異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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698 砂浜

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 眼前に広がる青い空と透き通った海。

 地球にいた頃はぼっちで引き篭もり気味だった俺とは縁が無かった海という場所に、愛する家族と一緒にバカンスに来れるなんて夢みたいだ。


「……これでカレン陛下も居なかったら最高だったんですけどねぇ」

「まぁそう言うな。貴様らの邪魔をする気は無いし、私もそれなりに忙しい身だからな。たまには羽を伸ばさせてくれ」


 俺の嫌味をあっさり笑顔で受け止めるカレン陛下。

 やっぱ政治家相手に口で勝つのは難しそうだな。ラトリアが何か言いたそうな顔をしているけどきっと気のせいだ。


 迎賓館での食事を終えた俺達は、カレン陛下の案内で砂浜に向かう事にした。

 野生動物が徘徊して危険な場所という認識の海に好き好んで近づこうとする者は殆ど居ないそうで、ポータルで直接転移出来る者が見つからなかったようだ。


 俺は陛下と会話しながら、ニーナとフラッタの好色家姉妹を抱き寄せている。

 皇帝陛下の前でイチャつくのは我ながらどうかと思うのだけど、カレン陛下の方から積極的に下ネタを振ってくるので、あんまり考慮しても意味がないなと遠慮しない事にしたのだ。


 初夏の日差しはこの世界でもなかなかに厳しく、3人でくっついているのでかなり暑苦しい。

 でもそのおかげで汗ばんだニーナとフラッタの肌の感触が最高にエロいので、厳しい日差しも俺にとってはプラスにしか働かない模様。


「海は危険地帯だということですが、今まで海に対して何らかの研究や捜索は行なわれなかったんですか? 例えば食用可能な野生動物の調査や、海の向こうの調査とか」

「ヴェル・トーガ海岸が発見されてからは幾度となく海の調査は行なわれているよ。無論その調査は今も継続されていて、ここと離れた場所には研究拠点もいくつかある。が、やはり野生動物に阻まれて研究はあまり進んでいないのが現状だ」

「あら? 海の研究が行なわれているのに、俺達の為に新たな建物を用意したんですか? あ、俺達に機密情報を公開させないためか」

「違う違う。貴様らが気兼ねなく愛し合えるようにあえて人里離れた場所に新たな建物を用意しただけだ。言ってみれば貴様ら専用の施設なのだよ、あの迎賓館は」

「あー……。だから本当に人が居ない場所なんですね……。お心遣い痛み入ります?」


 陛下にエロ話を振られる度に微妙に気まずいんだけど、そのおかげでひと目も憚らずイチャイチャできそうだと喜ぶ事にしよう、うん。

 汗に濡れたニーナとフラッタからもいい匂いが立ち昇ってくるし、海でのバカンスは楽しくも激しいものになりそうな予感がするねっ。


「そう言うわけでな。貴様らが海の調査を進めてくれたらこちらとしてもありがたいのだ。特に野生動物の調査や目に見えない範囲の調査など、遠慮無く暴れてくれたらありがたい」

「なるほど。道理で陛下直々に俺達の相手をしても文句が言われないわけです。俺達との交流がそのまま帝国の利益に繋がる可能性を考慮されているんですね」

「貴様の過剰な贈り物のせいで私の支持が安定していると言うのもあるがな。おかげで貴様らの行動にはなんの制限も設けなくて良くなったので好きに行動してくれ。必要な手続きや手配は私に言ってくれれば済ませよう」

「マジで至れり尽くせりですね……。でもちゃんと打算あっての事と聞けたので遠慮せずに済みそうです」


 別に帝国が行なっている海の調査に協力するつもりなんてさらさらないけど、ただ海で遊んだ感想でも帝国にとっては貴重なデータとなるんだろうね。

 フラッタがやる気満々だし、未確認の野生動物の情報が一気に増えるかもしれないので、帝国にとってもちゃんと利益に繋がるおもてなしのようだ。


「ダンー? 私結構汗かいちゃってるけど大丈夫ー? 気持ち悪くない?」

「全然平気だよー。というかニーナからもフラッタからもいい匂いしかしてこないし、汗ばんだ2人が最高にエロ気持ちいいし、出来ることなら永遠にこのままで過ごしたいくらい」

「んふー。妾もダンの匂いが好きなのじゃっ。……だけどダンの汗の匂いを嗅ぐと寝室を連想してしまって、少々疼くものがあるのう」

「それは俺も完全に同意するけど……。なら一旦離れる?」

「ぜーったいに離れないのじゃーっ!」


 汗ばんだ体でぎゅーっと抱き付いてくるフラッタ。

 その瞬間ふわっとエロくていい匂いが鼻をくすぐり、なんとなくフラッタのおっぱいを初めて触ったあの日の事を思い出してしまった。


 くっ……! 今すぐ押し倒したくて仕方ないけど、流石に我慢するんだ俺! 昨日からどれだけシたと思ってるんだよっ!


「夫婦仲睦まじくて何よりだが、そろそろ到着するぞ?」


 ニーナとフラッタとくっついて、お互いの匂いをくんくんと嗅ぎ合っていると、少し呆れた様子のカレン陛下から到着のお知らせが届いた。

 陛下の声は少し強張り、緊張している様子が見て取れる。


「砂浜にも敵対的な野生動物が出る可能性があるから、一応最低限の警戒心は忘れないでくれ」

「砂浜にも? 例えばどんな奴が? まさか魚が陸まで上がってくるんです?」

「いや、大きなハサミを持つカニと呼ばれる生物や、水中でも陸地でも生きていける蛇型の動物やトカゲ型の野生動物だな。魔物のように魚が空中を泳いでくるようなところは確認されていない」

「……ちなみにそれらのサイズは?」

「マチマチだ。ほとんどが人よりも大分小さいサイズだが、たまに迎賓館を超える体躯を持つカニなどの目撃情報も寄せられるからな。そんな巨体、普段は何処に身を隠しているのやら」


 人よりも小さいサイズって、比較対象が人の時点で俺のイメージしてる水生生物とは一線を画す大きさだと思った方が良さそうだ。

 建物サイズの巨体も目の前の海に沈めば普段は目にすることは出来なくなるだろうし、本当に突然巨大生物が出てくる可能性もあるわけだ。


「巨大生物が現れると本当に厄介でな。攻撃魔法も通じないので対抗手段が殆ど無いのだ。幸い炎を苦手とする生物が多いため、何とか追い払っているというが実情だな」

「ふ~む。行商人と荷運び人を浸透させたものなら岩とかも投げられそうですけど、人間が持てるサイズの岩なんか当てても仕方なさそうですね」

「一応ドワーフや竜人族が数人で引かなければ扱えない、バリスタと呼ばれる設置型の大型弓はあるのだがな。一部の奴らはそれすら弾くからやってられんぞ? それでも火には怯えてくれるが」

「あ~……。甲殻類は硬そうですもんね……。でも基本的に乾燥に弱いから火を……というか熱を異常に怖がってるのか……」

「……貴様のその知識が何処から来たものなのかは知らん。だが変に勘ぐられたくないなら不用意な発言には注意することだ」


 鋭く俺を睨みながら、それでも追及はせずに警告だけで済ませてくれるカレン陛下。

 海の研究は殆ど進んでいないって聞いたばかりなのに、色々と喋りすぎてしまったようだ。


「ご忠告痛み入ります。しかしそんな巨大生物が陸地に上がってくるなら、帝国って人が住める土地じゃないんじゃないですか? 海に面した全域を警戒してたりするんです?」

「流石に海岸線全域を警備などしておらん。なので奴らが海を離れない理由は長らく謎だったのだが、どうやら乾燥を嫌って海から離れたがらないのではないかという説が浮上したようだぞ?」

「うわ、薮蛇……。でも海と繋がってる川とかは無いんですか? そういうところから内陸の方まで入り込んできた例とかないんです?」

「……貴様、私の忠告をまるっと無視する気か? まぁいい。そういった例も無くはないが殆ど報告されていないようだな。海の生物はあまり川には入りたがらないようだが、その理由に心当たりは?」

「海と川では水が違うんじゃないですか。海にはこれから行くので適当な予想ですけど」


 地球基準で考えれば海水と淡水には明確な違いがあるけど、この世界の海水が塩水であるかどうかはまだ分からない。

 一応キューブスライムの出たステイルームの西の川の水は真水だったと思うけど、直接飲んだわけじゃなくてぶっ掛けられた経験しかないから確証が無い。


「キュール。今ダンが言ったことはどの程度本当だ?」

「え~……? 多分私たちには分かりませんけど、夫には確信がある話だと思いますよ? 水が違うという話もです」


 げっ。まさかキュールを使った真偽判定をしてくるとは思わなかった。

 まぁキュールに水の塩分濃度なんて解説したことは無いし、そもそも俺自身がふわっとした知識しかないのでこれ以上の失言をする心配は無いんだけど。


「……なぁダン。我が国の海洋調査拠点に顔を出してみる気は無いか?」

「施設見学って意味なら興味はありますけど、研究の協力をしろってんなら無理ですよ? どれだけ買い被られようが、俺は研究者でも知識人でもありませんから」

「興味本位で構わんよ。貴様が足を運ぶだけで研究者たちにも良い刺激になりそうだからな。適当に日程を決めさせてもらっても?」

「俺達にも予定がありますので、日程は何種類か用意してもらえると助かります。それと言うまでもないと思いますけど、家族全員で行動させてもらいますからね?」

「くく、確かに言われるまでも無い。では明日までに適当にスケジュールを決めさせてもらうから、その中から都合の良い日を選んで欲しい」


 移動中の雑談から、また1つ予定が増えてしまったようだ。

 でも海洋調査の拠点なんて、もうその字面だけでワクワクしちゃうし見学しない手は無いんだよ? だって男の子だもん?


「凄い凄いっ! 本当に真っ白なのーっ!!」


 カレン陛下と会話がちょうど途切れたタイミングで目の前が開け、眼前に真っ白な砂浜が飛び込んでくる。

 先ほど遠目に見た美しい光景が目の前に広がっていて、ニーナが興奮したように思い切り抱き付いてくる。


「ねぇねぇダン! なんでこんなに地面が白いの!?」

「へ? え、え~っと……。確か海に居る小さな生き物が砂浜の汚れを食べてくれるから、だったっけ?」

「へーっ! お掃除してくれてる子が居るのー? 見つけられるかなっ」


 危険な場所と明言されたからか、ニーナはワクワクと砂浜に目を奪われながらも俺から離れて独りで砂浜に向かおうとはしなかった。偉い偉い。


 だけどごめんよニーナ。今俺思いっきり嘘を吐いたんだ。

 砂浜の白さは生き物の死骸や排泄物が原因って見た覚えがあるんだよ。


 だけどこの白さが骨とか死骸とかウンコから出来ていると言われたら最低の気分になっちゃうだろうから、適当にメルヘンチックな理由に変えさせていただきました、はい。


「陛下。砂浜ってやっぱ熱くなってるものですか? 靴を履いたまま海に入るのは少し抵抗があるんですが」

「貴様、もう完全に開き直ったようだな……? だが靴を脱ぐのは止めておけ。砂が熱いからではなく、ここが危険な場所だからだ」

「了解です。それじゃみんな、早速行ってみようか。究明の道標の3人とシャロは俺の傍から離れないでねー」

「「はーいっ!」」


 これ幸いにと背中から抱きついてきたシャロとシーズ。

 安全の為に傍にいて欲しいんだけど、みんなを守る俺の動きを封じたら意味が無いんだよ?


 4人もの女性にくっつかれたことで流石に暑苦しくなりつつあるけど、それを上回るほどの気持ちよさでどう足掻いても振り解けそうにない。

 5人で固まって砂浜に足を踏み入れ、地面から伝わってくる熱気に更に汗を掻き、全周囲から立ち上るエロい香りにクラクラしそうだ。


「これが砂浜……そして海ですかぁ……。まさか王女であった時に来れなかった場所に、ご主人様に嫁いでから足を運ぶ事になるなんて、ちょっとだけ不思議な気分です……」

「すげぇな……。これ全部水だなんてよ……。しかもこの中には危険だってほどの生物が生息してるんだろ……? もうすげぇとしか言いようがねぇよ……」

「ふぅむ。砂に足が取られて足場が安定せんのじゃ。しかも水の中では更に動きが阻害されるか。戦闘経験豊富な者でも海を敬遠する理由がよく分かるのう」

「すごーい! 地面がサラサラなのーっ! この世界にこんな場所があったなんてびっくりなのっ!」


 感慨深げなシャロに、ただただ驚きを隠せない様子のシーズ。

 戦闘面での影響ばかりに目を向ける脳筋フラッタに、幼子のようにはしゃぐニーナ。


 なんだかんだ言って、ニーナの反応が番可愛いなぁっ。


「リーチェ。家族みんなで海に来れた感想は?」

「あははっ。それを聞くのはまだ早いんじゃないかなーっ? 今の気持ちを強いて言うなら、ワクワクして胸がはち切れそうだよっ! これからみんなとこの場所でどんな時間を過ごせるんだろなってさっ」

「あはーっ。リーチェったらはしゃいじゃって可愛いわぁ。こーんな可愛いリーチェを前にダンも色々はち切れそうだし、楽しい旅行になりそうねぇ?」


 巨大おっぱいをぶるんぶるんと弾ませながら全身で喜びを表現するリーチェと、そんなリーチェを微笑ましく見守りながらも怪しい流し目を送ってくるティムルお姉さん。

 いやぁお姉さんの仰る通り本当に楽しい旅行になりそうですねっ!


 ……だからカレン陛下、そろそろ帰ってくれないっすかね?
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