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4章 マグエルの外へ1 竜王のカタコンベ
217 到着 (改)
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マグエルを出発して9日目の夕方。眼前には見覚えのある無骨な街並みが見えてきた。
「ふはははーっ! 見えてきたのじゃー! みんな、あそこがヴァルハールなのじゃーっ!」
「わーっ。ここがフラッタの生まれた街なんだねーっ」
ニーナが目の前の街並みを眺めながら感心したように呟いた。
大喜びのフラッタが言うように、俺達はようやく分厚い城壁に囲まれた無骨な外観の街、ヴァルハールに到着した。
スペルディアで数日間滞在する予定だったのやめたおかげで、10日とかからず到着できてしまったね。旅程としては順調極まりない。
初めてフラッタと出会った時の俺達では数ヶ月かかると言われたヴァルハールに、ニーナと一緒に到達することが出来て感無量だよ。
「それじゃさっさとフラッタの家に行こうか。ヴァルハールは他種族の俺達が観光を楽しめる場所じゃないからね」
「ぐ、ぐぅ……! 言い返す言葉もないのじゃ……! じゃが! いつか必ず下らぬ種族差別など無くしてみせるのじゃーっ!」
元気なフラッタの声を合図にヴァルハールに足を踏み入れる。
フラッタに礼節の授業を習いに通っていた頃にヴァルハールのことも少し聞いたんだけれど、やはり俺が決闘を受けた時期というのは領主邸が機能していなくて、町全体が少し荒んだ雰囲気になってしまっていたらしい。
幸いあの時決闘した6人は死なずに済んで、11月ごろにはアウターに潜る者、サルべージャーとして活動を再開したそうだけど、肉体の治療で借金を作ってしまって少しずつ返済に励む毎日のようだ。
ちなみに今まで知らなかったけど、探索メインでアウターに潜る者をサルベージャー、魔物狩りメインで活動する者を正式にはリーパーと呼ぶそうだ。
アライアンス申請の時にリーパーと言われて、なんのことか分からず恥をかいてしまったぜ。
みんな普通に魔物狩りって言うんだもん。知らないってのー!
領主邸までは俺はポータルでいけるので、フラッタがみんなを案内している間にマグエルに転移。教会からムーリを攫ってくることにした。
「あれ? ダンさん、珍しい時間にお迎えですねーっ」
抱き付いてくるムーリを受け止めてよしよしなでなで。
無事にムーリを発見して連れ去ろうとしたんだけど、ある程度の長期間ムーリがマグエルから離れても大丈夫なのかな?
「ムーリ。フラッタの家で少しの間ゆっくりするつもりなんだけど……。ムーリも一緒に滞在できるかな?」
「えっと、教会のお金の管理は私のインベントリで行なってるので、日中……、普通の人たちが仕事している時間にさえ教会で待機できていれば問題ないですよ」
イエス! ムーリも一緒に滞在できるなら、マグエルに居たときと同じくらいにみんなと愛し合えるぞーっ!
いやぁヴァルハールでの滞在が今から最高に楽しみになってきちゃったなーっ!
「お手数ですけど、朝食を食べたら毎朝マグエルに送ってもらえればありがたいです。それならダンさんの家に泊まっている時と殆ど変わらないですからね」
「そのくらいお安いご用だよ。ほんっとポータル様々だなぁ」
「それにですねっ。今のマグエルには、私のほかにもシスターが常駐してるんですよーっ」
声とおっぱいを弾ませて、ムーリが嬉しそうに報告してくれる。
15歳になった孤児の中から、コットンともう2人ほど正式に教会のシスターになってくれた子がいて、今はムーリの仕事を補佐しながら孤児院の運営を手伝ってくれているらしい。
3人はまだインベントリが使えないので、お金の管理こそムーリが行なっているけれど、教会の運営・管理の仕事に関しては殆ど不安が無いそうだ。
ということで、なんの憂いもなくムーリをゲットしてヴァルハールに転移した。
「ムーリ! ひっさしぶりなのーっ!」
「わーニーナさんっ! お久しぶりですーっ!」
いや、9日間くらいしか離れてないでしょ、なんて野暮な事は絶対に言いませんよ?
ムーリを連れて竜爵家邸に転移しみんなと合流すると、ムーリとニーナ、フラッタ、ティムルの3人が、久しぶりーっ! とか言いながらムニュムニュと抱き合っていた。
……俺は別に百合属性など持ち合わせていないんだけれど、可愛い女の子たちが仲良くイチャイチャしてる風景って、なんか延々と永遠に見ていられるね。
我が家の女性陣はみんな仲良しで何よりだよ。
「ようこそみなさん。皆さんのヴァルハール来訪を心から歓迎致しますわ」
「お邪魔します。当分の間お世話になるよラトリアさん」
笑顔で出迎えてくれたラトリアさんとも合流して、ヴァルハールでの滞在の予定を話し合う。
「スペルディアで滞在しなかったおかげで早めに到着できたからさ。1月の間は竜王のカタコンベに篭って、職業の浸透を進めようと思うんだ」
「まだ半月くらいあるしね。日帰りで最深部にいけるなら稼ぎやすいし。私のせいでアナザーポータルが使えなくて申し訳ないけど、みんな宜しくねっ」
申し訳ないと言いつつ、遠慮はしないニーナが嬉しい。
俺たちは家族だからねー。絶対ニーナを置いていったりしないからねー。
「私も賛成よ。私の付与術士ももうすぐ浸透が終わるって言うしありがたいわ。付与術士の後に何をするかも考えておかないとねぇ。やっぱり戦闘職かしら?」
ティムルの場合、付与術士の更に先がある可能性があるからなぁ。
それを見極める為にも浸透を進めたいんだよね。
「妾にとっては最早マグエルの方が落ち着くことは確かなのじゃが、ヴァルハールでみんなと一緒に過ごせるというのも凄く楽しみなのじゃーっ!」
「ぼくも行商人を浸透させてしまって、ヴァルハールを経つ前には荷運び人になっておきたいね」
「そうだなリーチェ。お前の浸透もどんどん進めて行こう」
最深部で半月も活動してれば、鑑定するまでもなく行商人は浸透するだろう。
もしかしたら、ムーリに悪戯した日に既に浸透が終わってた可能性はあるけど。
「私の生活はさほど変化がありませんかねぇ? 朝晩はダンさんに好き勝手されて、日中は教会に行くだけですし」
ははは。10日振りに6人揃って相手できるんだからなぁ。今まで通りだと思うなよぉ?
ここに滞在してる間は、毎日意識が無くなるまで可愛がってあげるからねー?
職業浸透の話の次はドロップアイテムについて話し合う。
なんたってここ、魔玉がドロップしない代わりに硬貨が直接ドロップするからな。お金余り状態の俺達的には、探索を始める前に利用方法を設定しておいた方がいいだろう
「はいーっ!? ドロップした硬貨を全てルーナ家に入れてくださると言うんですかぁっ……!?」
「うん。俺たちってあまりお金を必要としてない生活をしてるからね。出来れば素直に受け取って欲しいかな」
ということで、ドロップした硬貨は全てそっくりそのままルーナ竜爵家に納めることを提案してみた。
フラッタもラトリアさんももう俺の身内みたいなものだし、変に遠慮してもね。
「硬貨がドロップアイテムなら稼ぎまくっても経済への影響は少なそうだし、財産を全て奪われた今のルーナ家にはお金が必要でしょ?」
「そ、それは確かにそうですけどぉ……」
フラッタの実家を見捨てるわけにもいかないし、ラトリアさんを楽しみまくってる手前、多少は便宜を図らないとゴルディアさんに申し訳も立たない。
お金が無くて使用人に生活費を払えなきゃやっていけないし、領主の財政難が原因で統治に支障が出るのも馬鹿らしいからね。
「遠慮せず受け取ってよ。その代わりたっぷりと楽しませてもらうからさ」
「う、うぅ……。そっちも私が受け取る側のような気がしてしまうんですけどぉ……」
細かい事は気にしないの。絶世の美貌を持つラトリアさんの母乳を啜れるなんて、王金貨払ったってお釣りが来る価値なんだからね?
この日は夕食をいただいた後、フラッタの自室の天蓋付きのベッドで6人全員を沢山満たして英気を養った。
やっぱり6人全員揃っていると俺自身のやる気も変わってくるようで、寝起きの注入行為も全員の意識が混濁するまで徹底的に注入し続けてしまった。
みんなの体、どんどん気持ちよくなってくるから困っちゃうなぁ、もうっ!
「それじゃ先に行ってるね。ムーリのことよろしく」
「あはっ。ちょっとだけダンのこと独り占めさせてねっ」
翌日、俺とニーナの2人で、みんなに先行して竜王のカタコンベに潜入する事になった。
今回はムーリの浸透を進めた時のように、俺とニーナだけ先に竜王のカタコンベに侵入し、最深部についたらアナザーポータルとポータルのコンボでみんなを迎えに来る作戦なのだ。
最深部に着くまで一切戦闘しなければ、相当な時間最深部で活動できるはず。これで移動阻害のペナルティ効果を可能な限り打ち消してやるのだ。
俺達が最深部まで移動している間にみんなには復活してもらったり、リーチェにムーリをマグエルまで送ってもらったりする。
「それじゃニーナ。最深部までは俺が先行するからね。思い切り走らせてあげれなくてごめん」
「あははっ! ダンについていくのって殆ど私の全力なのーっ!」
竜王のカタコンベにはトラップの可能性があるし、道案内も必要だから、探索魔法が使える俺がニーナを先導する。
今回も最深部までは獣化してもらいながら、スキャンでトラップを全て無効化して突っ走っていく。
ニーナの瞬発力は屋内でもその効力を遺憾なく発揮して、2時間ほどであっさりと最深部に到達してしまった。
「へー。ここが竜王のカタコンベの最深部なんだねー。壁って言うより渦みたいなんだー」
「感触が無いのはスポットと同じだったけどね。お疲れ様ニーナ」
感心した様子で最深部の境界線を眺めるニーナを労う。
年末にルーナ母娘と走った時よりもずっと早い時間で最深部に到達してしまったぜ。屋内なのに殆どトップスピード維持してたからなぁ……。
魔物察知と生体察知が両方使える俺とニーナには、出会い頭の衝突みたいな心配も無いし。
みんなを迎えに行って、トーチを使用して、これで準備は万端だ。
「それじゃ思い切り暴れようか。アウターエフェクトが出ても気にせず殺す方向で行こうね」
「あははっ。父さんに聞いた英雄譚の中でも、そんなこと言う人いなかったよー?」
英雄譚でそんなセリフあったら幻滅されちゃいそうだしね。
でもきっと後世に伝えた人が編集しただけで、色んな人がいたと思うんだよ?
「俺とフラッタは既に侵入済みだけど、このパーティなら不安は一切無いと思うよ。気楽に行こう」
「うんっ」「おっけーっ」「了解だよっ」
初めて竜王のカタコンベを訪れたティムルとリーチェにも硬さは無さそうだね?
それじゃ時間も無いし、どんどん行っちゃおーっ!
仕合わせの暴君による竜王のカタコンベでの探索が始まった。
しかし下馬評通りというか、全身聖銀装備に包まれた俺達と不死族ばかりのこのアウター、相性が良すぎて無双出来てしまっている。なんか済みませんね?
スポットの時と同じように、最深部では大型の魔物も数多く見かける。
けれどこの世界で巨大な魔物とか出ても、HP制が採用されている為あんまり困らない。
5メートルくらいありそうなガイコツ戦士のスケールスケルトンとか、足の指とかチマチマ斬っててもちゃんと有効打になるんだよねぇ。
竜王のカタコンベ探索、浸透第1弾はLV96だった俺の英雄だ。
次の職業は今日中に浸透を終わらせるつもりで農家をセットする。
農家LV1
補正 五感上昇- 身体操作性上昇-
スキル ドロップアイテム鑑定 インベントリ
まずは農家と料理人を浸透させて、インベントリがどうなるのか確認したいんだよねー。
恐らく農家と料理人はLV30止まりで、ぴったり640で終わるんじゃないかと踏んでるんだけど。
次いで聖騎士と悪魔祓いが仲良くLV50に到達。
そこでようやく聖属性魔法が解禁されたようだ。長かったなぁ。
「古の神。大いなる白。聖き光。浄化の奔流。不浄を祓う神雷を成せ。ホーリースパーク」
悪魔祓いの聖属性魔法で覚えたのは、断魔の煌きがフレイムロードを貫いた白き雷、ホーリースパークだ。対象指定型の単体攻撃魔法で、不死族や悪魔族に特効があるらしい。
単純な威力だけで言えばインパクトノヴァのが上のようだな。
つまりうちのパーティにはあんまり役に立たないってことだっ!
「祓い清めて穢れを落せ。破邪の燐光纏いて踊れ。其は聖霊に律動を捧ぐ者。アニマライザー」
聖騎士の聖属性付与魔法は、メンバー全員の武器防具に一気に聖属性を付与させ、対不死、対悪魔への攻撃力と防御力を上昇させるアニマライザーという魔法だった。
これ先に覚えていたら、アウターエフェクト戦ももうちょっと楽だったかもねぇ。
「あっはっは! 全員ミスリル武器なのに、これ以上聖属性を付与しちゃうとか魔物に同情するよーっ」
聖属性のメガ盛り状態にリーチェがツボに入ってしまったようだ。おっぱいをぶるんぶるんと揺らしながらお腹を抱えて爆笑している。
職業浸透を進めればこんな夢のような光景が何度も見れるって本当ですか!?
さぁ張り切ってどんどん行くぞー。アウターエフェクトを出現させるつもりで、どんどん魔物を狩り続けるんだ。
はっ、刈り取るものとはよく言ったもんだね。かり違いだけどさっ。
聖属性盛り盛りで不死族を消し炭にしながら考える。
ラトリアさん戦、そして空中戦をこなした事で、リーチェ本人にリーチェよりも強くなったと太鼓判を押してもらえた。
俺自身、アウターエフェクトが10体程度同時に出ようと負ける気はしていない。
だけど、相手の戦力がその程度だと考えるのは希望的観測が過ぎる。
相手は俺がこの世界に来る前から暗躍を続けていたはずだ。どれ程の戦力を隠し持っていたとしても不思議では無いのだ。
竜爵家夫婦にはこれで充分だと、10数体だけを厳選して連れていった可能性だって低くない。
ひょっとしたら今もこっそりと、数万を越えるアウターエフェクトの軍勢を築き上げているかもしれない。
可能性を考え出したらキリがないけど、愛するみんなを守る為に常に最悪を想定して、そしていつでもそれを覆せるよう準備するんだ。
身体操作性補正を更に押し進めろ。
筋肉の収縮を、神経の伝達を、反射を超える速度で動かし、物理を越える速度を目指せ。
五感上昇補正に身体操作性補正を乗せて、制止した時間の変化すら知覚できるほど五感を研ぎ澄ませ。
神経伝達にさえ敏捷補正を乗せて、人類の限界なんか超えてみせろ。
人類の敵対者なんか1匹残らず滅ぼし尽くす力を手に入れ、その全てを完璧に掌握しろ。
「……っ!? いっつつ……、なんだ?」
「? ダンどうかしたの?」
「ん、大丈夫。しゃがんだらちょっと捻っちゃっただけだよ」
戦闘終了後にドロップアイテムを回収していると、全身に鈍い痛みが走る。キュアライトでもヒールライトでも引かない痛みだ。
どうやら体内にまで職業補正を適用させた負荷が、痛みとなってフィードバックしているみたいだ。
痛みが走るということはまだまだ動きに無駄があり、補正全てを使いこなせていないということに他ならない。まだまだ未熟だってことだ。
もっともっと研ぎ澄ませ。ヴァルハールにいるうちに必ず会得してみせるんだ。
そして気付くと農家がLV30になり浸透が終わっていたので、さっさと料理人に切り替える。
料理人LV1
補正 五感上昇- 身体操作性上昇-
スキル 毒見 インベントリ
五感上昇補正と身体操作性補正は対人戦で最も重要な能力になる。可能な限り累積させて、その全てを駆使していかないとね。
俺の職業補正にミスリルの対不死特効、そしてアニマライザーで聖属性まで付与すると、竜王のカタコンベ最深部の魔物ですら一刀で斬り捨ててしまえる。
もう魔物は俺にとって脅威になりえない。
だから後は対人戦を想定して、ひたすらに技術を突き詰めていくだけだ。
魔物察知で捉えた魔物の元に向かい、微動だにせず立ち尽くすだけの案山子のような魔物たちを、ただ一刀の下に斬り捨てていく。
眼前の魔物全てを斬り殺し終えたら、まだ地面に落ちていないドロップアイテムを全て回収し、また次の魔物を探す。
そんな作業にも似た魔物狩りを続けていると、不意にスキルが融合した感覚を抱く。
自身を鑑定すると料理人がLV30になっていて、インベントリが64㎥のもの1つに統合されているのが分かった。
きっとこのインベントリのサイズが最大サイズなんだと思う。125㎥のインベントリなんて獲得できる気がしないっての。
思ったより遠くにいるみんなが合流するまで待つ間に、職業設定の方を確認する。
すると新しい職業が、とうとうあの職業の転職資格を得ることが出来ていた。
分析官LV1
補正 体力上昇+ 魔力上昇+ 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 幸運上昇+
身体操作性上昇+ 装備品強度上昇+
スキル 人物鑑定 魔物鑑定
…………ようやく、ようやく辿り着いたぜ分析官! 辿り着くまでに、1年もかけさせやがってぇっ……!
しかし、分析官が現れたことで新たな疑問が2つ。
1つは職業スキル。『鑑定』ではなく人物・魔物鑑定という、効果が限定されたスキルであるということ。そしてもう1つは転職条件を満たしたタイミングだ。
試しに人物鑑定を行なってみると、いつも通りの鑑定画面を見ることが出来た。
しかし人物鑑定では、ドロップアイテムの名前は分からない。装備品の鑑定も行えなかった。やはりスキル名通り、人間にしか効果を及ぼさないようだな。
鑑定は分析官のスキルだと明言されていた。これだと辻褄が合わないよな?
「ってそうか。そういうことか」
この世界にはスキルの融合進化という概念がある。つまりここでスキルの融合が生きてくるわけか。
恐らく俺が持っている鑑定というスキルは、全ての鑑定スキルを1つにまとめた総合的な鑑定スキルなんだと思う。
……と考えると、ひょっとしたら分析官の転職条件は、鑑定スキル持ちの職業を全て浸透させること、だったんじゃないか?
毒見まで鑑定スキルだと含めると、そのタイミングで分析官が出たのはしっくりくる。そして分析官を浸透させると鑑定スキルが全て融合して、俺の持っている総合鑑定スキルを得られるわけか?
なんにしても、分析官は恐らく法王の前提条件の1つのはずだ。補正も超強力だし、育てない手は無いな。早速セットしておこう。
えーっと、現在職業浸透数45個かな?
そこまでやって、ようやく転移ボーナスBの尻尾くらいは掴めたかもしれないね。
「ふはははーっ! 見えてきたのじゃー! みんな、あそこがヴァルハールなのじゃーっ!」
「わーっ。ここがフラッタの生まれた街なんだねーっ」
ニーナが目の前の街並みを眺めながら感心したように呟いた。
大喜びのフラッタが言うように、俺達はようやく分厚い城壁に囲まれた無骨な外観の街、ヴァルハールに到着した。
スペルディアで数日間滞在する予定だったのやめたおかげで、10日とかからず到着できてしまったね。旅程としては順調極まりない。
初めてフラッタと出会った時の俺達では数ヶ月かかると言われたヴァルハールに、ニーナと一緒に到達することが出来て感無量だよ。
「それじゃさっさとフラッタの家に行こうか。ヴァルハールは他種族の俺達が観光を楽しめる場所じゃないからね」
「ぐ、ぐぅ……! 言い返す言葉もないのじゃ……! じゃが! いつか必ず下らぬ種族差別など無くしてみせるのじゃーっ!」
元気なフラッタの声を合図にヴァルハールに足を踏み入れる。
フラッタに礼節の授業を習いに通っていた頃にヴァルハールのことも少し聞いたんだけれど、やはり俺が決闘を受けた時期というのは領主邸が機能していなくて、町全体が少し荒んだ雰囲気になってしまっていたらしい。
幸いあの時決闘した6人は死なずに済んで、11月ごろにはアウターに潜る者、サルべージャーとして活動を再開したそうだけど、肉体の治療で借金を作ってしまって少しずつ返済に励む毎日のようだ。
ちなみに今まで知らなかったけど、探索メインでアウターに潜る者をサルベージャー、魔物狩りメインで活動する者を正式にはリーパーと呼ぶそうだ。
アライアンス申請の時にリーパーと言われて、なんのことか分からず恥をかいてしまったぜ。
みんな普通に魔物狩りって言うんだもん。知らないってのー!
領主邸までは俺はポータルでいけるので、フラッタがみんなを案内している間にマグエルに転移。教会からムーリを攫ってくることにした。
「あれ? ダンさん、珍しい時間にお迎えですねーっ」
抱き付いてくるムーリを受け止めてよしよしなでなで。
無事にムーリを発見して連れ去ろうとしたんだけど、ある程度の長期間ムーリがマグエルから離れても大丈夫なのかな?
「ムーリ。フラッタの家で少しの間ゆっくりするつもりなんだけど……。ムーリも一緒に滞在できるかな?」
「えっと、教会のお金の管理は私のインベントリで行なってるので、日中……、普通の人たちが仕事している時間にさえ教会で待機できていれば問題ないですよ」
イエス! ムーリも一緒に滞在できるなら、マグエルに居たときと同じくらいにみんなと愛し合えるぞーっ!
いやぁヴァルハールでの滞在が今から最高に楽しみになってきちゃったなーっ!
「お手数ですけど、朝食を食べたら毎朝マグエルに送ってもらえればありがたいです。それならダンさんの家に泊まっている時と殆ど変わらないですからね」
「そのくらいお安いご用だよ。ほんっとポータル様々だなぁ」
「それにですねっ。今のマグエルには、私のほかにもシスターが常駐してるんですよーっ」
声とおっぱいを弾ませて、ムーリが嬉しそうに報告してくれる。
15歳になった孤児の中から、コットンともう2人ほど正式に教会のシスターになってくれた子がいて、今はムーリの仕事を補佐しながら孤児院の運営を手伝ってくれているらしい。
3人はまだインベントリが使えないので、お金の管理こそムーリが行なっているけれど、教会の運営・管理の仕事に関しては殆ど不安が無いそうだ。
ということで、なんの憂いもなくムーリをゲットしてヴァルハールに転移した。
「ムーリ! ひっさしぶりなのーっ!」
「わーニーナさんっ! お久しぶりですーっ!」
いや、9日間くらいしか離れてないでしょ、なんて野暮な事は絶対に言いませんよ?
ムーリを連れて竜爵家邸に転移しみんなと合流すると、ムーリとニーナ、フラッタ、ティムルの3人が、久しぶりーっ! とか言いながらムニュムニュと抱き合っていた。
……俺は別に百合属性など持ち合わせていないんだけれど、可愛い女の子たちが仲良くイチャイチャしてる風景って、なんか延々と永遠に見ていられるね。
我が家の女性陣はみんな仲良しで何よりだよ。
「ようこそみなさん。皆さんのヴァルハール来訪を心から歓迎致しますわ」
「お邪魔します。当分の間お世話になるよラトリアさん」
笑顔で出迎えてくれたラトリアさんとも合流して、ヴァルハールでの滞在の予定を話し合う。
「スペルディアで滞在しなかったおかげで早めに到着できたからさ。1月の間は竜王のカタコンベに篭って、職業の浸透を進めようと思うんだ」
「まだ半月くらいあるしね。日帰りで最深部にいけるなら稼ぎやすいし。私のせいでアナザーポータルが使えなくて申し訳ないけど、みんな宜しくねっ」
申し訳ないと言いつつ、遠慮はしないニーナが嬉しい。
俺たちは家族だからねー。絶対ニーナを置いていったりしないからねー。
「私も賛成よ。私の付与術士ももうすぐ浸透が終わるって言うしありがたいわ。付与術士の後に何をするかも考えておかないとねぇ。やっぱり戦闘職かしら?」
ティムルの場合、付与術士の更に先がある可能性があるからなぁ。
それを見極める為にも浸透を進めたいんだよね。
「妾にとっては最早マグエルの方が落ち着くことは確かなのじゃが、ヴァルハールでみんなと一緒に過ごせるというのも凄く楽しみなのじゃーっ!」
「ぼくも行商人を浸透させてしまって、ヴァルハールを経つ前には荷運び人になっておきたいね」
「そうだなリーチェ。お前の浸透もどんどん進めて行こう」
最深部で半月も活動してれば、鑑定するまでもなく行商人は浸透するだろう。
もしかしたら、ムーリに悪戯した日に既に浸透が終わってた可能性はあるけど。
「私の生活はさほど変化がありませんかねぇ? 朝晩はダンさんに好き勝手されて、日中は教会に行くだけですし」
ははは。10日振りに6人揃って相手できるんだからなぁ。今まで通りだと思うなよぉ?
ここに滞在してる間は、毎日意識が無くなるまで可愛がってあげるからねー?
職業浸透の話の次はドロップアイテムについて話し合う。
なんたってここ、魔玉がドロップしない代わりに硬貨が直接ドロップするからな。お金余り状態の俺達的には、探索を始める前に利用方法を設定しておいた方がいいだろう
「はいーっ!? ドロップした硬貨を全てルーナ家に入れてくださると言うんですかぁっ……!?」
「うん。俺たちってあまりお金を必要としてない生活をしてるからね。出来れば素直に受け取って欲しいかな」
ということで、ドロップした硬貨は全てそっくりそのままルーナ竜爵家に納めることを提案してみた。
フラッタもラトリアさんももう俺の身内みたいなものだし、変に遠慮してもね。
「硬貨がドロップアイテムなら稼ぎまくっても経済への影響は少なそうだし、財産を全て奪われた今のルーナ家にはお金が必要でしょ?」
「そ、それは確かにそうですけどぉ……」
フラッタの実家を見捨てるわけにもいかないし、ラトリアさんを楽しみまくってる手前、多少は便宜を図らないとゴルディアさんに申し訳も立たない。
お金が無くて使用人に生活費を払えなきゃやっていけないし、領主の財政難が原因で統治に支障が出るのも馬鹿らしいからね。
「遠慮せず受け取ってよ。その代わりたっぷりと楽しませてもらうからさ」
「う、うぅ……。そっちも私が受け取る側のような気がしてしまうんですけどぉ……」
細かい事は気にしないの。絶世の美貌を持つラトリアさんの母乳を啜れるなんて、王金貨払ったってお釣りが来る価値なんだからね?
この日は夕食をいただいた後、フラッタの自室の天蓋付きのベッドで6人全員を沢山満たして英気を養った。
やっぱり6人全員揃っていると俺自身のやる気も変わってくるようで、寝起きの注入行為も全員の意識が混濁するまで徹底的に注入し続けてしまった。
みんなの体、どんどん気持ちよくなってくるから困っちゃうなぁ、もうっ!
「それじゃ先に行ってるね。ムーリのことよろしく」
「あはっ。ちょっとだけダンのこと独り占めさせてねっ」
翌日、俺とニーナの2人で、みんなに先行して竜王のカタコンベに潜入する事になった。
今回はムーリの浸透を進めた時のように、俺とニーナだけ先に竜王のカタコンベに侵入し、最深部についたらアナザーポータルとポータルのコンボでみんなを迎えに来る作戦なのだ。
最深部に着くまで一切戦闘しなければ、相当な時間最深部で活動できるはず。これで移動阻害のペナルティ効果を可能な限り打ち消してやるのだ。
俺達が最深部まで移動している間にみんなには復活してもらったり、リーチェにムーリをマグエルまで送ってもらったりする。
「それじゃニーナ。最深部までは俺が先行するからね。思い切り走らせてあげれなくてごめん」
「あははっ! ダンについていくのって殆ど私の全力なのーっ!」
竜王のカタコンベにはトラップの可能性があるし、道案内も必要だから、探索魔法が使える俺がニーナを先導する。
今回も最深部までは獣化してもらいながら、スキャンでトラップを全て無効化して突っ走っていく。
ニーナの瞬発力は屋内でもその効力を遺憾なく発揮して、2時間ほどであっさりと最深部に到達してしまった。
「へー。ここが竜王のカタコンベの最深部なんだねー。壁って言うより渦みたいなんだー」
「感触が無いのはスポットと同じだったけどね。お疲れ様ニーナ」
感心した様子で最深部の境界線を眺めるニーナを労う。
年末にルーナ母娘と走った時よりもずっと早い時間で最深部に到達してしまったぜ。屋内なのに殆どトップスピード維持してたからなぁ……。
魔物察知と生体察知が両方使える俺とニーナには、出会い頭の衝突みたいな心配も無いし。
みんなを迎えに行って、トーチを使用して、これで準備は万端だ。
「それじゃ思い切り暴れようか。アウターエフェクトが出ても気にせず殺す方向で行こうね」
「あははっ。父さんに聞いた英雄譚の中でも、そんなこと言う人いなかったよー?」
英雄譚でそんなセリフあったら幻滅されちゃいそうだしね。
でもきっと後世に伝えた人が編集しただけで、色んな人がいたと思うんだよ?
「俺とフラッタは既に侵入済みだけど、このパーティなら不安は一切無いと思うよ。気楽に行こう」
「うんっ」「おっけーっ」「了解だよっ」
初めて竜王のカタコンベを訪れたティムルとリーチェにも硬さは無さそうだね?
それじゃ時間も無いし、どんどん行っちゃおーっ!
仕合わせの暴君による竜王のカタコンベでの探索が始まった。
しかし下馬評通りというか、全身聖銀装備に包まれた俺達と不死族ばかりのこのアウター、相性が良すぎて無双出来てしまっている。なんか済みませんね?
スポットの時と同じように、最深部では大型の魔物も数多く見かける。
けれどこの世界で巨大な魔物とか出ても、HP制が採用されている為あんまり困らない。
5メートルくらいありそうなガイコツ戦士のスケールスケルトンとか、足の指とかチマチマ斬っててもちゃんと有効打になるんだよねぇ。
竜王のカタコンベ探索、浸透第1弾はLV96だった俺の英雄だ。
次の職業は今日中に浸透を終わらせるつもりで農家をセットする。
農家LV1
補正 五感上昇- 身体操作性上昇-
スキル ドロップアイテム鑑定 インベントリ
まずは農家と料理人を浸透させて、インベントリがどうなるのか確認したいんだよねー。
恐らく農家と料理人はLV30止まりで、ぴったり640で終わるんじゃないかと踏んでるんだけど。
次いで聖騎士と悪魔祓いが仲良くLV50に到達。
そこでようやく聖属性魔法が解禁されたようだ。長かったなぁ。
「古の神。大いなる白。聖き光。浄化の奔流。不浄を祓う神雷を成せ。ホーリースパーク」
悪魔祓いの聖属性魔法で覚えたのは、断魔の煌きがフレイムロードを貫いた白き雷、ホーリースパークだ。対象指定型の単体攻撃魔法で、不死族や悪魔族に特効があるらしい。
単純な威力だけで言えばインパクトノヴァのが上のようだな。
つまりうちのパーティにはあんまり役に立たないってことだっ!
「祓い清めて穢れを落せ。破邪の燐光纏いて踊れ。其は聖霊に律動を捧ぐ者。アニマライザー」
聖騎士の聖属性付与魔法は、メンバー全員の武器防具に一気に聖属性を付与させ、対不死、対悪魔への攻撃力と防御力を上昇させるアニマライザーという魔法だった。
これ先に覚えていたら、アウターエフェクト戦ももうちょっと楽だったかもねぇ。
「あっはっは! 全員ミスリル武器なのに、これ以上聖属性を付与しちゃうとか魔物に同情するよーっ」
聖属性のメガ盛り状態にリーチェがツボに入ってしまったようだ。おっぱいをぶるんぶるんと揺らしながらお腹を抱えて爆笑している。
職業浸透を進めればこんな夢のような光景が何度も見れるって本当ですか!?
さぁ張り切ってどんどん行くぞー。アウターエフェクトを出現させるつもりで、どんどん魔物を狩り続けるんだ。
はっ、刈り取るものとはよく言ったもんだね。かり違いだけどさっ。
聖属性盛り盛りで不死族を消し炭にしながら考える。
ラトリアさん戦、そして空中戦をこなした事で、リーチェ本人にリーチェよりも強くなったと太鼓判を押してもらえた。
俺自身、アウターエフェクトが10体程度同時に出ようと負ける気はしていない。
だけど、相手の戦力がその程度だと考えるのは希望的観測が過ぎる。
相手は俺がこの世界に来る前から暗躍を続けていたはずだ。どれ程の戦力を隠し持っていたとしても不思議では無いのだ。
竜爵家夫婦にはこれで充分だと、10数体だけを厳選して連れていった可能性だって低くない。
ひょっとしたら今もこっそりと、数万を越えるアウターエフェクトの軍勢を築き上げているかもしれない。
可能性を考え出したらキリがないけど、愛するみんなを守る為に常に最悪を想定して、そしていつでもそれを覆せるよう準備するんだ。
身体操作性補正を更に押し進めろ。
筋肉の収縮を、神経の伝達を、反射を超える速度で動かし、物理を越える速度を目指せ。
五感上昇補正に身体操作性補正を乗せて、制止した時間の変化すら知覚できるほど五感を研ぎ澄ませ。
神経伝達にさえ敏捷補正を乗せて、人類の限界なんか超えてみせろ。
人類の敵対者なんか1匹残らず滅ぼし尽くす力を手に入れ、その全てを完璧に掌握しろ。
「……っ!? いっつつ……、なんだ?」
「? ダンどうかしたの?」
「ん、大丈夫。しゃがんだらちょっと捻っちゃっただけだよ」
戦闘終了後にドロップアイテムを回収していると、全身に鈍い痛みが走る。キュアライトでもヒールライトでも引かない痛みだ。
どうやら体内にまで職業補正を適用させた負荷が、痛みとなってフィードバックしているみたいだ。
痛みが走るということはまだまだ動きに無駄があり、補正全てを使いこなせていないということに他ならない。まだまだ未熟だってことだ。
もっともっと研ぎ澄ませ。ヴァルハールにいるうちに必ず会得してみせるんだ。
そして気付くと農家がLV30になり浸透が終わっていたので、さっさと料理人に切り替える。
料理人LV1
補正 五感上昇- 身体操作性上昇-
スキル 毒見 インベントリ
五感上昇補正と身体操作性補正は対人戦で最も重要な能力になる。可能な限り累積させて、その全てを駆使していかないとね。
俺の職業補正にミスリルの対不死特効、そしてアニマライザーで聖属性まで付与すると、竜王のカタコンベ最深部の魔物ですら一刀で斬り捨ててしまえる。
もう魔物は俺にとって脅威になりえない。
だから後は対人戦を想定して、ひたすらに技術を突き詰めていくだけだ。
魔物察知で捉えた魔物の元に向かい、微動だにせず立ち尽くすだけの案山子のような魔物たちを、ただ一刀の下に斬り捨てていく。
眼前の魔物全てを斬り殺し終えたら、まだ地面に落ちていないドロップアイテムを全て回収し、また次の魔物を探す。
そんな作業にも似た魔物狩りを続けていると、不意にスキルが融合した感覚を抱く。
自身を鑑定すると料理人がLV30になっていて、インベントリが64㎥のもの1つに統合されているのが分かった。
きっとこのインベントリのサイズが最大サイズなんだと思う。125㎥のインベントリなんて獲得できる気がしないっての。
思ったより遠くにいるみんなが合流するまで待つ間に、職業設定の方を確認する。
すると新しい職業が、とうとうあの職業の転職資格を得ることが出来ていた。
分析官LV1
補正 体力上昇+ 魔力上昇+ 敏捷性上昇+ 五感上昇+ 幸運上昇+
身体操作性上昇+ 装備品強度上昇+
スキル 人物鑑定 魔物鑑定
…………ようやく、ようやく辿り着いたぜ分析官! 辿り着くまでに、1年もかけさせやがってぇっ……!
しかし、分析官が現れたことで新たな疑問が2つ。
1つは職業スキル。『鑑定』ではなく人物・魔物鑑定という、効果が限定されたスキルであるということ。そしてもう1つは転職条件を満たしたタイミングだ。
試しに人物鑑定を行なってみると、いつも通りの鑑定画面を見ることが出来た。
しかし人物鑑定では、ドロップアイテムの名前は分からない。装備品の鑑定も行えなかった。やはりスキル名通り、人間にしか効果を及ぼさないようだな。
鑑定は分析官のスキルだと明言されていた。これだと辻褄が合わないよな?
「ってそうか。そういうことか」
この世界にはスキルの融合進化という概念がある。つまりここでスキルの融合が生きてくるわけか。
恐らく俺が持っている鑑定というスキルは、全ての鑑定スキルを1つにまとめた総合的な鑑定スキルなんだと思う。
……と考えると、ひょっとしたら分析官の転職条件は、鑑定スキル持ちの職業を全て浸透させること、だったんじゃないか?
毒見まで鑑定スキルだと含めると、そのタイミングで分析官が出たのはしっくりくる。そして分析官を浸透させると鑑定スキルが全て融合して、俺の持っている総合鑑定スキルを得られるわけか?
なんにしても、分析官は恐らく法王の前提条件の1つのはずだ。補正も超強力だし、育てない手は無いな。早速セットしておこう。
えーっと、現在職業浸透数45個かな?
そこまでやって、ようやく転移ボーナスBの尻尾くらいは掴めたかもしれないね。
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