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6章 広がる世界と新たな疑問3 ホムンクルス計画
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「それじゃアウラ、これから我が家に招待させてもらうね。『虚ろな経路。点と線。偽りの庭。妖しの箱。穿ちて抜けよ。アナザーポータル』」
抱きかかえているアウラにひと言断ってから、隷属化したカイメンと共に暴王のゆりかごを脱出する。
とりあえずカイメンには、暴王のゆりかごの探索禁止を解除すること、アウラに関する情報の開示、提供、記録を全面禁止して、クラクラットの後始末を担当させることにした。
「アウラのことは勿論、俺達のことも他言無用だ。それさえ守ってりゃ普通に暮らしてていいよ。そのうち連行しちゃうと思うけどね」
「く……くそぉ……!」
悔しそうな表情を浮かべるカイメンを先に脱出させて、外に居る大量のドワーフたちの対応をさせる。
カイメンの指示で暴王のゆりかごの立ち入り禁止が解除されれば、この周辺を見回る必要も無くなるだろうからな。
「そうじゃダン。忘れぬうちにこれを渡しておくのじゃ」
「へ?」
カイメンが外で対応している時間、暴王のゆりかご内で待機している俺に、巨大なハンマーのようなモノを差し出すフラッタ。
……なんだこれ? 何かも分からないし、いつの間にフラッタがこんなモノを手に入れたのかも分からない。
「何をピンと来ない顔をしておるのじゃ。これはタイニーコロッサスを滅した時に出てきた打撃武器なのじゃ。タイニームーンというらしいのじゃ」
「あーっ! 今回のイントルーダーはドロップアイテムを落としたわけかぁ。そうだよな、造魔召喚されたわけじゃないもんなぁ」
主にノーリッテのせいで、イントルーダー戦は無報酬のイメージがついてしまっていたよ。
フラッタのドラゴンイーターだって竜王からドロップしたっていうのに、うっかりしてたわ~。
しかしなフラッタ。ティムルの背丈すら越えそうな巨大なハンマーを、渡しておくのじゃ、なんて軽いノリで差し出されても困っちゃうんだけど?
なんで金属製の巨大ハンマーを涼しい顔をして片手で差し出してくるんだ? この無双将軍めっ。
「お、俺にも持てるのかなぁ? 持てなかったらそのままインベントリに仕舞えばいいけど」
アウラを抱きかかえたままなので、仕方なく俺も片手でハンマーを受け取ってみる。
すると重量軽減スキルのおかげで持てることは持てるけれど、重すぎてまともに戦えそうになかった。
多分俺が振ったら、遠心力に負けて振り回されちゃうだろうな。
さて、アウターレア武器だろうし、とりあえず鑑定してみるか。
タイニームーン
乱れ砕月 物理攻撃力上昇+ 無し 無し 無し
「ふぅん? 乱れ砕月?」
専用ウェポンスキルありのアウターレア武器か。アタリかな?
でも武器自体はアタリでも、うちじゃあ使う人が居ないな……。
ティムルが斧を用意する前だったら良かったのにぃ。
「せっかくの武器だけど使い手が居ないね。フラッタとティムルも使わないんでしょ?」
「うむ。妾はあくまで剣士じゃからな。剣以外の得物は好かぬのじゃ」
「フラッタちゃんに同じ。ウェポンスキルは気になるけど、グランドドラゴンアクスで充分だからね。私が受け取っても存分に振るってあげられる自信が無いわ」
案の定、フラッタもティムルもタイニームーンの使用を辞退する。
うーん。残念だけどインベントリの肥やしかなぁ? 合わない武器を無理に使っても仕方ない。
フラッタから受け取ったタイニームーンを、そのままインベントリに収納する。
「それよりアウラ、貴女大丈夫?」
「えっ……?」
結構重度の魔力枯渇を起こしたはずのティムルだけど、会話しているうちに回復したのか、熱視を発動してアウラの顔を覗き込んでくる。
アウラの救出には成功したと思うんだけど、ティムルはまだ何か引っかかってるのか?
「もし辛くなって来たら言いなさいよ? 貴女は今消耗してるんだから、変な遠慮は要らないからね?」
「う、うん……。大丈夫だよ。ありがとうティムル」
俺にお姫様抱っこされているアウラが、心配無いよとティムルに笑顔を返している。
外傷も無いし、現在は魔力を使用しているわけでもない。アウラは完全に安静の状態だ。
なのにティムルは何を心配したんだ? ティムルは熱視で何を見た?
「ティムル。今のはどう……」
「し~っ」
問いかけようとする俺の様子を察して、唇に人差し指を当てて沈黙の意思表示をするティムル。
隠し事をしていることは隠さないけど、秘密にしていることは教えてくれないってこと?
「ごめんねダン。ちょっと説明が長くなりそうだからここを出てからにさせてちょうだい。ダンにも関わってくる話だから説明しないわけにもいかないしね」
「俺に関わってくる? ……良く分からないけど了解。今は無事ここから脱出することだけを考えるよ」
ティムルが今話せないと言うならその判断に従おう。
でも、他のみんなからも異論が無さそうなところを見ると、俺以外には既に共有してある情報なのかな?
「今頃カイメンが周辺警戒を解除してると思うけれど、出来ればアウラを見られること無く脱出したいね」
「ならもう少し待つべきだね。せっかくだからその間に、ぼくからアウラに話をさせてくれる? ガルクーザが討伐されてから、今に至るまでの話をさ」
アウターの外の人払いが済むまである程度時間がかかると見たリーチェから、ここまでの経緯をアウラに説明したいと提案を受ける。
ガルクーザが居た当時から今まで生きてきたリーチェなら、アウラへの説明役に適任だろう。
リーチェに頷きを返して説明を一任する。
「それじゃ聞いてアウラ。姉さんのこと、君が眠っている間のこと、そしてぼくとみんなとの出会いの話を……」
偽りの英雄譚と、ガルクーザとの戦いの結果をアウラに説明するリーチェ。
やはりアウラはガルクーザが滅ぼされたことまでは知っていたけれど、その後の事については一切何も知らなかったようだ。
「リーチェお姉ちゃんも居なくなったのなら、この世界で私を知っている人はもう誰も居ないんだね……」
始界の王笏を使用したことでガルクーザと相打ちになった蒼穹の盟約の話になった時も、アウラは黙って俺にしがみ付く手の力を強めただけだった。
まだ10歳のアウラは、一体どれ程苛酷な時代を生き抜いていたんだろうな……。
「そう考えると、あそこで偶然みんなと出会えたのはラッキーだったのかな……」
「うん。ぼくたちはかつての君の事は知らないけれど、これから君と一緒に生きていくことは出来ると思うんだ」
俯きかけたアウラの頭を優しく撫でるリーチェ。
その姿はまるで、妹の身を案じる姉の姿のように思えた。
「ぼく達と一緒に生きていこうアウラ。絶対に幸せなのは保証するからさっ」
「……あは。眠りに就く前はみんなどこか暗い表情をしてたのに、リュートは本当に幸せそうだね?」
幸せなのは断言できるよと、ぶるんっとおっぱいを弾ませて胸を張るリーチェ。
思わずそのおっぱいに手を伸ばしたくなったけれど、ギリギリアウラの存在を思いだして踏み止まった。
「あっと……。みんなのお世話になるのはありがたいんだけど、私もリュートのこと、リーチェって呼んだほうがいいのかな?」
「……そう、だねぇ。アウラがどうしても嫌じゃなければ、家の外ではリーチェって呼んでもらった方が無難かな。ぼくは姉さんの妹のリュートだけど、世間的には建国の英雄リーチェでもあるわけだからね」
両手首に嵌められた世界樹の護りを見せながら、アウラに微笑むリーチェ。
コイツがリーチェでもリュートでもあるのは、世界樹の護りが証明してくれているからな。
「さてみんな、そろそろ出ようか」
リーチェの説明で結構な時間が経ったし、そろそろ外に出てもいい頃かな?
こんな辛気臭い場所じゃなくて、花満開の華やかな我が家に早くアウラを招待してあげないと。
「それじゃアウラ、お前を正式に我が家に招待させてもらうね。あの時紹介できなかった家族も改めて紹介させてくれるかな?」
「うんっ。私もみんなの家に行きたいっ! ……けど、あの時の女の人全員がダンのお嫁さんだなんて思わなかったなぁ。確か10人くらい居なかったー?」
俺に抱きついたままでからかうように聞いてくるアウラ。
ま、まだギリギリ10人じゃないし! リーチェとリュートをカウントしたら10人になっちゃうけどっ!
アウラを抱き上げたまま、みんな一緒に暴王のゆりかごから脱出する。
アウターの外には既に見張りのドワーフたちは居なくなっていて、不機嫌そうにこちらを睨みつけているカイメンだけが残っていた。
「……言われた通り、アウターへの立ち入り禁止令の解除を通達したぞ。間もなく業を煮やした魔物狩りたちが押し寄せるだろうな」
「そっか。それじゃお前は逃亡、自傷、アウラとその研究に関する情報の開示、共有、記録を全面禁止。他人様に迷惑をかけないようにひっそりと静かに暮らしてろ。これ当面の生活費な」
「……なに?」
大雑把な指示を出しながら、金貨を20枚ほどカイメンに手渡す。
正直カイメンを生かしておく必要性をあまり感じていないんだけど、クラクラットの実質的なトップであった研究者達が軒並み消えてしまった現状、ドワーフ族の舵を取る誰かが必要だと思ったのだ。
まぁ事が落ち着いたら、人知れずこの地を去ってもらう事になるかもしれないけどね。その時はゴブトゴさんあたりに引き取ってもらおう。
「そ、それだけ……? しかもこの場に放置していく気なのか……?」
意外そうな表情で金貨を受け取るカイメン。
奴隷契約を強いられたのに劣悪な扱いをされなくて拍子抜けしてるのかな?
でも、こっちはお前のことなんか興味無いんだよね。アウラさえ幸せになってもらえればそれでいいんだ。
既に時刻は日没を向かえ、他のみんなも帰宅している頃だろう。早くアウラにみんなを紹介してあげなきゃなっ。
「『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし……』」
「あ、ちょっと待って!」
「へ?」
自宅に転移しようとした俺に、ティムルが慌てた様子で待ったをかけてくる。
「ごめんダン。今日は別荘の方に向かってくれる? ムーリたちの事も呼んでくるから」
「そうなの? 俺は別に構わないけど……」
自宅じゃなくて別荘に向かうのか。
つまりアウラに関する話はチャールとシーズにも聞かせられない、とティムルが判断したわけか。
……せっかくアウラを暴王のゆりかごの外に連れ出すことには成功したってのに、まだ何か解決すべき問題が残ってるのかよ?
俺の腕の中で大人しくしているアウラにはなんの問題も無さそうに見えるんだけどな……。
「ってことでアウラ。自宅じゃなくて別荘に案内するね」
「別荘……。ダンたちってお金持ちなんだ?」
「暴王のゆりかごの最深部に力ずくで押し入る程度には力のある魔物狩りだよ。『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル』」
改めてポータルを発動しなおし、俺達は別荘に転移した。
当然カイメンは放置だ。金貨20枚もあるんだからどうとでもなるだろ。
「おっきーーーーっ! これが別荘なのっ……!?」
ニーナが建てた別荘を初めて見たアウラは、その大きさに面食らいながらもテンションが上がっている。
クラクラットの建物はボロ屋が多かったからな。普通の人よりも驚きが大きいのかもしれない。
「こことは別に自宅があるの!? みんな凄いんだねーっ!?」
「ようこそアウラ! 貴女も自分の家だと思って寛いで欲しいのっ」
純粋に感動しているアウラを、とても嬉しそうに歓迎するニーナ。
そりゃあ自分が建てた家を見てこんなにはしゃがれたら歓迎するしかないよなぁ。
「それじゃ私はムーリ達を呼んでくるの。ついでに食材も買い込んでくるから、みんなでお夕食の準備もしようね。アウラも食事の準備、手伝ってくれる?」
「もっちろん! と言っても、私はお料理なんてしたことないけどねっ」
アウラは調理経験無しか。
蒼穹の盟約に引き取られたとか言ってたけど、その時にも家事はしなかっただなぁ。
ニーナの転移を見送ってから、アウラを抱っこしたまま別荘に足を踏み入れた。
「あっはははははっ! なにこれーっ!?」
俺に抱っこされたまま、物珍しそうに家の中をキョロキョロと見回しているアウラ。
アウラが楽しそうで何よりですね。
「内装は外観以上に変わってるんだねっ? なんで寝室が家の真ん中におかれてるのーっ? あはははははっ!」
「この家を建てたのはニーナだから、質問は全てニーナにお願いするよ」
まぁ返答は18禁な理由だと思いますけどね?
ベッドに腰掛けてアウラをよしよしなでなでしてやると、アウラも嬉しそうに思い切り抱きついてきてくれる。
可愛いなこいつ。なんか人懐っこい小動物みたいだ。
「ただいまなのーっ!」
「お、帰ってきたね」
小動物アウラと末っ子フラッタをよしよしなでなでしていると、ニーナが他のみんなを連れて戻ってきた。
その手には凄まじい量の食材が握られている。
「さぁダン! アウラ! みんなでお夕食を準備するのっ」
「勿論お手伝いはさせてもらうけど、役に立てるかなぁ……? かえって邪魔になるかも~……」
「ここの炊事場はかなり広いからね。細身のアウラが邪魔になることなんてないよ」
「ほらほらアウラ。早く行くよっ。世界一かっこいいダンに抱っこされていたい気持ちは分かるけど、アウラにも手伝ってもらうんだからねーっ?」
ニーナのひと声で、家族総出で夕食の準備がスタートする。
料理初心者であるアウラには俺が付きっ切りで指導して、簡単な調理補助をしてもらう。
慣れない包丁の扱いに悪戦苦闘しながら、ムーリやラトリアたちとも挨拶を済ませるアウラ。
「アウラさんもダンさんの家族になるんでしたら、私達とも家族って事にありますからねっ。お嫁さん同士、どうか対等に接してくださいねっ」
「ちょっと待てーいっ! ムーリ、アウラを嫁に迎えた覚えはないっての! 大体アウラってまだ10歳なんだから婚姻契約結べないんだからなっ!?」
って、思わずムーリに突っ込んでしまったけど……。
この言い方じゃ、年齢さえクリアできれば婚姻契約を結ぶって意味になりかねないな?
ムーリのお嫁さん発言にキョトンとした表情を返すアウラ。
家族イコールお嫁さんという発想に、アウラはピンと来てないみたいだ。まだ10歳だもんなぁ。
危うい発現をしたムーリのおっぱいを、お仕置きのつもりでむにゅむにゅと揉み込む。ああ超柔らかい……!
今日はアウラと一緒だったからあまりエロいこと出来なかったもんなぁ。相変わらずムーリのおっぱいは最高だよぉ。
ムーリのおっぱいを両手で思う存分揉みしだきながら、ニーナが持ち込んでくれたホットサンドメーカーを使って沢山の料理を完成させた。
料理が完成し、フラッタが全員のお茶を淹れてくれて準備万端で席に着く。
「さぁ早速食べましょう……って、言いたいところなんだけど……」
出来たてのアツアツのうちにいただこうといただきますの宣言をしようとしたところ、先に口を開いたティムルに待ったをかけられてしまう。
そしてやはり熱視を発動させ、心配そうな表情を浮かべてアウラの顔を覗き込むティムル。
「アウラ、体調は大丈夫? 具合の悪さとか感じてないかしら?」
「んー……、やっぱり別になんともないよ? ティムルは心配性なんだねっ」
問いかけるティムルに笑顔を返しながら、待ちきれないとばかりに料理を口にし、おいし~っ! と小躍りするアウラ。
ちなみに調理が終わった後にまた俺に抱きついてきたので、アウラは今も俺の膝の上に座った状態で踊っていたりする。
「……心配性って言うか、私の目が捉えた情報なんだけどね? アウラの魔力、自然に回復してないみたいなのよ」
「魔力が回復していない?」
ティムルが教えてくれた事実に、申し訳ないことにピンと来なかった。
だってこの世界に来てから、魔力が自然回復しなかったシチュエーションなんて体験したことが無かったから。
「恐らくアウラの凄まじい戦闘力の代償だと思うのだけど、アウラはダンに抱っこされて一切動いてなかったときですら、まるで魔法を使っているみたいな量の魔力を放出し続けていたのよ」
「……回復どころか、常に魔力を放出しているって? どういうこと?」
「これは私の推論だけど……」
ティムルは少しだけ……。
この場の雰囲気が壊れない程度に真剣な表情を作って説明を始めてくれる。
「恐らく完全な存在であるアウラは、ただ生きるだけでも相当な魔力を必要としているんじゃないかしら? アウラの規格外さを考えると、何のリスクも背負わずに生活出来るほうが不思議でしょ?」
「……リス、ク?」
ティムルの言い分に、流石のアウラも食事の手を止めて聞き入っている。
いや真面目に聞き入るのはいいけれど、お前当事者なんだからな? 魔力が回復していないらしいのに、なんでなんともなさそうな顔してるのさ?
「今は平気そうにしてるけど、恐らくそのうちアウラは魔力枯渇を起こしちゃうと思うの。だけど魔力が常に放出されてしまうアウラは、自然に魔力枯渇の状態から回復することが出来ない。何らかの方法で魔力を回復してやる必要があるの」
「え、でも魔力回復の手段って無いんじゃなかったっけ? あ、俺とティムルがアウラとパーティを組んで、自動回復スキルを重複させるの?」
「そうね。もしくは装備品に魔力自動回復を複数つけて対処するとかかしら」
なるほど。装備品に魔力回復スキルを付与するのか。
職業にしろ装備品にしろ、魔力回復はスキルに頼らざるをえないってことだね。万能の霊薬エリクシールなら魔力も回復できるのかもしれないけど。
「……だけどねダン。その事について、ニーナちゃんから1つ提案されたの」
「ニーナの提案……?」
「ええ。そのニーナちゃんのアイディアなんだけど……」
物凄く言い難そうにしているティムルの様子に、なんだか嫌な予感が止まらない。
ニーナが提案してティムルがゴーサインを出すようなアイディアなんだから、俺とアウラに危険が及ぶような方法だとも思えないけど……。
ティムルの様子に身構えた俺とアウラだったけど、ティムルの口から発せられた内容は、俺の覚悟を軽々と突破する衝撃的な内容だった。
「……ダン、貴方このあとアウラの事を抱いてあげて欲しいの。1人の女性として、ね」
「「ぶーーっ!?」」
真剣な表情には似つかわしくないティムルの言葉に、俺とアウラは同時に料理を吹き出してしまった。
なんで結局エロに辿り着くんだよぉ!? 絶対そういう流れじゃなかったでしょ今!? おかしいってこの世界!!
抱きかかえているアウラにひと言断ってから、隷属化したカイメンと共に暴王のゆりかごを脱出する。
とりあえずカイメンには、暴王のゆりかごの探索禁止を解除すること、アウラに関する情報の開示、提供、記録を全面禁止して、クラクラットの後始末を担当させることにした。
「アウラのことは勿論、俺達のことも他言無用だ。それさえ守ってりゃ普通に暮らしてていいよ。そのうち連行しちゃうと思うけどね」
「く……くそぉ……!」
悔しそうな表情を浮かべるカイメンを先に脱出させて、外に居る大量のドワーフたちの対応をさせる。
カイメンの指示で暴王のゆりかごの立ち入り禁止が解除されれば、この周辺を見回る必要も無くなるだろうからな。
「そうじゃダン。忘れぬうちにこれを渡しておくのじゃ」
「へ?」
カイメンが外で対応している時間、暴王のゆりかご内で待機している俺に、巨大なハンマーのようなモノを差し出すフラッタ。
……なんだこれ? 何かも分からないし、いつの間にフラッタがこんなモノを手に入れたのかも分からない。
「何をピンと来ない顔をしておるのじゃ。これはタイニーコロッサスを滅した時に出てきた打撃武器なのじゃ。タイニームーンというらしいのじゃ」
「あーっ! 今回のイントルーダーはドロップアイテムを落としたわけかぁ。そうだよな、造魔召喚されたわけじゃないもんなぁ」
主にノーリッテのせいで、イントルーダー戦は無報酬のイメージがついてしまっていたよ。
フラッタのドラゴンイーターだって竜王からドロップしたっていうのに、うっかりしてたわ~。
しかしなフラッタ。ティムルの背丈すら越えそうな巨大なハンマーを、渡しておくのじゃ、なんて軽いノリで差し出されても困っちゃうんだけど?
なんで金属製の巨大ハンマーを涼しい顔をして片手で差し出してくるんだ? この無双将軍めっ。
「お、俺にも持てるのかなぁ? 持てなかったらそのままインベントリに仕舞えばいいけど」
アウラを抱きかかえたままなので、仕方なく俺も片手でハンマーを受け取ってみる。
すると重量軽減スキルのおかげで持てることは持てるけれど、重すぎてまともに戦えそうになかった。
多分俺が振ったら、遠心力に負けて振り回されちゃうだろうな。
さて、アウターレア武器だろうし、とりあえず鑑定してみるか。
タイニームーン
乱れ砕月 物理攻撃力上昇+ 無し 無し 無し
「ふぅん? 乱れ砕月?」
専用ウェポンスキルありのアウターレア武器か。アタリかな?
でも武器自体はアタリでも、うちじゃあ使う人が居ないな……。
ティムルが斧を用意する前だったら良かったのにぃ。
「せっかくの武器だけど使い手が居ないね。フラッタとティムルも使わないんでしょ?」
「うむ。妾はあくまで剣士じゃからな。剣以外の得物は好かぬのじゃ」
「フラッタちゃんに同じ。ウェポンスキルは気になるけど、グランドドラゴンアクスで充分だからね。私が受け取っても存分に振るってあげられる自信が無いわ」
案の定、フラッタもティムルもタイニームーンの使用を辞退する。
うーん。残念だけどインベントリの肥やしかなぁ? 合わない武器を無理に使っても仕方ない。
フラッタから受け取ったタイニームーンを、そのままインベントリに収納する。
「それよりアウラ、貴女大丈夫?」
「えっ……?」
結構重度の魔力枯渇を起こしたはずのティムルだけど、会話しているうちに回復したのか、熱視を発動してアウラの顔を覗き込んでくる。
アウラの救出には成功したと思うんだけど、ティムルはまだ何か引っかかってるのか?
「もし辛くなって来たら言いなさいよ? 貴女は今消耗してるんだから、変な遠慮は要らないからね?」
「う、うん……。大丈夫だよ。ありがとうティムル」
俺にお姫様抱っこされているアウラが、心配無いよとティムルに笑顔を返している。
外傷も無いし、現在は魔力を使用しているわけでもない。アウラは完全に安静の状態だ。
なのにティムルは何を心配したんだ? ティムルは熱視で何を見た?
「ティムル。今のはどう……」
「し~っ」
問いかけようとする俺の様子を察して、唇に人差し指を当てて沈黙の意思表示をするティムル。
隠し事をしていることは隠さないけど、秘密にしていることは教えてくれないってこと?
「ごめんねダン。ちょっと説明が長くなりそうだからここを出てからにさせてちょうだい。ダンにも関わってくる話だから説明しないわけにもいかないしね」
「俺に関わってくる? ……良く分からないけど了解。今は無事ここから脱出することだけを考えるよ」
ティムルが今話せないと言うならその判断に従おう。
でも、他のみんなからも異論が無さそうなところを見ると、俺以外には既に共有してある情報なのかな?
「今頃カイメンが周辺警戒を解除してると思うけれど、出来ればアウラを見られること無く脱出したいね」
「ならもう少し待つべきだね。せっかくだからその間に、ぼくからアウラに話をさせてくれる? ガルクーザが討伐されてから、今に至るまでの話をさ」
アウターの外の人払いが済むまである程度時間がかかると見たリーチェから、ここまでの経緯をアウラに説明したいと提案を受ける。
ガルクーザが居た当時から今まで生きてきたリーチェなら、アウラへの説明役に適任だろう。
リーチェに頷きを返して説明を一任する。
「それじゃ聞いてアウラ。姉さんのこと、君が眠っている間のこと、そしてぼくとみんなとの出会いの話を……」
偽りの英雄譚と、ガルクーザとの戦いの結果をアウラに説明するリーチェ。
やはりアウラはガルクーザが滅ぼされたことまでは知っていたけれど、その後の事については一切何も知らなかったようだ。
「リーチェお姉ちゃんも居なくなったのなら、この世界で私を知っている人はもう誰も居ないんだね……」
始界の王笏を使用したことでガルクーザと相打ちになった蒼穹の盟約の話になった時も、アウラは黙って俺にしがみ付く手の力を強めただけだった。
まだ10歳のアウラは、一体どれ程苛酷な時代を生き抜いていたんだろうな……。
「そう考えると、あそこで偶然みんなと出会えたのはラッキーだったのかな……」
「うん。ぼくたちはかつての君の事は知らないけれど、これから君と一緒に生きていくことは出来ると思うんだ」
俯きかけたアウラの頭を優しく撫でるリーチェ。
その姿はまるで、妹の身を案じる姉の姿のように思えた。
「ぼく達と一緒に生きていこうアウラ。絶対に幸せなのは保証するからさっ」
「……あは。眠りに就く前はみんなどこか暗い表情をしてたのに、リュートは本当に幸せそうだね?」
幸せなのは断言できるよと、ぶるんっとおっぱいを弾ませて胸を張るリーチェ。
思わずそのおっぱいに手を伸ばしたくなったけれど、ギリギリアウラの存在を思いだして踏み止まった。
「あっと……。みんなのお世話になるのはありがたいんだけど、私もリュートのこと、リーチェって呼んだほうがいいのかな?」
「……そう、だねぇ。アウラがどうしても嫌じゃなければ、家の外ではリーチェって呼んでもらった方が無難かな。ぼくは姉さんの妹のリュートだけど、世間的には建国の英雄リーチェでもあるわけだからね」
両手首に嵌められた世界樹の護りを見せながら、アウラに微笑むリーチェ。
コイツがリーチェでもリュートでもあるのは、世界樹の護りが証明してくれているからな。
「さてみんな、そろそろ出ようか」
リーチェの説明で結構な時間が経ったし、そろそろ外に出てもいい頃かな?
こんな辛気臭い場所じゃなくて、花満開の華やかな我が家に早くアウラを招待してあげないと。
「それじゃアウラ、お前を正式に我が家に招待させてもらうね。あの時紹介できなかった家族も改めて紹介させてくれるかな?」
「うんっ。私もみんなの家に行きたいっ! ……けど、あの時の女の人全員がダンのお嫁さんだなんて思わなかったなぁ。確か10人くらい居なかったー?」
俺に抱きついたままでからかうように聞いてくるアウラ。
ま、まだギリギリ10人じゃないし! リーチェとリュートをカウントしたら10人になっちゃうけどっ!
アウラを抱き上げたまま、みんな一緒に暴王のゆりかごから脱出する。
アウターの外には既に見張りのドワーフたちは居なくなっていて、不機嫌そうにこちらを睨みつけているカイメンだけが残っていた。
「……言われた通り、アウターへの立ち入り禁止令の解除を通達したぞ。間もなく業を煮やした魔物狩りたちが押し寄せるだろうな」
「そっか。それじゃお前は逃亡、自傷、アウラとその研究に関する情報の開示、共有、記録を全面禁止。他人様に迷惑をかけないようにひっそりと静かに暮らしてろ。これ当面の生活費な」
「……なに?」
大雑把な指示を出しながら、金貨を20枚ほどカイメンに手渡す。
正直カイメンを生かしておく必要性をあまり感じていないんだけど、クラクラットの実質的なトップであった研究者達が軒並み消えてしまった現状、ドワーフ族の舵を取る誰かが必要だと思ったのだ。
まぁ事が落ち着いたら、人知れずこの地を去ってもらう事になるかもしれないけどね。その時はゴブトゴさんあたりに引き取ってもらおう。
「そ、それだけ……? しかもこの場に放置していく気なのか……?」
意外そうな表情で金貨を受け取るカイメン。
奴隷契約を強いられたのに劣悪な扱いをされなくて拍子抜けしてるのかな?
でも、こっちはお前のことなんか興味無いんだよね。アウラさえ幸せになってもらえればそれでいいんだ。
既に時刻は日没を向かえ、他のみんなも帰宅している頃だろう。早くアウラにみんなを紹介してあげなきゃなっ。
「『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし……』」
「あ、ちょっと待って!」
「へ?」
自宅に転移しようとした俺に、ティムルが慌てた様子で待ったをかけてくる。
「ごめんダン。今日は別荘の方に向かってくれる? ムーリたちの事も呼んでくるから」
「そうなの? 俺は別に構わないけど……」
自宅じゃなくて別荘に向かうのか。
つまりアウラに関する話はチャールとシーズにも聞かせられない、とティムルが判断したわけか。
……せっかくアウラを暴王のゆりかごの外に連れ出すことには成功したってのに、まだ何か解決すべき問題が残ってるのかよ?
俺の腕の中で大人しくしているアウラにはなんの問題も無さそうに見えるんだけどな……。
「ってことでアウラ。自宅じゃなくて別荘に案内するね」
「別荘……。ダンたちってお金持ちなんだ?」
「暴王のゆりかごの最深部に力ずくで押し入る程度には力のある魔物狩りだよ。『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル』」
改めてポータルを発動しなおし、俺達は別荘に転移した。
当然カイメンは放置だ。金貨20枚もあるんだからどうとでもなるだろ。
「おっきーーーーっ! これが別荘なのっ……!?」
ニーナが建てた別荘を初めて見たアウラは、その大きさに面食らいながらもテンションが上がっている。
クラクラットの建物はボロ屋が多かったからな。普通の人よりも驚きが大きいのかもしれない。
「こことは別に自宅があるの!? みんな凄いんだねーっ!?」
「ようこそアウラ! 貴女も自分の家だと思って寛いで欲しいのっ」
純粋に感動しているアウラを、とても嬉しそうに歓迎するニーナ。
そりゃあ自分が建てた家を見てこんなにはしゃがれたら歓迎するしかないよなぁ。
「それじゃ私はムーリ達を呼んでくるの。ついでに食材も買い込んでくるから、みんなでお夕食の準備もしようね。アウラも食事の準備、手伝ってくれる?」
「もっちろん! と言っても、私はお料理なんてしたことないけどねっ」
アウラは調理経験無しか。
蒼穹の盟約に引き取られたとか言ってたけど、その時にも家事はしなかっただなぁ。
ニーナの転移を見送ってから、アウラを抱っこしたまま別荘に足を踏み入れた。
「あっはははははっ! なにこれーっ!?」
俺に抱っこされたまま、物珍しそうに家の中をキョロキョロと見回しているアウラ。
アウラが楽しそうで何よりですね。
「内装は外観以上に変わってるんだねっ? なんで寝室が家の真ん中におかれてるのーっ? あはははははっ!」
「この家を建てたのはニーナだから、質問は全てニーナにお願いするよ」
まぁ返答は18禁な理由だと思いますけどね?
ベッドに腰掛けてアウラをよしよしなでなでしてやると、アウラも嬉しそうに思い切り抱きついてきてくれる。
可愛いなこいつ。なんか人懐っこい小動物みたいだ。
「ただいまなのーっ!」
「お、帰ってきたね」
小動物アウラと末っ子フラッタをよしよしなでなでしていると、ニーナが他のみんなを連れて戻ってきた。
その手には凄まじい量の食材が握られている。
「さぁダン! アウラ! みんなでお夕食を準備するのっ」
「勿論お手伝いはさせてもらうけど、役に立てるかなぁ……? かえって邪魔になるかも~……」
「ここの炊事場はかなり広いからね。細身のアウラが邪魔になることなんてないよ」
「ほらほらアウラ。早く行くよっ。世界一かっこいいダンに抱っこされていたい気持ちは分かるけど、アウラにも手伝ってもらうんだからねーっ?」
ニーナのひと声で、家族総出で夕食の準備がスタートする。
料理初心者であるアウラには俺が付きっ切りで指導して、簡単な調理補助をしてもらう。
慣れない包丁の扱いに悪戦苦闘しながら、ムーリやラトリアたちとも挨拶を済ませるアウラ。
「アウラさんもダンさんの家族になるんでしたら、私達とも家族って事にありますからねっ。お嫁さん同士、どうか対等に接してくださいねっ」
「ちょっと待てーいっ! ムーリ、アウラを嫁に迎えた覚えはないっての! 大体アウラってまだ10歳なんだから婚姻契約結べないんだからなっ!?」
って、思わずムーリに突っ込んでしまったけど……。
この言い方じゃ、年齢さえクリアできれば婚姻契約を結ぶって意味になりかねないな?
ムーリのお嫁さん発言にキョトンとした表情を返すアウラ。
家族イコールお嫁さんという発想に、アウラはピンと来てないみたいだ。まだ10歳だもんなぁ。
危うい発現をしたムーリのおっぱいを、お仕置きのつもりでむにゅむにゅと揉み込む。ああ超柔らかい……!
今日はアウラと一緒だったからあまりエロいこと出来なかったもんなぁ。相変わらずムーリのおっぱいは最高だよぉ。
ムーリのおっぱいを両手で思う存分揉みしだきながら、ニーナが持ち込んでくれたホットサンドメーカーを使って沢山の料理を完成させた。
料理が完成し、フラッタが全員のお茶を淹れてくれて準備万端で席に着く。
「さぁ早速食べましょう……って、言いたいところなんだけど……」
出来たてのアツアツのうちにいただこうといただきますの宣言をしようとしたところ、先に口を開いたティムルに待ったをかけられてしまう。
そしてやはり熱視を発動させ、心配そうな表情を浮かべてアウラの顔を覗き込むティムル。
「アウラ、体調は大丈夫? 具合の悪さとか感じてないかしら?」
「んー……、やっぱり別になんともないよ? ティムルは心配性なんだねっ」
問いかけるティムルに笑顔を返しながら、待ちきれないとばかりに料理を口にし、おいし~っ! と小躍りするアウラ。
ちなみに調理が終わった後にまた俺に抱きついてきたので、アウラは今も俺の膝の上に座った状態で踊っていたりする。
「……心配性って言うか、私の目が捉えた情報なんだけどね? アウラの魔力、自然に回復してないみたいなのよ」
「魔力が回復していない?」
ティムルが教えてくれた事実に、申し訳ないことにピンと来なかった。
だってこの世界に来てから、魔力が自然回復しなかったシチュエーションなんて体験したことが無かったから。
「恐らくアウラの凄まじい戦闘力の代償だと思うのだけど、アウラはダンに抱っこされて一切動いてなかったときですら、まるで魔法を使っているみたいな量の魔力を放出し続けていたのよ」
「……回復どころか、常に魔力を放出しているって? どういうこと?」
「これは私の推論だけど……」
ティムルは少しだけ……。
この場の雰囲気が壊れない程度に真剣な表情を作って説明を始めてくれる。
「恐らく完全な存在であるアウラは、ただ生きるだけでも相当な魔力を必要としているんじゃないかしら? アウラの規格外さを考えると、何のリスクも背負わずに生活出来るほうが不思議でしょ?」
「……リス、ク?」
ティムルの言い分に、流石のアウラも食事の手を止めて聞き入っている。
いや真面目に聞き入るのはいいけれど、お前当事者なんだからな? 魔力が回復していないらしいのに、なんでなんともなさそうな顔してるのさ?
「今は平気そうにしてるけど、恐らくそのうちアウラは魔力枯渇を起こしちゃうと思うの。だけど魔力が常に放出されてしまうアウラは、自然に魔力枯渇の状態から回復することが出来ない。何らかの方法で魔力を回復してやる必要があるの」
「え、でも魔力回復の手段って無いんじゃなかったっけ? あ、俺とティムルがアウラとパーティを組んで、自動回復スキルを重複させるの?」
「そうね。もしくは装備品に魔力自動回復を複数つけて対処するとかかしら」
なるほど。装備品に魔力回復スキルを付与するのか。
職業にしろ装備品にしろ、魔力回復はスキルに頼らざるをえないってことだね。万能の霊薬エリクシールなら魔力も回復できるのかもしれないけど。
「……だけどねダン。その事について、ニーナちゃんから1つ提案されたの」
「ニーナの提案……?」
「ええ。そのニーナちゃんのアイディアなんだけど……」
物凄く言い難そうにしているティムルの様子に、なんだか嫌な予感が止まらない。
ニーナが提案してティムルがゴーサインを出すようなアイディアなんだから、俺とアウラに危険が及ぶような方法だとも思えないけど……。
ティムルの様子に身構えた俺とアウラだったけど、ティムルの口から発せられた内容は、俺の覚悟を軽々と突破する衝撃的な内容だった。
「……ダン、貴方このあとアウラの事を抱いてあげて欲しいの。1人の女性として、ね」
「「ぶーーっ!?」」
真剣な表情には似つかわしくないティムルの言葉に、俺とアウラは同時に料理を吹き出してしまった。
なんで結局エロに辿り着くんだよぉ!? 絶対そういう流れじゃなかったでしょ今!? おかしいってこの世界!!
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