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サーディユニオム教の話をしていたはずなのに、最終的に俺がおかしいといういつもの流れになってしまったのが解せない件。
だけどそろそろ相手をしてと言わんばかりに甘えてくるティムルが可愛いので、いつも通り直ぐにみんなとえっちすることしか考えられなくなってしまう。
くそぅ。家族が可愛すぎて頭が上がらないぜぇ……!
けど残念な事に、もう1つ話が残ってるんだよなぁ……!
「フラッタとリーチェはちょっとお休みして、今度はお姉さんとアウラに相手をしてもらおうかな。相手と言ってもアウラには話し相手になってもらうんだけど」
「話し相手……って、ニーナママたちの手合わせを見てた時の話だよね? でもパパ、殆ど全部把握してなかったー?」
「俺がしてたのは把握じゃなくて予想だよ。ちゃんとアウラ本人の口から答え合わせをしてもらわないと困るってば」
傍に寝転ぶアウラの頭をよしよしなでなでして、訓練の時にアウラがなにをしていたかを問いかける。
その間にリーチェと交替したティムルが俺のモノを加えて、けれど話の邪魔をしないように配慮された優しい刺激を送ってくれる。
お姉さんもよしよしなでなでー。
ムーリとリーチェに絞り取られた後だから、優しい扱いをされると安心するよ~。
「俺は魔力視なんて出来ないからなんとなくでしか分からないけど、あの魔力の消費具合だと職業補正じゃなくて種族適正を応用したんだよね? どんな魔力制御をしたか教えて?」
「魔力視が出来ないのにどうやって私の魔力を察してるのっ、まったくパパったらー」
「俺の頭の中も視界も大好きなみんなのことでいっぱいだからね。ステータスプレートで魂的にも繋がってるし、なんとなく分かるんだ」
「え~? 私やママたちだって大好きなパパのことで頭がいっぱいだけど、パパの状態なんて分からないのに~」
不満げに頬を膨らませながら気だるげに体を起こしたアウラは、先ほどのティムルのように媚びた仕草で俺に抱き付いてくる。
こんなえっちな女性が10歳の少女とか誰も思うまいよっ。
アウラを抱きとめ、ティムルとアウラをよしよしなでなでしながらアウラの答えを待つ。
「えっとね、始めニーナママが速すぎて全然見えなかったの。全体を視界に入れるようにしてたんだけど、それでも目に映らないくらい速くってさ~」
「ニーナのトップスピードはカレンの閃刃の剣閃よりも遥かに速いからねー。それでそれで?」
「うん。それでも何とか見ようと思って熱視を使ったの。そしたらヴァルゴママが目の回りに魔力を集めているのが分かってさ……」
「ふぅむ。視力強化は殆ど無意識に行なっているのですが、アレに気づくのは素晴らしいですねっ」
自分のささやかな魔力制御に気付いてもらえて、ヴァルゴが満足げにうんうんと頷いている。
何気にヴァルゴも教え魔だから、アウラに自分の技術が理解されたことが嬉しいんだろう。
「熱視じゃ速い動きは見えないけど、熱視で集めた魔力を精霊魔法の要領で制御してさ。熱視の上にもう1つ魔力を重ねたんだー」
「へ~? 精霊魔法と熱視の合わせ技でヴァルゴの魔力制御を真似たんだ? 使用しているのは各種族の能力なのに、やっている事はダンと一緒だねぇ」
「……各種族の魔力を併せ持っているアウラが人間族のダンの真似をしているって、なんか間違ってねーか?」
「ダンさんの存在そのものが色々間違ってるからね。その印象は今更過ぎるよ?」
おーっとキュール。これはお仕置きリストに追加かなー?
シーズも細かいこと気にしなくていいんだよ。娘が父親の真似をするなんて別に普通のことだから。
リーチェみたいに素直に感心だけしてくれればいいからね?
「そのおかげでニーナママの動きは何とかギリギリ追えるようになったんだけど……。熱視の上に別の魔力制御を重ねたせいで魔力消費が加速しちゃってさ。パパにえっちしてもらう羽目になっちゃったんだー」
「パパとしてはラッキーだったけどね。可愛いアウラとはいくらでもえっちしたいからさ」
「えっちするのはいいんだけど、今回のは予定に無かった魔力消費だからさー。自分の能力が制御出来てない証拠みたいでちょっと悔しいのっ」
負けず嫌いのアウラは、過剰に魔力を消費してしまった事と、それを俺に悟られたのが悔しいようだ。
でもこの世界の人たちって種族特性を発現させるだけでも苦労してるんだから、アウラのその感情はちょっと高度すぎるんだよ?
落ち込んでいるわけじゃないみたいなので、余計な事は言わないけどね。
「ただでさえ魔力消費が大きいアウラが熱視と精霊魔法を同時発動して、その2つを使って更に魔迅を再現した感じかな? 少し効率が悪そうだけど、今まで出来なかった新しいことが出来るようになったみたいだね。偉い偉い」
「う~、少し効率が悪い、なんてレベルじゃないんだってば~っ。多分5分も持たないよぅ。戦いながら維持する自信も無いしさぁ」
「ははっ。アウラが知らないのも無理は無いけど、ニーナの獣化もティムルの熱視も始めはそんな感じだったんだ。十分すぎるって」
アウラが言っていることはゲームスタート直後のプレイヤーがラスボス戦に挑むキャラを羨むようなものだ。
気持ちは分かるけど、何事にも順番ってものがあるんだよー。
「今後はまず、今回行なった魔力制御の訓練をしながら、熱視か魔迅で視力強化出来るように練習しような。ヴァルゴとティムルが教えてくれるから」
「ん~? 魔力制御も熱視も魔迅も別々に練習するの? それこそ効率悪くない? てか熱視じゃ視力は上がらないよ?」
「魔力制御も熱視も魔迅も全部別の能力で、それぞれ磨く必要があるんだ。効率は落ちるけど基本部分はしっかり身につけた方がいい」
俺の言うことを鵜呑みにせず、常に自分でも思考し意見を言えるアウラが10歳ってマジ?
ニーナみたいに感覚的に能力を操る天才肌の面もありながら物事を理論立てで考えられるなんて、うちの娘は凄すぎるぜっ。
そんな凄い娘に納得してもらえるように、なんとなくじゃなくてちゃんと説明してあげないとな。
「アウラの言う通り熱視では視力は上がらない。それは熱視と魔迅の性質が違うせいなんだ」
「熱視と魔迅の違い?」
「ざっくりと説明しちゃうけど、獣化、竜化は肉体そのものを魔力で強化する能力で、熱視は目に別の機能を付与する能力なんだ。装備品にスキル付与するイメージで合ってるかな」
「熱視がスキル付与……。じゃあ魔迅と精霊魔法は?」
「魔人族の魔技は個人差が大きすぎるからなんとも言えないね。魔迅と触心にあまり共通点かあるようには思えないし」
強いて共通点を挙げるとするなら、肉体強化の獣化・竜化と比べて、筋力よりも神経の強化に特化している傾向はあるかも?
魔迅は神経伝達速度を魔力で強化する技術だし、触心は触覚から読み取れる情報を増やす能力って感じだから。
「精霊魔法は本当に異質で、体外の魔力を操作する能力なんだよなぁ。いや、何にも作用していない中立的な魔力を操っていると表現すべきかもしれない」
「ちゅ、中立的……?」
「体外の魔力を用いて獣化のように身体能力を強化する精霊憑依は本当に異質だよ。理論上は無限に強化状態を維持できる気がするなー」
「……私から聞いておいてなんだけどさぁ。今挙げた能力を1つも使えないはずのパパに解説されるのは複雑だよ~っ」
俺に抱き付いたまま手足をバタバタさせるアウラ。
本当に負けず嫌いだね俺達の娘は。
でもピッタリ密着した状態でジタバタしたらパパを喜ばせるだけなんだよ? ぎゅー。
「複雑というか……いやはや戦慄さえ覚えるよ。人間族でありながら各種族をここまで深く理解した人って多分居なかったんじゃないかなぁ……」
「キュール。俺が理解してるのは家族のみんなのことだけだよ。たまたま家族に全種族が揃っちゃったから、種族の違いを意識することが多かっただけだから」
「いえご主人様。他種族と結ばれても、種族差なんて普通は気にしないんですよ? ご主人様は出自が特殊ですから、より強く種族差を意識されたのかもしれません」
あ~……。シャロの言う通り、確かに人間族しかいない地球から転移してきたから、というのはありそうだ。
まだニーナとティムルが奴隷だった時も種族差を見つけたくて、毎日毎日2人の体を隅々まで調査したっけ。
ま、未だに調査は継続中なんですけどね?
調査対象が増えちゃって増えちゃって、毎日奥の奥まで調査しなくっちゃいけないんだよ?
「とまぁ長々と説明しちゃったけど、要は全部違う能力だから全部疎かにしちゃダメだよーってことだね。折角各種族の最強が揃ってるんだから、ママたちにも協力してもらおう」
「ママたちに協力してもらうのはいいんだけど、パパの解説通りなら熱視で視力を上げるのは無理なんじゃないの? 魔力視を使って動きを先読みするって事?」
「本当にアウラはパパの言う事を真剣に考えてくれるね。えらいえらいっ。ぎゅー」
全くアウラってば、エロ方面でも的確に俺の喜ぶポイントをクリティカルヒットしてくるくせに、エロから離れても核心ばかり突いてくるからビックリするね。
これがアウラの持って生まれた才能というわけではないのなら、邪神の跋扈する時代に生まれ、実の両親に無理心中を図られ、最前線で戦い続けていた蒼穹の盟約と共に過ごしたアウラの壮絶すぎる過去が、彼女から少女でいられる時間を奪い去ってしまったのかもしれない。
毎日散々えっちしておいて、今更少女扱いするのも難しいけどな?
「アウラはなまじ全部の能力を使えるからこそ、1つ1つの能力をはっきり区別しちゃっても仕方ないんだけど、熱視による視力強化は可能だと思っていいよ」
「んんん~? 可能だと思っていい、ってなんか変な言い回しだね?」
「厳密に言えば熱視に視力強化の効果は無いからね。だけどティムルは熱視でニーナの姿を追えるし、今回アウラも熱視に魔力強化効果を付与したでしょ? だから可能ではあるんだ」
「え、え~っと……???」
俺に抱き付きながらも首を傾げるアウラ。
もー可愛すぎるよウチの子っ。えっちしなくても離さないぞーっ。ぎゅー。まぁえっちもするんですけどね。ぎゅー。
流石にフラッタとヴァルゴは俺の言葉の意味を直ぐに理解しているようでうんうんと頷いているし、リーチェとティムルは真剣な表情で自分の能力について考え込んでいる。
リーチェとティムルは無意識にやってることだから、今改めて自覚したのかもしれない。
そんな仕合わせの暴君メンバーの中で、ニーナだけがアウラと一緒になって可愛く首を傾げている。
ニーナは深獣化の2段強化があるとは言え、変わった魔力制御をせずに仕合わせの暴君の一員として戦っているので、ある意味1番化け物じみているのはニーナかもしれないな?
「要するに俺達仕合わせの暴君メンバーは、元々の種族特性を魔力制御で進化させて使ってるんだよ。フラッタのオーラとヴァルゴのダークブリンガーなんかは凄く分かりやすい例だよね」
「しゅ、種族特性そのものを成長、進化させちゃえるの……!?」
「魔力は万能で全能なエネルギーだからね。己の身に宿した魔力を暴走させるのが竜化なんだけど、その暴走した魔力すら制御して支配下に置くのがオーラだ。本来体内に走るだけの魔迅を増幅させて、肉体全てに魔迅の効果を波及させるのがダークブリンガーなんだ」
ティムルの熱視も魔力視によって数瞬先が見える未来予測みたいな能力すら備えているし、大気中の魔力を己に宿すだけでぶっ飛んでいるはずの精霊憑依を矢に込めて、自身の魔力として再度放つなんてやってるリーチェは頭おかしいんだよね。
理論上は魔力吸収からチャージ、発動に持っていくアウターブレイクと同じ原理の事をしているんだけど、リーチェは精霊魔法の延長線上であっさりとジュエルバラージを放って見せたからなー。
「恐らくニーナだけ獣化を進化させていないのは、深獣化という進化スキルが元々用意されていたからだと思う。深獣化も進化した種族特性だと考えれば、仕合わせの暴君は全員が種族特性を魔力によって進化させているんだ」
「だからぁ! やっぱりそれをパパが説明できるのが納得いかないんだってばーっ! パパって本当は私と同じように全種族特性持ってるんじゃないのーっ!?」
「んー、1度空っぽになった俺の中にママたちが一生懸命愛情を注いでくれたおかげで、俺の中にはママたちの魔力が根付いているのかもしれないね?」
「私たちの中に散々注ぎこんでるのはパパのほうでしょーっ! その理論で言ったら私たち全員人間族の特性を得てなきゃおかしいじゃないのーっ!」
納得いかなーい! と叫んだアウラは、半ばヤケクソのように俺の唇に蓋をしてきた。
納得はいかないけど、自分の訓練の方向性は見えてきたのかな?
アウラに押し倒される形でベッドに横になり、いつも通り夫婦の時間が始まりを告げる。
けれどまだ日も落ちてないし、このあとカレンも迎えに行かなきゃいけないしで、時間を忘れてにゃんにゃんするわけにはいかないなー。
それじゃ今回は夫婦の時間じゃなくて親子の語らいといきますかね。
メタドラバイブや高速詠唱キスなど、俺に出来る全身全霊を1度アウラに体感してもらうぜっ! アウラ大好きー!
だけどそろそろ相手をしてと言わんばかりに甘えてくるティムルが可愛いので、いつも通り直ぐにみんなとえっちすることしか考えられなくなってしまう。
くそぅ。家族が可愛すぎて頭が上がらないぜぇ……!
けど残念な事に、もう1つ話が残ってるんだよなぁ……!
「フラッタとリーチェはちょっとお休みして、今度はお姉さんとアウラに相手をしてもらおうかな。相手と言ってもアウラには話し相手になってもらうんだけど」
「話し相手……って、ニーナママたちの手合わせを見てた時の話だよね? でもパパ、殆ど全部把握してなかったー?」
「俺がしてたのは把握じゃなくて予想だよ。ちゃんとアウラ本人の口から答え合わせをしてもらわないと困るってば」
傍に寝転ぶアウラの頭をよしよしなでなでして、訓練の時にアウラがなにをしていたかを問いかける。
その間にリーチェと交替したティムルが俺のモノを加えて、けれど話の邪魔をしないように配慮された優しい刺激を送ってくれる。
お姉さんもよしよしなでなでー。
ムーリとリーチェに絞り取られた後だから、優しい扱いをされると安心するよ~。
「俺は魔力視なんて出来ないからなんとなくでしか分からないけど、あの魔力の消費具合だと職業補正じゃなくて種族適正を応用したんだよね? どんな魔力制御をしたか教えて?」
「魔力視が出来ないのにどうやって私の魔力を察してるのっ、まったくパパったらー」
「俺の頭の中も視界も大好きなみんなのことでいっぱいだからね。ステータスプレートで魂的にも繋がってるし、なんとなく分かるんだ」
「え~? 私やママたちだって大好きなパパのことで頭がいっぱいだけど、パパの状態なんて分からないのに~」
不満げに頬を膨らませながら気だるげに体を起こしたアウラは、先ほどのティムルのように媚びた仕草で俺に抱き付いてくる。
こんなえっちな女性が10歳の少女とか誰も思うまいよっ。
アウラを抱きとめ、ティムルとアウラをよしよしなでなでしながらアウラの答えを待つ。
「えっとね、始めニーナママが速すぎて全然見えなかったの。全体を視界に入れるようにしてたんだけど、それでも目に映らないくらい速くってさ~」
「ニーナのトップスピードはカレンの閃刃の剣閃よりも遥かに速いからねー。それでそれで?」
「うん。それでも何とか見ようと思って熱視を使ったの。そしたらヴァルゴママが目の回りに魔力を集めているのが分かってさ……」
「ふぅむ。視力強化は殆ど無意識に行なっているのですが、アレに気づくのは素晴らしいですねっ」
自分のささやかな魔力制御に気付いてもらえて、ヴァルゴが満足げにうんうんと頷いている。
何気にヴァルゴも教え魔だから、アウラに自分の技術が理解されたことが嬉しいんだろう。
「熱視じゃ速い動きは見えないけど、熱視で集めた魔力を精霊魔法の要領で制御してさ。熱視の上にもう1つ魔力を重ねたんだー」
「へ~? 精霊魔法と熱視の合わせ技でヴァルゴの魔力制御を真似たんだ? 使用しているのは各種族の能力なのに、やっている事はダンと一緒だねぇ」
「……各種族の魔力を併せ持っているアウラが人間族のダンの真似をしているって、なんか間違ってねーか?」
「ダンさんの存在そのものが色々間違ってるからね。その印象は今更過ぎるよ?」
おーっとキュール。これはお仕置きリストに追加かなー?
シーズも細かいこと気にしなくていいんだよ。娘が父親の真似をするなんて別に普通のことだから。
リーチェみたいに素直に感心だけしてくれればいいからね?
「そのおかげでニーナママの動きは何とかギリギリ追えるようになったんだけど……。熱視の上に別の魔力制御を重ねたせいで魔力消費が加速しちゃってさ。パパにえっちしてもらう羽目になっちゃったんだー」
「パパとしてはラッキーだったけどね。可愛いアウラとはいくらでもえっちしたいからさ」
「えっちするのはいいんだけど、今回のは予定に無かった魔力消費だからさー。自分の能力が制御出来てない証拠みたいでちょっと悔しいのっ」
負けず嫌いのアウラは、過剰に魔力を消費してしまった事と、それを俺に悟られたのが悔しいようだ。
でもこの世界の人たちって種族特性を発現させるだけでも苦労してるんだから、アウラのその感情はちょっと高度すぎるんだよ?
落ち込んでいるわけじゃないみたいなので、余計な事は言わないけどね。
「ただでさえ魔力消費が大きいアウラが熱視と精霊魔法を同時発動して、その2つを使って更に魔迅を再現した感じかな? 少し効率が悪そうだけど、今まで出来なかった新しいことが出来るようになったみたいだね。偉い偉い」
「う~、少し効率が悪い、なんてレベルじゃないんだってば~っ。多分5分も持たないよぅ。戦いながら維持する自信も無いしさぁ」
「ははっ。アウラが知らないのも無理は無いけど、ニーナの獣化もティムルの熱視も始めはそんな感じだったんだ。十分すぎるって」
アウラが言っていることはゲームスタート直後のプレイヤーがラスボス戦に挑むキャラを羨むようなものだ。
気持ちは分かるけど、何事にも順番ってものがあるんだよー。
「今後はまず、今回行なった魔力制御の訓練をしながら、熱視か魔迅で視力強化出来るように練習しような。ヴァルゴとティムルが教えてくれるから」
「ん~? 魔力制御も熱視も魔迅も別々に練習するの? それこそ効率悪くない? てか熱視じゃ視力は上がらないよ?」
「魔力制御も熱視も魔迅も全部別の能力で、それぞれ磨く必要があるんだ。効率は落ちるけど基本部分はしっかり身につけた方がいい」
俺の言うことを鵜呑みにせず、常に自分でも思考し意見を言えるアウラが10歳ってマジ?
ニーナみたいに感覚的に能力を操る天才肌の面もありながら物事を理論立てで考えられるなんて、うちの娘は凄すぎるぜっ。
そんな凄い娘に納得してもらえるように、なんとなくじゃなくてちゃんと説明してあげないとな。
「アウラの言う通り熱視では視力は上がらない。それは熱視と魔迅の性質が違うせいなんだ」
「熱視と魔迅の違い?」
「ざっくりと説明しちゃうけど、獣化、竜化は肉体そのものを魔力で強化する能力で、熱視は目に別の機能を付与する能力なんだ。装備品にスキル付与するイメージで合ってるかな」
「熱視がスキル付与……。じゃあ魔迅と精霊魔法は?」
「魔人族の魔技は個人差が大きすぎるからなんとも言えないね。魔迅と触心にあまり共通点かあるようには思えないし」
強いて共通点を挙げるとするなら、肉体強化の獣化・竜化と比べて、筋力よりも神経の強化に特化している傾向はあるかも?
魔迅は神経伝達速度を魔力で強化する技術だし、触心は触覚から読み取れる情報を増やす能力って感じだから。
「精霊魔法は本当に異質で、体外の魔力を操作する能力なんだよなぁ。いや、何にも作用していない中立的な魔力を操っていると表現すべきかもしれない」
「ちゅ、中立的……?」
「体外の魔力を用いて獣化のように身体能力を強化する精霊憑依は本当に異質だよ。理論上は無限に強化状態を維持できる気がするなー」
「……私から聞いておいてなんだけどさぁ。今挙げた能力を1つも使えないはずのパパに解説されるのは複雑だよ~っ」
俺に抱き付いたまま手足をバタバタさせるアウラ。
本当に負けず嫌いだね俺達の娘は。
でもピッタリ密着した状態でジタバタしたらパパを喜ばせるだけなんだよ? ぎゅー。
「複雑というか……いやはや戦慄さえ覚えるよ。人間族でありながら各種族をここまで深く理解した人って多分居なかったんじゃないかなぁ……」
「キュール。俺が理解してるのは家族のみんなのことだけだよ。たまたま家族に全種族が揃っちゃったから、種族の違いを意識することが多かっただけだから」
「いえご主人様。他種族と結ばれても、種族差なんて普通は気にしないんですよ? ご主人様は出自が特殊ですから、より強く種族差を意識されたのかもしれません」
あ~……。シャロの言う通り、確かに人間族しかいない地球から転移してきたから、というのはありそうだ。
まだニーナとティムルが奴隷だった時も種族差を見つけたくて、毎日毎日2人の体を隅々まで調査したっけ。
ま、未だに調査は継続中なんですけどね?
調査対象が増えちゃって増えちゃって、毎日奥の奥まで調査しなくっちゃいけないんだよ?
「とまぁ長々と説明しちゃったけど、要は全部違う能力だから全部疎かにしちゃダメだよーってことだね。折角各種族の最強が揃ってるんだから、ママたちにも協力してもらおう」
「ママたちに協力してもらうのはいいんだけど、パパの解説通りなら熱視で視力を上げるのは無理なんじゃないの? 魔力視を使って動きを先読みするって事?」
「本当にアウラはパパの言う事を真剣に考えてくれるね。えらいえらいっ。ぎゅー」
全くアウラってば、エロ方面でも的確に俺の喜ぶポイントをクリティカルヒットしてくるくせに、エロから離れても核心ばかり突いてくるからビックリするね。
これがアウラの持って生まれた才能というわけではないのなら、邪神の跋扈する時代に生まれ、実の両親に無理心中を図られ、最前線で戦い続けていた蒼穹の盟約と共に過ごしたアウラの壮絶すぎる過去が、彼女から少女でいられる時間を奪い去ってしまったのかもしれない。
毎日散々えっちしておいて、今更少女扱いするのも難しいけどな?
「アウラはなまじ全部の能力を使えるからこそ、1つ1つの能力をはっきり区別しちゃっても仕方ないんだけど、熱視による視力強化は可能だと思っていいよ」
「んんん~? 可能だと思っていい、ってなんか変な言い回しだね?」
「厳密に言えば熱視に視力強化の効果は無いからね。だけどティムルは熱視でニーナの姿を追えるし、今回アウラも熱視に魔力強化効果を付与したでしょ? だから可能ではあるんだ」
「え、え~っと……???」
俺に抱き付きながらも首を傾げるアウラ。
もー可愛すぎるよウチの子っ。えっちしなくても離さないぞーっ。ぎゅー。まぁえっちもするんですけどね。ぎゅー。
流石にフラッタとヴァルゴは俺の言葉の意味を直ぐに理解しているようでうんうんと頷いているし、リーチェとティムルは真剣な表情で自分の能力について考え込んでいる。
リーチェとティムルは無意識にやってることだから、今改めて自覚したのかもしれない。
そんな仕合わせの暴君メンバーの中で、ニーナだけがアウラと一緒になって可愛く首を傾げている。
ニーナは深獣化の2段強化があるとは言え、変わった魔力制御をせずに仕合わせの暴君の一員として戦っているので、ある意味1番化け物じみているのはニーナかもしれないな?
「要するに俺達仕合わせの暴君メンバーは、元々の種族特性を魔力制御で進化させて使ってるんだよ。フラッタのオーラとヴァルゴのダークブリンガーなんかは凄く分かりやすい例だよね」
「しゅ、種族特性そのものを成長、進化させちゃえるの……!?」
「魔力は万能で全能なエネルギーだからね。己の身に宿した魔力を暴走させるのが竜化なんだけど、その暴走した魔力すら制御して支配下に置くのがオーラだ。本来体内に走るだけの魔迅を増幅させて、肉体全てに魔迅の効果を波及させるのがダークブリンガーなんだ」
ティムルの熱視も魔力視によって数瞬先が見える未来予測みたいな能力すら備えているし、大気中の魔力を己に宿すだけでぶっ飛んでいるはずの精霊憑依を矢に込めて、自身の魔力として再度放つなんてやってるリーチェは頭おかしいんだよね。
理論上は魔力吸収からチャージ、発動に持っていくアウターブレイクと同じ原理の事をしているんだけど、リーチェは精霊魔法の延長線上であっさりとジュエルバラージを放って見せたからなー。
「恐らくニーナだけ獣化を進化させていないのは、深獣化という進化スキルが元々用意されていたからだと思う。深獣化も進化した種族特性だと考えれば、仕合わせの暴君は全員が種族特性を魔力によって進化させているんだ」
「だからぁ! やっぱりそれをパパが説明できるのが納得いかないんだってばーっ! パパって本当は私と同じように全種族特性持ってるんじゃないのーっ!?」
「んー、1度空っぽになった俺の中にママたちが一生懸命愛情を注いでくれたおかげで、俺の中にはママたちの魔力が根付いているのかもしれないね?」
「私たちの中に散々注ぎこんでるのはパパのほうでしょーっ! その理論で言ったら私たち全員人間族の特性を得てなきゃおかしいじゃないのーっ!」
納得いかなーい! と叫んだアウラは、半ばヤケクソのように俺の唇に蓋をしてきた。
納得はいかないけど、自分の訓練の方向性は見えてきたのかな?
アウラに押し倒される形でベッドに横になり、いつも通り夫婦の時間が始まりを告げる。
けれどまだ日も落ちてないし、このあとカレンも迎えに行かなきゃいけないしで、時間を忘れてにゃんにゃんするわけにはいかないなー。
それじゃ今回は夫婦の時間じゃなくて親子の語らいといきますかね。
メタドラバイブや高速詠唱キスなど、俺に出来る全身全霊を1度アウラに体感してもらうぜっ! アウラ大好きー!
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