異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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680 安置

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 アウターの人工発生実験は、異界の扉を開くことは出来たけれど、開いた扉を維持する事に失敗してしまった。

 その結果をキュールたちが検証している間に、俺は失った魔力を回復するべくシーズを地面に押し倒し、彼女の足の間に体を割り込ませて覆い被さり、両手でおっぱいを弄りながらゆっくりとした優しめのキスを繰り返す。


 先ほどの徹底的に蹂躙するような激しいキスではないためか、シーズも自分から俺に抱き付いてきて積極的にキスに応じてくれる。

 そんなシーズが可愛くて、おっぱいの先と舌先を沢山よしよしなでなでして可愛がってしまう。


 そんな俺の頭を撫でながら、ティムル達が今回の実験の結果を踏まえて次にどうするべきかを話し合っている。


「精霊魔法で魔力を除去して異界の扉を開くっていう、元々想定していた流れはほぼ全て合ってたってことよね? そういう意味では実験は大成功だったと言えるんじゃないかしらぁ?」

「うんうん。想定外の問題も起こらなかったし上出来だよ。アウラもお疲れ様。今回の魔力制御も問題なかったし、この調子で精霊魔法を訓練していこうね」

「今回はリーチェママが手を引いてくれたけど、まだ1人じゃ同じ魔力制御をする自信は無いなぁ……。というか、なんでパパは精霊魔法に気付いてるわけ~?」

「ダンさんは魔力制御だけで触心みたいなことが出来るからね。しかしこの実験を進める上ではリーチェさんとアウラという2人の精霊魔法使いが協力してくれるのは非常に大きいよ。2人の協力が無ければ異界の扉を開くことは出来なかっただろうね」

「そうかな~? パパだったらなんだかんだ言って無理矢理成功させちゃいそ~……」

「あはーっ! 貴女もダンの事が分かってきたじゃないっ。アウラの言う通り、どうせ無理矢理成功させちゃったでしょうねーっ」


 あの~みなさん。全部聞こえてるんですけど~?

 真面目に反省会をしているかと思えば、何を普通に談笑しているのかなぁ~?


 え、シーズとイチャイチャしている俺が言うセリフじゃないって? ですよねー。


「でもさ。精霊魔法無しでは異界の扉が維持出来ないって、ある意味ではラッキーじゃない? 異界の扉が想定外の広さに広がる危険性がなくなったってことだからさー」

「ん~。チャールの言い分は少し楽観的過ぎる気はしますけど……。ですが異界の扉の大きさの調節の目処が立ったのは確かかもしれませんね。聖域に応用できそうにないのが少し残念ですけど」

「整合の魔器はそこまでの機能も含めておる感じなのじゃろうな。しかし整合の魔器といい呼び水の鏡といい、ダンの魔力でも抉じ開けられない異界の扉をマジックアイテム単体で開くとは凄まじいのじゃ」

「まさに神様が作ったマジックアイテムって感じなの。どちらかと言うと、人の身で神様と同じことをしようとしてるダンの方が頭おかしいのっ」

「あっはっは! 確かにーっ!」


 ニーナの感想を聞いて、腹を抱えて笑い転げるターニア。可愛いなぁ。

 ……って、もう普通に俺へのディスに変化してきてるじゃんか!


 でも抗議したいけど、シーズとのキスが楽しすぎて口が離せないよぉ! シーズ大好きぃ!


「アウターの発生実験としては成功ですけど、アウターの維持に関しては何も進めませんでしたね。アウター化が起こるまで異界の扉を維持できなかったので、建材の検証も出来ませんでした」

「ダンさんの魔力量と制御技術で出来ない事は人の手で行なう事が不可能ということ。リーチェさんとアウラの精霊魔法も同様でしょう。ここから更に新たなマジックアイテムを開発する必要があるんでしょうね」

「う~ん……。ゴブトゴから聞いていた話だと、新たなマジックアイテムって数年から数十年かけて開発するものだったと思うんですけど……。当然のように新たなマジックアイテムを開発されますよね、皆さんって……」


 やる気無い組に居たはずのラトリア、エマ、シャロも、実際に実験を目の当たりにしたせいか興味が出てきたようだ。

 3人とも真剣な表情で話し合いに参加している。


 なら流石にそろそろ俺も参加しないとな。でも離れたくないからぎゅーっとしておこう。ぎゅーっ。


「このままずっと抱きしめてあげるからね。俺達も話し合いに参加しよう」

「……うん。ぎゅっとしてくれるなら、我慢する……」

「まったく、俺のシーズは可愛すぎるよ。でもシーズの発想も頼りにしてるからね。ちゅっ」


 正面から力いっぱい抱き付いてくるシーズをお姫様抱っこは出来ないので、シーズの小さいお尻を両手で撫で回しながら支えて抱きあげる。

 そしてみんなのところまで移動し、シーズと抱き合ったまま地面に胡坐をかいて座った。


「要は異界の扉の近くの魔力を除去すればいいだけで、それをするのはもういくつか方法があるよね? 元々利用する予定だった逆位置の魔錠、もしくはマインドディプリートを応用して大気中の魔力を吸収するマジックアイテムを開発するとかさ」

「あ、そう言えば今回は精霊魔法だけでごり押ししちゃって、元々用意する予定だった逆位置の魔錠をすっかり忘れてたね。まぁレリックアイテムを人の手で作り出せるかと言われたら疑問なんだけど……」

「それも出来ると思ってるよ? 以前作った簡易型魔法強化システムって多分レリックアイテムだからね。レリックアイテムは人の手で創られたマジックアイテム、もしくはこの世界を創ったのは俺達と同じ人間だってことはほぼ確定してると思うんだ」

「それ、私としてはまだ半信半疑なんだけどなぁ……。ダンさんがこうやってレリックアイテムを作っちゃう事が、ダンさんの説をなによりも後押ししているような気になるよぉ……」


 身を投げ出すように地面に仰向けに寝転がるキュール。

 マジックアイテムを開発した時は真実を暴くのが楽しみって言ってた割に、人と神様が同一の存在であるという可能性をなかなか受け入れられないみたいだ。


 長年歴史を研究してきたキュールだからこそ、神の御業みたいな例を沢山知っていて、人間に同じことは出来ないみたいな常識が形成されてしまっているのかもしれない。


「しっかしダンってさ、よくもまぁそう次から次へをアイディアが湧いてくるよね~?」

「俺が元居た世界は創作物で溢れていたからね。色んな発想と可能性にはみんなよりも触れてきた自信があるよ」

「あはっ。自信があるなんてセリフ、ダンの口から聞けるなんて思わなかったのーっ」


 良く出来ましたとばかりに、俺の頬にちゅーっとキスをしてくれるニーナ。


 ニーナに指摘された通り、今凄く自然に自信があるなんて口にしてしまったな。言われてみれば確かに意外だ。

 可愛い奥さんたちがいっつも俺を受け入れてくれるおかげで、俺も自然に自分を肯定することが出来るようになったのかな?


 まぁいいや。俺のことはニーナたちに任せて、今は話を戻そう。


「簡易型魔法強化システムみたいに、偶発的にレリックアイテムを完成させることが出来れば1番手っ取り早いんだけど……。あまり虫のいい話に期待するのは良くないと思う。だから俺達で新たなマジックアイテムを開発する方向性で考えよう」

「逆位置の魔錠を目指すのではなく、新たなマジックアイテムを想定するのね。マインドディプリートを元にして、大気中の魔力を除去するマジックアイテムを作ると……」

「ん~。じゃがこの世界の魔力は膨大じゃぞ? いくら新たなマジックアイテムを生み出したとして、この世界の反発力を無にするほどの魔力除去性能を発揮するのは難しいのではないか?」


 大気中の魔力を吸収・除去するマジックアイテムの開発に着手したいところだったけど、それは難しいのではとフラッタが待ったをかけてくる。

 人間の限られた魔力を奪い取るマインドディプリートと違って、大気中の膨大な魔力を除去するのは無謀な試みなんだろうか?


「……方法は思いつきませんが、除去する空間を限定できれば良いのではないですか?」

「どういうことヴァルゴ?」

「えっとですね……。大気中の魔力を除去し続けるのは現実的ではありませんが、一定空間内の魔力を除去するだけならまだ現実的かと」


 一定空間内を区切って、その範囲内の魔力を除去する。それって確か、精霊魔法でこなそうと思っていた要素だよな。

 つまるところ異界の扉を開く鍵は、どうやってマジックアイテムで精霊魔法を再現するかって話なんじゃ?


 一定範囲内の魔力の除去と聞いて、チャールが何かを思いついたようだ。


「あーっ! なら例えば空間を仕切ってさ! リムーバーで魔力を除去しちゃえば良くないっ!?」

「残念ですがチャールさん。リムーバーでは魔力そのものは除去できませんよ。液体、気体、固体は拘りませんが、少なくとも実体が無いものは除去できないんです。攻撃魔法をそのまま吸ったりは出来ないということですね」

「あ~そうなんだぁ……。名案だと思ったんだけどなぁ……」


 折角のアイディアをラトリアに一刀両断されて落ち込むチャール。

 リムーバーって貴族層にしか馴染みのないマジックアイテムだからな。チャールがその性能を知らないのも、ラトリアが詳しいのも当たり前って感じか。


「……魔力の除去自体はマインドディプリートでいいだろ。そこを変える必要はねーんじゃねーのかチャール?」

「ダンの胸に顔を埋めたままボソボソ喋らないでよシーズ。普通に聞こえないってばー」

「あ、そういえばアウラの研究してたアルケミストの研究所って、マジックアイテムが普通に設置されてたけど数百年取り込まれてなかったんだよね? アレはどうしてだったのかな?」

「ニーナさん。アルケミストたちの研究所は周囲全てを人工物で覆っていたんだと思いますよ。奈落の中継地点のように変化しないアウターという可能性もありますけど、暴王のゆりかごの場合は単純に、天井も床も壁も、ある程度の厚さを人工物で覆ったんだと思います」


 マジックアイテム開発の流れをぶった切ったニーナの素朴な疑問に、エマが冷静な口調で淀みなく回答する。


 アルケミストの研究所のように、周囲全てを人工物で覆ってしまえばアウターの魔力干渉は起こらない。

 けれど空間内の魔力が除去されるわけじゃないので、異界の扉への反発力を除去するのには使えない、かな?


「う~ん……。この世界に漂う余剰魔力をかき集めていた聖域の樹海は異界の扉を開いていたわけじゃなかったわけだけど、宿り木の根は間違いなく異界の扉を開いていた場所だったよね? どうやって始めの段階で異界の扉を維持したんだろう……」

「ん~……。ここはエルフの里ですし、それこそ当時のエルフ総出で精霊魔法を使った、とかですかねぇ?」

「というかさー。ぼくたちは宿り木の根の最深部まで到達したけど、アウターを発生させているようなマジックアイテムなんて見た覚えが無いよ? 聖域の樹海と宿り木の根は類似点は多いけど、やっぱり人の手で開いたアウターではないんじゃないかなぁ?」


 確かにリーチェの言う通り、宿り木の根の最深部には何もなかったんだよな。

 先に到着していたノーリッテが体内に取り込んだとか? 可能性としては無くもないだろうけれど、ノーリッテがエルフェリアの地を決戦の地に選んだのは偶発的だったと考えると根拠に乏しい気がする。


 ならばこれまたリーチェの言う通り、宿り木の根が人為的に生み出されたアウターだっていう俺の予想が間違っていて、異界の扉を開き、調整するようなマジックアイテムなんか最初から無かったのか……?


「でも、聖域の樹海と宿り木の根には確かに類似点、似通った要素が幾つも……。って、樹海……? 木……? あ、ひょっとして……? あっ、だからヴェノムデバイスは……!?」

「ダ~ン~? 1人でびっくりしてないで、ちゃんと順番に言語化して欲しいのー」

「あ、ごめんニーナ……! でも待って……。まだ考えが纏まってないからちょっとだけ待ってね……!」


 ニーナには申し訳ないけど、まだ自分自身でも確証が持てないんだ……。

 でも、考えれば辻褄が合う気がする……。いや、俺の思いこみだろうか……?


 ……ちょっと客観的に判断できる気がしないな。普通にみんなに聞いてもらうべき話か。


「ちょっとみんなの意見も聞きたいんだけどさ……。整合の魔器が設置されていた祭壇って、もしかして大樹の中だったんじゃないかな?」

「木の中にマジックアイテムを置くってこと? ダンはどうしてそう思ったの?」

「えと、聖域の樹海の木って物凄い大木だったでしょ? しかもアウターの魔力干渉は受けずに、年月が経つほど木々は成長して物理的な干渉も難しくなる。本来であれば鉄壁の祭壇だったんじゃないかな?」

「確かに木の中にあるマジックアイテムなんてそうそう取り出せないわね。その上聖域の樹海の木は冗談みたいな大きさだし。でもダン。整合の魔器は実際ヴェノムクイーンに奪われちゃってたわよ? そんなにちゃんと祀ってあったとは……」


 首を傾げながらティムルが問い質してくる。

 俺の意見を疑っていると言うよりは、俺の意見を検証しているというニュアンスだね。


 だけどさティムル。ヴェノムクイーンにとって木の中にあるマジックアイテムを奪うことって、恐らく造作もないことなんだよ。


「ヴェノムクイーン本体はずっと地中に隠れてたから印象に無いんだけどさ。恐らくヴェノムクイーンにも、ヴェノムデバイスと同じ能力があったと思うんだよ。ヴェノムコマンダーにも同じ能力があったからね」

「ヴェノムクイーンじゃなくて、デバイスとコマンダーの能力って……。あっ!? 木の中を自由に移動する能力のことかっ!?」

「「「あっ……!!」」」


 俺の言いたい事にいち早く気付いたシーズが耳元で叫んだおかげで、鼓膜がビリビリ震えているような感覚に陥る。

 俺が耳の痛みに耐え忍んでいる間に、他のメンバーには理解の色が広がっていく。


「確か聖域の樹海の異変はここ十数年くらいの間に起こったことだと言っておったな!? であればそれまでの数百年、数千年、ひょっとしたらもっと長い期間整合の魔器は安置されておったということなのじゃ……! 大樹の幹に隠されていたのなら、誰も手出しが出来なくても頷けるのじゃ……」

「木の中を自由に動き回れるヴェノムクイーンなら、木の中に安置してあるレリックアイテムを奪うことなんて造作も無いね……」


 フラッタとアウラがヴェノムクイーンを思い出して、何度も小さく頷いている。


 スペルド王国建国以前より存在していたはずのアウター、聖域の樹海。

 そこに少なくとも450年以上前に魔人族が住み着くようになり、聖域の樹海を守ってきた。


 けれど異変を感じたのは今よりちょっと前、正確には分からないけどルドルさんやヴァルゴが記憶しているくらい最近の話だからな。

 聖域の異変はヴェノムクイーンが整合の魔器を奪ったせいだとするなら、それまでの間は整合の魔器はちゃんと守られていたはずなんだ。


「それでさ。大木を使ってこの世界の魔力干渉を阻んでいたと考えるなら、何が宿り木の根への魔力干渉を抑制していたのかにも想像がつくんだよね」

「も、もったいぶらずに教えてくれたまえよっ! い、いったいどうやって魔力干渉を防いでいたと……!」


 待ちきれないとばかりに叫び声をあげるキュール。

 そんな彼女の要望に応えずに、頭の中で自分の考えを整理する。


 世界樹の洞から地下に降りて侵入するアウター宿り木の根。

 そのアウターを覆うように生えている巨大な大木世界樹。


 『宿り木の根』って……。宿り木って、ひょっとしてアウターのこと指していたんじゃなくって……。


「エルフェリア精霊国に開かれた異界の扉、宿り木の根。その扉が閉じないように、まるで蓋をするようにしてこの世界からの魔力干渉を防いでいたマジックアイテムは……。恐らく、世界樹だと思う」

「「せっ、世界樹がマジックアイテムだってっ……!?」」


 キュールとリーチェが堪らずといった様子で声を張り上げる。

 エルフの信仰の象徴たる世界樹が実はマジックアイテムだったなんて、エルフであるリーチェと歴史学者であるキュールには受け入れがたい話なんだろうな。


 けど、宿り木の根というネーミング。

 宿り木というのがアウターのことではなくて、異界からの魔力で大きく成長した世界樹のことを指しているのだとしたら……。


 世界樹宿り木の根、つまり魔力の供給源という意味で名付けられたんじゃないかなって、思うんだよねぇ……。
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