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8章 新たな王と新たな時代1 色狂いの聖女
561 色狂い (改)
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「いやぁ……。もう乳首いやぁ……!」
「ちゅうううううう。はむはむちゅぱちゅぱ。ちゅうううう……っぽん。っと、これでスレッドドレッドの問題は解決したかな? はむっ。れろれろちゅうちゅう」
地面に押し倒したラズ殿下の両手を後ろ手に拘束して、無防備なおっぱいをひたすら吸いまくっていたら夜もふけてしまった。
ひと晩中お仕置きですよとは言ったけれどアウラの魔力補充もしなきゃいけないし、何より王女であるラズ殿下を外泊させたら大きな問題になりかねない。
そろそろお開きにして家に帰らないとな。はむはむちゅぱちゅぱ。
え? 押し倒した王女様のおっぱいを数時間しゃぶり倒して、歯型とヨダレ塗れにした時点で大問題?
いいえ、これはお仕置きなので問題には含まれませんよ? れろれろちゅぱちゅぱ。はむはむちゅうちゅう。
「それじゃ聖域の樹海……って侵食の森のことですけど、聖域の樹海の木材の運搬の手順は適当に検討してみます。ってことで、今日はもう解散でいいですかね?」
「未だに私のおっぱいに吸い付いているくせに、本当に最後までしていかないおつもりなんですかっ!?」
「ちゅううううう。他人の恋人に手を出す気は無いって言ってるでしょ」
ラズ殿下のおっぱいを吸うのは楽しすぎるけど、やっぱり家族のみんなと比べてあまりエロい気分にはなってこない。
マジで俺、性欲とおっぱい欲は別々なんだろうか? ちゅううううう…………っぽんっ。
「はむっ。これだけおっぱいしゃぶっておいて今更ですけど、流石にお仕置きで最後の一線を越えるわけにはいきませんって。ちゅぱちゅぱはむはむ」
「お願いです……! なんでも、何でも言う事を聞きますからぁっ! ダンさんの性奴隷となって生涯弄ばれても構いませんから……! だから最後までしてくださいぃっ……!」
「……王女様がひと晩のアバンチュールの対価に一生を捧げないでもらえます?」
大体ね。一妻多夫の逆ハーレム状態のラズ殿下を受け入れるのは厳しいのよ、俺の心情的に。
俺は女性の過去には拘らないけど、1度受け入れた女性は絶対に独占しなきゃ気が済まない。
ラズ殿下にとっては一時のお遊び感覚かもしれないけれど、その1度が俺にとっては分水嶺なのっ。
「大体ラズ殿下には沢山の恋人がいらっしゃるんだから、このあとその人たちに相手してもらってくださいよ。れろれろはむはむ」
「ここまでしておいて他の男に相手してもらえって、そんなの酷過ぎますよっ!? ちゃんと最後まで相手したいただかないと困りますっ!」
「ここまでしたのは、何度拒んでもラズ殿下が強引に迫ってきたからですよ。ですがこの先は愛する男女しか許されない領域ですからね。踏み込むわけにはいきません」
「ダ、ダンさんって真面目なのかそうじゃないのか分かりかねますね……? 少なくともシャーロット様の胸を吸いながら言うセリフでは無いですよ……?」
確かにアンクの言う通りかもしれないな。
仕方ないのでラズ殿下を抱き起こし、さっきしたように背後から両乳首をくにくにと弄る。
間もなく解散ということもあって、刺激弱めのくりくりだ。
「ラズ殿下は遊びのつもりかもしれませんけど、俺は抱いた女性を他の男と共有することは出来ないんです。もしもラズ殿下を抱いてしまったら、俺はラズ殿下が他の男性と肌を重ねるのを許すことは出来ません。だから諦めてください」
「だったらっ! だったら今後私はダンさんとしか愛し合わないと誓いますからぁっ! だからっ、だから私を抱いてくださいませぇっ!」
「「……は?」」
突然のラズ殿下の言葉に、俺とアンクの声が重なってしまう。
あまりの衝撃に、ラズ殿下の乳首を弄る指の動きも止まってしまった。
しかし俺よりも早く正気を取り戻したアンクは、俺に乳首を摘まれているラズ殿下の正面にしゃがみこみ、ラズ殿下の目を正面から見詰めて問いかける。
「……シャーロット様。今の言葉は本気ですか? シャーロット様は本気でダンさんをお慕いしてしまったと……そういう事でしょうか?」
「そうですっ! こんな気持ちは初めてなんですっ……! こんなに1人の男性に抱いて欲しいと思ったのはダンさんが初めてなんです……!」
「そう、ですか……。シャーロット様がそう仰るのであれば、きっとみんなも納得してくれることでしょう」
「……はい?」
おいアンク。納得してくれるみんなとやらに俺は入っていないんだが?
なんだか不穏な会話の流れのまま、アンクがラズ殿下の乳首を摘み上げたままの俺を正面から見据え、そして懇願してくる。
「僕からもお願いします。ダンさん、シャーロット様を貰ってあげてくれませんか。お願いします……!」
「だからなんでそうなるんだよ!? 分かるように説明しろーーっ!」
「はぅんっ……!」
おっといけない。全力で叫んだ拍子に、ついついラズ殿下の乳首を思い切り引っ張り上げてしまったぜ。
女性の乳首は時に優しく、時に激しく扱ってあげないとな。くりくり。
しかしこの期に及んで乳首を弄り続けてる俺が今更何をって感じだけど、いくらなんでも恋人のはずのアンクからラズ殿下を譲られる謂れは無いはずだぞ……?
ラズ殿下が俺を求める様子も尋常じゃないし、いったいこの人たちはどうしたっていうんだ?
ラズ殿下のピンクのコリコリ乳首を弄り続けながら首を傾げる俺に、アンクはどこか寂しげに説明し始める。
「色狂いなどと言われていて、実際に色事に積極的なシャーロット様なんですが……。本当のシャーロット様は常に愛に飢えた孤独な女性なんです」
「……よく分からないな? 俺から見た感じ、ラズ殿下とアンクはちゃんと想い合っているように見えるけど?」
「……未だにシャーロット様の胸を好き勝手に揉みしだいているダンさんが、ここまで頑なにシャーロット様を拒んでいることこそよく分かりませんが?」
「そこは俺がおっぱい大好きなだけだからっ」
ラズ殿下の乳首をくりくりと優しく扱いつつも脊髄反射で回答する俺に、なんだかアンクは疲れたような表情を見せる。
恋人の乳首を他の男にくにくにされている男が浮かべる表情とはとても思えないな? ぷにぷにくりくり。
「アンクこそ、こうやってラズ殿下のおっぱいを他の男に玩具にされてて気にならないの? 俺、ラズ殿下の愛人でも何でもないんだよ?」
「僕には……いいえ僕たちには、シャーロット様を本当の意味でお救いすることができませんでしたから……」
「そんなことはありません……。アンクも他の者も、私は心から愛しております……!」
俺に乳首をこねくり回されながら、ラズ殿下がアンクに愛を告白する。
けれどその言葉を聞いたアンクは、寂しそうに微笑みながら静かに首を振った。
「シャーロット様が僕達を愛してくださっていた事を疑っているんじゃありません。僕達がどれほど愛してもシャーロット様の孤独を埋めて差し上げられなかった、と申し上げているんです」
「そんなことはないと言ったでしょう……! 貴方たちの存在に、貴方達と過ごす時間に、私は確かに救われていますっ……!」
「ははっ。ありがとうございますシャーロット様。ですがシャーロット様は救われていたわけではありません。僕達で孤独を紛らわせていただけなんですよ」
「そんなっ。そんなことは……!」
なおも追い縋るようなラズ殿下を、笑顔で手の平を掲げて制止するアンク。
そしてやっぱり彼は俺を見て、少しだけ寂しさを漂わせながら語りだす。
「色狂いなどと言われていますが、シャーロット様は生来の色好みだったわけではないんです。この方もまた心無い男の欲望に歪められてしまった人なのです」
「そんなことはありませんっ……。私は生まれついての好色な女です……! 確かに食い物にされた部分もあったかもしれません。ですが私は、常に色事を楽しんできましたからっ……!」
「楽しんできたから被害者ではない、なんてことは無いんですよシャーロット様。確かに貴女は楽しまれてこられたのかもしれませんが、やはり間違いなく男性によって人生を歪められた被害者なんです……」
そう言ってアンクは、静かにラズ殿下を抱き締める。
だけどラズ殿下とアンクの体の間に、ラズ殿下のおっぱいを弄んでいる俺の両手が挟まってしまって、気まずいことこの上ないんだよ?
いや、いい加減手を離せばいいだけなんだけどさ。これを手放すなんてとんでもない? くりくり。
「僕はシャーロット様にこんなにも幸せにしていただきました。僕は生涯シャーロット様の奴隷である事を誇りに思いますよ。だからシャーロット様にも、本当の幸せを手に入れて欲しいのです。私たち奴隷に気兼ねすることなく、ね?」
「……アンクの言っている事、よく分かりません。私は幸福な人生を歩んでいると思っているのに、アンクはそう思ってくれていないということですか?」
「僕だけじゃありませんよ。スランさんを始め、シャーロット様の情夫は皆同じ想いを抱いています。自分たちではシャーロット様を本当の意味で満たして差し上げることは出来ない……とね」
笑顔を浮かべたアンクは静かにラズ殿下から身を離し、そして俺に向かってゆっくりと頭を下げて見せた。
今の一連の会話中にもラズ殿下の乳首から手を離さなかった自分にビックリするよ。つんつんぷにぷに。くりくりきゅー。
「どうかお願いできませんかダンさん。シャーロット様がここまで強く抱かれたいと懇願する姿、僕は見たことがないんです。ダンさんならもしかしたら、この方の心を埋めてあげることが出来るかもしれません」
「……ラズ殿下は、いったいどんな事情を抱えてるって言うんだよ? なんで恋人であるはずのお前が、ラズ殿下の幸せを願いながら他の男に託すような真似をするんだよ……?」
「……済みません。シャーロット様の抱える事情を、シャーロット様の奴隷である僕の口から申し上げるわけには参りません。もしお知りになりたいのでしたら、シャーロット様ご本人に聞いてください」
「……とりあえず、ラズ殿下に何らかの事情があるのは分かった」
アンクの本気を感じ取り、戸惑うラズ殿下のおっぱいから手を離す。
そして後ろ手に拘束していた彼女の両手を解放し、ドレスを正しておっぱいをしまってから、改めてラズ殿下を後ろから抱き締める。
「ラズ殿下が俺を本気で慕ってくれているのももう疑わない。だからラズ殿下のことを受け入れるか、本気で検討しようと思う」
「け、検討って……! そこまでご理解頂けているなら、どうかシャーロット様を受け入れてもらえませんかっ!?」
「ダメだ。俺は愛する女性は独占する主義で、ラズ殿下にはまだお前の他にも沢山の恋人がいるんだろう? だからもしもラズ殿下を受け入れるなら、その前に恋人全員に納得してもらわないと俺の気が済まない」
「……と、言いますと?」
「深夜で申し訳無いけど、ラズ殿下の恋人をみんな集めることって出来ますか?」
俺に問いかけるアンクではなく、抱きしめているラズ殿下に向けて質問する。
問われたラズ殿下は未だ戸惑いを隠しきれず、けれど俺に向かって好意の混じった眼差しを向けてくる。
……今日城で再会したラズ殿下は、どこまでも面倒臭いという雰囲気しか纏っていなかったはずなんだけどな?
何がきっかけでこんなに豹変しちゃったんだろ?
「その人たち全員に話をして、そして1人残らずラズ殿下を俺に譲る事を了承してくれるなら……。俺が責任を持ってラズ殿下を貰って、どんな手を使ってでも幸せにしてみせるよ」
「あっ……」
背後から抱きしめているラズ殿下の顎を持ち上げ、初めて彼女の唇を奪う。
そんな俺の突然のキスに、色狂いとは思えないほど初心な反応を見せ、赤面したまま固まってしまうラズ殿下。
……この反応、なんとなくティムルに通じるものがある気がするなぁ。
アンクの言う通り、ラズ殿下にも何か特別な事情がありそうだ。
固まったラズ殿下の体の力が抜けるまで唇を重ねるだけのキスを続けたあと、ようやく肩の力を抜いてくれたラズ殿下に改めて問いかける。
「で、どうかな? ラズ殿下の恋人全員の了承、もらえると思う?」
「……分かりません。彼らのことは大切に思っているつもりですが、それゆえに沢山愛し合っていますから。他の男に嫁ぐ事を良しとしない者も中には……」
「そんな人いませんよ。シャーロット様の恋人は、みんなシャーロット様の幸せを1番に考えていますから」
不安げなラズ殿下と、反対する者はいないと確信しているようなアンク。
ラズ殿下の1番の幸せを考えた結果俺に嫁がせるって、いったいどういうことなんだ?
ま、このまま押し問答を続けても仕方ない。
アウラへの魔力供給の件もあるし、俺だって帰らなきゃいけないんだからな。
「ここで話しててもしょうがない。早速いこう……って、今深夜だけど、ラズ殿下がいれば入城できます、よね?」
「あっ、はい。それは心配要りませんよ。私が夜に異性を連れ込むのは日常茶飯事ですし」
「…………まぁ、問題ないなら行きましょうか」
色狂いって言うから今まで気にしていなかったけれど、ラズ殿下に何らかの事情があると知った今、ラズ殿下の言動が少し気になり始めてしまう。
なんかラズ殿下、自分が好色な色女であるようにあえて振舞おうとしてないか?
……本人にその自覚があるかどうかまでは、まだ分からないけれど。
「寝てたらごめん! だけど明日も木は用意するから大人しく待っててくれよーっ?」
念のためにスレッドドレッドの巣穴にひと声かけておく。
巣の中の生体反応が少し動いたのを確認してから、ラズ殿下とアンクと共にスペルディア王城に転移した。
「こちらです。こちらが私と馬鹿のために作られた、夜間専用の通路です」
ラズ殿下に手を引かれて、ラズ殿下とロイ殿下が同行していれば誰でも顔パスで通れるという2人の部屋に直結している通路に案内される。
この道を使えば城に入る人間のステータスプレートすらチェックしないっていうんだから恐ろしい……。
「元々はあの馬鹿が作った道なのですけどね。同じ用途で私も使い始めてからは、私とあの馬鹿の為の通路という事になっています」
「ああ……。あのロイ殿下なら王城に色事専用通路くらい作りそうですね……」
少し不機嫌そうにロイ殿下のことを話すラズ殿下は、俺の手を強く握ったままで私室に直行する。
そして到着したラズ殿下の私室には、現在ラズ殿下と肌を重ねているという男性達が、寝ないでラズ殿下の帰宅を待ち続けていた。
「お帰りなさいませシャーロット様」
1人の男性が代表で挨拶をし、他の男性たちはただ静かにラズ殿下に笑顔を向けている。
12、13、14……。アンクを入れて15名か。
アンクによるとこの全員がラズ殿下との奴隷契約を結んでいて、しかしなんの命令も受けていない状態らしかった。
そしてその全員に事情を説明したのは俺でもラズ殿下でもなく、彼らと同じ立場にいるアンクだった。
「皆さん。僕の話を聞いてくださいっ! シャーロット様が幸せになるチャンスかもしれないんですっ!」
戸惑う14名の愛妾たちに、アンクは必死に語りかける。
ラズ殿下が俺と肌を重ねたがっている事、その為に他の男とは生涯肌を重ねなくてもいいと宣言した事。
アンクが目覚めてからの出来事を可能な限り詳しく説明するアンク。
……ラズ殿下のおっぱいが俺に弄ばれた事は報告しないあたり、どうやらアンクは有能な男のようだ。
「シャーロット様が……! あのシャーロット様が特定の男性をお慕いになられたなんて……!」
その話を聞いたラズ殿下の恋人たちはラズ殿下の前に跪き、何人かの男性は目に涙を浮かべながら感謝の言葉を口にした。
今までありがとうございました。
私たちのことなど気にせず、どうか幸せになってください。
そんな言葉を告げられたラズ殿下は、なんだか俺以上に戸惑っているように見えた。
「……みんなの言ってること、私には理解出来ません。私はみんなと幸せに過ごしてきた事に何の疑いも持っていないのに、それでもみんなは私に幸せになって欲しいと送り出すのですか?」
「シャーロット様が幸福を感じてくれていたなら、それが私たちの誇りです。ですがシャーロット様には、もっともっと幸せになっていただかないと困りますから」
ラズ殿下もその愛妾たちも、お互いの事を心から想い合っているようにしか見えない。
そうとしか思えないのに、ラズ殿下もそうだと明確に口にしているのに、それでは不十分だと愛妾たちは首を振る。
「シャーロット様がこの方に嫁いでも、私達の心は生涯シャーロット様と共にあります。生涯シャーロット様と共に生き、シャーロット様と共に死にます。私たちの関係に何も変化はありません。ですからシャーロット様。貴女も自分の気持ちに正直に生きて、そして幸せになってください」
「幸せですよっ……!? 貴方達がいてくれて私は本当に幸せですっ! なのに自分の気持ちに正直にって、いったいスランは何を言っているのですか……!?」
愛妾たちの言葉を必死に否定するラズ殿下に微笑みかけたスランという男は、真剣な表情で俺の方に向き直る。
そして1度他の愛妾たちと頷き合ったあと、俺の顔を真っ直ぐに見ながら高らかに宣言した。
「我ら一同、今後生涯シャーロット様に指1本触れないと誓います! ですからどうかダン様。シャーロット様を誰よりも幸せにしてくださいませ……!」
「「「シャーロット様を、どうかよろしくお願いしますっ!!」」」
「なん、で……? こんなに私を愛してくれる貴方達が、なんで私の幸せは認めてくれないの……?」
一斉に頭を下げる15人の男たちを見たラズ殿下は、何処までも困惑の表情を浮かべている。
これほどまでに慕われているラズ殿下は、本当にこの男たちを心から大切に思っていたんだろう。
そしてそんな風に愛されたはずの男たちが、ラズ殿下の幸せを思って自ら身を引くことを選ぶなんて……。
新しい女性を受け入れたことで、またニーナに笑われてしまうなぁなんて、いつもならそんなことを思っているはずだけど……。
ラズ殿下の抱えた事情の闇の深さを垣間見て、ちょっとだけ身構えてしまうのだった。
「ちゅうううううう。はむはむちゅぱちゅぱ。ちゅうううう……っぽん。っと、これでスレッドドレッドの問題は解決したかな? はむっ。れろれろちゅうちゅう」
地面に押し倒したラズ殿下の両手を後ろ手に拘束して、無防備なおっぱいをひたすら吸いまくっていたら夜もふけてしまった。
ひと晩中お仕置きですよとは言ったけれどアウラの魔力補充もしなきゃいけないし、何より王女であるラズ殿下を外泊させたら大きな問題になりかねない。
そろそろお開きにして家に帰らないとな。はむはむちゅぱちゅぱ。
え? 押し倒した王女様のおっぱいを数時間しゃぶり倒して、歯型とヨダレ塗れにした時点で大問題?
いいえ、これはお仕置きなので問題には含まれませんよ? れろれろちゅぱちゅぱ。はむはむちゅうちゅう。
「それじゃ聖域の樹海……って侵食の森のことですけど、聖域の樹海の木材の運搬の手順は適当に検討してみます。ってことで、今日はもう解散でいいですかね?」
「未だに私のおっぱいに吸い付いているくせに、本当に最後までしていかないおつもりなんですかっ!?」
「ちゅううううう。他人の恋人に手を出す気は無いって言ってるでしょ」
ラズ殿下のおっぱいを吸うのは楽しすぎるけど、やっぱり家族のみんなと比べてあまりエロい気分にはなってこない。
マジで俺、性欲とおっぱい欲は別々なんだろうか? ちゅううううう…………っぽんっ。
「はむっ。これだけおっぱいしゃぶっておいて今更ですけど、流石にお仕置きで最後の一線を越えるわけにはいきませんって。ちゅぱちゅぱはむはむ」
「お願いです……! なんでも、何でも言う事を聞きますからぁっ! ダンさんの性奴隷となって生涯弄ばれても構いませんから……! だから最後までしてくださいぃっ……!」
「……王女様がひと晩のアバンチュールの対価に一生を捧げないでもらえます?」
大体ね。一妻多夫の逆ハーレム状態のラズ殿下を受け入れるのは厳しいのよ、俺の心情的に。
俺は女性の過去には拘らないけど、1度受け入れた女性は絶対に独占しなきゃ気が済まない。
ラズ殿下にとっては一時のお遊び感覚かもしれないけれど、その1度が俺にとっては分水嶺なのっ。
「大体ラズ殿下には沢山の恋人がいらっしゃるんだから、このあとその人たちに相手してもらってくださいよ。れろれろはむはむ」
「ここまでしておいて他の男に相手してもらえって、そんなの酷過ぎますよっ!? ちゃんと最後まで相手したいただかないと困りますっ!」
「ここまでしたのは、何度拒んでもラズ殿下が強引に迫ってきたからですよ。ですがこの先は愛する男女しか許されない領域ですからね。踏み込むわけにはいきません」
「ダ、ダンさんって真面目なのかそうじゃないのか分かりかねますね……? 少なくともシャーロット様の胸を吸いながら言うセリフでは無いですよ……?」
確かにアンクの言う通りかもしれないな。
仕方ないのでラズ殿下を抱き起こし、さっきしたように背後から両乳首をくにくにと弄る。
間もなく解散ということもあって、刺激弱めのくりくりだ。
「ラズ殿下は遊びのつもりかもしれませんけど、俺は抱いた女性を他の男と共有することは出来ないんです。もしもラズ殿下を抱いてしまったら、俺はラズ殿下が他の男性と肌を重ねるのを許すことは出来ません。だから諦めてください」
「だったらっ! だったら今後私はダンさんとしか愛し合わないと誓いますからぁっ! だからっ、だから私を抱いてくださいませぇっ!」
「「……は?」」
突然のラズ殿下の言葉に、俺とアンクの声が重なってしまう。
あまりの衝撃に、ラズ殿下の乳首を弄る指の動きも止まってしまった。
しかし俺よりも早く正気を取り戻したアンクは、俺に乳首を摘まれているラズ殿下の正面にしゃがみこみ、ラズ殿下の目を正面から見詰めて問いかける。
「……シャーロット様。今の言葉は本気ですか? シャーロット様は本気でダンさんをお慕いしてしまったと……そういう事でしょうか?」
「そうですっ! こんな気持ちは初めてなんですっ……! こんなに1人の男性に抱いて欲しいと思ったのはダンさんが初めてなんです……!」
「そう、ですか……。シャーロット様がそう仰るのであれば、きっとみんなも納得してくれることでしょう」
「……はい?」
おいアンク。納得してくれるみんなとやらに俺は入っていないんだが?
なんだか不穏な会話の流れのまま、アンクがラズ殿下の乳首を摘み上げたままの俺を正面から見据え、そして懇願してくる。
「僕からもお願いします。ダンさん、シャーロット様を貰ってあげてくれませんか。お願いします……!」
「だからなんでそうなるんだよ!? 分かるように説明しろーーっ!」
「はぅんっ……!」
おっといけない。全力で叫んだ拍子に、ついついラズ殿下の乳首を思い切り引っ張り上げてしまったぜ。
女性の乳首は時に優しく、時に激しく扱ってあげないとな。くりくり。
しかしこの期に及んで乳首を弄り続けてる俺が今更何をって感じだけど、いくらなんでも恋人のはずのアンクからラズ殿下を譲られる謂れは無いはずだぞ……?
ラズ殿下が俺を求める様子も尋常じゃないし、いったいこの人たちはどうしたっていうんだ?
ラズ殿下のピンクのコリコリ乳首を弄り続けながら首を傾げる俺に、アンクはどこか寂しげに説明し始める。
「色狂いなどと言われていて、実際に色事に積極的なシャーロット様なんですが……。本当のシャーロット様は常に愛に飢えた孤独な女性なんです」
「……よく分からないな? 俺から見た感じ、ラズ殿下とアンクはちゃんと想い合っているように見えるけど?」
「……未だにシャーロット様の胸を好き勝手に揉みしだいているダンさんが、ここまで頑なにシャーロット様を拒んでいることこそよく分かりませんが?」
「そこは俺がおっぱい大好きなだけだからっ」
ラズ殿下の乳首をくりくりと優しく扱いつつも脊髄反射で回答する俺に、なんだかアンクは疲れたような表情を見せる。
恋人の乳首を他の男にくにくにされている男が浮かべる表情とはとても思えないな? ぷにぷにくりくり。
「アンクこそ、こうやってラズ殿下のおっぱいを他の男に玩具にされてて気にならないの? 俺、ラズ殿下の愛人でも何でもないんだよ?」
「僕には……いいえ僕たちには、シャーロット様を本当の意味でお救いすることができませんでしたから……」
「そんなことはありません……。アンクも他の者も、私は心から愛しております……!」
俺に乳首をこねくり回されながら、ラズ殿下がアンクに愛を告白する。
けれどその言葉を聞いたアンクは、寂しそうに微笑みながら静かに首を振った。
「シャーロット様が僕達を愛してくださっていた事を疑っているんじゃありません。僕達がどれほど愛してもシャーロット様の孤独を埋めて差し上げられなかった、と申し上げているんです」
「そんなことはないと言ったでしょう……! 貴方たちの存在に、貴方達と過ごす時間に、私は確かに救われていますっ……!」
「ははっ。ありがとうございますシャーロット様。ですがシャーロット様は救われていたわけではありません。僕達で孤独を紛らわせていただけなんですよ」
「そんなっ。そんなことは……!」
なおも追い縋るようなラズ殿下を、笑顔で手の平を掲げて制止するアンク。
そしてやっぱり彼は俺を見て、少しだけ寂しさを漂わせながら語りだす。
「色狂いなどと言われていますが、シャーロット様は生来の色好みだったわけではないんです。この方もまた心無い男の欲望に歪められてしまった人なのです」
「そんなことはありませんっ……。私は生まれついての好色な女です……! 確かに食い物にされた部分もあったかもしれません。ですが私は、常に色事を楽しんできましたからっ……!」
「楽しんできたから被害者ではない、なんてことは無いんですよシャーロット様。確かに貴女は楽しまれてこられたのかもしれませんが、やはり間違いなく男性によって人生を歪められた被害者なんです……」
そう言ってアンクは、静かにラズ殿下を抱き締める。
だけどラズ殿下とアンクの体の間に、ラズ殿下のおっぱいを弄んでいる俺の両手が挟まってしまって、気まずいことこの上ないんだよ?
いや、いい加減手を離せばいいだけなんだけどさ。これを手放すなんてとんでもない? くりくり。
「僕はシャーロット様にこんなにも幸せにしていただきました。僕は生涯シャーロット様の奴隷である事を誇りに思いますよ。だからシャーロット様にも、本当の幸せを手に入れて欲しいのです。私たち奴隷に気兼ねすることなく、ね?」
「……アンクの言っている事、よく分かりません。私は幸福な人生を歩んでいると思っているのに、アンクはそう思ってくれていないということですか?」
「僕だけじゃありませんよ。スランさんを始め、シャーロット様の情夫は皆同じ想いを抱いています。自分たちではシャーロット様を本当の意味で満たして差し上げることは出来ない……とね」
笑顔を浮かべたアンクは静かにラズ殿下から身を離し、そして俺に向かってゆっくりと頭を下げて見せた。
今の一連の会話中にもラズ殿下の乳首から手を離さなかった自分にビックリするよ。つんつんぷにぷに。くりくりきゅー。
「どうかお願いできませんかダンさん。シャーロット様がここまで強く抱かれたいと懇願する姿、僕は見たことがないんです。ダンさんならもしかしたら、この方の心を埋めてあげることが出来るかもしれません」
「……ラズ殿下は、いったいどんな事情を抱えてるって言うんだよ? なんで恋人であるはずのお前が、ラズ殿下の幸せを願いながら他の男に託すような真似をするんだよ……?」
「……済みません。シャーロット様の抱える事情を、シャーロット様の奴隷である僕の口から申し上げるわけには参りません。もしお知りになりたいのでしたら、シャーロット様ご本人に聞いてください」
「……とりあえず、ラズ殿下に何らかの事情があるのは分かった」
アンクの本気を感じ取り、戸惑うラズ殿下のおっぱいから手を離す。
そして後ろ手に拘束していた彼女の両手を解放し、ドレスを正しておっぱいをしまってから、改めてラズ殿下を後ろから抱き締める。
「ラズ殿下が俺を本気で慕ってくれているのももう疑わない。だからラズ殿下のことを受け入れるか、本気で検討しようと思う」
「け、検討って……! そこまでご理解頂けているなら、どうかシャーロット様を受け入れてもらえませんかっ!?」
「ダメだ。俺は愛する女性は独占する主義で、ラズ殿下にはまだお前の他にも沢山の恋人がいるんだろう? だからもしもラズ殿下を受け入れるなら、その前に恋人全員に納得してもらわないと俺の気が済まない」
「……と、言いますと?」
「深夜で申し訳無いけど、ラズ殿下の恋人をみんな集めることって出来ますか?」
俺に問いかけるアンクではなく、抱きしめているラズ殿下に向けて質問する。
問われたラズ殿下は未だ戸惑いを隠しきれず、けれど俺に向かって好意の混じった眼差しを向けてくる。
……今日城で再会したラズ殿下は、どこまでも面倒臭いという雰囲気しか纏っていなかったはずなんだけどな?
何がきっかけでこんなに豹変しちゃったんだろ?
「その人たち全員に話をして、そして1人残らずラズ殿下を俺に譲る事を了承してくれるなら……。俺が責任を持ってラズ殿下を貰って、どんな手を使ってでも幸せにしてみせるよ」
「あっ……」
背後から抱きしめているラズ殿下の顎を持ち上げ、初めて彼女の唇を奪う。
そんな俺の突然のキスに、色狂いとは思えないほど初心な反応を見せ、赤面したまま固まってしまうラズ殿下。
……この反応、なんとなくティムルに通じるものがある気がするなぁ。
アンクの言う通り、ラズ殿下にも何か特別な事情がありそうだ。
固まったラズ殿下の体の力が抜けるまで唇を重ねるだけのキスを続けたあと、ようやく肩の力を抜いてくれたラズ殿下に改めて問いかける。
「で、どうかな? ラズ殿下の恋人全員の了承、もらえると思う?」
「……分かりません。彼らのことは大切に思っているつもりですが、それゆえに沢山愛し合っていますから。他の男に嫁ぐ事を良しとしない者も中には……」
「そんな人いませんよ。シャーロット様の恋人は、みんなシャーロット様の幸せを1番に考えていますから」
不安げなラズ殿下と、反対する者はいないと確信しているようなアンク。
ラズ殿下の1番の幸せを考えた結果俺に嫁がせるって、いったいどういうことなんだ?
ま、このまま押し問答を続けても仕方ない。
アウラへの魔力供給の件もあるし、俺だって帰らなきゃいけないんだからな。
「ここで話しててもしょうがない。早速いこう……って、今深夜だけど、ラズ殿下がいれば入城できます、よね?」
「あっ、はい。それは心配要りませんよ。私が夜に異性を連れ込むのは日常茶飯事ですし」
「…………まぁ、問題ないなら行きましょうか」
色狂いって言うから今まで気にしていなかったけれど、ラズ殿下に何らかの事情があると知った今、ラズ殿下の言動が少し気になり始めてしまう。
なんかラズ殿下、自分が好色な色女であるようにあえて振舞おうとしてないか?
……本人にその自覚があるかどうかまでは、まだ分からないけれど。
「寝てたらごめん! だけど明日も木は用意するから大人しく待っててくれよーっ?」
念のためにスレッドドレッドの巣穴にひと声かけておく。
巣の中の生体反応が少し動いたのを確認してから、ラズ殿下とアンクと共にスペルディア王城に転移した。
「こちらです。こちらが私と馬鹿のために作られた、夜間専用の通路です」
ラズ殿下に手を引かれて、ラズ殿下とロイ殿下が同行していれば誰でも顔パスで通れるという2人の部屋に直結している通路に案内される。
この道を使えば城に入る人間のステータスプレートすらチェックしないっていうんだから恐ろしい……。
「元々はあの馬鹿が作った道なのですけどね。同じ用途で私も使い始めてからは、私とあの馬鹿の為の通路という事になっています」
「ああ……。あのロイ殿下なら王城に色事専用通路くらい作りそうですね……」
少し不機嫌そうにロイ殿下のことを話すラズ殿下は、俺の手を強く握ったままで私室に直行する。
そして到着したラズ殿下の私室には、現在ラズ殿下と肌を重ねているという男性達が、寝ないでラズ殿下の帰宅を待ち続けていた。
「お帰りなさいませシャーロット様」
1人の男性が代表で挨拶をし、他の男性たちはただ静かにラズ殿下に笑顔を向けている。
12、13、14……。アンクを入れて15名か。
アンクによるとこの全員がラズ殿下との奴隷契約を結んでいて、しかしなんの命令も受けていない状態らしかった。
そしてその全員に事情を説明したのは俺でもラズ殿下でもなく、彼らと同じ立場にいるアンクだった。
「皆さん。僕の話を聞いてくださいっ! シャーロット様が幸せになるチャンスかもしれないんですっ!」
戸惑う14名の愛妾たちに、アンクは必死に語りかける。
ラズ殿下が俺と肌を重ねたがっている事、その為に他の男とは生涯肌を重ねなくてもいいと宣言した事。
アンクが目覚めてからの出来事を可能な限り詳しく説明するアンク。
……ラズ殿下のおっぱいが俺に弄ばれた事は報告しないあたり、どうやらアンクは有能な男のようだ。
「シャーロット様が……! あのシャーロット様が特定の男性をお慕いになられたなんて……!」
その話を聞いたラズ殿下の恋人たちはラズ殿下の前に跪き、何人かの男性は目に涙を浮かべながら感謝の言葉を口にした。
今までありがとうございました。
私たちのことなど気にせず、どうか幸せになってください。
そんな言葉を告げられたラズ殿下は、なんだか俺以上に戸惑っているように見えた。
「……みんなの言ってること、私には理解出来ません。私はみんなと幸せに過ごしてきた事に何の疑いも持っていないのに、それでもみんなは私に幸せになって欲しいと送り出すのですか?」
「シャーロット様が幸福を感じてくれていたなら、それが私たちの誇りです。ですがシャーロット様には、もっともっと幸せになっていただかないと困りますから」
ラズ殿下もその愛妾たちも、お互いの事を心から想い合っているようにしか見えない。
そうとしか思えないのに、ラズ殿下もそうだと明確に口にしているのに、それでは不十分だと愛妾たちは首を振る。
「シャーロット様がこの方に嫁いでも、私達の心は生涯シャーロット様と共にあります。生涯シャーロット様と共に生き、シャーロット様と共に死にます。私たちの関係に何も変化はありません。ですからシャーロット様。貴女も自分の気持ちに正直に生きて、そして幸せになってください」
「幸せですよっ……!? 貴方達がいてくれて私は本当に幸せですっ! なのに自分の気持ちに正直にって、いったいスランは何を言っているのですか……!?」
愛妾たちの言葉を必死に否定するラズ殿下に微笑みかけたスランという男は、真剣な表情で俺の方に向き直る。
そして1度他の愛妾たちと頷き合ったあと、俺の顔を真っ直ぐに見ながら高らかに宣言した。
「我ら一同、今後生涯シャーロット様に指1本触れないと誓います! ですからどうかダン様。シャーロット様を誰よりも幸せにしてくださいませ……!」
「「「シャーロット様を、どうかよろしくお願いしますっ!!」」」
「なん、で……? こんなに私を愛してくれる貴方達が、なんで私の幸せは認めてくれないの……?」
一斉に頭を下げる15人の男たちを見たラズ殿下は、何処までも困惑の表情を浮かべている。
これほどまでに慕われているラズ殿下は、本当にこの男たちを心から大切に思っていたんだろう。
そしてそんな風に愛されたはずの男たちが、ラズ殿下の幸せを思って自ら身を引くことを選ぶなんて……。
新しい女性を受け入れたことで、またニーナに笑われてしまうなぁなんて、いつもならそんなことを思っているはずだけど……。
ラズ殿下の抱えた事情の闇の深さを垣間見て、ちょっとだけ身構えてしまうのだった。
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