異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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5章 王国に潜む悪意3 世界を呪う者

339 心配 (改)

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 今日の戦いを労うようにみんなと肌を重ねていると、ティムルが少し言い出しにくそうに話しかけてくる。


「……ねぇダン。このあと少しダン抜きでみんなと話したい事があるんだけど……。ダメかしらぁ……?」


 俺の様子を窺うように上目遣いのお姉さん可愛い! じゃなくて。


 別に何もダメなことはないんだけど、ティムルがそんなこと言うの珍しいね?

 ティムルが俺に聞かせるべきじゃないなって判断したなら、逆らう理由は無いけどね。


「全然問題ないけど、時間かかっちゃうかな? 実は俺も今日中にみんなに話しておきたい事があるんだけど」

「あ、そうなんだ? えと、私の話の方はそんなに時間はかからないと思うわ。報告に近い形になると思うから。ダンも話があるなら、なるべく手短に済ませるわね」

「ううん。気にしなくていいよ。俺は寝なくても平気なくらいだし。っと、ちょっと待ってね」

「あっあっあぁっ……! 私の中で、ダンさんがドクンって脈打ってぇ……!」


 ティムルとの会話を中断し、繋がったエマの腰をしっかり掴んで引き寄せる。

 ほーらエマ。今エマの中にいっぱい流し込んであげてるの分かるかなー?


 彼女の中を隙間なく埋めて、少し膨らんだエマの下腹部を手のひらで優しくなでなでする。


「気持ちよかったよエマ。エマのここ、俺でいっぱいになっちゃったね?」

「はぁぁんっ……! 今お腹擦っちゃダメぇっ……!」

「今日はお疲れ様。少し休んでてね。さ、次はリーチェの番だよー」


 お腹いっぱいにしてあげたエマを解放し、リーチェを呼んで抱きしめる。

 俺の胸に収まって、不思議そうに首を傾げるリーチェ。可愛いなぁもう。


「ダン? どうしたの?」

「リーチェ。俺の話っていうのはお前が抱えている事情のことなんだ。俺はメナスに、スペルド王国建国の真実も、ガルクーザと蒼穹の盟約の話も聞いたんだよ」

「……っ」


 俺の腕の中でリーチェの体が強張ったのが分かる。

 そんなリーチェを安心させたくて、彼女の頬にキスをする。


「安心して。お前が俺の愛する女であることは変わらないし、お前を生涯愛することに違いは無いから。でもお前の事情を解決する為に、家族のみんなにもお前の背負っているものを説明したいと思ってるんだ。ダメかな?」


 永遠の愛を誓うために、舌を入れないキスをする。

 強張ったリーチェの体から力が抜けるまで、ただ黙って抱きしめて唇を重ね続ける。


 次第にリーチェの体から力が抜け、彼女も両手を俺の背中に回して抱きついてくる。落ち着いてくれたかな?


「お前の事情を知っても、俺もみんなも何も変わらないさ。みんなお前の事が大好きで、お前を大切に想う家族であることに変わりはないよ。でもさ……」


 リーチェの秘所に手を這わせ、彼女の中にゆっくり指を入れていく。

 刺激は与えない。快感は会話の妨げになっちゃうから。


「あっ……! ダ、ダンっ! この流れでそんなっ……!?」


 俺の行動が予想外だったのか、少し焦っているリーチェの瞳を真っ直ぐに見詰める。


「もう俺、お前と1つになれないなんて我慢できそうにないんだ。お前の中に指しか入れられないなんて気が狂っちゃいそうだよ」


 ……本当にリーチェは綺麗だ。だからもう我慢の限界なんだ。

 リーチェの全てを愛してやれないなんて、そんなのもう嫌なんだ。


「俺がお前の全てを丸ごと愛する為に……。リーチェのこと、みんなに話させて欲しい」

「あ……」


 俺の言葉を聞いたリーチェは、なんだかボーっとしてしまってリアクションを返してくれない。

 けれど彼女の体内に侵入中の指は強く締め付けられていて、俺の言葉が届いていないわけじゃなさそうだ。


 リーチェはボーっとした表情のまま顔を近づけてきて、そのまま俺にキスをした。


「……君はいっつもそう。ぼくを助ける為じゃなくて、自分がしたいからって嘯くんだ……」


 呆れたような、でもなんだか嬉しそうな表情をするリーチェ。

 ただでさえ世界一綺麗なリーチェが、なんだかいつもの5割増しで可愛く見えるよ。


「勿論みんなにも知って欲しい。でもぼくからは話せないから……、ダンにお願いするね」

「ああ。任せてくれ。お前の人生、全て任せてくれていいからな」

「あはっ。ぼくの事情をみんなに知ってもらえたら、とうとうぼくのことも抱いてくれるってことだよね? 楽しみすぎて、ぼくの方こそ頭がどうにかなっちゃいそうだよぅ……!」


 リーチェと抱き合い、お互いの鼓動を確かめ合う。

 エロボディの感触に興奮を覚えるけれど、リーチェの鼓動に安心感も覚える。


 ようやく、ようやくここまで来たんだ。

 もう少しで俺は、リーチェの全てを愛してあげることが出来るんだ……!


 リーチェと抱き合ったまま、ティムルに声をかける。


「というわけで、俺からの話はリーチェの事情の説明なんだ。多少寝るのが遅くなってでも、今日中にみんなにも知ってもらいたいんだよ」

「うん、了解よ。私たちも早くリーチェを完全に迎え入れてあげたいから、そのためだったら何でもしちゃうわよーっ」


 ん? 今なんでもって……。いや、毎日なんでもしてもらってますね。


 みんなが場所を移動するのは非効率なので、ティムルの話が終わるまでは俺1人家の外で待つ事になった。

 リーチェの精霊魔法もあるし、内緒話が俺の耳に届く事はないだろう。


 みんなの話が終わるまでは庭でショートソードでも振っていようかな?

 身支度を整えて、みんなと軽く唇を重ねてから1人庭に出る。


 みんなー。話が終わったら呼びに来てねー?


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「……それでティムル。お話ってなんなのかな? 貴女がダンに聞かせられない話をしたいだなんて、ちょっと意外だったの」


 ダンが家の外に出て、リーチェが防音を施したのを確認してからティムルに問いかける。

 ダン本人に断っているとはいえ、ティムルがダンを除外して話をするなんてただごとじゃないの。


 だけど内緒話を提案した本人であるティムルは、なんだか少し悩ましげな表情をしてる?


「ダンに聞かせても問題ないかもしれないけど、ニーナちゃんに聞いてもらってからの方がいいかなって。恐らくダンは自覚してないでしょうから」


 やっぱりダンの話だよね。

 本人に聞かせても問題ないとは言っているけど、ティムルが伝えるべきじゃないと判断したなら内緒にするべき話題なんだと思う。


 私が寝ている間に何かあったのかな?


「私とリーチェとダンの3人で王女様たちと話をしてきたのは報告済みだけど、ちょっとその時のダンの様子が危うく感じてね。みんなにも共有しておきたくって」


 ティムルが話してくれたのは、私が寝ている間に行われたスペルド王国への報告会。


 リーチェの友人であり断魔の煌きのメンバーでもあるというマーガレット第2王女様と、同じく断魔の煌きのメンバーでセイバーの二つ名を持つガルシア・ハーネットさん。

 この2人とダンが一触即発の空気になってしまったの?


「今にして思えば、あの時のダンはリーチェの事を知って気が立っていたのかもしれないけど……。殺気も威圧感も出さずに、面倒臭いとか煩わしいってだけであの場の人間を殺しかけてたのよ……」

「……ダンがそんな軽い理由で人を殺そうとしたの?」


 いくらティムルの言葉でも、直ぐには信じることができなかった。

 私とティムルを助けるための殺人にすら悩み抜いて苦しみ抜いた……、あのダンが?


「ダンは元々容赦の無い人ではあると思うんだけど、それでもあんなに簡単に人を殺そうしたことは無かったと思うんだけどねぇ……」

「確かに危うかったね……。ティムルが形振り構わず止めてくれたおかげで穏便に済んだけどさ」

「王女様を目の前にして、ティムルとリーチェがキスをしないと止められないくらいに危うかった?」


 ティムルとリーチェのキスリレーじゃないと止まれないって、それってフラッタを泣かせてしまった時と同じくらいの殺意を抱いたってことじゃないの?


 リーチェの友人だと紹介された相手に、ダンが何の理由も無しにあの時くらいの殺意を抱くとは思えないの。

 あの人が殺意を抱く時は、いつも家族が不幸にされる時だけなのに……。


「でもあれはマギーとガルシアさんも良くなかったんだよ。多分揺さぶりのつもりだったんだろうけれど、それでもダンに敵意を向けちゃったんだから」


 いつもと違うダンの言動に頭を悩ませる私に、相手にも問題があったと指摘するリーチェ。


 家族から孤立させられ、たった独りでイントルーダー3体を返り討ちにし、だけどその上で元凶のメナスを取り逃してしまった事に、ダンも自覚無く苛立っていたのかもしれない。

 そんな時に一方的に敵意を向けられたから、未だ戦闘態勢を解除していないダンは反射的に相手を排除しようとしてしまった?


「ダンはぼくの事情を知ったと言っていたからね。多分そのせいでスペルド王国の支配階級に怒りを覚えていたんだと思うんだ。恐らく、ティムルが熱視を発現した時と同じくらいの怒りを抱えていたのかもしれないな……」


 あの時と同じくらいの怒り……。

 つまりリーチェの事情も誰かの身勝手によって引き起こされてることなんだね。そしてその相手がスペルド王国の偉い人たちだったから……。


 ……そう考えると、ダンはかなり理性的に対応した方なのかもしれないの。


「以前ラトリアのせいで城に呼ばれた時も思ったんだけどさぁ。ダンってちょっと強くなりすぎちゃった気がするのよねぇ」

「…………え?」


 リーチェの言葉に少し考えこんでいた私は、ティムルの言葉を理解するのが遅れてしまう。

 確かにダンは強くなりすぎたと言っていいほど強くなったと思うけど、それは全部私達の為だったでしょ?


 それは分かってるんだけどね……、と口にしながらもティムルは話を続ける。


「謁見の時もどうでも良さそうにしていたし、玉座を躊躇いも無く切っちゃったり、今のダンはかなり危ういと思うのよね。突出しすぎていて、社会から浮いちゃっているというか……」

「え~? ダンが浮いているのも突出しているのも、今に始まったことじゃなくない?」


 ダンの変化には心当たりが無い。ティムルとリーチェの話を聞いても意外に思えるくらいだから。

 だけど実際にお城でダンを見てきたティムルは、どうしても不安が拭えない様子なの。


「客観的な事実として、ダンの戦闘力は仕合わせの暴君内で考えても突出している。もし彼が本気で世界を滅ぼそうと思ったら、メナスなんか目じゃないくらいに止める手立てが無い。なのに、ダンの心のタガが以前より外れやすくなっているような気がするのよねぇ……」


 確かに今のダンを力ずくで止めるなんて不可能かな。私達家族が全員でかかっても負けちゃうと思う。

 ……もし私達と敵対したら、ダンは何の抵抗もしないで殺されてしまいそうだけど。


「ダンは元々別の世界からの来訪者。そもそもの常識にズレがあるからのぅ。その上でダンと他の者の実力差を考えると……。他人がどうでもよく見えてしまうのも仕方ないかもしれぬのじゃ」

「ダンさんって実力不足を理由に1度ティムルさんすら拒絶したんですよね? ……つまり実力不足を感じる機会が無い今のダンさんは、自制心が働きにくくなっていると?」

「ん~……。実力差を理由に他者への興味を失くすような人が、ムーリちゃんや教会の子供達を助けるとは思わないけどなぁ?」


 ダンが変わってしまったとしても無理はないだろうと語るフラッタとムーリの言葉を、首を傾げた母さんが否定する。

 ふふっ。私たち母娘はどうやってもダンを否定出来ないみたいなのっ。


「……でもさぁ。ダンさんの自制心が利かなくなるのは仕方ないんじゃないのかなー?」

「え?」 


 母さんが首を傾げながらも仕方ないと口にする。

 でも私にはダンの変化が分からなくて、もどかしく思いながら母さんに問いかける。


「どういうこと? 母さんにはなにか心当たりがあるの?」

「心当たりも何もさぁ……。私達9人が朝も夜も無く抱いて抱いてー! って迫ってるんだもん。それに全力で応えてくれているダンさんの自制心が薄れていくのって、ごく当たり前のことじゃない?」

「「「あ…………」」」


 母さんの言葉に場が静まり返る。

 何も言えなくなった私たちは、物凄く心当たりがありそうなお互いの顔を見詰め合うことしか出来なかった。


 ………………えっと、ダンを危うくさせている原因って、結局私たち?


「……思い返すと、元々そんなに自制心があるほうじゃないですよね。ダンさんって」


 誰もが言葉を見つけられずに静まり返ったこの場で、口火を切ったのはラトリアだった。


「受け入れるまではびっくりするくらい自制するけど、受け入れた後は自分の欲求に一直線って感じです。あんなに私を受け入れるのを渋っていたのに、抱き始めたら私のおっぱい吸い続けてますし?」

「多分もうシルヴァ様とフラッタ様よりも、ダンさんのほうがラトリア様の母乳を沢山飲んでますよねぇ。えっち方面に関しては、あえて自制心を持たないようにしているようにも見えますけど」


 ラトリアの言う通り、ダンは元々自制心が強い方じゃないかなぁ。

 エマが言っているように、あえて自制心をかなぐり捨てているところはあるかもしれないけど。


 ダンは私達を失う事の恐怖心だけで自分を律しているところがある。

 謁見した時や今回の時みたいに、私達を失う危険性が無いと感じてる時のダンには、確かに歯止めとなるようなものが無いのかもしれない。


「ダンが我慢する時って大体私達の為なの。王様と喧嘩したら私たちを護りきれないーとかだったら、ダンは絶対に揉め事を起こさないと思うけど……」

「ダンの戦闘力は突出しているから、私達を護りきれないって不安になる相手はもう居ないってわけね……」


 さっきまで不安に顔を顰めていたティムルが、額に手を当てながら溜め息を吐く。

 彼女の顔にはもう、不安の色なんて浮かんでいなかった。


「あーもうっ。ダンの事が危ういなんて言っちゃったけど、結局ダンは私達のことしか考えてないってことじゃない。まったくあの人はーっ」


 ティムルが少し嬉しそうな顔をしながら怒っている。

 複雑だよね。私達を深く愛してくれるほどに、ダンは周囲への興味と配慮を失っていくなんて……。


「ふははっ! ダンの危うさが妾たちのせいであるなら、妾たちが責任を持ってダンを受け止めればいいだけなのじゃっ!」


 だけどそんな憂いは、素直で元気なフラッタが思い切り笑い飛ばしてくれる。


「ダンが周囲への興味を失っているなら、ずーっと妾たちのことだけを見ていてもらえばいいだけのことじゃーっ!」


 今回だってティムルとリーチェのおかげで、ダンは軽はずみな事をしないでくれた。

 ダンの自制心が薄れているなら、弱めているのが私達なら、私達が責任を持ってダンの歯止めになればいいのっ!


「ダンにマギーを殺して欲しいなんて絶対に思わないけど、ぼくの為にあそこまで怒ってくれていたと思うと、マギーたちには申し訳ないけど……。えへへ、嬉しいかなぁ……?」


 さっきまでティムルと一緒に険しい顔をしていたリーチェが、別人のように甘い顔でニヤけている。

 この国の王族よりも、国最強の英雄の存在なんかよりも、私たち家族のほうがずっとずっと大切だって言われた様なものだもんねっ。


「ダンが自分で自分をコントロールできなくなりつつあるのなら、その想いを全部ぼく達で受け止めてあげればいいんだねっ。望むところだよっ」


 リーチェがうっとりしながら、私達がダンの歯止めになればいいんだと口にする。


 以前の私は、ダンが私たちにしか興味を持たない事を改善してあげたかった。

 でもそれが叶わないのなら、彼の興味をトコトン引き受けてあげるしかないのっ。


「旦那様は鏡のような方ですからねぇ。私達9人分の想いを受け取り続けているから、自分1人では感情を持て余してしまっても仕方ないのかもしれません。持て余した想いは全て私たちに注ぎ込んでもらえば問題無しっ、です!」


 ヴァルゴがおヘソの下あたりを擦りながら、決意に満ちた表情をしている。

 えっと……。つまりは今まで通りに過ごすってことなのかな?


「あはーっ。結局ダンは何も変わってなくて、ダンの周囲の環境が変わってただけだったのかもねっ。ダンを危ういなんて言ってないで、お姉さんもダンの想いを受け止めてあげないとっ」

「あははっ! ダンさんらしいですっ! あんなに強い人なのに、私達とえっちさえしていればとっても大人しくてっ。そんなところもまた可愛い人なんですよねーっ」


 ムーリの可愛い発言をきっかけに、みんなでダンの魅力を語り始める。


 ティムルが抱いたダンへの心配も、結局は私達次第って事が分かったの。

 だからみんなでダンのどんなところが素敵かを話し合って、もっともっとダンの事を愛してあげたくなっちゃったのっ!


 ダンの事が大好きで、ダンの事が大好きなみんなが大好きっ!

 大好きなみんなと大好きなダンの話をするのは、すっごくすっごく楽しいのっ!


 きっと真面目に訓練しているダンにはちょっと申し訳ないけど、もっともっと貴方の事を好きになりたいから……。

 もう少しだけこのまま、私達だけでお話させてねっ?
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