異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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7章 家族みんなで冒険譚1 いつもと違うメンバーで

472 ※閑話 銘酒 (改)

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「突然の訪問、失礼致します」

「あれ、ソルベさん? 家に来るなんてどうしたの?」

「いつも夢の宿グループをご利用いただきありがとうございます。本日は1番の常連であるダン様へ、会長のカラソルからお土産を預かって参りました」


 ある日マグエルの自宅に、マグエルの夢の一夜亭の支配人であるソルベさんが馬車に乗ってやってきた。


 俺って自宅どころか別荘まで持ってるっていうのに、夢の一夜亭を利用しすぎなんだよなぁ。

 今後もガンガン利用すると思うけど? みんなにも好評だしね。


 ソルベさんと挨拶を交わして馬車の荷台を見せてもらうと、大きめの樽が8つほど積み込まれていた。


「お土産ってこれ? 中身は何なのかな?」

「アーティ……いえ、夢の一夜亭で提供させていただいている果実酒ですね」

「えっ!? ほんと!?」


 甘くて滅茶苦茶飲みやすいのにかなり強くて、みんなを簡単にべろんべろんに出来るあのお酒っすか!?

 二日酔いとかも一切起こしたことがないという、飲酒のデメリットをまったく無視したチート酒っすかぁっ!?


「ダン様にも大変喜んでいただいておりますので、会長のカラソルから是非にと預かって参りました」

「マジで!? スッゲー嬉しいんだけどっ!! ありがとうソルベさんっ。カラソルさんにもよろしく言っておいてねっ」


 大喜びでひょいひょいと馬車から運び出し、今は誰も使っていない地下室に収納する。

 この世界には冷蔵庫とか無いからね。地下なら多少は保存も利くはずだ。


 もしも保存に要冷蔵だった場合はエアコントローラーを設置するしかないかなぁ?


 8つの樽を全て運搬し終えて、お返しにレインメイカーを3つほどプレゼントすることにした。

 レインメイカーは今のところ俺達しか作り方を知らないはずだからな。お返しの品として不足は無いはず。


「マ、マジックアイテムをこんなに気軽に渡されるとは思いませんでしたよ……。流石はダン様と言った所でしょうか」

「今後はクラメトーラの環境も変わってくるかもしれないけど、そうなったら魔物狩りにでも売っちゃってくれればいいよ」


 恐縮しつつもしっかり受け取ってくれるソルベさん。

 へぇ、ソルベさんもインベントリ使えるんだな。まだ若そうなのに。


 レインメイカーも俺達にしか作れないけれど、このお酒も夢の宿グループが製法を独占しているので一般には出回らないお酒なんだよね。

 お金さえ払えば買えるって代物じゃないからかなり嬉しいわ。


「それとこちらがコップです。今回は20個ほど用意させていただきました。どうぞお収めください」

「やったーっ! 何から何まで悪いねっ。ありがたく頂戴するよっ」


 夢の一夜亭で使用されているミスリル製のコップもいただけてしまったぞぉ。

 これで自宅でも夢の一夜が体験できてしまうじゃないかぁっ!


 だからと言って、夢の一夜亭に通わなくなるという話でもないんですけどね。


「しっかしソルベさん。凄くありがたいプレゼントだったけどさ、なんでこのタイミングでこんな物を?」

「はは。会長のカラソル含め、夢の宿グループ全体がダン様に感謝しているというのも決して嘘では無いのですけどね」


 笑いながら軽く前置きしたソルベさんは、突然の贈り物の事情を説明してくれた。


 1番の常連ということで俺達に感謝しているのは本当だけど、それ以上にクラマイルの困窮を改善した事にカラソルさんは深く感謝してくれているらしかった。

 長年クラマイルの困窮、特に飲料水の問題解決に頭を悩ませていたカラソルさんにとって、ティムルが開発したレインメイカーはまさに神の助けのように思えたのだそうだ。


 更に2つ目の理由に、クラマイルでの新しい事業とグルドヴェーダへの陸路の開発、そして中継都市に関わらせてもらったことで非常に大きな利益を見込んでいるらしく、その利益を少しでも俺達に還元したいと、夢の宿ブランドの甘いお酒『アーティザンズスウィート』を提供してくれたのだそうだ。

 アーティザンズスウィートは夢の宿グループ所属のドワーフが開発したオリジナルのブランドで、リーチェも好きなキンリという柑橘系の果物を原料にして作られたお酒らしい。


「それと、これは言わなくていいことかもしれませんが……。正直言って在庫が有り余っている状態でしてねぇ……」

「え、マジで? 宿で提供する分を確保する為に販売を断ってるのかと思ってたけど」


 ソルベさんが言うには、どうやら夢の宿グループ全体として宿泊客が激減してしまっているらしかった。

 王国全体が好景気に沸いていると思ったんだけどな? 今こそ高級宿の利用客が増えそうなものなんだけど。


 しかし今年は年始の奴隷市が開催できなかったり、スペルディアで襲撃が起きて無能なシモン陛下が崩御したりしたせいで、富裕層には自粛ムードが漂いつつあるらしかった。


 俺が景気良く感じているのは今まで困窮していた一般市民層で、そういう人たちは多少お金が稼げたところで高級宿を利用したりすることは無いのだ。

 お金に余裕が出来た一般の人は、まず今まで諦めていた出産、育児に前向きになり始め、次に持ち家を購入しようと大工さんに仕事が殺到しているそうだ。


 なるほどなぁ。この世界って避妊具みたいなものも無いから、お金が無いと自由に夫婦生活を楽しむことも出来ないわけかぁ。

 どっかの第1王女様はマジックアイテムで避妊してたけど、そんなの一般人に出来る訳ないもんな。


「とても前向きな理由で客足が遠退いてしまって、我々も喜んでいいのか悲しめばいいのか分からないんですよね。ダン様の提案で入浴設備を整えた宿には客足が戻りつつありますし、そこまで悲観しているわけではないんですが」


 好景気なのは大工だけじゃなく、魔物狩りたちが装備の更新を検討し始めたので、武器、防具屋あたりはかなり潤っているらしいね。

 シュパイン商会が数量を絞って販売しているウェポンスキルつきの武器も、相当な高額なのに飛ぶように売れてしまうみたいだもんなぁ。


 要約すると、夢の一夜亭を利用する層の景気が悪くなって、潤っているのは今まで夢の一夜亭に縁の無かった層だけってことだね。


 お酒の製法なんて詳しくは知らないけれど、年単位に渡って仕込まなければならないのは間違いない。

 需要が無くなって生産量をコントロールしようとしても、すぐに増やしたり減らしたりするのは難しいわけか。


「でもお酒なんて腐るようなものじゃないんじゃないの? このまま景気が良くなれば一般層からも夢の一夜亭を利用する人も出てくると思うけど」

「当然その分は仕込みますよ。ですがお酒はインベントリに収納できませんから、どうしても場所を取ってしまうんですよ。信頼の置けないお客様にお譲りして製法を盗まれるわけにもいきませんし」


 どうやら景気の上向きに合わせた生産量の調整は既に行なわれているようだ。

 それに加えて、俺達ならレシピを盗んでしまうことは無いと信用してくれているわけね。


 意世界に行ってお酒を造るようなお話って結構見た覚えがあるけど、長期間にかかって仕込まなきゃいけない作業なんてやってられないよな。

 そもそもお酒造りの知識も無いし、お金にだって困ってないしさ。


 販売はしてくれなくても宿を利用すれば好きなだけ提供してくれるわけだし、レシピを盗むメリットなんか全く無い。


「それにダン様たちとは仲良くしておいた方が良さそうですからね。お酒で信頼が買えるなら非常にお買い得でしょう?」


 最後にニヤリと笑って、今後ともご贔屓にと言い残し、ソルベさんは帰っていった。

 でもねソルベさん。お酒なんか貰えなくても、夢の一夜亭に対する信頼度はカンストしてる状態なんだよ?


「さぁてさてっ。せっかくの戴き物なんだから、早速今晩の夕食で楽しもっかなぁっ?」


 っと、我が家にはまだ10歳のアウラとか14歳のチャール、シーズとかもいるんだった。

 この世界のお酒の扱い、飲酒の法律ってどうなってるんだろうな?


 でもフラッタはまだ13歳だったころからアーティザンズスウィート飲みまくってるし、16歳のニーナがお酒を飲んでも誰も気にしなかったからなぁ。ルールとか無いのかもしれない。


 細かい事を気にせず振舞う事にして、お酒と夕食を楽しみながらお酒関係の事情をティムルに聞いてみる事にする。


「俺の故郷って子供はお酒を飲んじゃだめって決まりがあったんだけどさ。アウラやフラッタにお酒を飲ませていいのかな?」

「ええ。スペルド王国では特にお酒に関する決まり事は無いわよ。ただ子供にはあまり飲ませない方が良いでしょうねって言われている程度かしら」


 一応未成年の飲酒のリスクはふわっと浸透しているみたいだね。

 まぁその辺は科学的な知識が無くても、経験則で理解できる部分かもしれない。


「でもこのコップは凄いわよねぇ。いくら飲んでも次の日にお酒が残ったことが無いんだもの。これでならアウラや孤児院の子たちが飲酒してもいいんじゃないかしら?」


 う~ん。その評価はちょっと保留した方が良くないかな?

 俺達にアルコールが残らないのは、もしかしたら好色家と艶福家の病気耐性、もしくは装備品に付与されてる全状態異常耐性が作用している可能性があるんじゃ?


「アーティザンズスウィート……、長いな。ソルベさんに倣ってアーティでいいか。アーティってドワーフ族が作ってるそうだけど、やっぱりドワーフ族ってお酒が好きな人が多いの?」

「あ~、ドワーフに酒好きは多いわねぇ……。でもクラメトーラはあんなところだったでしょ? ドワーフの里で浴びるようにお酒を飲んでいたドワーフは居なかったんじゃないかしら?」

「ちなみにティムルはお酒好きなの? 初対面の時からあんまりお酒を飲んでるイメージ無いけど」

「私は嫌いじゃないけど好きでもないって感じかしらね。気持ち良く酔えたことってあんまり……っていうか貴方とニーナちゃんに会うまでは1度も無かったから」


 それってお酒が嫌いなんじゃなくて、一緒に飲んでいた相手が嫌いだったって話だよな?

 嫌いな相手と飲んでいてもお酒が嫌いじゃないって言うなら、きっとティムルはお酒好きなんじゃないのかな?


「俺達となら楽しく酔えるって言うなら上書きしちゃおっか。俺もこの酒好きだし、みんなとならいくらでも飲めちゃいそうだ」

「あはーっ。いいじゃないっ。最近はあまり上書きって感じじゃなかったし、今夜はたっぷりダンに甘えちゃおうかしらぁ」


 嬉しそうに笑顔を浮かべたティムルは、自身のコップにお酒をなみなみに注いでから、俺の膝の上に横座りしてきた。

 そして挑むような誘うような蠱惑的な流し目で、俺の心臓を鷲掴みにしてくる。


「なんか色々思い出しちゃったからぁ……。ダンにぜーんぶ上書きして貰っちゃうわよぉ?」


 コップのお酒をグイッとひと息で呷ったティムルは、パンパンにほっぺを膨らませた状態で俺に思い切りキスをしてきた。

 口に含んだアーティを少しずつ俺に送り込みながら、アーティの甘さを堪能するかのようにお酒の海で舌を躍らせてくる。


 何気にこれって、リーチェやアウラとキスをしている時のような甘さのあるキスで、しかもお酒だから酔いも相まって物凄く夢心地にされちゃうよぉ。


「あー、ここからは夫婦の時間ですよ。少し持っていって構いませんから、チャールとシーズは離れに戻りましょうねー?」


 ティムルの口移しを見てエロスタイムが始まったと確信したムーリが、料理とお酒を持たせてチャールたちを避難させているのが見える。

 チャールとシーズは俺とティムルのことなど意にも介さず、料理とお酒を持って嬉しそうに離れに戻っていった。


 アーティって甘くて美味しいもんな。ジュース代わりにいっぱい飲んじゃいそうだね。


「あはーっ。これで1つ上書きできちゃったわー」


 たっぷり数分間かけてお酒を飲ませてきたティムルは、怪しい笑みを浮かべながら口の周りのアーティを舌で舐め取っている。

 どうやらティムルは過去にも口移しで男に酒を飲ませた事があるらしいけれど、ティムルの甘いキスの感覚で脳が痺れて嫉妬心すら抱けない。


「だけどぉ、まだまだたぁっくさん上書きしなきゃいけないことがあるの。だからダン、ちょーっとだけお姉さんに付き合ってねぇ?」

「大好きなティムルお姉さんのお酒にならいくらでも付き合うってば。むしろ全部上書きしてやるっての。俺以外の男のことなんて綺麗さっぱり忘れさせてやるよぉっ」


 真っ黒な肌を程よく上気させたエロい雰囲気のティムルお姉さんと、お酒を使った上書き体験に没頭する。

 舌を絡ませながらの口移しに始まって、ティムルの体の色んな場所を杯にしたり、おっぱいに垂らしたお酒を乳首から吸ってみたりと、なかなか色々なバリエーションでお酒とティムルの体を楽しんでしまった。


 ……でもなぁ。上書きっていう割には、ティムルの表情に翳りみたいなものが一切感じられないんだよなぁ?

 これって本当に上書きなの? ティムルも初めての経験じゃない? どっちにしたって楽しむだけだけどっ!


「ティムルばっかりズルいのーっ! 私だってダンとお酒を楽しみたいのーっ!」


 口移しでアーティを注ぎ込まれながらお返しに別のモノをティムルに注ぎ込んでいると、少し顔を赤らめたニーナが狐耳を生やして突撃してきた。

 そんなニーナの姿を見て、とても嬉しそうに笑うお姉さん。


「あはーっ。残念だけど時間切れね。ここからは独り占めじゃなくって、みんなと一緒に楽しませてもらいましょっ」


 素早く俺から離れたティムルは、手際よくコンコンニーナにコップを渡して、そして俺の両手を拘束してくる。

 両手の自由を奪われた俺は、ニーナからのアルコールキスを無防備に受け入れるしかない。そもそも抵抗する気もないけど。


「ダンにはこれから全員とお酒を楽しんでもらいますからねー? 酔っ払って寝ちゃったりしちゃダメだからねー?」


 俺の自由を奪いながら、ニコニコと語りかけてくるティムル。

 そのあと俺はティムルに拘束されたままで、全員とお酒を楽しみながら、全員の体を楽しませていただく事になった。


 ほろ酔いのせいか、みんなが積極的なのに微妙に甘えん坊で可愛すぎるよぉ。


「あはーっ。私もやっぱりドワーフ族みたいね。お酒が美味しくて美味しくて堪らないわーっ」


 身動きの取れない俺を膝枕したティムルは、優しげな手付きで頭を撫でながら美味しそうにアーティを呷っている。


 いや、ティムルがお酒を楽しんでくれているのは良いんだけどさぁ。

 出来れば旦那の情事を肴に飲むのはやめてもらっていいっすかねぇ?


 ひと晩中みんなにお酒を飲まされ続けたけれど、やっぱり職業補正が効いているのか終始ほろ酔いの夢心地でお酒とみんなを堪能することが出来た。


 だけどねみんな。いくら11人でガバガバ飲んだからって、ひと晩で樽1つ空けるのは流石に飲みすぎだと思うんだよ?

 アウラもさぁ。基本がドワーフだからなのかもしれないけど、10歳で強いお酒を飲みすぎだからね?


 満年齢ひと桁なのにこんなに強いお酒を飲みすぎる悪い娘には、朝になったらちょっとだけきつめにお仕置きしてあげなきゃいけないなぁっ。たっのしみーっ!
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