異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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4章 マグエルの外へ2 新たな始まり、新たな出会い

245 大転職祭り (改)

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「よーし、1列に並ぶんだ! このダン殿が、皆に加護を授けてくれるからなっ」


 なぜかノリノリのカランさんに案内されて、広場で大転職会が開催された。

 鑑定と職業設定は大した手間でもないし、1人5秒もあれば捌けるんだけど、マジで集落中の魔人族を集めてきた模様。


「凄い人数だなって思ったけど……。よくよく考えると少なすぎるな……」


 集落中の人を集めたと言ったカランさんだったけど、集まった人数は300人にも満たない。

 見張りの者、狩りに出ている者もいるらしいので若干人数は増えるだろうけれど、マジで絶滅間近だったんじゃないのか魔人族……。


「じゃあ転職を始めるよ。もしもまだ転職できない人が居たら教えるから、まずはみんな1回試してみようね」


 鑑定で5歳と表示される子の中でも村人LV10になっている子もいて、魔人族の集落が如何に危機的な状況に置かれていたのかが良く分かる。

 まずはみんなに戦士になってもらって、体力補正を得てもらおう。


「ほほほほほっ……! 本当に、村人じゃなくなってる……!」


 ステータスプレートを見て感激している人には申し訳ないけど、まだ装備品が無いので、このままでは装備品強度上昇補正が死にスキルと化してしまう。

 家に戻ったら、また装備品を買い漁らないといけないなぁ。

 あ、スポットに戻ってる3人も装備材料ゲットしてないかなぁ? 最深部だと逆に集まらないか?


「ありがとうございますっ……! ありがとうございますっ……!」

「……そういうのいいから。次がつかえてるんだからチャッチャと避けてくれる?」


 しかしさぁ。転職させることは全然構わないんだよ。大した手間でもないし。

 だけど転職に成功した人たちが、そのタイミングで修道士の職を得ているのが嫌過ぎるんですけどぉ? いったい何を信仰してるんだい君らは。詳しく聞きたくないけどっ!


 終始微妙な気持ちになりながら、集落中の人々の転職を終わらせた。


「カランさん。ルドルさん。戦士の加護を得ても少し死に難くなった程度で、装備品も揃ってない今が危険な状況には変わりないんだ。調子に乗って魔物に挑もうなんて奴が出ないように、充分注意してね」

「分かっております。せっかく加護を得たのに命を失ってしまっては本末転倒ですからのう」


 注意喚起と、明日来る時に可能な限り装備品を用意してくることを約束する。

 そして明日は残り2つの集落に赴き、そちらの集落の転職の面倒も見ることにした。


 2つの集落への案内役にはヴァルゴが指名されていた。


「ダン殿。ヴァルゴも連れて帰ってはくれまいか」

「へ? なんで?」

「ダン殿の御身は魔人族の将来に直結するからな。魔人族としては護衛の1人もつけねば安心できんのだっ!」


 カランさん。一見まともな理由に聞こえるのに、そんなに面白そうな顔しながら言っちゃ台無しすぎるんだよ?

 言われたヴァルゴも、こっそり両手を握ってガッツポーズを取りながら、小声で、やった! って言ってるの丸聞こえだからね?


「ヴァルゴー。俺ってお嫁さんいっぱいいるし、毎晩愛を確かめ合ってるんだ。お前はそんな場所についてきて大丈夫なわけ?」

「ダンさんの実力なら、惹きつけられる女性が多いのも納得です。私もこう見えてもう26ですからね。変に気を遣われずとも平気ですよ」

「あ、ヴァルゴって26なんだ。俺と同い年だったんだね」

「えっ! ダダダダンさんも26歳なんですかっ! やったっ。同い年だっ」


 同い年の何が嬉しいのか分からないけど、最早隠す気もなく小声で叫びながら小躍りしているヴァルゴ。

 26歳で乙女過ぎないかねキミィ……。


「はぁ~……」


 もういいや。後はなるようになれだ。


 話もしたし転職会もしたので、予定よりかなり遅くなってしまった。

 さっさと帰って明日の準備もしなきゃいけないし、何よりみんなにヴァルゴと魔人族の話もしなきゃいけないけど、家に帰りたいのに帰りたくないよぉ……。


「ヴァルゴ。パーティ組むからステータスプレート宜しくね」

「こここここちらこそっ! 不束者ですがよろしくお願いしますっ!」

「……あと森の外でも法王の転職スキルって、俺以外に使える奴見たことないんだ。だから基本的に外では転職スキルのことは発言禁止ね。流石に妻は知ってるけどさ」


 パーティ組むってところで、やったやった言いながらくるくる回ってたけど、こいつ後半ちゃんと聞いてたんだろうなぁ?

 もう1度釘を刺し直してからパーティを結成する。


「明日は森の外のお店を回って装備品をかき集めなきゃいけないから、朝イチでは来られないと思う。でも来たら必ずディロームの集落に顔を出すから宜しくね。明日は襲ってこないでくれよ?」

「おおおお、襲ったりしませんからぁっ! もう勘弁してくださいよぉ……!」

「がっはっは! これは一生言われるなヴァルゴぉっ! では明日、またお会いしましょう! お待ちしておりますぞぉっ!」


 上機嫌のカランさんに見送られて、初めて見る移動魔法に躊躇うヴァルゴと手を繋いで転移魔法に飛び込み、マグエルの自宅に帰還した。

 家の中には生体反応が6つ。これはターニアさんか。一瞬ラトリアがいるのかと思った。


「こ、ここが森の外の世界……! 本当に木々が全く無いのですね……? 明るくて開けた、森の外の世界……」


 既に日も落ちたし、明るくないんだよヴァルゴさんや。

 聖域の樹海は月明かりすら入り込まない場所だったからなぁ。よくそんな場所で転職もできずに生き残れてたものだよ。


「ここはマグエルって街にある俺の自宅だよ。中にいる女性は全員俺の家族だから、喧嘩したりしないようにね」

「畏まりました。私は護衛であり案内人ですからね。立場は弁えております」

「そんなに堅苦しく考えなくてもいいけどね。それじゃヴァルゴ。ようこそ我が家へ。歓迎するよ」

「あっ……」


 数秒前までは真剣な表情だったヴァルゴが、手を握った瞬間真っ赤になって顔から湯気を発している。

 赤面しているヴァルゴと手を繋いだままだと火に油を注いでいる気もするけど、初めて森の外に出たヴァルゴも不安でいっぱいだろうからなぁ。

 甘んじてみんなの怒りを引き受けるとしよう。


「ただいまー」

「おっ、お邪魔いたしますっ……!」


 しっかりと覚悟を決めてから家の扉を開ける。

 どうやらみんなは食堂にいるらしいね。ヴァルゴと手を繋いだまま食堂に行く。


「あ。ダン。おかえりなさい。その人は新しいお嫁さんなの?」

「ただい……軽っ! 反応が軽すぎるぅぅ!?」

「んもーダンったら、1人にするとすぐに新しいお嫁さん拾ってきちゃうんだからぁ」


 仕方ないなぁと腰に両手を当てて頬を膨らませるニーナ。

 って、ノリが軽すぎるよニーナぁぁぁっ! 別に怒られたいわけじゃないけどさーーっ!


「へぇ? その人魔人族じゃないの。ダンったらどこで見つけてきたのよー?」

「探してない! 別に探したわけじゃないからっ!」

「魔人族で、物凄い美人で、なんか既にダンにメロメロじゃなぁい? あはーっ。ダンってば本当にすぐ女に惚れられちゃうわよねー」


 惚れて押しかけてきた第1号のティムルが言うと、嫌な説得力がありますねぇ!


「物凄い美人ではあるが、どうやら腕も相当立ちそうじゃのう。母上と同格? いや更に? 少なくとも妾では太刀打ちできなそうなのじゃ」

「凄いなフラッタ。立ち振る舞いだけでそこまで分かるものなんだ?」


 そうだなぁ。技術だけで言えばラトリアよりも更に上だよ。

 でも職業補正込みなら、多分竜化したラトリアの方が勝つと思うけどね。


「フラッタより上でラトリアさんと同格って、凄まじい猛者だねぇ。その評価だと近接戦闘じゃぼくも敵わないんじゃないかな」

「どうかな? 精霊魔法まで駆使すればリーチェって相当ヤバい実力だと思うけど」

「あは、お世辞はいいよ。しかし本当に強者っていうのはどこにでもいるものだね。ダンが貪欲に強さを求める理由も分かるよ」


 お世辞のつもりは無かったんだけど、リーチェがご機嫌だから問題無し。

 この世界って魔力があるせいで、どこにどんな脅威が潜んでいるのか予想しきれなくってなぁ……。


「え、えええええ……。ダンさんが手加減下手なのは知ってましたけど……。結婚して2日後にターニアさんを助けてきて、単独行動したと思ったら魔人族を見つけてきて……」

「あはははははっ! ダンさんっていつもこんな感じなのっ? そりゃ離れの建設を急がせるわけだよーっ! あはははははっ!」


 どん引きのムーリと、腹を抱えて爆笑するターニアさん。

 流石、苦労した期間が長かったせいか動じないなぁターニアさん。


「みんなにも……、特にティムルには協力して欲しい事があるし、紹介させてね」


 我が家の雰囲気に圧倒されて硬直気味のヴァルゴをみんなに紹介する。


「こいつは魔人族のヴァルゴ。技量ははっきり言って、今まで出会った中ではぶっちぎりで最強だ。初見で俺も殺されかけたからね。こいつとの手合わせで得られるものは相当多いと思う」


 俺と殺し合いをしたというくだりでニーナとティムルが一瞬だけ反応し、最強と言ったくだりでフラッタが少しソワソワし出した。

 ここでヴァルゴに前を譲って、自己紹介してもらう。


「皆様初めまして。魔人族、ディローム集落の護り手を務めさせていただいているヴァルゴと申します」


 流麗な所作で深々と頭を下げるヴァルゴ。

 何気にヴァルゴって所作が綺麗な気がするなぁ。森育ちなのに。


「この度は突然押しかけることになってしまって、本当に申し訳ありません。ですが魔人族としてはダン様をお1人でお帰しするわけにもいかず……」

「「「ダン……、さまぁ?」」」

「……ぷっ! あははっ! あははははははははっ!」


 怪訝な顔をする一同と、爆笑するターニアさん。

 この人動じないんじゃないわ。ただの笑い上戸だろこれ。


 ターニアさんの笑いが収まってから、今日あった出来事を説明していく。

 鑑定や職業設定についてはどうするか迷ったけど、ちゃんと自分で使用可能になったので、ムーリとターニアさんにも打ち明ける事にした。


「全員村人のままで、アウター内で暮らしておったというのか……! それなら確かに、異次元の戦闘技術を身につけていても納得なのじゃ……」


 魔人族の暮らしていた苛酷な環境に戦慄するフラッタ。

 フラッタってスポットで遭難しかけていたからな。アウター内で暮らすことの苛酷さを必要以上に思い知っていそうだ。


「デーモン種とロード種が一緒に守ってたのに、それを瞬殺しちゃったの……? やっぱりインパクトノヴァを早く覚えないと、ダンに置いてかれちゃうよぅ」

「リーチェを置いてく訳ないだろ。もし落としても拾いに戻ってくるっての」


 俺の言葉にモジモジし始めたリーチェのほっぺにキスをする。

 インパクトノヴァで倒したわけじゃないけど、ここで言う必要はないよね。


「私は装備を量産すればいいのね? 分かったわ。任せて」

「俺も手伝うつもりだけどね。頼りにしてるよ」

「村人のまま、装備品も無い状態で戦えていたんだから、高級な装備品じゃなくても問題なさそうかしらねぇ。まずは数を揃えることを優先すべきかしらぁ?」


 ティムルの言う通り、まずは何でも良いから装備を渡してあげるのが重要なんだ。

 戦闘技術は異次元レベルだから、職業補正さえ適用できれば勝手に強くなってくれるだろうからね。


「へぇ。ヴァルゴさんは世界最高レベルの槍の使い手なんだねっ」

「いえいえ、私などまだまだ未熟者でしてっ……」

「私はターニアっていうのっ。私も槍を使うんだっ。だから機会があったら指導してもらいたいなぁっ」


 グイグイ距離を縮めるターニアさんと、タジタジのヴァルゴ。


 しかしターニアさんは物怖じしないなっ!?

 流石獣爵家とかいう大貴族の癖に、孤児と駆け落ちまでした人だよぉ。


「村1つ壊滅した惨劇が、人為的に引き起こされたことだったんですか……!? しかも魔人族が持っていたはずのレリックアイテム? が奪われていた……」

「ヴァルゴをお嫁さんにするかどうかはまだ保留するとして、確かに魔人族を放っておくことは出来ないね……」


 ヴァルゴの紹介が済んだので、俺が今日体験したことと、魔人族が置かれている状況、そして敵の存在について説明する。

 敵が引き起こした惨劇に慄くムーリと、魔人族を放置できないと理解を示してくれるニーナ。


「んー。でも私達が聖域の樹海? に入るとややこしくなっちゃうかな? 明日は別の集落も回るんだよね?」

「あー……。確かに俺とさえ初見の他の氏族の村に、他のみんなを連れていくのは危ないかなぁ?」

「そうだなぁ……。1回目の転職が終わるまでは、ヴァルゴとダンの2人で対応したほうがいい? ダンのインベントリは巨大だし、装備の運搬にも困らないよね?」


 64㎥だからね!

 1度に全ての装備品を運べって言われたらきついけど、インベントリが埋まるほどの装備を準備する方が難しいっていう。


 それにあそこはアウターの中だ。現地で素材を集めることも出来るかもしれない。鋼鉄武器や革製防具なら、今の俺なら相当数作成可能なはずだ。


「奥様達の寛大なご配慮に、魔人族を代表して深く感謝申し上げます。ダン様の存在は魔人族にとって希望そのものでございます。今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます」


 頭を下げるヴァルゴと、笑顔で頷く俺の奥さん達。


 ふぅ。まったく怒られることなく顔合わせが終わっちまったぜ……。

 決して怒られたいわけじゃないけど、怒られなくていいのかなぁ?

 魔人族の状況を考えたら四の五の言ってる余裕は無いんだけどぉ。


 ヴァルゴとの顔合わせが終わったら、全員の職業設定を行う。


「おっ、みんな結構頑張ったんだねぇ」


 ニーナの冒険者、ティムルの攻撃魔法士、フラッタの回復魔法士、そしてターニアさんの旅人が浸透を終えている。

 ニーナはそのまま探索者に、ティムルは探索魔法士に、フラッタは魔導師に転職し、ターニアさんは商人になることにしたようだ。



 探索者LV1
 補正 体力上昇+ 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇
    全体装備品強度上昇- 全体魔法耐性
 スキル インベントリ アナザーポータル


 探索魔法士LV1
 補正 魔力上昇 魔法攻撃力上昇-
 スキル 探索魔法


 魔導師LV1
 補正 魔力上昇+ 魔力上昇 魔法攻撃力上昇+ 魔法攻撃力上昇
 スキル 上級攻撃魔法 詠唱速度上昇


 商人LV1 
 補正 幸運上昇-
 スキル 目利き



 トライラムフォロワーの指導をするので、ターニアさんも戦士、商人、旅人、修道士の浸透を済ませたいようだ。修道士の職業はまだ得られてないみたいだけどね。


「それじゃまずは母さんとヴァルゴでお風呂に入ってきてね。同じ槍使い同士だし」

「はいはいわかりましたよー」

「私は今日からダンと一緒に入るから。母さん、ヴァルゴを宜しくね」

「それじゃヴァルゴさんいきましょ。女同士、槍使い同士、語れることもあると思うから心配しないで」

「えっ、えっ? お風呂とはなんでしょう? でもターニアさんも槍使いなのですね。外の槍使いの話、興味深いですっ」


 裸の付き合いって部分を巧妙に隠したまま、ターニアさんとヴァルゴは浴室に消えていった。

 直後にヴァルゴの驚いた声が聞こえたけど、戻ってこないところを見るとそのまま入ったらしいね。ターニアさん凄いな。コミュ力の塊か?


「じゃあティムル。ターニアさんとヴァルゴが居ないうちに始めよっか」

「了解よーっ! ようやくって感じだわーっ」


 一時的にティムルを名匠にして、材料がある分だけでも装備品を作成していく。

 ティムルを名匠にしたのは、念願のダマスカスダガーを作ってもらう為だね。


「あはーっ。なぁるほど。そういうことだったのねぇ~」


 材料を用意していざスキルを使おうと思ったところで、ティムルが感心したように声を上げた。


「ねぇダン。上級レシピって熱視状態じゃないと発動出来ないみたいよ」

「そこで熱視が必要になってくるのかー。じゃあやっぱり名匠になるには熱視が発現してないと無理なんだろうね」


 まぁ名匠になる時点で熱視の発現条件は100%クリアできてると思うから、なにも問題ないのか。


 上級レシピだと装備作成時の発光が強くなったりするのかなぁ? スキルの発動光が高温になったりするわけじゃないんだろうけど……。

 確か碧眼って光に強いとか何とか言ってたっけ?


 気を取り直して、熱視状態で改めて上級レシピに挑むティムル。


「抗い、戦い、祓い、貫け。力の片鱗。想いの結晶。顕現。ダマスカスダガー」


 詠唱は一緒か。製作スキル自体は一緒なのかな?

 発光の強さにも特に変化は見られなかったけど、光が収まると無事にダマスカスダガーが完成していた。



 ダマスカスダガー
 無し 無し 無し 無し



 おお、やっぱりダマスカスはスキル枠が4つあるなぁ。

 でも今回はこれで終わりじゃないんだなー。


「さぁいよいよだねティムル。期待してるよっ」

「あはーっ。緊張よりもワクワクが止まらないわぁっ」


 インベントリからテラーホーンを取り出しティムルに渡す。

 さぁ現れるがいい、神鉄武器よーっ! 作るのはティムルだけどっ!


「抗い、戦い、祓い、貫け。力の片鱗。想いの結晶。顕現。オリハルコンダガー」


 詠唱が終わりスキルが発動する。

 素材が眩い光に包まれていき、光が収まったところには、薄赤い刀身のダガー。



 オリハルコンダガー
 咆哮 無し 無し 無し 無し



 ん? オリハルコンダガーなのは間違いないけど……。なんか付いてるね?


 それをティムルに問おうと振り返ったら……。

 あっはっは。ティムルは話が出来る状態じゃないねー?


「ドワーフの里を追われた私がぁ……。ドワーフの面汚しって言われた私がぁ……。私がぁ……、オリハルコン武器……、作っちゃったよぉ……」

「ありがとう。いや、おめでとうかな? 最高のドワーフのお姉さんが俺のお嫁さんになってくれて本当に嬉しいよ」


 泣いてるティムルを足の上に乗せて、バックハグからのよしよしなでなで。

 お姉さんが一生懸命に生きてきたから到達できたんだよー。


 そうだ。なんだかんだと先延ばしにしていたスキル付与を済ませちゃおうかな。

 ティムルへの労いを込めて、スキル付与は俺がやっちゃおう。


 ニーナのアサシンダガーに魔法妨害-を、ティムルが作ったばかりのオリハルコンダガーに物理攻撃上昇-と体力吸収-を付与する。



 アサシンダガー
 貫通+ 物理攻撃力上昇+ 魔法妨害- 無し 無し


 オリハルコンダガー
 咆哮 物理攻撃上昇- 体力吸収- 無し 無し



 魔法妨害付与するの、すっかり忘れてたよ……。

 災厄のデーモンスピアの扱い、結構慣れちゃったもんなぁ。


「ありがとダンっ。魔法妨害は竜王戦での要だったもんね。効果が低い分を手数で補えるようにがんばるねっ!」

「オリハルコンダガーも作ったばっかりなのに、なんでここぞとばかりに、いっぱいスキル付与までしちゃうのよぉ……!」

「ティムルー? 自分で作った装備に感動しすぎだからねー? これからもいっぱい作ってもらうんだから、毎回感動してたら大変だよ?」


 まったくティムルは。自分が達成したことまで俺のおかげって思わなくて良いのにさぁ。

 バックハグしていたティムルの向きを変えて、顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくるティムルを正面から抱き締める。


「いっつもありがとうティムル。これからも頼りにさせてね?」

「もう大好きぃ……! 大好きすぎるぅ……! ダン、愛してるぅ……!」

「……俺も大好きだよティムル。すぐに泣いちゃう感激屋のティムルお姉さんのこと、魂から愛してるよ」


 泣いてるティムルを抱きしめながら何度もキスを繰り返していると、お風呂から上がったヴァルゴはドン引きし、ターニアさんは爆笑していた。

 でもオリハルコン武器を見せると、装備品の知識の無いヴァルゴはキョトンとし、ターニアさんの方が真顔になってしまったのはちょっと面白かった。


 美人でエロくて世界最高峰のドワーフのお姉さんが、俺の事を好きで好きで仕方ないって、物凄い幸せを感じるねっ。

 ふっふっふ。ヴァルゴという客人には申し訳ないけど、今夜も燃え上がっちゃいそうだなーっ!
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