異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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4章 マグエルの外へ2 新たな始まり、新たな出会い

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 頭を抱えながらも王金貨を受け取ってくれたキャリアさん。


「お金も出してもらった上に育成まで任せていいのなら、こっちとしては断る理由が無いよ。奴隷集めはすぐに始めさせてもらうからね」

「了解だよ。育成の開始は早ければ早いほどいいからさ」


 キャリアさんは他の2人、トーレさんとオディさんだっけ? に王金貨30枚を渡し、すぐに奴隷購入の手配をしてくれるみたいだ。

 ただ奴隷の金額は状況によってかなりの変動を見せるそうなので、何人購入出来るかは不明とのこと。


「ダンさんがぶっ飛んでるせいで、村作りの話が長引いちゃったねぇ。まだ正式な許可も下りてない話だってのにさぁ……」

「酷いなぁ。そのぶっ飛んでる話に乗っかってる癖にぃ」

「ソレが商売人ってもんさ。それじゃ今度は私達が調査した、マルドック商会のお金と物資の流れについて話させてもらうよ」


 キャリアさんがひと息ついて、話題を変えてくる。


 開拓村の話ばかり進めてしまったけれど、俺達の本命はマルドック商会の動きと、野盗被害の報告なんだよ。

 シュパイン商会側にとっては村作りの方がメインでも仕方ないんだけどさぁ。俺達にとってはこっちこそが本題なんだよねー。

 村作りを軽んじるつもりは決してないけれど、シルヴァの行方を追うことはフラッタとラトリアと約束したことだからね。


「マルドック商会は、西の方に大量の食料や人員を送り込んでいた形跡があるね。それもかなりの長期間に渡って」

「西……」

「もっとはっきり言えば、ヴェルモート帝国の手前に存在するケイブ型アウター『奈落』に、定期的に大量の荷物を運び込んでいたところが確認されてる。これは複数の証言が得られているからほぼ間違いない情報のはずさ」

「……まさか、アウターの内部で?」


 ……大規模な違法牧場なんて、どうすれば人の目に触れずに長年運営することが出来たんだと思っていたけど、アウターの中なら逆に可能になってくるのか。


 ちっ、アウターの内部で生活するなんて、今までならありえないって一蹴できたんだけど、実際数百年間人目に触れずに生き続けてきた守人の魔人族たちがいるからなぁ……。

 ネプトゥコからはかなりの距離が離れているはずだけど、移動魔法があれば物理的な距離は問題にならないか。


「取引した者たちには、奈落に潜っているサルベージャーに遠征物資を補充する為だと説明してあったみたいだけど、毎回決まった物資を大量に持ち込んでいたらしいね」

「アウター内部に定期的に大量の物資を運び込むなんてかなり目立つ行為のはずだ。現地の人たちには不審に思われなかったのかな?」

「実際にどう思っていたかは分からないけど、大口のお得意様ってことで、深くは詮索しなかったみたいだねぇ」


 藪を突いて蛇を出すような真似はしないか。

 黙っていれば安定した儲けを提供してくれるお得意様で、詮索したら明らかにやばい事に手を染めていそうな雰囲気だもんね。

 空気の読める商人ならば、詮索せずに取引だけするわけだ。


「ただマルドック商会と取引していたはずの商人が、何人も行方知れずになってるみたいなのよね」

「……キナ臭いね」

「だからこれ以上踏み込むのは危険だと判断して調査を打ち切らせてもらったわ。ダンさんからも無理しない範囲でと言われていたし、問題ないわね?」

「勿論何の問題もないよ。身の安全を優先してくれてありがとう」


 確かに情報は欲しいけれど、俺達の都合で誰かを危険に晒すわけにはいかないもんね。

 ケイブ型アウター奈落で竜人族が飼育されていた可能性がある。これだけでも重要な情報だよ。


 ゴルディアとラトリアさんが陥れられた事で、今までの前提だったシルヴァの凶行も全てひっくり返されたことになる。

 飼われていた竜人族が皆殺しにされたっていう話も、マルドック商会が全滅したって話も、どこからどこまでが真実なのか分かったもんじゃない。

 マルドック商会の壊滅は一般に出回ってる情報なので、信憑性は高いと思うんだけどねぇ。


 あれ? そう言えば内部リークがあったから、竜爵家でもその情報を確かめる為に調査をしたって言ってたよな?

 フラッタは調査の内容を知らなかったけれど、ラトリアは知ってたはず。まずはラトリアに詳しく話を聞くべきだったなぁ。

 シルヴァの行方を追うことばかりに気を取られてて、竜爵家にリークされた情報について聞くのを忘れてたよ。やっちまったぜぇ……。


 自分の迂闊さに頭を抱えていると、キャリアさんは調査の結果をまとめた書類をティムルに手渡した。

 ティムルが目を通したところ、キャリアさんの調査は信用しても良いとのこと。


 ティムルの書類確認が終わったところで、キャリアさんは次の話題を話し始める。


「それでティムルから話は聞いたけれど、野盗狩りをしたいってのは本当なのかい? 物好きだねぇ?」

「物好きって言うか、これもちょっと事情があってね。俺達にとっては必要なことなんだよ」

「ふ~ん? その事情ってのにも興味あるけど、私に告げないってことは儲けには繋がらなそうだねぇ」


 儲けに繋がらないから興味ないか。

 これは多分方便なんだろうな。俺が話したがらないことに無理に踏み込まないための理由付けなんだろう。


 踏み込んでこない理由が俺に気を使っているからなのか、リスクを感じ取っているからなのかは分からない。


「この時期は人頭税を払い切れずに野盗に落ちぶれる者が後を絶たなくてね。王国中で野盗の被害が報告されてるんだ。ダンさんたちがコイツらを捕らえてくれるなら、こっちとしても願ったり叶ったりなんだけどねぇ?」

「え? 人頭税が払えない事で毎年野盗が新しく誕生しちゃうわけ?」

「そりゃそうよ。根っからの悪党なんてそうそういないもの。犯罪者の多くは後が無くなった生活困窮者だったりするのよ」


 いや、人頭税でその困窮者を生み出しているなら、なんか本末転倒な気がするんだけど?

 税金のせいで治安が悪化して、その結果次の年の納税者が減っちゃってるじゃんそれ。


「人間って1度転がり落ちると、どこまでも落ちてしまうものなの。そして1度落ちてしまった人間が這い上がるのは、普通に生きている人の何倍も大変なのよね」

「それなら捕らえた野盗もそのまま俺達で購入して、職人なり村作りの人手なりに利用するのがいいんじゃない? 社会復帰の支援にもなりそうだし」

「ま~たそういうことをサラッと……。でも1度犯罪を犯した者を受け入れるのは大変だよ? ダンさんなら平気かもしれないけど、多分ダンさんが思っている以上に大変だと思うわ」


 犯罪者の受け入れ。それだけ聞くとかなりイメージが悪いなぁ。

 この世界って犯罪奴隷は生涯奴隷解放される事はないらしいし、そんな犯罪奴隷を世間はどのような目で見ているのかは推して知るべしって感じか。


「犯罪職って転職禁止されてるんだよね? 奴隷になっても転職って許されないのかな? 盗賊のままだとちょっと使い勝手が悪い感じだけど」 

「犯罪職は転職を禁止されてるけど、犯罪職でない犯罪者は転職可能だね。尤も、そんな奴はほとんどいないだろうけどさ」


 犯罪奴隷の転職は可能。だけど犯罪職は転職を禁止されている、かぁ。ややこしい。

 でも犯罪職の転職が禁じられているなら、野盗崩れの奴隷を買っても転職は出来ないって事になりそうだな。ちょっと面倒臭そうだ。


「それに転職可能とは言っても、犯罪奴隷の転職には国の許可が必要だったり、かなり面倒だよ」

「国の許可って?」

「絶対に他人に迷惑をかけない誓約を付与したり、奴隷所有者の身辺を調査されたり、かなり厳しい審査が行なわれたはずだよ。ただし実際に許可が下りた例を私は知らない。それくらい厳しい審査だと思ってちょうだい」

「……実質的に言えば、犯罪奴隷の転職は不可能ってことか」

「そういうこと。犯罪奴隷を個人で所有するのは本当に割に合わないのよね。だから野盗狩りなんて流行らないわけ」


 転職制限されてる上に、更に人頭税も普通の奴隷より高いんだっけ。

 犯罪者奴隷を仲間に購入されない為の措置って言うけど、犯罪を犯した人が更生するのをより難しくしちゃってる感はあるねぇ。


「犯罪奴隷は基本的に生涯解放される事は無いの。国に無断で奴隷解放をすると、それも違法になるから気をつけなさい」

「解放するのにも手続きと届出が必要なのね。本当に面倒臭そうだぁ……」

「だけど、国に買われて苛酷な労働を強いられるのと、ダンさんに買われて村作りに従事するのでは、待遇に天と地ほどの差があるでしょうね。根っからの犯罪者でないなら、恐らくダンさんに逆らうような者はいないでしょう」


 自ら望んで犯罪に手を染めてしまった者でもない限り、普通に暮らせれば不満は無いってことか。

 んー、素直に言う事を聞いてくれる奴隷ならありがたいんだけど……。


「そんなに野盗が出没してるとなると、ステータスプレートの契約欄が凄まじい事になりそうなのが嫌なんだよなぁ……」

「はぁ? ダンさんは妙な事を気にするねぇ? そんなに表示が気になるなら、略式表示にすればいいだけじゃないの」

「略式表示? なにそれ?」

「おや、知らないの? 契約欄に限ってだけど、契約内容ごとに表示をまとめられるのよ」

「はぁっ!? 表示をまとめられるって、マジでぇっ!?」

「どっかのジジイも普段は『婚姻』とだけ表示させていて、情報開示を求められた時だけ詳細を表示するようにしてたわよ? 大量の奴隷を所有してる人なんかは大体略式表示にしてると思うわ」


 マジかよーっ!? ステータスプレートにそんな機能あったんだっ!?


 みんなの顔を見てみると、ティムル以外みんな驚いてる。ということは一般的な知識じゃないんだね。

 婚姻や奴隷契約を沢山結ぶような富裕層、経営者層なんかじゃないとほとんど使わない機能なんだろう。


 キャリアさんにやり方を聞いて早速試してみる。

 略式表示のやり方は簡単。略式表示をしたいと思うだけだった。


 
 ダン 男 26歳 紳商 仕合わせの暴君
 ニーナ ティムル フラッタ リーチェ ヴァルゴ
 婚姻契約 貸付契約



「うおっ。すっごくすっきりした!」


 自分のステータスプレートのすっきり具合に思わず声を上げてしまった。


 ムーリに貸し付けてる5000万リーフの表示、あれって結構インパクトあったからなぁ。

 でもみんなの名前が無いと寂しい。婚姻契約は常に表示しておこう。


 ちなみに滞納した人頭税みたいに、借金の場合は非表示にすることは出来ないらしい。

 俺とムーリの場合は、両者合意の上で利息も期限もない貸付金なので、借金とは少し扱いが変わってくるらしいね。ややこしいなぁ。


 簡単に言うと、自分に非のある情報を略式表示することは出来ないということだ。

 奴隷契約も所有者側は略式表示できるけど、隷属している側は所有者を非表示にすることは出来ないと。


 なんにしても、契約欄でごちゃごちゃしないのはありがたいなぁ。

 44人も奥さんが居たらどんな表示になるのかと思えば、略式表示なんて裏技があったとは……!


 これでなんの憂いも無くなったので、ガンガン捕まえてどんどん働かせようじゃないかっ。


「ダンさんは変わってるねぇ。普通の奴隷ならともかく、野盗を捕らえて奴隷にしたいなんてさぁ」


 略式表示に感動していると、キャリアさんが心底不思議そうな様子で問いかけてくる。


「犯罪奴隷なんて普通に生きていけなかった落伍者みたいなものよ? 競争に負けた落ち零れと言ってもいいわ。従順ではあるかもしれないけれど、お金もかかるし世間の印象も良くない。そんな者達をあえて雇う理由なんてないんじゃない?」

「あえて買う理由も無いけど、見捨てる理由も無いかな? お金も余ってるし世間の評価なんてどうでもいいし」


 競争に負けたら落伍者にされちゃうなんて悲しすぎるでしょ。

 上を目指して競り負けたなら仕方ない部分もあるけど、最低限の生活すら送ることを許されない人を救済できない社会なんて、社会として破綻してると俺は思う。


「奪う事に喜びを覚えちゃった奴まで雇おうとは思わないけどさ。競争に負けたら犯罪者になるしかないなんて、いくらなんでもこの世界は厳しすぎるよ」


 職業浸透さえ進められればいくらでも稼げる世界だっていうのに、弱者が虐げられすぎてると思うんだよね、この世界ってさ。

 みんなが職業浸透を進めれば、きっと多くの人が笑って暮らせる世界のはずなのにさ。


 沢山の人が職業の浸透を進める事によって、また別の問題が発生するかもしれないけれど……。その時はその時だ。

 そんな先のことよりも、まずは目の前の現状を変えていかないと。


「……はっ! 見捨てる理由も無い、ねぇ。やっぱり変わってるよ。ダンさんは本当に変わり者だねぇ」


 呆れたような、悔しさを滲ませているような、なんだか複雑な表情をしているキャリアさん。

 だけどそんな表情は一瞬で消し去って、商人らしい話の流れを作り出した。


「でもまぁ野盗を片付けてくれるならこっちとしてもありがたいよ。どうしても商売に影響が出ちゃってるからね」

「商売に影響してるって事は、ある程度野盗の出没地域とかは絞れてるの?」

「今分かってるだけの野盗の被害報告はリスト化してあるよ。新しい被害報告があったらそれも全部報告させてもらうからね。こっちにもメリットが大きい話だし」


 キャリアさんに沢山の街の名前が書かれた紙を手渡される。


 リストに載っている街のシュパイン商会の支店か冒険者ギルドに行けば、野盗の詳しい情報を貰うことが出来るそうだ。

 流石大商人。話が早くて助かるね。



 これ以上の話は村の建設許可が下りてからという事で、本日の話し合いは終了。


 キャリアさんに別れを告げて、一旦自宅に戻って作戦会議をする。

 まだ日も高い時間なので、早速野盗の調査と捕縛に乗り出そうと提案してみたのだ。


「生体察知の使える俺とニーナ、旅慣れているティムルとリーチェ、対人戦闘能力が高いフラッタとヴァルゴは分かれることにしよう」

「了解よーっ。野盗が出てると周辺地域の生活にかなり影響しちゃうからね。サクッと解決しちゃいましょっ」

「ダンが妾のおっぱいに初めて触れたあの日、ダンが使っていたスキルを妾も習得できるのじゃーっ!」


 野盗討伐で得られる職業があるのは確定しているので、他のみんなもノリノリである、

 最早お弁当を作ってピクニックにでも出かけるような気分だな?


「ターニアさんとムーリも誘って、4人の2パーティでリストを消化していこう。2人の職業浸透は本人の意思に任せるけど、野盗狩りで得られる職業は少し特殊な転職条件だからね。この際一緒に解放させちゃおう」

「うんうん。母さんも野盗狩りはしたことないって言ってたもんね。きっと喜んでくれると思うのっ」


 獣爵グラフィム家とは縁が切れているけど、ターニアさん的には獣爵家に悪感情は抱いてないみたいだしね。

 獣爵家が推奨している野盗狩りをターニアさんにも是非体験させてあげるとしよう。


 まだまだ戦えないムーリは俺の方に、職業浸透が進んでいないヴァルゴも俺側に、俺の代わりにニーナを見守る為にディムルがニーナ側のパーティに参加する事になった。

 俺の方はリーチェ、ムーリ、ヴァルゴ。ニーナの方はティムル、フラッタ、ターニアさんという構成だ。


 捕らえた犯罪者は基本的に全部俺が買い取る予定で話を通してもらい、料金は先払いしてしまう。

 後は実際に会ってみて、目利きを試したりして生粋の悪人を除外できればいいんだけどねぇ。


「あははっ。ダンと別行動するのも、移動魔法を使って世界中を回るのも、母さんと一緒に行動できるのも、全部夢にも思ってなかったよーっ!?」

「張り切ってるねニーナ。ちょっとの間別行動だけど、頼りにしてるよ」

「任せてーっ! ずーっとダンに守られて生きていくと思ってたのに、ダンのために動けるのが本当に嬉しいのっ!」


 ……ニーナが喜んでくれるのは凄く嬉しいけど、これが普通の生活なんだよ?


 俺の庇護なんか必要としない、自分でどこにでも行けて好きなことが出来る生活。

 そんなごく普通の生活をニーナにプレゼントすることが出来て、本当に誇らしいよ。


「それにしても、なんでダンはこんなに野盗狩りを推奨するの? 犯罪系職業に就けるのってそんなに重要なのかしら?」


 ティムルが疑問に思った事を素直に口にする。

 気配遮断の強力さや察知スキルの便利さは知っていると思うけど、自分が使ったことがないからその有用性は伝わりきっていないのかな?


「犯罪系職業も賞金稼ぎも、敏捷特化で対人戦闘能力が上がる職業だからね。今後の俺達には重要度が高いと思うんだ」

「対人戦闘能力……。確かに私たちには今後必要になってくる補正なのかしら……」


 魔物との戦いには忌避感が無さそうだけど、対人戦にはかなり抵抗感を感じていそうだなぁ。

 こんなお姉さんには対人戦なんて経験して欲しくないけど……。俺達の相手はほぼ間違いなく人間だろうからな……。


 まぁ対人戦は抜きにしても、ティムルは職人で五感上昇と身体操作性補正が数多く累積しているから、敏捷性補正を上げると他のみんなよりも効果が高いんじゃないかと思う。

 それにみんな、ヴァルゴも含めてアウターエフェクトを討伐している事になるわけだから、賞金稼ぎを浸透させたら悪魔祓いや弑逆者になれる可能性も高い。


 インパクトノヴァに加えてホーリースパークも使えるようになれば、対アウターエフェクト戦の対策は万全だと言えるだろう。


「それにニーナとヴァルゴは種族専用職業を探さないといけないから、色々な職業を浸透させてもらいたいんだよね。ターニアさんに聞いた限りだと、獣人族の専用職は賞金稼ぎか侠客の先にあるような感じがするからさぁ」

「う~。ぼくに鑑定が出来ないせいで、エルフ族の職業は探せないんだよねぇ……。恐らくは巫術士だとは思うんだけど……」

「気にしなくていいよリーチェ。まずは出来ることからやっていこう?」

「あっ……」


 しょんぼりするリーチェの顎を指で持ち上げキスをする。

 そんなことで落ち込まなくていいんだよリーチェ。鑑定なんて普通の人はできないんだからさ。


 リーチェにキスをすれば当然みんなもキスをしたがるので、俺も当然みんなに応じて嫁全員とたっぷり唾液を交換する。

 最後にヴァルゴと舌を絡めていると、ニーナが何かを思いついたように小さく手を叩いた。


「ダン。被害報告は5件だから、私達が3件担当するね。そっちはムーリとヴァルゴが参加してるから無理できないと思うしさ」

「あー確かにそうかも。ごめんニーナ、甘えさせてもら……」

「それで担当の2ヶ所の野盗を捕まえたら、日没までは4人で自由にしていいよっ。夕食は用意しておくから、それまで帰ってこなくて大丈夫なのーっ」

「へ? 日没までは4人で自由に……?」


 日没までは、このメンバーを自由にしていい!?

 エロシスタームーリと、エロプリンセスリーチェ、そして新人のエロルーキーヴァルゴと4人で、日没まで自由に過ごしていいだとぉっ……!?


「ふははーっ! 流石ニーナなのじゃ! ダンが一瞬でやる気を漲らせておるのじゃ!」

「ダンさんがやる気になってくれるのは構わないんですけど……。1日に2ヶ所も野盗を排除するなんて、本当に可能なんですか……?」

「心配しないでムーリ! その辺は何度も経験してるから俺に任せてっ!」


 俺達の持久力補正と敏捷性補正を舐めてもらっちゃあ困るよムーリ!


 それに野盗の情報を元に生体察知を駆使すれば、野盗のアジトなんか直ぐに見つけられちゃうからねっ!

 半分非戦闘員のムーリと職業浸透が進んでないヴァルゴは、俺が抱っこして運んであげるから何も心配要らないよーっ!


「ほらダン! グズグズしないのっ! 時間は有限なんだからねっ!」


 リーチェもやる気満々で、早く行こうと急かしてくる始末。

 いやぁ野盗に困っている人々を、一刻も早く安心させてあげなきゃいけないよねっ! 大義名分って大事だわぁ。


 さぁいこうみんな! 野盗なんてさっさと捕らえて、みんなのこともギューっと捕まえてあげるからねーっ!
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