異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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5章 王国に潜む悪意2 それぞれの戦い

304 邂逅 (改)

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「ん? ダン、お客さんが来たみたい。誰かが敷地に入ってきたの」


 寝室で朝の注入作業に明け暮れていると、ニーナが恐らく生体察知で来客の存在に気付いた。

 改築され2部屋ぶち抜かれた寝室と、それに合わせた超巨大ベッドには俺の愛する女性が9人も一緒に乗っているけど、全員裸なので来客の応対をさせるわけにはいかないな。


「了解ニーナ。俺が出てくるよ。みんなはこのまま休んでてね」


 ティムルに中断するお詫びのキスをしてから、簡単に身支度を整え寝室を出た。


「済みません! ルーナ家からの使いの者です! ダンさんかラトリア様、いらっしゃいますかっ!?」

「はいはーい。今すぐ行きますよー」


 ちょうど1階に下りたタイミングで声をかけられた。

 返事をしてすぐに家の扉を開けると、見知ったルーナ家の使用人の男性が家の前に立っていた。


「火急の事態にて、口頭での連絡をご容赦ください。先ほどルーナ竜爵邸に宰相様から使者が送られてきまして、王国の各地で大量の魔物が発生したとの急報が届きました」

「始まったか……。それで?」

「詳しい情報はまだ確認中のようですが、王国から正式に竜爵家への応援要請が出されましたとラトリア様にお伝えください」


 救援要請ね。

 竜爵家は王国最強戦力という認識だし、シルヴァも戻ってきて安定したからなぁ。


 しかしまだ確認中って……。

 移動魔法があるのに、情報の収集が遅くないかねゴブトゴさんよ。


 確実にラトリアに伝えることを約束すると、ルーナ家の使いの男はポータルでどこかに転移していった。

 お疲れ様です。


「さて、戦いが始まったみたいだよ。みんな頼りにさせてね」


 寝室にとんぼ返りして、身支度を整えている途中のみんなに報告された情報を共有する。


「俺達を確実に分断しようとするなら、これからイントルーダーの目撃情報も上がってくるはずだ。だからそれ以外の街は、基本的にペネトレイターに任せよう」


 いち早く身支度を整えたターニアを抱きぐるみとして捕獲して、みんなに指示を出していく。


「最も狙われる可能性の高そうなマグエルは俺が待機。ニーナとリーチェはスペルディアの教会本部へ、ティムルたちはヴァルハールのルーナ邸にラトリアとエマと一緒に向かってくれ」

「了解なのっ」

「ティムルはシュパイン商会に、ヴァルゴはペネトレイターに連絡するのを忘れないでね」

「畏まりました」


 打ち合わせは既に済ませてある。

 あとは各々が自分の役割を全力でこなしてくれればそれで充分だ。


「連絡要員として俺にはワンダ達幸福の先端が、スペルディア組にはムーリが、ヴァルハール組にはターニアに同行してもらう」

「私はニーナさんとリーチェさんと一緒ですねっ……」

「ラトリアとエマにはアウターエフェクトの撃退まで期待したいから、連絡要員になんてさせるわけにはいかないからね。よろしく頼むよ」

「「お任せくださいっ」」


 力強く頷くエマとラトリア。


 今のラトリアとエマのコンビなら、造魔アウターエフェクト数体なら2人で撃退してくれるだろう。

 そんな戦力をこの非常時に遊ばせておくわけにはいかないよ。


 ……っと、ラトリアの職業は竜騎士に戻しておかないとな。


「マグエル、スペルディア、ヴァルハール以外の場所にイントルーダーが出た場合は、一旦無視して欲しい」

「……っ。了解、なのじゃ……!」

「自分の担当の街にイントルーダーが居ない事を確実に確認してからじゃないと、他の街に移動しちゃダメだからね? 移動後に自分の担当の街が壊滅したら、目も当てられないから」


 それにイントルーダーを配置する目的は、人々の虐殺じゃなくて俺達に対する陽動のはずだ。

 目撃情報が出てからそんなにすぐには大きな被害は出ない……、と思いたい。


 ……小規模の被害だって出したくはないけど、優先順位を間違えるな。


「造魔のルールをもう1度共有しておくよ。離れた場所に造魔召喚は不可能。同じ魔物は1体しか召喚できない。このことから、襲撃してくる魔物の群れには限りがある事を周知して欲しい」

「逆に、途切れなく襲撃が続く場所があったら、そこにメナスが居るって事だね……! 了解だよっ」

「そして、イントルーダーの造魔召喚には莫大な魔力が必要で、1度倒したイントルーダーを簡単に復活させることは出来ないはずだ。始めこそ後手に回らざるを得なかったけれど、撃退できれば敵側の戦力の補充は容易ではないはずだよ」


 ……最悪、魔物使いや召喚士が複数いたら話が変わってくるんだけど。


 でも強化された従属魔法の存在が、魔物使いや召喚士が複数人いる可能性を否定してくれている気がするんだよなぁ。

 仮にメナスが従属させられたら目も当てられないわけだし、魔物使いも召喚士もメナス1人しかいないと思う。


 ま、考えても分からないことは今は置いておこう。


「寝室を1歩出たら、次に会うのは事態が解決した後だよ。無事にみんなで再会して、みんなでめちゃくちゃえっちしようね」


 みんなの傍にいてあげたいけど、みんなはもうそんなに弱い存在じゃない。

 信頼して任せる。心配だけど信じてる。


 だけど最後にみんなのこと、ぎゅーっとさせてね。


「ダンがいなきゃ生きていけないほど弱かった私が、ダンに頼って貰えるくらい強くなれた事が誇らしいのっ。強くなった私に、いーっぱいご褒美をくれたら嬉しいなー?」

「あはーっ。王国の危機を救う理由が寝室に篭るのに邪魔だから、っていうのは私達らしいわねっ。お姉さんも頼りになるって所を、ちゃーんと見せてあげるんだからっ」

「父上の仇を取りたい気持ちもなくはないが、大切なのは復讐よりも悲劇の連鎖を止めることなのじゃ。メナスを殺すことよりも、メナスに殺される人を1人でも減らす為に剣を振るうのじゃ!」

「ぼく達ならもう誰にも負けないさ。でも油断だけはしないようにしようね。これが終わったらダンにはぼくを抱いてもらわないといけないし、こんなところで死ぬわけにはいかないよっ」

「この世界の秩序と調和を守るのが守人の使命だと聞いて育ちました。それは聖域の樹海を守る事を意味する言葉だったのですが、王国の危機から人々を守るのもまた、我ら守人の使命と言えましょう。旦那様。守人の槍を振るう場を用意してくださったこと、心より感謝致します」


 俺と一緒にここまで強くなってくれた、仕合わせの暴君のメンバー。

 みんななら、イントルーダーくらい軽くぶっ飛ばしてくれると信じる。


「本当にダンさんって手加減が下手ですよねぇ。勢い余って王国の危機まで救っちゃうとか。ふふ、そんな不器用なダンさんが大好きですっ」

「シルヴァと義娘達が居てくれますから、ヴァルハールの護りに不安はありません。私とエマは積極的に前に出て、遊撃的な役割を担いたいと思っています」

「1度辛酸を舐めたラトリア様に油断はありません。王国最強と言われた双竜の顎の力、必ずや示してみせましょう」

「あははっ。ガレルと一緒に世界を股にかけて冒険出来るんだってステイルークを飛び出して、でもすぐ呪われて絶望の日々を送っていたのにさっ。まさか今更英雄譚に語られそうな体験をするなんて、人生って分からないものなのっ」


 傾国の姫君と双竜の顎のみんなも、いつもと変わらない様子だ。自然体のままのみんなが頼もしい。


「それぞれ別の場所で戦うことになるけど、俺達は全員が繋がってるってことを忘れないでね」


 1人1人と長く深い口付けを交わす。


 愛してる。信じてる。また会おう。

 色々な意味を込めて唇を重ねる。


「みんなでイチャイチャでラブラブのエロエロな日々を送るために……。仕合わせの暴君、出陣だっ!」

「「「はいっ!!」」」


 みんなで寝室を出て、玄関先で1人ずつキスをして送り出していく。


 大好きだよみんな。

 キスの続きはメナスを倒してから、たっぷりじっくりしようね。


 みんなが転移していった空間を、少しだけぼうっと眺めてしまう。

 さてと、全員を送り出したら俺も動き出さないとな。


「俺達はまず、スポットの内部を確認してこようと思うんだ」


 みんなを送り出すまで大人しく待っていてくれていた、幸運の先端に声をかける。


「みんなはまだ最深部に入ったことが無いって話だけど、今のお前達なら問題ない実力だと思う。落ち着いてついてきてくれ」

「分かった。ダンの力も自分たちの力も信じてるから不安は無いよ。俺達も連絡員を任された以上、仕合わせの暴君の力になりたいからなっ」


 コイツらも頼もしくなったよなぁ。

 俺の悪評を調子に乗って拡散しまくってた件については許してないけどなぁ?


 移動魔法のコンボ使用で、まずは最深部手前の緩衝地帯に転移する。


「こ、これがアナザーポータル……! 本当に一瞬で最深部の前まで来れるなんて……!」

「あれ? ダンって今詠唱してなくなかったー?」

「うお、相変わらずコテンは良く見てるな~」


 アナザーポータルに感動しているワンダを他所に、コテンに突っ込まれてしまう。


「詠唱短縮っていうスキルがあってね。それの最大効果を付与された装備品を身に付けてると、詠唱が必要なくなるんだ」

「へーっ!? 詠唱が必要なくなるなんて凄いねっ! 私詠唱が苦手だから、そのスキル欲しいなぁっ」


 詠唱が苦手って理由でスキルジュエルを求めるのは和んじゃうよリオン。

 うん。コイツらいつも通りだ。気負った様子も緊張もしてないね。


 普段と同じ足取りで、スポットの最深部に侵入する。


「ここが、スポットの最深部……」

「さて……。先に進もうか。油断しないようにね」


 ……なんとなく、予感がするんだよなぁ。ここで会いそうな予感がさぁ。

 王国中を魔物に襲撃させておいて、がら空きになった本拠地のマグエルを、みたいなさぁ?


 そしてその予感を裏付けるかのように、生体察知には1つの反応。

 魔物察知にはなんか巨大な反応が3つほどあるんだよねぇ……。


 襲ってくる魔物をサンダースパークで蹴散らしながら、生体反応に向かって歩いていく。



「な……! なん、だ、あれ……!? ま、もの……!?」


 ワンダが目の前の光景に絶句している。

 察知スキルの反応を追って辿り着いた場所には、竜王並みにでかい魔物が3体と、仮面とローブの人物が待ち受けていた。


「……おや? 君はもしや、仕合わせの暴君のダン殿かな? 他のメンバーは居ないようだが」

「そういうオタクはメナスで合ってる? ちなみに他のメンバーは各地の騒動の鎮圧に向かってるよ」


 意外にも普通に話しかけてきたな? 思わず普通に応じてしまったじゃないか。


 にしても、見たことのないイントルーダーが3体かぁ。

 イントルーダーを始めて見るワンダ達は恐怖に体を震わせているけれど、ここまで自力でこれただけあって、ムーリのように呼吸が出来なくなったりはしていないようだ。


 ま、それでも刺激が強そうなので、サンクチュアリでも使っておこうか。


「……メナスという名前まで到達しているのは賞賛に値するよ。これでも自分で表舞台に立った事は無いハズなのだがね?」

「会話を嫌い、やり取りは手紙を用いるほどに徹底して隠れ回ってたみたいだからなぁ。むしろこっちこそ、こうやって直接会話してくれるなんて驚いてるよ」


 声は聞き取りやすいのに何らかの阻害効果でもかかっているのか、男性か女性かすら判断できない機械みたいな声をした奴だ。


「ふふ。手紙を使うのは、自分が口下手だからだよ。徹底して隠れ回る程度には人付き合いが苦手なものでね。手紙という意思疎通の方法には助けられているんだ」

「ふぅん? 俺とは普通に会話している気がするけどねぇ?」


 会話をしながら鑑定を試みるも、鑑定が通らない。

 やっぱり認識阻害系のスキルを持っていると見て間違いなさそうだな。


「おや? 今君はこちらに対して鑑定スキルを発動したようだね」


 ……鑑定に気付いた奴は初めてだな。

 メナスの言い分を肯定してやる義理も無いので、答えないけどさ。


「だが済まない。この仮面は『無貌の仮面』と呼ばれるマジックアイテムでね。鑑定スキルに抵抗する力を持っているのだよ」


 ……鑑定妨害スキルか。

 まぁあっても不思議じゃないよな。鑑定の強力さを考えたら。


「ご親切にどうも。親切ついでに騒動を起こすのはやめて、引き続き隠れ回っててくれないかなぁ? 俺達、別にお前に興味は無いんだよ。お前が騒動さえ起こさなきゃね」

「それは申し訳ないね。だがこちらは君たちに興味津々なんだ。隠れ回るのをやめて、こうして直接会いに来るくらいにはね?」


 メナスが右手を掲げると、後ろに控えていた3体のイントルーダー達がゆっくりと前進し始める。


 骨だけで構成されていた竜王と違って、肉と皮のある完全な肉体をしたドラゴン種。

 その巨体だけでも圧倒的な存在感なのに、胴体から伸びた数え切れないほどの頭部がイソギンチャクみたいにウネウネと動いて普通に気持ち悪い。

 異形のドラゴン種。その名は『エンシェントヒュドラ』。

 
 二足歩行で人型の巨大な体躯。

 だけど全身は長い毛で覆われ、その両手には大木のような棍棒が握られている。

 頭部は白髪の長い毛で覆われていて、その頭髪の隙間から覗く赤い瞳からは憎悪と殺気が放たれている。

 赤い目の巨人。その名は『フューリーコロッサス』。


 異臭を放つ巨大な灰色の塊。

 それはナメクジのように地面を這いずり、そのゆったりとした動きは見ているだけで嫌悪感を煽る。

 巨大スライム。その名は『アポリトボルボロス』。


「ふふ。イントルーダー3体を前にしても動じないのは素晴らしいね。でも頼りになるお仲間はここにはいないようだ。さぁダン君。君はこの場をどう切り抜けるのかな?」

「あー……。その前にちょっといい? この子たちは俺をここに送ってきてくれただけだから、逃がしてあげてくれないかなぁ?」


 呼吸も浅く体は震え、全身から汗が流れ続ける幸福の先端のメンバー。


 複数のイントルーダーを目の前にして、流石にワンダ達のストレスはピークに達している。

 最早この場に留まらせるだけでも危険な状態だ。


「構わないよ。せっかくなら君も一緒に逃亡を図ってみるといい。止めはしない。君という遊び相手がいなくなったこの子たちは、遊び相手を求めてこの場から移動すると思うがね」

「これでもイントルーダーとは既に会った事があるんでね。心配しなくても逃げる気は無いっての。虚ろな経路。点と線。偽りの庭。妖しの箱。穿ちて抜けよ。アナザーポータル」


 メナスを視界に入れたままで、わざわざゆっくりとアナザーポータルを詠唱してみせる。


「ワンダ。お前らはマグエルで待機。もし俺が戻る前に誰かが戻ってきたら、この状況を伝えてくれ。頼んだぞ」

「ダ……ンは……!? ど、す……る……!?」


 恐怖に身を震わせながらも俺の身を案じるワンダ。

 お調子者とか言われていたころが懐かしいね。頼もしくなったもんだ。


「心配すんな。無茶はしないよ。でもお前らにとってはここにいることが既に無茶だ。大人しく戻って待機しててくれ」


 自力で身動きが取れない幸福の先端のみんなをアナザーポータルの中に放り込んで、スポットの入り口付近に転移させた。

 恐慌までは陥っていなかったので、入り口付近なら今のワンダ達でも危険はないだろ。


 アナザーポータルを消して、改めてメナスと対峙する。


「律儀に待ってもらって助かったよ。奇襲されるくらいは覚悟してたんだけどね」

「遊び相手を求めてこんなことをしているんだよ? 勝つための手段に人質を取ったり奇襲したりするのは構わないが、始まる前に攻撃をするような詰まらないことはしたくないじゃないか」


 遊び相手を求めて、ね。

 権力も富みも名声も力も興味が無くて、ただ自分の欲求に従って周りに迷惑をかけるタイプなのかな、コイツは。


「さて。君の都合で待っていたのだから、今度はこちらの都合も聞いてもらうとしよう。戦いを始める前に、少しだけお話と準備をさせて欲しい」


 準備だと? イントルーダーが3体もこの場にいるのに、これ以上いったい何を……?


「君もイントルーダーと対峙したことがあるなら気付いているかもしれないが、コイツらは劣化コピー品でね。オリジナルの性能には遠く及ばないんだよ」


 戸惑う俺を気にした風も無く、雄弁に語り出すメナス。


「でも、そんな劣化品で君達仕合わせの暴君をもてなそうなんて、実に失礼な話だと思ってね。少しだけ趣向を凝らす事にしたんだ」


 メナスの語りに合わせて、メナスの背後に人が転移してくる。

 そして転移して来たのは、俺にも見覚えのある男達だった。


「ふむ。その顔は覚えているようだね。そう、この男たちは……、えーっと…………」

「……?」

「……あー、済まない。名前が思いだせない」


 名前が想い出せなくて言い淀んでただけかよ!? 無駄に警戒して損したわっ!


「まぁ名前などどうでもいい。パールソバータで奈落に入る者達を監視させていた、君たちに返り討ちにされた魔物狩りたちだよ」

「……銀翼の大鷲のグレイグだろ。流石に全員の名前までは覚えてないけどさ。取引先の名前くらい把握しておけよ」

「ははっ。むしろよく君はこんな男達の事を記憶してるものだよ」


 本当に楽しそうな雰囲気で笑いながら、メナスはインベントリから何かを取り出した。


 魔玉のように見えるけれど、その黒い光の濃さは魔玉の淡い光とは比べ物にならないほどに漆黒だ。

 まるでその球体に光が吸い込まれているかのようにも見える。


「これは自分の能力を最大限に活かすために長い年月をかけて開発された、『イコンノメイセキ』というマジックアイテムなんだ。使い方は今お見せしようじゃないか」


 メナスが右手に持った漆黒の水晶、イコンノメイセキ。

 手を伸ばしている今なら、マジックアイテムだけでも鑑定が通らないか?



 移魂の命石



 鑑定が通った! けど、移魂……?


「う……あ、ぁぁ……」


 メナスの掲げた移魂の命石に向かって、銀翼の大鷲10人から目に見えるほどに濃い魔力が抜き取られていく。


「なっ、なにがっ……!?」


 その光景に呆気に取られていると、瞬く間に10人の体は骨と皮だけになり、全員が地面に崩れ落ちた。

 そして今度は移魂の命石から3体のイントルーダーに向けて、10人から集めたものと思われる濃密な魔力が注ぎ込まれていく。


 移魂。魂の移動。造魔。魔物という魔力で出来た擬似生命体。


「――――っ! まさ、か……!」

「はははっ! その様子だと、何が起こったのかに思い当たったようだねぇっ!」


 色々な要素が俺の頭の中を駆け巡り、そして1つの答えを導き出した。

 こいつもしかして、造魔した魔物を何らかの方法で強化しやがったのか!?


「そう、この子たちに欠けている物は魂という核だったんだよ。そしてそれを今注ぎ足してあげたわけだ。これで劣化コピー品から、オリジナルのイントルーダーの完成だ!」


 …………魂の移動、生贄召喚の応用か!

 劣化イントルーダーならまだしも、オリジナルイントルーダーを3体同時に相手取らないといけないとか、面倒臭いってレベルじゃないんだけどぉ!?


「あ……あ……」


 骨と皮だけになって地面に倒れている銀翼の大鷲のメンバー。

 まだ息があるみたいだけど、鑑定すると衰弱のバッドステータスが表示されてるね。


 可哀想だとは思うけど、悪いが俺達と敵対したお前らを助ける気はないね。

 決着するまで生き残ってたら、バイタルポーションくらいは飲ませてやるけどな。


「ボロボロになった君の遺体を君の仲間たちに見せたとき、彼女たちはどんな反応を見せてくれるか非常に楽しみだよ。さぁ精々足掻いて楽しませてくれたまえっ」


 メナスの言葉と共に、3体のイントルーダーが襲い掛かってくる。


 ――――でも悪いねメナス。

 今の俺って、このくらいじゃ死んでやれないんだわ。


 全身の職業補正を強く意識する。

 イントルーダーはこの世界の頂点に君臨する存在だろうけど、こちとら異世界から来たんだ。


 この世界の物差しなんかで、俺を測れると思うなよぉ!?
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