異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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 始まりの黒を脱出したその足でヴェルモート帝国にやってきた俺達は、カレン陛下に案内されたゲストハウスで、4日振りの夫婦水入らずの時間を堪能させてもらった。

 俺を含めた全員が欲求不満気味だったので、まずは全力でみんなのお腹をぽっこりさせて、チャールとシーズを可愛がる。


 駆けつけ3周ほどみんなの体を堪能し、全員の欲求不満を軽く解消させてから、今度は1人1人をゆっくりと堪能する。


「……しかしダンさん。イントルーダーとの遭遇は回避すべきだと思ってるなら、体験会なんて開かない方が良かったんじゃないのかい?」


 向き合って座った状態で繋がっているキュールが、今回のイントルーダー体験会を根本から否定するような問いかけをしてくる。

 俺のイントルーダーの認識がそもそも体験会にそぐわなかったって? そうとも言う。


「ダンさんが言う通り、イントルーダーの召喚なんて簡単には成功しないでしょ? なら見せないままでいた方がイントルーダーとの接触率は低いままで済んだんじゃないの?」

「それはそうだけど、魔物狩りの果てにはイントルーダーという脅威が潜んでいますよーって情報は周知すべきだと思ったんだよ。ドロップアイテム無しにはこの世界の生活は成り立たないからさ」


 今でこそアウターエフェクトの召喚すらかなりのレアケースとして扱われているけれど、もう既に今までの常識は通用しなくなりつつあるからな。

 それでも察知スキル無しには殆ど遭遇する可能性はないとは思うけれど、最深部に範囲攻撃魔法を使える魔物狩りパーティが50人くらい集まれば話は変わってくると思うんだよなー。


「でもダンさん達が竜王と遭遇した時だって、何度もアウターエフェクトを滅ぼした後に出てきたんでしょ? 確か以前も想定していたけど、アウターエフェクトが出たら探索を休ませるって対応でも良かったんじゃない?」

「それで確実にイントルーダーを回避出来るとは言えないからね。終焉の箱庭でも暴王のゆりかごでもアウターエフェクトをすっ飛ばしてイントルーダーが出てきたし、今回の始まりの黒でもアウターエフェクトのスキップに成功してるしさぁ」

「いや、あんな大量の魔物を殺さずに制圧できる人なんていないから。ダンさんは自分が規格外なのをいい加減自覚して。ダンさんに出来ることが誰にでも出来ると思われると迷惑だから」


 思った以上に強い口調の叱責の言葉と、お仕置きとばかりに締め付けてくるキュールの感触に言葉を詰まらせてしまう。


 だけど、イントルーダーを複数体相手取れる自分が規格外なのは否定しないけど、それは結局全て職業補正のおかげだからさ。

 職業浸透を突き詰めれば、究極的には誰もが俺と同じことが出来るはずなんだよ。


「だからさぁ……。そもそも職業浸透を突き詰めるのが普通の人には無理なんだよっ。能力的にも心情的にもねっ」

「能力的って言うと……鑑定と職業設定のこと? 確かにこの2つは重要だけど、今後は分析官は珍しくなくなると……」

「能力的ってのは、ダンさんみたいにどこまで腕を磨いても満足しないっていう意味だよっ!」


 う、おおおっ……!? 気持ちよすぎて怒られてるのか褒められてるのか分からないぃぃっ……!?

 でもそれって能力的な問題なの? それってむしろ心情的って要素なんじゃ?


「普通の人は自分の中で上限を設定しちゃうものなんだよっ! ダンさんみたいにあらゆる事態を想定して、どれだけ腕を磨いても満足出来ないのは立派な素質、才能だからっ!」

「あ、あ~……。で、でもそれはぁ……! 元の世界で色々見てきたからでぇ……!」

「そうやって自分の特殊性から目を逸らすのはそろそろ止めたまえよっ! 絶対ダンさんは元の世界でも特別だからっ! 少なくとも、こっちの世界に来たあとのダンさんは絶対に普通じゃないはずだっ!」


 俺を怒鳴りつけながら、強烈に搾り取ってくるキュール。

 やっぱりキュールとは会話しながらするのが最高に気持ちいい……!


「元の世界では普通、こっちの世界では普通と言い訳しないっ! 元居た世界からこっちの世界に来たダンさんは、どっちの世界にも居ない唯一無二の存在になったんだよっ! この時点で全っ然普通じゃないからっ!」

「し、締め付けすぎだよぉ……! き、気持ちよすぎて止まらないぃぃ……!」

「ふんだっ! 全部搾り取ってやるから覚悟するんだねっ! まぁ要するに何が言いたいかって言えば、何かを想定する時にダンさんを基準にして考えるのは止めなさいってことだよーーーっ!」


 キュールの中を急速に満たして行きながら、快楽で真っ白に弾ける思考でキュールの言っている事を反芻する。


 俺は自分の特殊性は鑑定と職業スキルのみで、将来的にはこの世界全ての人が今の俺と同じことが出来ると認識していた。

 しかしキュール曰く俺のその認識は完全に的外れで、その認識を持って物事を想定するのはこの世界の常識にそぐわないことらしい。


 今回の件に限っても、このまま魔物狩りの質と量が増えればいつかイントルーダーの召喚に繋がってしまうという俺の想定は、一般の魔物狩りに当て嵌めるには到底規格外で馬鹿げた想定だということだった。


「はぁっ! はぁっ! 流石にもう入らないか……よっと」


 俺の中身を1滴残らず搾り出したキュールは、自分の限界を悟って己の体から俺を引き抜いた。

 その途端、身体操作性補正の使い方が甘いキュールから勢い良く流れ出る白濁液。


「チャール、シーズ、2人で掃除してあげてくれる? 私はもうちょっと言いたい事があるから、今は口を塞ぎたくないんだ」

「了解だよー。されるよりするほうが楽だから気にしないでっ、はむ」

「へへっ。まだ受け入れてやれない分、しっかり可愛がってやるからなっ。ちゅうう」

「ひぃぃ……! まま待って2人とも!? 今敏感になってるからぁっ……!」


 究明の道標の連携攻撃に、俺の意識は昇天寸前だっ!

 まぁある意味昇天し続けてるわけですけどーっ!?


 抵抗しようにも俺の両手さんはチャールとシーズの頭を優しく撫でていて、完全に受け入れる態勢なんだよーっ!?


「ダンさんは自分の認識が狂っている事を自覚しなきゃいけないよ? イントルーダーを打倒できるのは逸脱した存在であると言いながら自分自身のことは普通だと思い込むなんて、自分でもチグハグだと思わないかい?」

「あ……。あっあっ……考えがまとまらないぃぃ……!」


 キュールの指摘に一瞬反省しかけたのに、奮闘するチャールとシーズのおかげで何も考えられないだよ!?

 2人とも随分上手になりましたねっ!? 最高に気持ちいいですっ!


「ダンさんが自分を普通だと考えているのは危険だと思う。貴方が普通だと思っている人たちは、貴方と同じことは出来ないのだから。ダンさんの自己評価が低いのは知っているけど、相対的に周囲への評価が高すぎるよ?」

「そ、そんなつもりはぁっ、なかったんだけどぉ……!」

「ダンさんはこの世界でニーナさんやリーチェさんの為に、常に最悪の想定の更に上の想定までして頑張ってきたんだよね? それはとっても素晴らしいことだと思うし、そのおかげでみんなこんなに幸せにしてもらえたんだ。だけど、もう1度はっきり言うよ? 


 優しく俺に語りかけながら、その言葉を俺に飲み込ませるように静かに唇を重ねてくるキュール。

 俺はチャールとシーズの顔を白く染めながら、キュールの言葉をゆっくりと吟味する。


 キュールは俺を否定しているわけじゃない。俺の認識が間違っている事を指摘しているだけだ。

 ニーナもティムルも何も言ってこないところを見ると、他のみんなもキュールの意見に異論は無いということか。


 俺が普通だと思っていることは、普通の人には出来ない。

 思い返してみれば、確かに自分の中に幾つもの矛盾した認識が散らばっているような気がしないでも無い。


 俺の普通は、現代日本とこっちの世界を生きた上で形作られた認識だ。

 ニーナの呪いもリーチェの誓約も、ティムルの諦めもフラッタの家族もヴァルゴが守ってきた聖域も、ムーリと孤児たちもターニアの命もアウラの存在も、何もかも諦めずに走り続けた結果生まれた俺だけの常識なのか。


「ニーナさんたちが言うように、ダンさんの自己評価がゼロなのは知ってるよ? でもね、そのせいで自分の能力を過小評価しすぎなんだよ」

「俺の……能力……。職業浸透や転移ボーナスじゃない、俺だけの資質……?」

「ダンさんが自分を愛せなかろうが評価できなかろうが自由にしていいけど、その認識を他人に押し付けちゃダメなんだ。ダンさんの物差しは、他の人を推し量るには大きすぎるんだ」


 うっ……ヤバい……!

 キュールが物凄く大切な事を伝えてくれているのに、シチュエーションのせいでエロいセリフにしか思えないんだよ……!


 俺のナニが大きすぎるってか!? そんな意味じゃないって分かってるのに、分かってるのにぃ……!


「ありがとキュール。私たちが言ってもなかなか通じなかったけど、今のは効いたみたいなのっ」

「あ~……。済まないニーナさん。新参者なのに偉そうな事を言ってしまったよ……」

「ううんっ。もうキュールも家族なんだから変な遠慮は要らないのっ。言ってくれてありがとうなのっ」


 言ってくれてありがとう、か。やっぱりニーナも同じことは感じていたようだ。

 感じていたようだって言うか、何度も言われていたような気はするかな? でもニーナの言う通り、あまり深く考えていなかったのかもしれない。


「……それにやっぱり、今の私たちに同じことは言えなかったと思うんだ。私たちはもう、ダンが逸脱していても受け入れることしか出来ないからねっ」

「うっ……。わ、私もそのうちそうなっていくのかなぁ……?」

「あはっ。シャロとシーズを見れば分かるでしょっ! キュールもそのうちメロメロにされちゃって、ダンを逸脱させている世界の方が間違ってるって思うようになっちゃうのーっ」


 嬉しそうに俺に愛を叫びながら、金色の目になって狐耳を生やすコンコンニーナ。

 そのまま俺を受け入れて、静かに唇を重ねてくる。


「今キュールが言ったこと、忘れちゃダメだからね? でもそれと一緒に、貴方がどれ程変わっていても、このあとどれ程変わり果てても、みんなダンを愛さずにはいられないってことも忘れないで欲しいの」

「か、変わり果ててもって……。流石に変わり果てたら否定してよぉ……?」

「無理に決まってるでしょーっ? もう貴方がダンってだけで、私たちが愛する理由には充分すぎるんだからねーっ?」


 え、えぇ~……。それもう全肯定ってレベルじゃないんですけど~……?

 ニーナが愛してくれるのは嬉しいんだけど、俺はみんなほど自分のことが信じられないんだってば~っ。


「私たちの事が心配? 自分のことが信じられない? そんなの知ったこっちゃないのーっ! 私たちが心配なら、頑張って一生かっこいいままでいればいいだけなのーっ!」

「それどんな理屈だよっ!? 間違ってたら間違ってるって言ってよ!? 今のキュールみたいに、ダメなものは駄目って言っていいからねっ!?」

「ふっふーんっ。そんなの無理なのーっ。もう私達はダンの事が大好きで大好きで、ダメなところを見ても可愛いってしか思えないんだからっ」


 う、うわぁ~……。狐耳をピコピコしながら好きって言ってくれるニーナ可愛すぎるぅ……!

 じゃなくて! 大好きすぎるから諦めてってどういうシチュエーションだよ!? んもーっ! ニーナ大好きーーーっ!


「あはーっ。そうやって自分を疑って嫌っていぶかしんでいる限りは、きっといつまでもかっこいいダンのままなんでしょうねーっ。お姉さん的にはダンにもダンを好きになって欲しいけど、自分を嫌いなところもダンのいいところなのかもしれないなーって最近は思えるようになってきたわぁ」

「キュールに改めて指摘されると、ダンは自分が普通だと言ったりおかしいと言ったり、確かにチグハグな言動が思い当たるのじゃー。いっそ自分のことは度外視したほうが客観的な視点を得られるかもしれんのぅ」

「初めて会ったときからダンは全然普通じゃなかったんだけどねー。ダンだけが自分を普通で平凡だと思いこんでただけって感じだったよ? そうじゃなかったらダンのお嫁さんになんてなってなかったと思うけどっ」

「旦那様の潔癖なまでに不幸を嫌う姿勢も、その為ならどこまでも強くあろうとする志も、暇さえあればおっぱいをしゃぶるおっぱい好きも、他の人から見たら全部常軌を逸しておりますよ? 旦那様がお認めにならないだけで」


 仕合わせの暴君メンバーが好き勝手言ってくれているけど、俺の口は完全に封印されて蹂躙されているので反論の余地が無い。

 シャロやムーリもヤレヤレって顔をしてるし、これはこれで興奮する物が……!?


「なんでちょっと興奮してるのー? ダンさんって冷たくされる事に興奮を覚えるタイプなのー?」

「ん~……。でも私たちがパパに冷たく当たるって無理だよ? 演技でも冷たく接する自信ないもん」


 くおーっ! ターニアってば変な分析しないでぇ!?

 そしてアウラも何気なく全力で愛を告白してこないのっ! 今搾り取られてる最中なのに止まらなくなっちゃうからぁっ!


「んふふー。残念だけど、ここにはダンの事が大好きな女しかないのっ。さぁみんなっ! 朝までダンを滅茶苦茶にしちゃうのーっ!」


 あっ、やっ、やめてぇ……!?

 みんなが俺の事を大好きなのは嬉しいけど、嬉しすぎて死んじゃうからぁっ!?


 こ、この感覚は久しぶりだ……! 久しぶりに愛の飽和攻撃の気配がするぅ……!

 って、奥さん14人による一斉攻撃って、死ぬぅ! 大好き過ぎて死んじゃうよぉっ!?
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