まるでダンさんの剣が置かれているところに自分から槍を突き出しちゃってるみたいなのーっ!」
「こ、こんなに想われているのに、私だけ寝ていられませんよぉっ……! ダンさん、私の槍も受け取ってくださいぃ……!」
流石は我が家屈指のエロ耐性を持つ俺の可愛いムーリだ。もう起き上がれるなんて本当に凄いよ。
ムーリだって槍を持ってまだ半年くらいだろうに、信じられないくらい強くなったね。
「これ……まさか魔力が回復してるんじゃ……!? 私さっきまで、もう直ぐ竜化が解けそうだったのに……!」
「回復……してますね。というかダンさんの魔力が流れ込んできて……。ううん、ダンさんを通して、全員が1つになったみたいです……」
ラトリアとエマが、普段の竜化以上の膂力を発揮して俺に切り掛かってくる。
もしかしてこれ、俺の職業補正がみんなにも伝播してる?
いや、これってもしかして、俺に対してスキル『決戦昂揚』が発動してるんじゃ……。
「くそ……! 何が貴様の剣を目指すなだ……! こうして繋がって初めて、貴様がどれほどの想いで剣の腕を磨いてきたかが伝わってくるのに……これを目指すななど無理があるわぁっ!!」
カレンもすっかり閃刃の扱いに慣れたようだね。
敏捷性だけを走らせて閃刃の動きに意識がついていっていなかったのが、身体操作性補正と五感補正もちゃんと一緒に走らせて、閃刃の速度で細かい身体制御を可能にするなんて凄いよ。
「全くダンったら、心と体が繋がるだけでも満足出来ないなんて、本当にえっちで我が侭なんだからーっ」
そうだねニーナ。みんなが名付けてくれた通り、俺は欲張りで我が侭な暴君様なんだ。
だから大好きなみんなとは心も体も魂も、ぴったりとくっついてないと気が済まないんだ。
「アウラー! ダンが貴女と繋がってる限り、貴女は魔力枯渇を起こす心配は無いのっ! だから全力を出しなさいっ!」
「ぜ、全力って!? もうずーっと前から全力で戦って……」
「縛鎖のペンデュラムで操られていた時を思い出すのっ! 貴女は今、暴王の代わりに暴君と魔力で繋がってるの! 自分の全ての補正を1度に励起させるダンの魔力を辿って、貴女も自分の全てを一気に発動させなさーいっ!!」
……凄いなニーナ。俺にはその発想は無かったよ?
まさか俺の魔力を使ってアウラの全力を引き出そうだなんて、常識に囚われないニーナならではの発想だ。
けど言われてみれば、メタドライブの魔力制御を感覚的に伝えられるチャンスを逃すのは勿体無いね。
さぁおいでアウラ。パパが手を引いてあげるから、お前が無意識にかけているリミッターとストッパーを全部外して見せるんだ。
「あ……パパの気持ち、伝わって……。うんっ……! や、やってみるねっ!」
激しさを増す剣撃の中、1人下がって俺と距離を取り、深く集中するアウラ。
俺はみんなの攻撃を受け止めながら、アウラの手を引くように彼女の魂から色とりどりに分けられた5つの魂を引っ張り出してやる。
次第にアウラの瞳が青くなり、精霊憑依の緑の魔力を纏いながら、竜化と獣化と魔竜化を発現させ始めるアウラ。
アウラが種族特性の発動に成功していくほどに、俺とアウラの魔力も混ざり合っていくようだ。
「…………え?」
俺とアウラの魔力が交わり、6つの種族の全ての魔力が混ざり合った瞬間、誰かが俺に警鐘を鳴らした気がした。
その人は6種の魔力が混ざり合う事を心から喜びながらも、その先に進んではいけないと俺を必死に止めてくれていたような、そんな想いが一瞬だけ過ぎった。
その瞬間アウラが、暴王のゆりかごで見せられたように全ての種族特性を発動させる事に成功し、俺に一瞬だけ過ぎった想いはアウラへの注意で掻き消されてしまった。
「で、できた……! 出来たよパパっ! ママっ! 私、全部の能力を1度に……!」
「凄いねアウラ。お前は自慢の娘過ぎて非の打ち所が見つからないよ。それじゃ区切りもいいし、今回はこれで終わろうね」
「え、終わるって……」
みんなへの想いを掌握し、溢れ出た想いを体内に戻していく。
みんなと1つになることは信じられないほどの多幸感を得られるけれど、元々別々だからこそ繋がった時が幸せなんだ。
だからこのまま繋がり続けて、みんなとの境界を失ってしまうわけにはいかないからね。
「ありがとう湖人族のみんな。貴女達が居なければ、きっと俺はここに辿り着けなかったと思う」
俺の感謝の言葉にも、湖人族の皆さんは誰も反応してくれなかった。
今回は彼女たちとまで繋がる事は出来なかったから、何が起きていたのか分からなかったのかもしれないな。
……だから跪いて祈らなくてもいいんだよ? 皆さんが修道士を得ているだけでも微妙な気分なんだから。
「この世界の限界を超えて、メタドライブですら解決出来ないことさえも解決してしまう最後の切り札。そうだな……『デウス・エクス・マキナ』、とでも名付けようか」
我ながらあまりにも中学2年生センスで嫌になるんだけど、これまたいつものように頭に自然に浮かんできたんだよね。
……頭に浮かんできたと言えば、アウラが全力を出すその一瞬前に過ぎった誰かの想いは一体なんだったんだろう。
確かルッツさん辺りが、液化が使えると帰水化した人たちの存在を感じられるって言ってたっけ。
なら液化を参考にしたデウス・エクス・マキナが、この世界の大気に還った誰かの想いを拾ってしまったのかもしれない。
なんとなく思い出さなきゃいけない大切な事のように思えるけれど……。
ダメだな。残念ながら全く思い出せそうもないよ。
だけど6種族の魔力が繋がった事を心から喜んでいたのは確かだし、俺が繋がった誰かはきっと、みんなと仲良く暮らしたかった優しい人だったんだろうなぁ。
「全員まとめて幸せにしてやるーっ! かかってこいやぁっ!」
ニーナの警戒警報と、みんなを迎え撃つ俺の言葉を客観的に見てしまうと、気が触れたようにしか思えないな?
シャロとキュールを除いた家族全員との手合わせは、エロ四天王の一角である最強の肉壁エロブタムーリちゃんを倒したところで更に加熱していく。
俺に許された攻撃はエロ攻撃のみというハンデなのかご褒美なのか分からないルールの中、みんなのエロい体に傷1つ付けないように、けれどみんなの剣と槍にも全力で応じていく。
また一段と腕を上げているフラッタとヴァルゴが俺の正面から切り込んできて、ニーナが遊撃、ティムルとリーチェが後方に回るのはいつもの流れなんだけど、なんか遊撃のニーナが速すぎてビビるんだよ!?
下手したらニーナ、サンダースパークやクルセイドロアの衝撃波を走って避けれるんじゃ……。
しかもニーナ、俺が守ること前提でチャールとシーズを無視して突っ込んできやがって!
突っ込むのは俺の仕事なのっ! 突っ込んでぐりぐりして中に出すのは俺の役目なんだってばっ!
「やあああっ!」
「せぇいっ!」
無視されてるチャールとシーズも、俺の事を全力で信頼して殺す気で掛かってきてくれる。
もう自分がなにを言っているのか全然分からないんだよ?
チャールは槍、シーズはショートソードとダガーの双剣を握って全力で武器を繰り出してくる。
我が家にはラトリアとヴァルゴという最高の師匠が居る為か、チャールとシーズの武器の扱いも既に自然な動作になっていて、とても武器を握り始めてまだ3ヶ月くらいしか経ってないとは思えない上達速度だ。
師匠も最高だけど、身体操作性と五感補正を意識して取った辺りが関係してそうだな。
ヴァルゴのジャベリンソウルは2人の身体を縫うように槍を繰り出してくるし、オーラを纏ったフラッタのドラゴンイーターは2人を巻き込むことも厭わず叩き込まれるから怖いんだよっ!?
2人の信頼と1撃が重いよっ! 主に1撃が重すぎるよっ!
えっち耐性が比較的低いだろうチャールとシーズを先に可愛がってあげたいところだけれど、閃刃を纏ったカレンとそれ以上に速いコンコンニーナが流星のような1撃を放っては離脱して行くので、マジでエロいことをしている余裕が無いんだよ?
余裕が無いのにトラ耳を生やしたガウガウアウラがあまりにも可愛すぎて、さっきからどうしても目が惹かれちゃうんだよーっ!?
一旦距離を取って仕切り直そうとしても、俺が下がろうとした気配を察知してターニアが頭上から突っ込んでくるし、遊撃手がカレンとニーナと竜化ラトリアに竜化エマと、遊撃手が豊富すぎて剣閃が雨の如く降り注いで止まないんだけど?
まさかこの俺がえっちを許可されていても完封されるとは……!
今すぐみんなを押し倒して、えっちなおっぱいをちゅぱちゅぱしながらえっちな身体をずんずん突き上げたいのにぃっ!
「ダンさんが手を拱いていますよっ!? こ、これはもしかしたら押し切れるんじゃ……!」
「気を抜くでない母上! ダンが怖いのはここからなのじゃ! 妾たちにえっちがしたい一心でとんでもない集中力を発揮してくるのがダンなのじゃーっ!」
「フラッタちゃんの言う通りよっ! 全員警戒してっ! ダンの魔力、いつも通りまたなんか不穏な動きをし始めてるわぁっ!」
「フラッターーーっ! ティムルーーーっ! 終わったら憶えてろよーっ! 滅茶苦茶可愛がってやるからなーっ!」
不穏な動きってなんだよ不穏な動きって!
俺自身さえまだ認識してない魔力の流れを先んじてディスらないでくれるかな、ティムルお姉さんってば!
いつもの超高速戦闘の中に、みんなと速度が違うノイズのような攻撃がいくつか混ざることで、なんだか逆に全く隙が無くなっている。
というかノイズ部分を俺自身がフォローしてるのが意味不明なんだよっ! なんで相手側のフォローをしつつ手合わせしなきゃならないんだってのっ!
「このままじゃ埒が明かないならぁ……! 無理矢理でも応えてやるぜっ、フラッタの期待になぁっ!」
「望む所なのじゃーーーっ! じゃが静かに集中などさせるつもりはないのじゃーーっ!」
爆撃のようなフラッタの1撃は流石にメタドライブを使用していてもまともに受けることが出来なくて、チャールとシーズに怪我をさせないように魔法障壁と合わせて受け流すしかないようだ。
これもう人間族とか竜人族とか関係なく、フラッタの1撃をまともに受け止められる奴なんてこの世に居なくねぇ!?
下手にまともに受けても吹き飛ばされるだけだし、吹き飛ばされた先にはニーナとかラトリアとか待ち構えてるし、数テンポ遅れてカレンとかチャールたちが追いついてくるのが普通に厄介なんだけどっ!
この包囲網を打ち破るにはメタドライブすら不足してるとか、我が家の家族は強くなりすぎなんだよ?
メタドライブで足りないなら……。
魔力制御の究極形と評価されたメタドライブでも届かないなら、俺に残された伸び代はどこにある?
……その時頭をよぎったのは、最近体験したばかりのヌルヌルとした姉妹の感触。
「――――だから出会ったのか、湖人族にっ!!」
今までの常識では、メタドライブを越える魔力制御なんて有り得なかった。
ヴァンダライズもエーテルジェネレイターもメタドライブと同じ制御技術の延長線上でしかなく、6種族しか居なかった今までの常識ではその先に向かうことは出来なかった。
だけど湖人族は今までこの世界には間違いなく居なかった存在で、職業の祝福とは全く異なる技術で、職業の祝福以上の能力を発揮する液化という能力を披露してくれた。
そしてこれこそが俺が先に進むための新たな鍵なのかっ……!
「くっ……くくっ! やっぱり俺の進むべき道の先は、みんなとのえっちの先にしか存在してないようだなぁっ!?」
「旦那様、何か掴まれたようですね……。本当に何処までも強くなるお方ですよっ……!」
クラーとミレーを始め、液化した湖人族とはたっぷりえっちしたから液化のイメージは万全だ!
クラーのぬるぬるおっぱいとミレーのぬるぬるおっぱいを思い出して、彼女たちの液化魔力をメタドライブで再現しろ!
「なっ……!? なにこれっ!? ダンの魔力が、宙に溶けて……!」
水と一体化する液化を、そのまま陸上で再現しても意味がない。
水と混ざり合い一体化する能力はそのままに、一体化する対象を水から空気に拡張しろ。
いや、物理法則が曖昧な世界で空気と同調するイメージなんか抱いても仕方が無い。
そもそも科学知識なんてさっぱりな俺は、空気中の成分なんて酸素と窒素と二酸化炭素くらいしか知らないからな。
明確なイメージなんて出来るはずも無い。
ならここでイメージすべきものは決まっている。
大気中に漂う魔力、しかも異界から流れ込んだ魔力ではなく、この世界に馴染んだ祝福の力と同じ魔力と同化しろ。
そうしてこの世界全ての存在との道が開いたら、俺がいつも繋がってる、愛しいみんなの魂を手繰り寄せるんだ……!
「な、なんですかこれ……。剣を合わせていないはずの私たちにすら、ご主人様の魔力が伝わって……」
「なんだこれなんだこれなんだこれぇっ!? こんなことがあって、こんなことが人に出来ていいの!? ダンさん、精霊魔法のように大気中の魔力を捉えながら、その魔力と1つに溶け合って……!?」
離れて見ているキュールに俺の魔力が触心出来たという事は、俺の魔力が肉体から溢れてみんなと繋がってくれた何よりの証拠だろう。
気をつけるべきは液化のように、使いすぎて大気と混ざり合って戻ってこれないことだけど……。多分大丈夫だ。
大気に混ざり合う魔力を使って物質を形作る魔力操作は、先日ユニに強制的に教えてもらったばかりだ。
ユニとアウラ、俺の愛しい2人娘のどちらか一方でも欠けていたら、俺はこの領域に辿り着くことは絶対に出来なかっただろう。
「まるでヴァンダライズやエーテルジェネレイターの時みたいに、ダンの魔力がぼくたちと繋がって……ううんっ! あの時よりもずっと優しく、ずっと自然にダンの想いが伝わって……繋がってくるっ……!」
「う、うわぁ……。ダンがこの手合わせで私たちをどれだけ守ってくれてたのか、鮮明に伝わって来ちゃったんですけどぉ……」
「くっそー! 俺だってお前の事が大好きなんだよ! なのに、なのに全然足りてねーじゃねーか! 好きな相手を想う気持ちですら、俺はダンの足元にも及んでねーんじゃねーかよっ!」
ああ、やっぱりみんなと繋がるのは本当に気持ちいい。
剣を交え槍を放たれても、みんなの想いが乗っていればコミュニケーションでしかないね。
俺が一方的に全ての情報を読み取り、現状を正確に把握するフルファインダーとは違う、みんなの思考がそのままダイレクトに伝わってくるような幸福感。
みんなの動きも狙いも、そして俺への想いも余すことなく流れ込んできて、えっちなんかよりも何億倍も心地いいっ!!
「あはーっ。36人も一気に受け入れちゃったから、ダンの体から愛情が溢れてきちゃってるみたいねーっ?」
「あっはっは! 信じられないのっ! まるでダンさんの剣が置かれているところに自分から槍を突き出しちゃってるみたいなのーっ!」
「こ、こんなに想われているのに、私だけ寝ていられませんよぉっ……! ダンさん、私の槍も受け取ってくださいぃ……!」
流石は我が家屈指のエロ耐性を持つ俺の可愛いムーリだ。もう起き上がれるなんて本当に凄いよ。
ムーリだって槍を持ってまだ半年くらいだろうに、信じられないくらい強くなったね。
「これ……まさか魔力が回復してるんじゃ……!? 私さっきまで、もう直ぐ竜化が解けそうだったのに……!」
「回復……してますね。というかダンさんの魔力が流れ込んできて……。ううん、ダンさんを通して、全員が1つになったみたいです……」
ラトリアとエマが、普段の竜化以上の膂力を発揮して俺に切り掛かってくる。
もしかしてこれ、俺の職業補正がみんなにも伝播してる?
いや、これってもしかして、俺に対してスキル『決戦昂揚』が発動してるんじゃ……。
「くそ……! 何が貴様の剣を目指すなだ……! こうして繋がって初めて、貴様がどれほどの想いで剣の腕を磨いてきたかが伝わってくるのに……これを目指すななど無理があるわぁっ!!」
カレンもすっかり閃刃の扱いに慣れたようだね。
敏捷性だけを走らせて閃刃の動きに意識がついていっていなかったのが、身体操作性補正と五感補正もちゃんと一緒に走らせて、閃刃の速度で細かい身体制御を可能にするなんて凄いよ。
「全くダンったら、心と体が繋がるだけでも満足出来ないなんて、本当にえっちで我が侭なんだからーっ」
そうだねニーナ。みんなが名付けてくれた通り、俺は欲張りで我が侭な暴君様なんだ。
だから大好きなみんなとは心も体も魂も、ぴったりとくっついてないと気が済まないんだ。
「アウラー! ダンが貴女と繋がってる限り、貴女は魔力枯渇を起こす心配は無いのっ! だから全力を出しなさいっ!」
「ぜ、全力って!? もうずーっと前から全力で戦って……」
「縛鎖のペンデュラムで操られていた時を思い出すのっ! 貴女は今、暴王の代わりに暴君と魔力で繋がってるの! 自分の全ての補正を1度に励起させるダンの魔力を辿って、貴女も自分の全てを一気に発動させなさーいっ!!」
……凄いなニーナ。俺にはその発想は無かったよ?
まさか俺の魔力を使ってアウラの全力を引き出そうだなんて、常識に囚われないニーナならではの発想だ。
けど言われてみれば、メタドライブの魔力制御を感覚的に伝えられるチャンスを逃すのは勿体無いね。
さぁおいでアウラ。パパが手を引いてあげるから、お前が無意識にかけているリミッターとストッパーを全部外して見せるんだ。
「あ……パパの気持ち、伝わって……。うんっ……! や、やってみるねっ!」
激しさを増す剣撃の中、1人下がって俺と距離を取り、深く集中するアウラ。
俺はみんなの攻撃を受け止めながら、アウラの手を引くように彼女の魂から色とりどりに分けられた5つの魂を引っ張り出してやる。
次第にアウラの瞳が青くなり、精霊憑依の緑の魔力を纏いながら、竜化と獣化と魔竜化を発現させ始めるアウラ。
アウラが種族特性の発動に成功していくほどに、俺とアウラの魔力も混ざり合っていくようだ。
「…………え?」
俺とアウラの魔力が交わり、6つの種族の全ての魔力が混ざり合った瞬間、誰かが俺に警鐘を鳴らした気がした。
その人は6種の魔力が混ざり合う事を心から喜びながらも、その先に進んではいけないと俺を必死に止めてくれていたような、そんな想いが一瞬だけ過ぎった。
その瞬間アウラが、暴王のゆりかごで見せられたように全ての種族特性を発動させる事に成功し、俺に一瞬だけ過ぎった想いはアウラへの注意で掻き消されてしまった。
「で、できた……! 出来たよパパっ! ママっ! 私、全部の能力を1度に……!」
「凄いねアウラ。お前は自慢の娘過ぎて非の打ち所が見つからないよ。それじゃ区切りもいいし、今回はこれで終わろうね」
「え、終わるって……」
みんなへの想いを掌握し、溢れ出た想いを体内に戻していく。
みんなと1つになることは信じられないほどの多幸感を得られるけれど、元々別々だからこそ繋がった時が幸せなんだ。
だからこのまま繋がり続けて、みんなとの境界を失ってしまうわけにはいかないからね。
「ありがとう湖人族のみんな。貴女達が居なければ、きっと俺はここに辿り着けなかったと思う」
俺の感謝の言葉にも、湖人族の皆さんは誰も反応してくれなかった。
今回は彼女たちとまで繋がる事は出来なかったから、何が起きていたのか分からなかったのかもしれないな。
……だから跪いて祈らなくてもいいんだよ? 皆さんが修道士を得ているだけでも微妙な気分なんだから。
「この世界の限界を超えて、メタドライブですら解決出来ないことさえも解決してしまう最後の切り札。そうだな……『デウス・エクス・マキナ』、とでも名付けようか」
我ながらあまりにも中学2年生センスで嫌になるんだけど、これまたいつものように頭に自然に浮かんできたんだよね。
……頭に浮かんできたと言えば、アウラが全力を出すその一瞬前に過ぎった誰かの想いは一体なんだったんだろう。
確かルッツさん辺りが、液化が使えると帰水化した人たちの存在を感じられるって言ってたっけ。
なら液化を参考にしたデウス・エクス・マキナが、この世界の大気に還った誰かの想いを拾ってしまったのかもしれない。
なんとなく思い出さなきゃいけない大切な事のように思えるけれど……。
ダメだな。残念ながら全く思い出せそうもないよ。
だけど6種族の魔力が繋がった事を心から喜んでいたのは確かだし、俺が繋がった誰かはきっと、みんなと仲良く暮らしたかった優しい人だったんだろうなぁ。
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