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3章 回り始める物語3 1年目の終わり
203 納税 (改)
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パーティ名なんて使うことがあるのかどうかは分からないけれど、俺達のパーティ名は仕合わせの暴君に決定してしまったようだ。
当然後から変更することは可能なんだけど、他のメンバーが気に入ってしまっているので仕方ないね。
この日から数日間は、子供達の引率をメインにのんびりと過ごすことにした。
ラトリアさんがいる間は積極的にソクトルーナ母娘を一緒に抱いたり、延々と満たし続ける例の行為は掃除の都合でお風呂場で試したりしながらも、なるべくお互いの負担を減らして楽しんだ。
5日間ほど徹底的に注ぎまくったラトリアさんも、6日目の朝にヴァルハールに送ってあげた。
使用人も動けない状態では大変だろうと、フラッタも年内はラトリアさんとヴァルハールで過ごしたいと、一緒に付いていった。
JSフラッタの中はこれでもかと満たし続けたので、よしとしようじゃないか。
ただし3日と待たずに抱きに来て欲しいとはお願いされたけど。
うん。フラッタの部屋で2人を抱くのも悪くないなっ。
ゴルディアさんの寝室で2人を抱く気にはどうしてもなれないし。
ワンダ達による15人の引率にも付いていったけど、初陣こそ体が硬かった子供達も戦闘を重ねるごとに訓練で出来ている動きが実戦でも出来るようになって、安心して見ていられるようになった。
ワンダ達の時と比べて人数が多いので、入り口付近なら魔物の群れよりも人数で上回れるのも大きなアドバンテージだ。
引率は半日で終わらせ、ワンダ達は魔物狩りに、見習い15人は家に戻って訓練をする。ワンダ達の浸透も終わってないんだから、新人にかかりっきりにさせるわけにはいかないのだ。
ワンダ達によるスポット引率は2週間を予定していたけど、新人たちのあまりに安定振りに1週間でワンダ達を解放する事にした。
ワンダ達にはあと1週間全力で魔物狩りに励んでもらって、全員の転職タイミングを合わせたいところだ。
俺達の遠征中にコテン、サウザー、ドレッドの3人もLV25まで上がっていたのだから、7日あれば30に到達できるだろう。
孤児のアライアンスであるトライラムフォロワーへの参加は転職に成功したタイミングで許可する事にして、それまでに各自パーティ名を考えておくように言っておく。
アライアンスという明確な繋がりを持てた孤児たちのモチベーションは凄まじく、新たに来た39人の中からも複数の魔物狩りパーティが誕生しそうな感じだね。
魔物狩りに志願しない子供達も将来へのモチベーションは非常に高く、うちの庭の管理に情熱を燃やし将来は花屋や農家になりたいと思う者や、修道士になって教会に所属したいと思う者、孤児院の運営の方に携わりたいと思う者など実に様々だ。
コットンは修道士に転職し、トライラム教会のシスターとなった上で、孤児院の運営に携わりながら我が家と教会の花壇を世話していくことを希望している。
人手が増えて農業家への道を真面目に考える子が現れた事で、コットンは畑の管理を卒業して花壇の世話に専念できるようになった。
「おっ、最近冷え込むと思ったら……」
とうとうマグエルに雪が降り始める。どのくらい降るのか少し心配したけれど、雪遊びが出来るほど降り積もりはしなかった。
ただしこれからどんどん降雪量は増えていき、1月前後にはそれなりに積もるようだ。
畑と花壇の世話は少し落ち着いたけど、冬でも育つ植物というのは少なくないらしいので、せっかくのこの機会に試行錯誤を続けて今後に活かしていくらしい。
スポットの土のおかげで、植物たちは冬の寒さにも負けずに元気に芽を出し成長してくれている。残念ながら年内のうちに花壇を満開にさせることは出来なかったけれど、ニーナもコットンも不満はなさそうだ。
2棟目の孤児院が完成したタイミングで16日の納税開始日を迎える。
発光魔玉1000個を売却して5000万リーフほどを確保し、それをムーリに借金という形でステータスプレートに誓約する。
ダン 男 25歳 悪魔祓い 仕合わせの暴君
ニーナ ティムル フラッタ リーチェ ムーリ
ニーナ(所有) ティムル(所有)
貸付 50,000,000リーフ(ムーリ)
ムーリ 女 19歳 修道士 仕合わせの暴君
ダン ニーナ ティムル フラッタ リーチェ
借入 50,000,000リーフ(ダン)
借金5000万リーフかぁ。数字にするとなかなかにエグい金額だなぁ。
でも今の子供達なら普通に返せるんだよな。今のペースで魔物狩りが増え続けたら、下手すりゃ来年のうちに完済してるかもしれない。
30人の孤児達と一緒に教会で待機していると、修道服に身を包んだ集団が現れる。どうやらあの人たちがトライラム教会の教主ご一行のようだね。
集団の中で最も高齢に見える女性が、こちらに向かって頭を下げる。
「お初にお目にかかります。私が現在トライラム教会の教主を務めさせていただいている、イザベルです。本日は宜しくお願いしますね」
柔らかい微笑みの中にも油断の感じられない仕草。テネシスさんよりもひと回りは高齢に見えるのに、その所作は洗練されていて乱れがない。
俺とムーリも自己紹介したら、まずは何より子供達の納税を済ませる事になった。子供達の不安を解消することが最優先だと。
うん。確かにこの人はトライラム教会のトップだねぇ。
俺とムーリ、14歳の孤児たち30人とイザベルさんのパーティ6名で、ぞろぞろと冒険者ギルドに向かう。
中に入ると流石に納税日の初日らしく、まぁまぁの混み合い具合だった。
「いえいえ、普段は初日はこんなに混み合わないんですよっ!」
「あれ、そうなの?」
「今年はマグエルにいっぱいお金が齎されたおかげで、余裕を持って納税を済ませられる人が増えたんでしょうねっ」
これもどこかの暴君のおかげですねっ、と笑うムーリ。
年末にかけて結構がっつりと金ばら撒いたもんなぁ。
俺達の番が来て、孤児にステータスプレートを出してもらって、1人1人順番に納税処理をしていく。1番初めは当然コットンだ。
俺とコットンの間にムーリを挟んで、ギルドの職員にコットンのステータスプレートを提示して、王金貨1枚と金貨48枚をギルドに支払う。
コットン 女 14歳 村人
返されたステータスプレートの情報は、たった1行だけ。フロイさんに抜き取られた時のステータスプレートを思い出すなぁ。
「本当にっ……! 本当に私、奴隷にならなくて、いいんだっ……! 来年も生きてて、花壇のお世話をしながら、孤児院で働いていていいんだぁ……!」
「はいはいコットン。後がつかえてるから避けて避けて」
笑いながら大粒の涙が止まらないコットンはムーリに引き取ってもらって、興奮気味の残りの孤児たちの納税処理も順番に済ませていく。
1人、また1人と納税を済ませていく。
まっさらになった自分のステータスプレートを見て、自分の未来が開かれたことを知る子供達。彼らの口からはずっとトライラム様への感謝が唱えられていた。
うん。貸し付けただけの俺に感謝を述べに来なくて安心したよ。
続いて自分と嫁の分の納税を処理。俺、リーチェ、ムーリの3人が8万リーフ、ニーナが5万、ティムルが1万、フラッタが20万だ。
ムーリの分は教会から出して貰うことも出来たんだけど、自分の嫁の税金くらい負担しますって。発光魔玉10個でお支払い。
ついでに来年分のアライアンス登録料も支払っておく。こちらは俺ではなくて、ムーリが借入金の余りで支払うことにした。
ワンダ達がひと月に1回以上魔玉を発光させられたんだから、21名のトライラムフォロワーの稼ぎを単純計算すると、魔玉だけで毎月105万リーフだ。
ドロップアイテムの売り上げが更に加算されるわけだし、もう教会の孤児たちが人頭税に苦しめられることはなくなるだろうね。
今後も更に稼ぎは増していくのは間違いないし。
全員分の納税処理を済ますと、イザベルさんが俺に向かって深々と頭を下げた。
「本当に……。本当に感謝申し上げます……。教義に囚われ、保身に走った我々が救えなかった子供達に、よくぞ未来を齎してくださいました……!」
……腐敗や堕落を防ぐ為の行為を、保身って言うのかなぁ?
なんにしても泣き続ける子供だけでも注目を浴びてるのに、修道服を着たパーティに頭を下げられてるのも目立ちすぎるってば。話は教会に帰ってからでお願いしますって。
教会に戻った俺達を、孤児たちは元気に迎えてくれた。
特に弟妹のいる14歳の子供達の喜びようといったら半端じゃなくて、弟や妹を抱きしめながらずっと泣きじゃくっていた。
「ダンーっ! こっちも無事に全員転職できたぜーっ!」
喜ぶ孤児達を眺めていたら、ワンダの元気な報告が届く。
ワンダ達を早々に引率から解放してあげたおかげで、ワンダ達はすぐに職業の浸透を済ませてしまった。
新人達15人も全員村人LV10に到達していたので、せっかくだからとこの日に合わせて全員転職してもらったのだ。
俺の嫁達が冒険者ギルドに来なかったのは、みんなに子供達の転職手続きの引率を任せたからだ。
転職する子供達と俺達仕合わせの暴君もトライラムフォロワーにアライアンス登録をして、リーチェが修道士ギルドの引率に行き、ティムルとニーナと、一時的にフラッタにもお手伝いをお願いして、4つのギルドを回ってもらったのだ。
アライアンス登録しないなんて言ってたけど、ポータルの使用制限が広がるのは便利すぎるよぉ。
ワンダがポータルを使えるようになったら、俺たちは脱退する感じかなぁ。
子供達の相手は子供達に任せ、俺の嫁たちは夕飯の準備、俺とムーリは応接室でイザベルさんともう少し話をする。
「子供達は半年もしないうちに、どんどん自力で巣立っていくと思うんです。その中にはきっと、教会の役に立ちたいって子もいっぱいいることでしょう」
俺の装備レンタルはアライアンスであるトライラムフォロワーと、その代表であるムーリに対して行なっている事なので、孤児たちの活動場所がどこであっても良い事にしている。
既に何人かは、稼げるようになったら自分の出身の教会を支えたいと言っている子もいる。
「人手が一気に減って少し大変かと思いますが、もう少しお待ちくださいね」
「いえいえ。確かに人手が減って少し大変ですが、孤児たちが誰も奴隷に落ちなくて済むようになったのですから。各地のシスターや修道士たちの精神的苦痛は、今までとは比べ物にならないほどに軽減されていると思いますよ」
ホッとしたように柔らかく微笑むイザベルさん。
今までは悪循環だったけれど、教会と孤児の関係は本来好循環していける筈だ。孤児を助けた教会が孤児たちに助けられて余裕を持ち、さらに多くの人に手を差し伸べられるようになるという理想の好循環。
「トライラムフォロワーの訓練は、基本的に1年間の周期を考えています。尤も第一陣の幸福の先端を見てると、そんなにかからないかもしれないですけど」
「幸福の先端は、確か2ヶ月ほどで2度目の転職でしたか」
「幸福の先端はかなり順調でしたけど、基本的には戦士、商人、旅人、修道士を3ヶ月ずつ経験してもらおうと思っています。その後の職業は自由にするつもりです」
ワンダ達のペースだと、1ヶ月で1職業の浸透が終わる感じなんだよなぁ。
でも人数や構成種族、活動頻度でも浸透速度は変わってくるだろうから、全体ルールは余裕をもって設定しておくべきだろう。
「新しい孤児の受け入れは、毎月20~30人程度でお願いしようと思うんです。思った以上に子供達は優秀で真面目でしたので、全く手がかかりませんからね。ああ、年内にももう1度送ってもらっても大丈夫です」
もう新しい孤児院、建っちゃってるからね?
大工さんたち、張り切りすぎなんだよなぁ、ありがたいんだけどさぁ。
「分かりました。この後私も各地の教会に赴き、孤児たちの奴隷落ちが間違いなく回避されたことを連絡して回る予定ですので、その時に今月の追加受け入れの話もさせていただきましょう」
教主自らがマグエルまで足を運んだのは、孤児の納税処理の顛末を教会のトップが確実に確認する為かぁ。高潔すぎるよトライラム教会。
教主自らが世界中の教会を回り、今の俺の話を伝達するの? 真面目すぎるけど、そりゃあ手が回らなくなるよねぇ。
「重ね重ね、本当にありがとうございます」
「いやいや、孤児院の建設費用も貸付金に入ってるんだから気にしないで」
「お金を貸してくださったことではなく、我々に道を示してくださった事に感謝致しますわ」
話が終わるとすぐにイザベルさんたちはポータルでどこかに飛んでいった。
ステイルークにいた頃からずっと心配していた納税の処理も終わって、年内はこれでひと段落着いたかな? ああ、あとでラトリアさんの納税処理も確認しておかなきゃいけないか。
さて、納税の憂いも無くなったことだし、本格的に解呪の為の旅のことを考えなきゃいけないねぇ。
当然後から変更することは可能なんだけど、他のメンバーが気に入ってしまっているので仕方ないね。
この日から数日間は、子供達の引率をメインにのんびりと過ごすことにした。
ラトリアさんがいる間は積極的にソクトルーナ母娘を一緒に抱いたり、延々と満たし続ける例の行為は掃除の都合でお風呂場で試したりしながらも、なるべくお互いの負担を減らして楽しんだ。
5日間ほど徹底的に注ぎまくったラトリアさんも、6日目の朝にヴァルハールに送ってあげた。
使用人も動けない状態では大変だろうと、フラッタも年内はラトリアさんとヴァルハールで過ごしたいと、一緒に付いていった。
JSフラッタの中はこれでもかと満たし続けたので、よしとしようじゃないか。
ただし3日と待たずに抱きに来て欲しいとはお願いされたけど。
うん。フラッタの部屋で2人を抱くのも悪くないなっ。
ゴルディアさんの寝室で2人を抱く気にはどうしてもなれないし。
ワンダ達による15人の引率にも付いていったけど、初陣こそ体が硬かった子供達も戦闘を重ねるごとに訓練で出来ている動きが実戦でも出来るようになって、安心して見ていられるようになった。
ワンダ達の時と比べて人数が多いので、入り口付近なら魔物の群れよりも人数で上回れるのも大きなアドバンテージだ。
引率は半日で終わらせ、ワンダ達は魔物狩りに、見習い15人は家に戻って訓練をする。ワンダ達の浸透も終わってないんだから、新人にかかりっきりにさせるわけにはいかないのだ。
ワンダ達によるスポット引率は2週間を予定していたけど、新人たちのあまりに安定振りに1週間でワンダ達を解放する事にした。
ワンダ達にはあと1週間全力で魔物狩りに励んでもらって、全員の転職タイミングを合わせたいところだ。
俺達の遠征中にコテン、サウザー、ドレッドの3人もLV25まで上がっていたのだから、7日あれば30に到達できるだろう。
孤児のアライアンスであるトライラムフォロワーへの参加は転職に成功したタイミングで許可する事にして、それまでに各自パーティ名を考えておくように言っておく。
アライアンスという明確な繋がりを持てた孤児たちのモチベーションは凄まじく、新たに来た39人の中からも複数の魔物狩りパーティが誕生しそうな感じだね。
魔物狩りに志願しない子供達も将来へのモチベーションは非常に高く、うちの庭の管理に情熱を燃やし将来は花屋や農家になりたいと思う者や、修道士になって教会に所属したいと思う者、孤児院の運営の方に携わりたいと思う者など実に様々だ。
コットンは修道士に転職し、トライラム教会のシスターとなった上で、孤児院の運営に携わりながら我が家と教会の花壇を世話していくことを希望している。
人手が増えて農業家への道を真面目に考える子が現れた事で、コットンは畑の管理を卒業して花壇の世話に専念できるようになった。
「おっ、最近冷え込むと思ったら……」
とうとうマグエルに雪が降り始める。どのくらい降るのか少し心配したけれど、雪遊びが出来るほど降り積もりはしなかった。
ただしこれからどんどん降雪量は増えていき、1月前後にはそれなりに積もるようだ。
畑と花壇の世話は少し落ち着いたけど、冬でも育つ植物というのは少なくないらしいので、せっかくのこの機会に試行錯誤を続けて今後に活かしていくらしい。
スポットの土のおかげで、植物たちは冬の寒さにも負けずに元気に芽を出し成長してくれている。残念ながら年内のうちに花壇を満開にさせることは出来なかったけれど、ニーナもコットンも不満はなさそうだ。
2棟目の孤児院が完成したタイミングで16日の納税開始日を迎える。
発光魔玉1000個を売却して5000万リーフほどを確保し、それをムーリに借金という形でステータスプレートに誓約する。
ダン 男 25歳 悪魔祓い 仕合わせの暴君
ニーナ ティムル フラッタ リーチェ ムーリ
ニーナ(所有) ティムル(所有)
貸付 50,000,000リーフ(ムーリ)
ムーリ 女 19歳 修道士 仕合わせの暴君
ダン ニーナ ティムル フラッタ リーチェ
借入 50,000,000リーフ(ダン)
借金5000万リーフかぁ。数字にするとなかなかにエグい金額だなぁ。
でも今の子供達なら普通に返せるんだよな。今のペースで魔物狩りが増え続けたら、下手すりゃ来年のうちに完済してるかもしれない。
30人の孤児達と一緒に教会で待機していると、修道服に身を包んだ集団が現れる。どうやらあの人たちがトライラム教会の教主ご一行のようだね。
集団の中で最も高齢に見える女性が、こちらに向かって頭を下げる。
「お初にお目にかかります。私が現在トライラム教会の教主を務めさせていただいている、イザベルです。本日は宜しくお願いしますね」
柔らかい微笑みの中にも油断の感じられない仕草。テネシスさんよりもひと回りは高齢に見えるのに、その所作は洗練されていて乱れがない。
俺とムーリも自己紹介したら、まずは何より子供達の納税を済ませる事になった。子供達の不安を解消することが最優先だと。
うん。確かにこの人はトライラム教会のトップだねぇ。
俺とムーリ、14歳の孤児たち30人とイザベルさんのパーティ6名で、ぞろぞろと冒険者ギルドに向かう。
中に入ると流石に納税日の初日らしく、まぁまぁの混み合い具合だった。
「いえいえ、普段は初日はこんなに混み合わないんですよっ!」
「あれ、そうなの?」
「今年はマグエルにいっぱいお金が齎されたおかげで、余裕を持って納税を済ませられる人が増えたんでしょうねっ」
これもどこかの暴君のおかげですねっ、と笑うムーリ。
年末にかけて結構がっつりと金ばら撒いたもんなぁ。
俺達の番が来て、孤児にステータスプレートを出してもらって、1人1人順番に納税処理をしていく。1番初めは当然コットンだ。
俺とコットンの間にムーリを挟んで、ギルドの職員にコットンのステータスプレートを提示して、王金貨1枚と金貨48枚をギルドに支払う。
コットン 女 14歳 村人
返されたステータスプレートの情報は、たった1行だけ。フロイさんに抜き取られた時のステータスプレートを思い出すなぁ。
「本当にっ……! 本当に私、奴隷にならなくて、いいんだっ……! 来年も生きてて、花壇のお世話をしながら、孤児院で働いていていいんだぁ……!」
「はいはいコットン。後がつかえてるから避けて避けて」
笑いながら大粒の涙が止まらないコットンはムーリに引き取ってもらって、興奮気味の残りの孤児たちの納税処理も順番に済ませていく。
1人、また1人と納税を済ませていく。
まっさらになった自分のステータスプレートを見て、自分の未来が開かれたことを知る子供達。彼らの口からはずっとトライラム様への感謝が唱えられていた。
うん。貸し付けただけの俺に感謝を述べに来なくて安心したよ。
続いて自分と嫁の分の納税を処理。俺、リーチェ、ムーリの3人が8万リーフ、ニーナが5万、ティムルが1万、フラッタが20万だ。
ムーリの分は教会から出して貰うことも出来たんだけど、自分の嫁の税金くらい負担しますって。発光魔玉10個でお支払い。
ついでに来年分のアライアンス登録料も支払っておく。こちらは俺ではなくて、ムーリが借入金の余りで支払うことにした。
ワンダ達がひと月に1回以上魔玉を発光させられたんだから、21名のトライラムフォロワーの稼ぎを単純計算すると、魔玉だけで毎月105万リーフだ。
ドロップアイテムの売り上げが更に加算されるわけだし、もう教会の孤児たちが人頭税に苦しめられることはなくなるだろうね。
今後も更に稼ぎは増していくのは間違いないし。
全員分の納税処理を済ますと、イザベルさんが俺に向かって深々と頭を下げた。
「本当に……。本当に感謝申し上げます……。教義に囚われ、保身に走った我々が救えなかった子供達に、よくぞ未来を齎してくださいました……!」
……腐敗や堕落を防ぐ為の行為を、保身って言うのかなぁ?
なんにしても泣き続ける子供だけでも注目を浴びてるのに、修道服を着たパーティに頭を下げられてるのも目立ちすぎるってば。話は教会に帰ってからでお願いしますって。
教会に戻った俺達を、孤児たちは元気に迎えてくれた。
特に弟妹のいる14歳の子供達の喜びようといったら半端じゃなくて、弟や妹を抱きしめながらずっと泣きじゃくっていた。
「ダンーっ! こっちも無事に全員転職できたぜーっ!」
喜ぶ孤児達を眺めていたら、ワンダの元気な報告が届く。
ワンダ達を早々に引率から解放してあげたおかげで、ワンダ達はすぐに職業の浸透を済ませてしまった。
新人達15人も全員村人LV10に到達していたので、せっかくだからとこの日に合わせて全員転職してもらったのだ。
俺の嫁達が冒険者ギルドに来なかったのは、みんなに子供達の転職手続きの引率を任せたからだ。
転職する子供達と俺達仕合わせの暴君もトライラムフォロワーにアライアンス登録をして、リーチェが修道士ギルドの引率に行き、ティムルとニーナと、一時的にフラッタにもお手伝いをお願いして、4つのギルドを回ってもらったのだ。
アライアンス登録しないなんて言ってたけど、ポータルの使用制限が広がるのは便利すぎるよぉ。
ワンダがポータルを使えるようになったら、俺たちは脱退する感じかなぁ。
子供達の相手は子供達に任せ、俺の嫁たちは夕飯の準備、俺とムーリは応接室でイザベルさんともう少し話をする。
「子供達は半年もしないうちに、どんどん自力で巣立っていくと思うんです。その中にはきっと、教会の役に立ちたいって子もいっぱいいることでしょう」
俺の装備レンタルはアライアンスであるトライラムフォロワーと、その代表であるムーリに対して行なっている事なので、孤児たちの活動場所がどこであっても良い事にしている。
既に何人かは、稼げるようになったら自分の出身の教会を支えたいと言っている子もいる。
「人手が一気に減って少し大変かと思いますが、もう少しお待ちくださいね」
「いえいえ。確かに人手が減って少し大変ですが、孤児たちが誰も奴隷に落ちなくて済むようになったのですから。各地のシスターや修道士たちの精神的苦痛は、今までとは比べ物にならないほどに軽減されていると思いますよ」
ホッとしたように柔らかく微笑むイザベルさん。
今までは悪循環だったけれど、教会と孤児の関係は本来好循環していける筈だ。孤児を助けた教会が孤児たちに助けられて余裕を持ち、さらに多くの人に手を差し伸べられるようになるという理想の好循環。
「トライラムフォロワーの訓練は、基本的に1年間の周期を考えています。尤も第一陣の幸福の先端を見てると、そんなにかからないかもしれないですけど」
「幸福の先端は、確か2ヶ月ほどで2度目の転職でしたか」
「幸福の先端はかなり順調でしたけど、基本的には戦士、商人、旅人、修道士を3ヶ月ずつ経験してもらおうと思っています。その後の職業は自由にするつもりです」
ワンダ達のペースだと、1ヶ月で1職業の浸透が終わる感じなんだよなぁ。
でも人数や構成種族、活動頻度でも浸透速度は変わってくるだろうから、全体ルールは余裕をもって設定しておくべきだろう。
「新しい孤児の受け入れは、毎月20~30人程度でお願いしようと思うんです。思った以上に子供達は優秀で真面目でしたので、全く手がかかりませんからね。ああ、年内にももう1度送ってもらっても大丈夫です」
もう新しい孤児院、建っちゃってるからね?
大工さんたち、張り切りすぎなんだよなぁ、ありがたいんだけどさぁ。
「分かりました。この後私も各地の教会に赴き、孤児たちの奴隷落ちが間違いなく回避されたことを連絡して回る予定ですので、その時に今月の追加受け入れの話もさせていただきましょう」
教主自らがマグエルまで足を運んだのは、孤児の納税処理の顛末を教会のトップが確実に確認する為かぁ。高潔すぎるよトライラム教会。
教主自らが世界中の教会を回り、今の俺の話を伝達するの? 真面目すぎるけど、そりゃあ手が回らなくなるよねぇ。
「重ね重ね、本当にありがとうございます」
「いやいや、孤児院の建設費用も貸付金に入ってるんだから気にしないで」
「お金を貸してくださったことではなく、我々に道を示してくださった事に感謝致しますわ」
話が終わるとすぐにイザベルさんたちはポータルでどこかに飛んでいった。
ステイルークにいた頃からずっと心配していた納税の処理も終わって、年内はこれでひと段落着いたかな? ああ、あとでラトリアさんの納税処理も確認しておかなきゃいけないか。
さて、納税の憂いも無くなったことだし、本格的に解呪の為の旅のことを考えなきゃいけないねぇ。
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その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
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