異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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761 ニーナの実力

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 ヴァルハールの地下訓練場で本気で手合わせをしていたニーナたちを止めた俺は、手合わせしていたニーナとフラッタとヴァルゴをぎゅーっと抱きしめながらラトリアに問いかける。


「ねぇラトリア。少しニーナとお話がしたいんだけど、訓練場だと誰か来ちゃうかな?」

「そう、ですね……。日が高いうちは殆どの者はアウターに潜っているとは思いますが、誰も来ないとは言い切れません。執務室はシルヴァに譲ってしまいましたので、お話をするならフラッタのお部屋が良いでしょう」

「カレン。ニーナたちの話を聞く時間くらいあるよね?」

「サーディユニオム教との話か? 約束の時間があるわけでもない、日が落ちる前に行けば文句は言われないだろう」


 文句は言われないだろうけど、日が落ちたあとも滞在してたら普通に迷惑って話だね。

 サーディユニオム教との話がどの程度掛かるか分からないから、やはりあまりギリギリに行くわけにはいかなそうだ。


「尤も? 誰かさんが情事に耽ってしまうようでは危ないかもしれないがなぁ?」

「じゃあ時間を忘れないようにカレンはおっぱいを死守してね。それじゃ移動するよー」


 なんで私の責任になるのだと真っ赤になって突っかかってくるカレンを乳首をつついて撃退しながら、みんな一緒にフラッタの私室に移動する。

 道中何度も乳首をつつかれたカレンは、入室するなり部屋の角まで離れてしまった。


 でもカレン。その反応が余計に興奮するんだよ?


「しかしフラッタはもう俺に嫁いだとは言えさぁ。随分とシンプルな内装になりましたねぇ……?」


 久々に入室したフラッタの私室の中にはベッド以外の家具は無くなっており、部屋の中央に置かれたベッドは以前設置してあったベッドよりも遥かに大きいサイズになっている。

 テーブルが無い代わりにベッドボードが広く取られており、そこに飲み物や食事を置くことも出来るようだ。


「妾が屋敷で寝泊りする時はダンと一緒の時だけじゃからのう。お嫁さんがいくら増えてもいいように大きいベッドを用意したのじゃっ」

「俺と一緒じゃなきゃ寝れないなんて、フラッタってば可愛すぎるんだからぁ」

「むしろダンと一緒の方が寝かせてもらえないがのう! これからお出かけする予定じゃが、その前にも可愛がってくれるのじゃ?」

「可愛すぎかよコイツーっ! でも時間が無いからぎゅーっとするだけにしておこうねー」


 ベッドの中央に寝転がって、背後からヴァルゴに抱きしめてもらい、俺の両腕にニーナとフラッタを抱き締める。

 獣化と竜化の余韻が残る2人はニコニコしながらすりすりマーキングしてくれて、もう悶絶しそうなくらいに可愛いんだよ?


「時間が無いからニーナとフラッタは可愛がってあげられないけど、アウラとは1回しておこうか」

「えっ!? わ、私!?」

「お出かけ前だから服を脱いで、俺に跨って自分で動いてくれる? 結構魔力消費したんでしょ?」

「え、えぇ~……。なんでパパには分かっちゃうかなぁ……。魔力補充って言われると断るわけにもいかないよぅ……」


 しまったー、みたいなバツの悪い表情をしながら、するすると服を脱いでいくアウラ。

 そのまま何の躊躇もなく俺の上に跨り、俺のモノを咥え込んで、俺の上で腰を振り始める。


 いきなりのお誘いにも、アウラの準備は万端だったようだな。素晴らしい。


「う、う~……。周りのみんなは服を着てるのに、自分だけ裸なのは恥ずかしいよパパぁ……」

「まーたアウラは直ぐに俺を煽るんだからぁ。今回は魔力補充がメインだから真面目にえっちしなきゃダメでしょ?」

「ま、真面目にえっちってなにぃ……? う、うぅ……。魔力を消費したのはホントだから、私の体がパパのをいつもより強く欲しがっちゃって……んんっ……」


 ダメだこの愛娘、えっち過ぎる。

 このままアウラと会話しているとマジでサーディユニオム教との約束をぶっちぎってしまいそうなので、話が終わるまで休まず搾り取るように言いつけて、ニーナの話を聞く事にする。


「それでニーナ。どうして今日はあんなに本気で手合わせしてたの? ニーナが俺との手合わせ以外に獣化を使うなんて珍しい気がするけど」

「ん~……。なんだか私ね、他の皆と比べて、あんまり真面目に訓練していないかもって思ったの……」


 すりすりと俺にマーキングしながらも、どこかシュンと落ち込んだ感じのニーナの声。

 そんなニーナに何かを言おうとしたフラッタの言葉をキスで止めて、今はニーナの言葉の続きを促す事にする。


「ニーナが真面目に訓練していないなんて事は全然無いと思うけど、どうしてニーナはそう思ったの? 何か理由があるんだよね?」

「うん……。ダンが決戦の予感を感じてるって話を聞いてさ、ティムルが言ったじゃない? 『これ以上の戦力強化は難しい』って。あの時は私もそうだなーって思ったんだけど……」


 ティムルも不安げな表情で何かを言いたそうにしているけれど、大丈夫だよとウィンクをしてニーナの言葉を続けさせる。


 ティムル大好きなニーナが、ティムルの言葉で不安になるはずがない。

 だからニーナの悩みにティムルが責任を感じなくったっていいんだよ。大体発端は俺なんだしさ。


「私以外の皆はどんどん強くなったじゃない? ティムルは朧逆月を覚えたし、フラッタとヴァルゴもどんどん新しい技を覚えてさ。リーチェだってジェードテンペストをダンと成功させて……。私だけが成長してないんじゃないかなって思ったの……」

「……フラッタとヴァルゴを同時に相手取れるニーナに落ち込まれると参っちゃうんだけどねぇ。ともかくニーナは、今以上の力を求めて本気で2人に挑んだわけだ」

「うん……。ダンがメタドライブを会得したのが2人との手合わせの時だったから私も何か掴めるかなって……。でも結局何も分からなかったの……」


 ふむ……。ニーナの言ってることは分かるけど、魔力制御でズルしてる俺や才能が爆発しているフラッタが居るせいで、ニーナは少し勘違いしている気がするなぁ。

 俺が言っても説得力に欠けるかもしれないけれど、そう簡単に新しい技なんか編み出せないのだから、少しずつ強くなっていくしかないんだよ?


 実際にニーナだって凄く強くなっているっていうのに、派手な技がないってだけで自信を無くす必要なんか何処にも無いんだけどなぁ。

 だけどこの答えじゃニーナは納得してくれないだろうから……。


「……ねぇニーナ。フラッタとヴァルゴとの手合わせで、ニーナは一体何を掴もうとしたのかな?」

「え? それが分からないから私は本気で……」

「それじゃ駄目なんだニーナ。新たな力を求めるにしたって、その方向性すら分からないまま体を動かしたって、何も掴めはしないんだよ?」

「……っ」


 俺の指摘に、ニーナの体が微かにびくりと飛び上がる。


 俺なんかに指摘されるまでなく、ニーナ自身も理解していたんだろうな。

 自分には成長のために必要な明確なビジョンが無いことを。


「捜し物と一緒だね。自分が何を探しているのか分からないと、見つかるものも見つからないんだよ?」

「でもっ……! でもそれが分からないのっ……! 私はダンみたいに頭が良くないから、自分が何をすべきなのか全然分かんないのーっ!」


 進むべき道が見出せない苛立ちからか、俺の胸に突っ伏したままで歯痒そうに吠えるニーナ。

 う~ん、悩めるニーナの力になってあげたいのは山々なんだけど……。


「ねぇニーナ。ニーナって本当にこれ以上強くなる必要あるの?」

「……え。えっ……!?」

「え? ど、どうしたのニーナ?」


 俺の問いかけに大きく目を見開いたニーナは、その大きく茶色の瞳に大粒の涙を溜めて縋るように俺にしがみ付いてきた。

 予想していなかったニーナの様子に、ついつい反応を返すことが出来なくなってしまった。


「強くならなくていいって……。そ、それって、私はもうダンの傍に居ちゃ駄目ってことなの……!?」

「ありゃ、思ったより落ち込んでるね。普段のニーナなら俺がそんなことを思うはずはないって知ってるはずなんだけど」


 ニーナの震えが大きくなる前に彼女の額にキスをして、彼女の言葉を優しく否定してあげる。

 ニーナが傍に居てくれなかったら、俺が生きている理由がなくなっちゃうってば。


「逆だよニーナ。俺にはニーナの戦闘スタイルは既に完成しているように思えるんだ。だからこれ以上の力を求める必要性を感じないんだよ」

「ふぇ……? か、完成ってぇ……?」

「ニーナはウチのメンバーに囲まれて勘違いしてるけど、自分の実力を過小評価しすぎてるよ?」


 体の震えと涙こそ止まったものの、今だ視線を泳がせ不安げなニーナ。

 そんな彼女の頬に何度もキスを繰り返しながら、ニーナの自己評価を正していく。


「両手にアウターレア製の武器を持ち、無限射程の多重斬撃に魔法妨害と魔力吸収が乗り、獣化と深獣化により2段階の強化が可能で攻撃魔法の威力も最強。回避とかく乱を兼ねたムービングディザスターを無限に続けられるポテンシャル。対魔物戦闘に限って言えば間違いなく我が家最強だよ?」

「さ、最強って、そんな筈無いの……」

「対人戦ではフラッタやヴァルゴの方が上だけどね? でも俺が造魔召喚できるイントルーダー4体を同時に嗾けても完封できる実力が、ニーナには既にあるんだよ」


 ニーナのムービングディザスターをゲームで例えるなら、画面外まで届く無限射程の攻撃を弾数無制限で延々と続けられるようなものだ。

 その斬撃を喰らう度に魔力は奪われ魔法は妨害され、しかもランダムで状態異常まで付与されるオマケ付きだ。


 アウターレア製の2本のダガーはこの世界最高水準の攻撃力を誇り、種族特性による2段強化で攻撃魔法の威力も最強なんだよ?

 そんなニーナに実力不足を嘆かれてしまったら、俺の立つ瀬が割と深刻に無いんだってば。


「マグナトネリコ以降、魔物との戦いが少なめだったから力不足を感じちゃったのかもしれないけど、魔物戦に限ればニーナ1人で俺を含めた仕合わせの暴君5人分の火力を上回ることも可能だと思ってるよ?」

「う~……。ダンに言われても信用出来ないの……。フラッタ、ダンの言ってる事は本当なのー……?」

「たった今妾とヴァルゴを完全にやり込めておきながら、情けない声を出すでないのじゃっ。優しいニーナはいつも手合わせでは本気を出さぬが、本気を出せば誰にもついていけないのじゃーっ」


 ニーナが俺に褒められたのが嬉しいのか、ご満悦のフラッタがニーナにぎゅーっと抱き付いている。


 さっきのフラッタ、本気で嗤ってたもんね。

 ニーナを本気で強者として認めたからこそ、不安げに落ちこむニーナの姿は見たくないのだろう。


「ニーナが家族の力になりたいと思って腕を磨くのはとってもいいことだと思うけど、ニーナのムービングディザスターって高い水準で完成された能力だと思ってるんだー。新たな力を手にしてしまったら、そのバランスが崩れてしまうんじゃないかって心配になるくらいにさ」

「え、えと……? け、結局どういう話になるの……? 私はいったいどうすれば……」

「ニーナはこのまま俺の腕の中に収まっていればいいってことだよー。ちゅっちゅ」


 ようやく軽くなった空気の中で、安心してアウラの中に思い切り注ぎ込む。

 さっきまでアウラ、地味に魔力枯渇を起こしかけてたからな。念入りに補充しておかないと。


「ニーナ。俺が君を頼りにしているのは精神的な意味だけじゃないし、ニーナに敵わないのは寝室に限った話じゃないんだ。ニーナ自身すら新たな力に心当たりが無いなら、無理に手を伸ばす必要は無いんだ」

「う~っ……! どの口が言ってるの~っ……! 私を助けてくれる為に、いつもいつも無理に手を伸ばしていたくせに~っ!」

「アウラのお腹も無事にいっぱいになったことだし、悩みが解決したならそろそろ出かけるよー。納得いってないならあとでいくらでも付き合うからさ」


 抱きしめていた皆を解放し、1人頑張ってくれていた全裸の愛娘アウラを抱き締め頑張りを労う。

 本人に確かめるまでは何とも言えないけど、ニーナのおかげでアウラも1段階前に進めた感じがするんだよな。


 アウラに労いのキスをしている間に皆が身支度を整えてくれたので、アウラの体を俺の手で綺麗に拭きあげて、服を着せて抱きあげる。


「アウラの話も帰ってから聞かせてね。多分アウラ、魔力で視力を強化していたヴァルゴを真似て無理矢理動体視力を上げたんでしょ?」

「……ねぇパパ。あとで私が話すことなんて残ってる?」

「アウラの場合、何の能力の応用で魔力制御をしたのかが重要だと思うんだよね。熱視の応用で視力を上げたのか、ヴァルゴの魔迅を参考に魔技で視力を上げたのか、色々話してくれたら嬉しいんだよ?」

「……なぁんか私の体って、私よりもパパの方が隅々まで知り尽くしていそうだねぇ」


 んもーアウラったら。口を開けばエロいことしか言わないんだからー。

 でもさっきのニーナの動きを動体視力で真っ向から捉えられたのなら、アウラもイントルーダーと戦える領域に足を突っ込んだって事になるかもしれないな。

 そろそろタイニームーンを渡してもいい頃合いか。


 成長著しいアウラとニーナにちゅっちゅっと何度もキスを繰り返しながら、サーディユニオム教と接触する為に、1度フラグニークの城に向かって全員で転移したのだった。
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