異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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8章 新たな王と新たな時代2 亡霊と王

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「キュっ、キュールさんもダンの嫁になったって……。それマジで言ってんのかーー!?」

「おかげさまでね。このお腹を見れば一目瞭然だろう?」


 食堂に響き渡るシーズの絶叫に対して、これが証拠だよと、俺に膨らまされたお腹をシーズに突き出すキュール。

 その隣りではチャールが普通にパチパチと手を叩きながら、おめでとーっと軽いノリで祝福してくれている。


 奈落でシャロとキュールのエロパワーレベリングを終えた俺達は、家族みんなが揃った夕食の場でいつも通りその日の出来事を報告し合う。

 俺に内緒だったのは分かるとして、同じパーティの仲間であるチャールとシーズにも内緒にしてたんだなぁ。


「種族の違うダンさんとは子供が出来るわけじゃないから、究明の道標としての活動は今まで通り続けていくつもりだよ。変化があるとすれば寝床が変わるくらいかな?」

「そっかー。ちょっとだけ寂し……くもないか。私たちもほぼ同居してるようなものだもんね」


 俺とキュールの婚姻をあっさり受け入れるチャール。

 同居もそうだし、お互いの活動も殆ど同行しちゃってるからな。確かに今更かもしれない。


「で~も~……。ふふっ! 先を越されちゃったね~シーズぅ?」

「なぁっ!? な、なななななっ……!」


 あっさりと事実を受けれたチャールは、未だ事実を受け止められていないシーズにニマニマしながら声をかけている。

 チャールはあんまり色恋に興味無さそうだけど、シーズをからかうのは好きそうだ。


 からかわれたシーズの方は、分かりやすく耳まで真っ赤になって固まってしまった。

 我が家ではあまり見たことない反応で新鮮だなー。


「あ、今だって同居してるようなものだし、キュールさんのついでに私も貰ってもらおっかなー?」

「ふっ、ふっざけんじゃねーぞチャール! そんなついでみたいなノリで婚姻を語るんじゃねーっ!」

「ほらほら2人とも。会話するのはいいですけど、食事中に怒鳴るのはいけませんよー?」


 取っ組み合いが始まりそうなところにムーリが2人の仲裁に入ってくれたおかげで、なんとか2人とも落ち着いてくれたようだ。

 シーズはちょっと不貞腐れちゃったみたいだけど、2人ともなかよしだからきっと大丈夫だろ。


「それでダン的にはどうなのー? この際だからチャールとシーズも貰っとくのー?」

「ちょっ!? チャールの比じゃないくらい軽いノリでなに言ってるのさニーナァァァ!?」


 せっかく場が落ち着きかけたのに、空気を破壊する我が家のニーナ司令官がいつも通り火の玉ストレートをぶち込んでくる。


 あーあー……。シーズがパンを齧ったまま固まっちゃったよ……。

 それを見たチャールはニヤニヤしてるし、完全に蒸し返してくれちゃってぇ……。


「……それ、答えなきゃいけないの? 別に2人にはなんの不満も無いけど、2人ともまだまだ若いんだし、そんなに性急に貰っちゃう必要ないでしょ?」

「ダンよ。妾とアウラを娶っている時点で、その発言に説得力は皆無じゃぞ?」

「ぐ、ぐぅっ……! フ、フラッタもアウラも特殊なケースでしたしっ!?」


 なんでフラッタは毎回サラッと核心に踏み込んでくるかなーっ!

 確かにJSフラッタとか満年齢ひと桁アウラとか美味しくいただいちゃいましたけど、フラッタたちとチャールたちとは全然状況が違うじゃないっすかーっ!


 ちなみにチャールもシーズも今年で14歳。つまりフラッタと同学年なのだ。

 婚姻契約は12歳から結べるし、同い年のフラッタを娶ってメロメロにしてる時点で2人の若さを理由に先延ばしには出来ない。


 いや、先延ばしって……。

 俺の中でも2人を家族に迎える方向に思考が傾けられてる気がするぞぉ?


「とにかくさっ! チャールもシーズもとても魅力的な女の子だと思ってるけど、お嫁に貰おうとは思ったこと無いよ? いや、貰いたくないとも思ってないけどさぁ」

「えー、貰っちゃってもよくない? シャロだってしっかり孕ませたんだし、人間族の2人を抱く事にもう抵抗なんて無いでしょー?」

「は、孕ま……! 抱く……!」

「ニーナ、ストップストップ。シーズがついて来れなくて完全にショートしちゃってるから」


 性事情に奔放すぎる我が家のノリについてこれなかったシーズは、ニーナの口からポンポン飛び出る18禁ワードに、頭から湯気が出そうなほど真っ赤っかになってしまっている。


 同い年のフラッタなんかおっぱいに触られても平然としてて、演技とは言え同衾を誘ったりもしたのに、それに比べてシーズは随分初心な印象を受けるなぁ?

 我が家のノリは軽すぎると思うけど、この世界ってエロに寛容で積極的な感じがするのにね。


「んー……。俺としてはチャールとシーズって保護者目線で見てたんだけど……。フラッタやアウラを既に貰ってる身としては、2人の事を真剣に考えて向き合う必要があるってこと?」

「ううん。別に保護者目線のままで貰っちゃってもいいんじゃないのー? って話をしてるの」

「保護者のままで妻として迎えるの? 養子じゃなくって?」


 保護者目線のまま家族に迎えるなら、それって別に養子扱いでよくないかな? この世界の養子縁組の仕組みは知らないけど。

 ニーナが当たり前のように口にしている事がいまいちピンと来なくて首を傾げる俺に、ムーリが補足してくれる。


「この国で暮らした記憶が乏しいダンさんには理解しにくいかと思うんですけど、人頭税を引き受けてやるから嫁に来い、っていう話は珍しくないんですよ。生活の保証の対価に婚姻を結ぶということですね」

「え、え~……? それって相手を追い込んでるって言うか、無理矢理婚姻を結んで手篭めにする感じじゃないの……?」

「いえいえ。互いに望んで婚姻を成立させるケースが殆どだと思いますよー?」


 そんなことありませんよー、とフルフル頭を振ってみせるムーリ。

 連動しておっぱいもフルフル震えているのが目に毒なんだよ?


 俺の常識で考えると完璧に身売りなんだけど、生活の保証が一生を捧げる対価として成り立つかなぁ?


「この国では人頭税を払えなくては何も出来ませんからね。それでいて家族が増えるほど負担は増していきます。だから人頭税の支払いを引き受けてくれる相手と縁を結べるというのは本当に幸運なことなんです」

「1年足らずで子供達を救っちゃったダンさんには分からないかもだけど、孤児が人頭税を払いきるのって本当に大変だったんだよ? 私の元夫が狂ってしまうくらいにはねー?」


 ターニアがガレルさんを引き合いに出してムーリの話を援護する。


 元々孤児だったガレルさんは、ありとあらゆる手を尽くして滞納した人頭税を払いきったと聞いている。

 けれどかつて妻の立場だったターニアから、その道のりは非常に険しかった事が語られた。


「子供に回される仕事なんて割が悪いし、子供だけで魔物を狩ることなんて考えられなかったからねー。でも教会のみんなは教会の運営で手一杯、他に頼れる人が居るわけでもなく……ってね」

「……マグエルの教会で見た子供達の姿は、この世界ではありふれた光景だった。それは分かってるつもりだけど……」

「職業設定が無くても払ってしまえそうなダンさんの方が異常なんだよ? まともな方法で人頭税を払うのって、ダンさんの想像の何倍も大変だったのー」

「この国では人頭税を滞納したまま15歳になってしまうと、その時点で借金奴隷になってしまうでしょう? 奴隷のほうが人頭税も安くなって養うのは容易になるのに、それでも態々奴隷落ちさせずに婚姻を結ぶ事は誠意ある行動と見られるんですよー」

「……ごめん。せっかく2人に丁寧に説明してもらったのに、やっぱり俺には理解できないかな」


 ムーリとターニアの言う通り、借金奴隷になった相手を購入した場合、購入資金は必要になるものの、一生涯としてみれば毎年の人頭税が安くなるのはかなり大きいメリットだろう。

 そして犯罪奴隷1歩手前の借金奴隷は立場が弱く、所有者の言う事に逆らい辛いことが想像に難くない。


 奴隷落ちしてから購入される事と比べれば、ギリ誠意ある行動と言えなくもないかもしれないけど……。

 出来れば同じ事はしたくないなぁ。


「ねぇダン。リーチェの世界樹の護りを盗んだ、ネフネリって女を覚えてるかしら?」

「忘れる訳ないでしょ? ティムルを家族に迎えた時の話なんだから」


 納得のいかない俺の心情を察して、ティムルお姉さんも会話に参戦してくる。


 ネフネリさんはティムルを家族に迎えるきっかけにも、リーチェを家族に迎えるきっかけになってくれた人だ。

 恋人のドロームを担いだ時の感触は忘れたいけど、ネフネリさんの事は簡単には忘れられないよ。


「金で買われたはずのアイツも、金持ちのジジイに購入されたことを喜んでたのよぉ? 多分ダンの常識とこの国の常識って、まだまだ乖離してるところがいっぱいあると思うわぁ」

「俺の常識とこの国の常識ねぇ……」


 なんだかかなり回りくどい説明を受けてしまったけれど、要するにチャールとシーズを娶る事をあまり重く捉えなくていいんだよって言ってくれてるんだろうな。

 経済面で彼女たちの生活をしっかり保障してやれるなら、他の要素を気にする人などこの世界には居ないってことか……。


 俺には2人を養える経済力もあるし、2人との仲も良好だ……と思う。

 だったらこの国……この世界では本来そのくらいのノリで婚姻を結んでもいいんだよーって言ってくれているんだろう。


 ……でもなぁ。


「2人の事は大切な存在だと思っているけれど、やっぱり今すぐ婚姻を結ぶのは違う気がするな。2人が構わないと言ってくれたとしても、俺の中ではちょっと許容できない」

「あ~……。ねぇねぇエマ、ま~たダンさんの面倒臭いところが出てますよぉ……?」

「本当に受け入れるまでが長いんですよねこの人……。受け入れてくれた後は全力で愛してくださなんですけど……」


 あのですねラトリアさんエマさん。

 俺に聞こえないように小声で話しているとこ悪いんですけど、内緒話はリーチェがいないところじゃないと成立しないんだよ?


 コソコソ話をしているラトリアとエマにはあとでお仕置きするとして、今はチャールとシーズと話をしよう。


「まず最初に言っておくけど、2人が俺との婚姻を望むならいずれは受け入れてもいいと思ってる。お前たち2人が嫌いだから婚姻を渋ってるわけじゃないからね?」

「うん。ダンに嫌われてるとは思ってないし、私もシーズもダンに嫁いでもいいと思ってるよー。でしょ、シーズ?」

「~~~っ! あ~もうっ! そうだよ! 俺も今すぐダンに貰って欲しいって思ってるよっ!! くっそぉ……!」


 顔を真っ赤にしながら俺に告白してくるシーズ。

 かと思えばすぐに目を目を逸らして、小声でブツブツ言っている。


「……くそっ、仕方ねぇじゃねーかよっ! ヴェノムクイーンと戦ってた時のダンがかっこよすぎんのが悪いんだよっ……! そうじゃなくても世話になりっぱなしだし、俺達にもニーナたちにも優しいしよぉ……!」


 ……ごめんシーズ。多分気付いてないと思うけど、お前の呟き筒抜けになってるからね?

 ひと言も漏らさず俺の耳に届けられてるからな? リーチェの精霊魔法によって。


 ブツブツと独り言のように呟いたシーズは、不貞腐れたような視線で俺を睨みながら、拗ねた口調で問いかけてくる。


「……ならなんで貰ってくれねーんだよ? 俺、この場で求められても……。応じる気、だったのによぉ……」

「はいはいエロ発言は控えようねシーズ。お前とチャールが最後の砦なんだから」


 シーズの真っ直ぐな思いに苦笑しながら、不貞腐れているシーズの頭をよしよしなでなで。

 こんなに真っ直ぐに想いをぶつけてきてくれるシーズを、適当な言葉ではぐらかす訳にはいかないよな。


「……俺が今すぐ婚姻に応じたくないのはさ。せっかく開けたばかりのお前たちの将来を、俺の手で狭めたくないからなんだ」

「本当ですか旦那様? 婚姻を先延ばしにする適当な理由をでっち上げてませんか?」


 はい、ヴァルゴは今晩お仕置き決定ね。

 魔迅バイブを発動して防御力がゼロになったところを、全力で抉りあげてやるからなぁ?


「人頭税を滞納していたことで閉ざされていたお前たちの未来は拓かれて、お前たち自身もやりたい事を見つけてくれた。キュールっていう志を同じくする仲間も迎えて、さぁこれから本格的に活動するぞって時に、邪魔をしたくないんだよ」

「えー? キュールさんが良くってシーズがダメな理由ってなぁに? 別にダンのお嫁さんになっても、私とシーズは究明の道標として活動していくつもりだけど?」


 さっきは散々シーズをからかっていたチャールが、活動を同じくする予定のシーズとキュールの扱いが違うのではないかと指摘してくる。

 なんだかんだ言って、最後はちゃんとシーズの後押しをしようとしてくるなぁ。


「キュールは魔人族だけど、チャールとシーズは人間族でしょ。俺と同じ種族の2人をお嫁さんに迎えちゃったら、俺はその日のうちに間違いなく孕ませちゃうよ。でもそうなったら色々と支障が出ちゃうでしょ?」

「うわぁ……。シャロさんをお嫁さんにすることをあんなに渋ってたのに、シャロさんを迎えて完全に吹っ切れちゃってるねー……。パパったら、死ぬまでに何人子供作る気なんだろ……?」

「ふふ。私の存在がご主人様の背中を押すことが出来たのでしたら嬉しいですね。私1人でも10人は産みたいと思ってるんですよーっ?」


 我が家のメンバーではコミュ力が高いアウラとシャロが、既に2人だけで仲良く会話している。

 会話の内容は大変卑猥ですけどね?


 どうやらアウラは、自分より後に家族になったシャロのことはママ扱いしない方針のようだ。


「……たとえ身動きが取れなくされてもよぉ。多分、俺は後悔しねぇよ? ダンとの赤ちゃん、産んで……みたいし……」

「……シーズこそ吹っ切れたらガンガン踏み込んでくるね? でもさシーズ。俺はお前に、もっとこの世界を楽しんで欲しいと思ってるんだよ」

「楽しむって?」


 どうやら俺が腹を割って話しているのが伝わったのか、そっぽを向いていたチャールがこっちを向いて首を傾げている。

 ……まったく、家族に迎える前から可愛い反応ばかり見せてくれるから参っちゃうよ。


「家庭に入る、なんて言葉もあるくらいにさ、家族を持つと家族のほうばっかり見るようになっちゃうと思うんだ。だからその前に、2人にはこの広い世界を思いっきり体験して欲しいんだよ」

「広い世界を楽しむ、かぁ……」

「その上で俺との婚姻を望むなら、喜んで2人を家族に迎えようと思ってるからさ。俺以外の色んなものにも目を向けて欲しいんだよね」

「……あ~、ようやくダンの言いたい事が分かったのー」

「へ? ニーナ?」


 なぜか正面のシーズとチャールではなく、ニーナが納得したようにうんうんと頷いてしまった。

 というか珍しく、ニーナでも俺の考えが読めなかったようだ。 


「チャール。シーズ。貴女たちはダンのお嫁さんになることも出来るけど、別の未来を自分で選び取ることも出来るの。だからダンは、2人がその未来を知らないままで自分のお嫁さんになる事を嫌がってるんだー」


 俺の言いたい事の要点をまとめて、分かりやすく2人に伝えてくれるニーナ。

 言われた2人もニーナの言葉を噛み締めるように真剣な面持ちで耳を傾けている。


「私たち……ダンのお嫁さんってね、ダンの手を取ることしか出来なかったんだよ? ダンの手を取ってダンと一緒になる以外に、私たちが生きることも幸せになることも出来なかったの。だけど2人は違うでしょー?」


 そう。チャールとシーズには、俺の手を取らずに生きるっていう選択肢もちゃんと残されているんだ。

 ニーナやティムルのような絶望の淵には立っていないのだ。


 チャールもシーズも、俺の助けなんか無くったってきっと誰よりも幸せになる事が出来るはず。


「キュールみたいに、ちゃんと他の選択肢も考えた上でダンの手を取るのは構わないの。だけどダンは面倒臭い人だから、自分のお嫁さんにならない将来も真剣に考えた上で嫁に来いって言ってるんだよー?」

「後半ーっ! 後半はちょっと違うんじゃないかなーっ!?」

「はいはい。ダンはちょっと黙っててねー?」


 ツッコミを入れた俺を雑にあしらって、ニーナは2人に語りかける。

 なんで俺が2人を家族に迎えるかどうかって話で、当事者の俺が部外者扱いされなきゃならないんですか司令官殿ーっ!?


「ダンはねー。2人がダンのお嫁さんにならない将来を全く考えないで嫁いでくる事を、すっごく勿体無いって思っちゃってるんだー。私も他のみんなも選べる未来なんて無かったから、チャールとシーズにはその選択も含めて楽しんで欲しいって思ってるんだよ、ダンは」

「ふ~ん、選択を楽しむかぁ……。確かに孤児の私たちが将来を選べるなんて、今までじゃとても信じられないことだけど……」

「シーズも安心していいの。ダンはちゃーんと貴女も貰ってくれるからねっ。だからシーズは安心して色んなことを楽しんで、その上でダンのお嫁さんになればいいんだよーっ」

「楽しんでから嫁に……? って、本当にもらってくれるんだろうなっ……!?」


 そこで詰め寄る相手はニーナじゃないんじゃないかな、シーズさんよ……・

 いや、これさぁ。一見するとニーナが上手く場をまとめたように見えるけど、その実この2人の嫁入りを確定させちゃってないかなぁ?

 チャールとシーズが望むなら喜んでもらっちゃいますけど、完全にニーナの思う壺だよぉ……。


「とりあえず1年。今年の間は究明の道標の活動に専念してみない? 年が明けたら2人とも15歳でしょ? その時もまだダンの事が好きなら、2人の嫁入りを大歓迎しちゃうのっ」

「年明けと同時に嫁入りかー。私としては問題ないかな? その頃には教会の旧本部施設の調査も、帝国への旅行も終わってるはずだしねー」

「……俺も異論無いよ。チャールのタイミングの悪さに巻き込まれて嫁入りに失敗したのかと思ったけど、年明けに貰ってくれるなら色々ちょうどいいよ」

「なっ!? シーズ、アンタそんなこと考えてたわけぇっ!?」


 突然のシーズの言いがかりに、飛び上がって驚くチャール。

 さっきまで散々からかわれたから、その意趣返しかな?


「でもよぉダン……! 女の俺にここまで言わせておいて、これで終わりってワケにはいかねぇよなぁ?」

「……へ?」

「まだ嫁には貰ってくれないなら……。よっ、予約代わりにこいつをくれてやるよっ!」


 そう言ってのっしのっしと歩いてきたシーズは、両手で掴んだ俺の頭を抱き寄せ、思い切り唇を重ねてきた。


 ガチっと音が鳴る程度の強さでぶつけられた歯が痛くて、シーズに唇の感触が良く分からない。

 ……なぁムーリよ。トライラム教会では、キスと称して頭突きを教えているのかい?
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