異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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6章 広がる世界と新たな疑問3 ホムンクルス計画

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「「ぶーーーっ!?」」


 アウラを1人の女性として抱いてあげて欲しい。

 ティムルの突然の爆弾発言に、俺とアウラは同時に夕飯を吹き出してしまった。


「ちょちょちょ!? なに言ってるのさティムル! 話の流れが全然分からないよ!?」

「そそそうだよっ! なななななんで私とダンがっ……! その、ゴニョゴニョ……」


 ……って言うかアウラ。

 恥ずかしがってモジモジしてるのはいいけど、俺の膝の上に座ってモジモジされると状況的に気まずいんだよ?


 詰め寄る俺とアウラに対して、申し訳なさそうな表情を浮かべたティムルは、そのままの表情で深々と頭を下げた。


「ごめんなさいダン……。ごめんなさいアウラ……」

「ティっ、ティムル!? な、なんで頭なんて……!?」

「今回2人には強制的に関係を持ってもらう事になります。貴方達2人の意志を無視する形で話を進める事になってしまって、本当にごめんなさい……」


 震える声で俺とアウラに謝罪するティムルの姿に、俺とアウラの動揺は急速に凪いでいく。

 こんなに申し訳無さそうにしているお姉さんの姿は見たくないよ……。


「謝らないでティムル。謝らなくていいからまずは説明してよ……。何も分からないまま頭を下げられたって、どうしていいか分からないってばぁ……」

「……ティムルがさっきから何度も私の体調を気にしてきたのも関係してるんだよね? 私の体に何が起きてるの? そしてそこになんでダンが関わってくるの? ちゃんと教えてくれる?」

「……うん」


 俺とアウラが落ち着きを取り戻したのが伝わったのか、なんとかお姉さんが頭を上げてくれた。

 けれどその表情はやはりどこか申し訳なさそうな、バツの悪そうな顔をしているように思える。


「アウラをうちに迎えようって決めたのは、俺も含めた家族全員の意思だよ。ティムル1人が謝ることじゃない」


 ティムルの発言の意図は説明してもらわないと分からないけれど、アウラへの対応に関しては全員合意の上でやったことでしょ。

 お姉さん1人が責任を感じるなんて間違ってるってば。


「何か想定外の事が起こったのなら、まずはちゃんと説明して、そして全員で向き合おう。だから説明お願い。何も言わずに謝るなんて嫌だよティムル……」

「……ええ、取り乱しちゃってごめんなさい。もう大丈夫。それじゃこれから詳しい説明を始めさせてもらうわね」


 意を決したように、俺とアウラを正面から見詰めるティムル。

 俺は不安そうにティムルを見詰めるアウラをよしよしなでなでしながら、ティムルの言葉をじっと待つ。


「アウラは生きているだけで普通の人では考えられないほどの魔力を消費している可能性については、さっき言及したわよね? ダンにアウラを抱いて欲しいっていうのは、それに対する対処療法なの」

「……んー、ごめんティムル。自分ではそんなに魔力を消費している感じはしないの。だから何もしなくても大丈夫ってことはないのかなぁ?」

「推測に推測を重ねた言葉になるんだけど、今日のアウラってずっとダンに抱っこされたままじゃない。自分で立って歩いたりすらしてないでしょ? だからかなり魔力消費が抑えられている状態だと思うのよ」

「つまり、安静にしていても魔法発動クラスの魔力消費が起こっているから、日常生活や戦闘を行うと今以上に凄まじいペースで魔力が消耗されていくと懸念しているわけだ? 推測は推測なんだろうけど、そこはお姉さんの熱視を信用する事にするよ」


 少し自信なさげに解説してくれるけど、ティムルが軽い気持ちでこんなことを言うわけはない。

 熱視によって、アウラから魔力が失われているのが見えちゃってるんだろうな……。


 職業補正が全く無い状態でも凄まじい戦闘能力を発揮したアウラの事を思えば、消費魔力が膨大だという話はなんら不思議では無い。

 いわばアスリートの基礎代謝が常人よりも多いように、究極の存在であるアウラの生命を維持する為には大量の魔力が必要だって話なわけだ。


「でもさ、それでどうして俺がアウラを抱くって話になるのかな? 俺には話の流れが繋がってるようには感じないんだけど……」

「ダンもさっき言った通り、基本的に魔力の回復方法って無いじゃない?」


 先ほど言及したばかりの話を、あえてもう1度確認してくるティムル。


 この世界にはMPの回復アイテムというのは存在しないし、MPを譲渡するようなスキルも存在しない。

 MP自動回復スキルはスキルジュエルと職業スキルでのみ使用可能なのだ。


 魔力は万物の根源であるのに、その魔力を回復する方法が自然回復しかないっていうのは不便だよなぁ。

 四六時中魔物から魔力を吸収し続けるわけにもいかないしさ。


「アウラに魔力を供給していた培養槽はアウラが壊しちゃったし、部屋の4隅にあったマジックアイテムも私達が壊しちゃっだでしょ? おかげで現在外部からアウラに魔力を供給する方法が失われちゃってるわけなの」

「うんうん。そこまでは分かるよ。分からないのは魔力の供給とダンとの……その、えっち……、の関連性だよ?」


 えぇいアウラっ。俺の胸で縮こまりながら、恥ずかしそうにそういうことを口にするんじゃないっ。

 よしよしなでなでしてる俺まで恥ずかしくなってくるだろうがっ。


「ええ。実はダンの体液……、いつも私たちに好き放題流し込んでいるアレのことだけど。アレって好色家の職業スキルである精力増進によって生成されたなのよ。えっちのときは度々熱視を発動してるから間違いないわ」

「……………………は?」


 ティムルの言葉の意味が分からない。

 いや分かってはいるんだけど、俺の脳が全力で理解を拒否している。


 え、アレってアレのことですよね? みんなをグリグリしながらドクドクと流し込んでるいつものアレのことですよね?

 真面目な話かと思ったら一気に卑猥な話になっちゃった気がするんだけど、この空気どうすればいいの……?


「ん~? アレって?」


 あ、アウラはマジで意味が分からないようでキョトンとしているよ。

 無理もない。実質まだ10歳だもんね。満年齢だとひと桁だもんね。そのアウラの中にドクドク流し込めって?


「魔力を直接アウラに吸収させる方法って思いつかないけど、アレをアウラに摂取させれば肉体に魔力の塊を吸収させることが出来ると思うの。幸いダンは底無しだからいくらでも注ぎ込めるわけだしね」

「いやいやいやいやちょっと待ってちょっと待って? 一旦落ち着いて? ティムルの説明は理解したけど、いくらなんでも極論過ぎるよ。他に方法はいくらでもあるでしょ?」


 そもそも安静にしていれば魔力枯渇が起きないのであれば、魔力枯渇の兆候が出たら安静にさせればいい。

 全身の装備に魔力自動回復スキルを付与しまくったっていいし、使用武器にも魔力吸収を付与しまくれば戦闘時だってそう簡単に魔力枯渇を引き起こすとは……。


「……うん。確かに私達はちょっぴり冷静じゃないかもしれないの。だけどダンにアウラを愛して欲しいと思っているのは私達全員の本音なんだよ」

「ニーナ?」


 悩む俺に、ティムルに代わってニーナが声をかけてくる。

 その表情は真剣そのもので、とても10歳の少女を抱く抱かないの話をしているとは思えない。


「少なくとも私とティムル、そしてリーチェはね。この世界に独り取り残されてしまったアウラに、凄く共感を覚えちゃってるんだ……」

「共感……」


 ニーナとティムルとリーチェ。

 この3人の共通点は、俺と出会う前に1度この世界全てに捨てられて、絶対の孤独を味わった事があるってことか。


 フラッタは家族の行方を追っていたし、ヴァルゴは守人みんなが家族みたいなものだ。

 ムーリは孤児のみんなが家族だし、ラトリアとエマはお互いが家族同様だもんな。


 ターニアもたった独りで長期間絶望の日々を送っていたみたいだけど、ニーナが生きている可能性が高かった為に、希望を持ち続けることが出来たんだったね。


「そんな私達が幸せになれたのはダンに受け入れてもらえたからだから……。だから出来ればアウラのことも愛して欲しいなって思ってるの」

「……いやいや、ニーナの言い分を否定する気はないけどさぁ。俺だってアウラを家族として迎える事に何も異論は無いよ? けどアウラと肌を重ねる必要は特に無いんじゃないのかなぁ?」

「……ふふっ。相変わらずダンは、受け入れてくれるまでに散々渋ってくれるよねぇ?」


 納得がいかずに食い下がる俺に、今度はリーチェが語りかけてくる。

 いやいや、女性陣がイケイケで新しい女性を勧めてくる方が絶対におかしいんだよ?


「君とアウラの気持ちを置き去りにしているのは認めるけど、やっぱりぼくもアウラの事を愛してあげて欲しいなって思うんだ。そうすればアウラとは本当に家族になれるし、アウラをもう独りぼっちにさせる心配もなくなるからね」

「なにも肉体的な繋がりだけが家族の繋がりじゃないだろ? 心が通じ合ってればそれだって立派な家族でしょ? 勿論アウラを抱くのが嫌だとかって話じゃないけどさ、こんななし崩し的に進めていい話じゃ……」

「ダン。さっきティムルも言ってたでしょ。ダンとアウラの気持ちに関係なく、強制的に関係を持ってもらうって。ティムルがあそこまで言った理由、君はちゃんと考えてみてくれた? 今のアウラを見て、君はどう思うのかな?」

「え……?」


 リーチェの問いかけに視線を落すと、アウラが小さく震えながら肩で息をしているのに初めて気付いた。

 顔色も青くなってきている。明らかに魔力枯渇の初期症状だ。


「アウラ!? 大丈夫かっ!?」

「ん……。ちょっと、具合悪い、かも……」


 青い顔をしながらも、気丈に俺の問いかけに答えてくれるアウラ。

 くっそ、自分の胸に抱いていながらこんなになるまで気付かないなんて……! 安静にしてれば大丈夫、なんてのは楽観視しすぎたか……!?


「くそ……! ティムルが俺達の意志を無視してまで話を進めた理由って……!」


 さっきからずっと俺の胸の中で丸まって、安静にしていたはずのアウラが一気に魔力枯渇を起こし始めた。

 つまり安静にしていてもアウラの魔力が間もなく尽きてしまうことが、ティムルには分かってたってことか……!?


「……優しいダン。貴方の言う通り、魔力吸収や魔力自動回復でもアウラの魔力を補充する事は出来ると思う。だけどね? いざって時に直ぐに魔力を補充できる方法が必要だと思うの」


 焦る俺に、ニーナが説得するような口調で語りかけてくる。

 安静にしていても魔力が枯渇するなら、アウラは安心して眠ることすら出来ない。だから魔力の回復方法を確立しておきたいって話なのかっ……!


「そしてそれが出来るのは、好色家と艶福家を浸透させて、誰よりも強い精力増進スキルを発揮しているダンなんだよ?」


 くっ……! アウラの生死がかかっている滅茶苦茶シリアスな場面なのに……!

 誰よりも精力が強いとか言われると、世界一のスケベ野郎って言われてるようにしか聞こえないんだよ……!?


「お願いダン。アウラを受け入れて、アウラを世界一幸せな女の子の1人にして欲しいの……!」

「二、ニーナ……。く、くっそぉ……!」


 めっちゃ真面目な話をしていて、ニーナも必死になって訴えてきてくれているのは分かる。分かるんだけどっ……!

 誰よりも強い精力増進スキルを発揮して10歳の少女を抱けとか、事案過ぎて頭がおかしくなってしまうよぉ!?


「う、うぅ……」


 だけど俺の腕の中で苦しそうに息を乱しているアウラの様子を見ると、迷っている時間もあまり無さそうだ。

 自然回復量よりも魔力消費量が多いのだとしたら、魔力枯渇の兆候が出始めた今、アウラの状態は既に予断を許さない状況だと言っていいだろう。


「くっそー……! 外見だけなら最高に魅力的な女性なんだけどなぁ……!」


 455年間も眠らされて、実年齢は10歳、満年齢ではまだ9歳の少女ってことさえ知らなければここまで悩まなかったかもしれないのにぃっ!

 覚悟を決めるしかないのか……!


「……アウラ。苦しいかもしれないけど聞いて欲しい」


 ……覚悟は決めるけど、それでも本人に最終確認はさせてくれ……!

 ヘタレと蔑まれようとも、本人の意志を無視して肌を重ねるわけにはいくまいよ……!


「俺はアウラを家族として迎え入れるって言った以上、アウラのために出来る事はしたいし、その為にアウラを愛さなきゃいけないのなら、心からお前を愛そうと思う。だけどアウラが嫌なら別の方法を考えるよ」

「ん……。別の、方法って……?」

「例えば今回は魔力吸収武器で凌いでもいい。スキルジュエルは沢山あるから、急いで魔力自動回復を付与した装備品を沢山用意してあげてもいい」


 例えば、俺のショートソードで魔物に切りかかってもらえれば、一時凌ぎには十分な量の魔力が回復するはずだ。

 それが分かっていながらアウラを抱けとみんなが迫ってくるのは、アウラを本当の意味で家族に迎え入れたいからなんだろう。


「今の俺達なら、魔力を回復する方法なんていくらでもあるんだ。だからお前の気持ちを蔑ろになんて……」

「ありがとダン……。でも大丈夫」


 俺の言葉を遮って、青い顔で微笑を浮かべながらアウラが答える。


「ダンもみんなも、私の事を思って言ってくれてるのが分かるから……。私、ダンにえっちなことされても……、いいよ?」

「……そんなに軽々しく考えちゃ駄目なんだってばぁ……。俺って最高に嫉妬深くて独占欲の塊なんだよぉ……。アウラにえっちな事をしちゃったら、俺はもう絶対にアウラを他の男になんか渡したくなくなっちゃうんだってばぁ……」

「あは、は……。なぁにそれ、愛の告白なのぉ……?」


 少し苦しげな表情を浮かべながらも、それでも楽しげに微笑んでくれたアウラは、力の入らない両手で精一杯俺に抱きついてきてくれる。


「私ね、もうこの世界に独りぼっちなんだ……。だからダンに独占されても、それが嫌だなんて思えないの……」

「落ち着いてアウラ。肌なんて重ねなくても俺達は家族だ。絶対にアウラを独りぼっちになんて……」

「私はまだ子供で、ダンとえっちすることの意味をちゃんと理解できてないのかもしれないけどさ……。誰かとえっちしなきゃいけないなら、ダンとえっちしたい、かな……?」


 青い顔で縋りつくアウラの様子に、フラッタを迎えた時の事を思い出してしまう。


 フラッタの選択肢と思考を狭めて、まるで自分から俺を選んだように誘導する。

 まさに今のアウラは、あの時のフラッタと同じ状況じゃないのか……!?


「……改めて愛の告白をさせてくれアウラ」


 ……たとえアウラの選択肢が俺の行動によって狭められてしまったのだとしても、俺はもう迷わない。


 フラッタが、みんなが教えてくれたんだ。

 たとえ狭められた、限られた選択肢しかなかったとしても、それを選んだのは紛れもない自分の意思だったのだと。


「関係を強要するような形になってしまったのは本当に申し訳ないけど、俺は一生独占したいと思うくらいにアウラを魅力的な女の子だと思ってる。だからアウラ、俺のお嫁さんになって、俺達と家族になってくれるかな?」

「……うん。なります。えっちな事は良く分からないけど、ダンとえっちすることでみんなと家族になれるなら、私もダンとえっちをしたいって思う……」


 ……完全に誘導尋問だ。完璧に言わせてしまった。

 だから責任を持ってアウラを生涯愛するし、受け入れると誓おう。


 10歳のアウラとはまだ婚姻契約は結べないけれど。

 生涯愛する誓いの証に、震える彼女の唇に自分の唇をそっと重ねるのだった。
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