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3章 回り始める物語1 スポットの奥で
149 ぽわぽわ (改)
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ニーナがぽわぽわ状態になってしまったので、ティムルにニーナの護衛を任せて、フラッタ、リーチェと共に魔物を殲滅する。
今の俺はニーナ大好きパワーに包まれてるから、はっきり言って誰にも負ける気はしない。
でも想いの力以外にも、ミスリル武器になったことで威力が上がった攻撃魔法を付与術士LV100の魔力大補正のおかげで撃ちまくれるし、生産職全てを浸透させた五感上昇と身体操作性補正のおかげで敵の動きを敏感に察知できるし、自身の体は自由自在に動かせる。
もうスポット最深部の魔物の群れ程度、俺1人でも皆殺しにするのは容易くなった。
決して自惚れてはいけないけれど、スポットの最深部で遅れを取る心配はもうない。各地のアウターを巡る旅も問題なくこなせるようになったはずだ。
少なくとも、戦力的な意味でなら。
あとはポータル、アナザーポータルと、探索魔法を浸透させておきたいよね。
特に魔法士関係は攻撃魔法の威力を底上げしてくれるみたいだし、魔法剣士スタイルの俺にはありがたい補正だ。
「赤き戦槍。紅蓮の暴虐。汝、貫きたる者よ。フレイムランス」
累積された五感上昇のおかげか身体操作性補正の影響か、フレイムランスの使い方にも幅が出てきた。
予め魔法を発動をしてそれをキープしながら剣で戦い、任意のタイミングで発射したり、片手にフレイムランスをキープしたままもう1度フレイムランスを詠唱して、両手でフレイムランスをキープしたままフレイムサークルを放ったりなど、魔法剣士としての戦術の広がりを感じる。
残念ながら射出型のフレイムランスは両手から発動する必要があるので、同時キープは2つが限界だ。
キープ中は常に魔力を消費し続けるし、両手キープ中に発動できるのは対象指定型のフレイムサークル、対象指定無しのフレイムフィールドだけで、3つ目のフレイムランスを発動することは出来ないらしい。
うん。こうやって色々試すのは楽しいな。
魔物を全滅させ、ドロップアイテムを回収してニーナとティムルのいる場所に戻る。
「はぁぁぁぁ……。ダン、かっこいいよぅ……」
戻るなり抱きついてくるニーナが可愛いのでよしよしなでなで。
でもちょっと戦える状態じゃないかなぁ?
「ニーナ。戦うのが難しそうなら一旦出ようか?」
「ううん。大丈夫。大丈夫だよ……! ただダンがかっこよすぎて、ついつい目で追っちゃうだけなのっ」
ぜぜぜっ、全然大丈夫じゃないですよねぇっ!?
うおおおっ! こんな素直に甘えてくるニーナ新鮮すぎるぅっ!
なんと言っても、外なのに奴隷口調じゃなくなってるニーナが可愛すぎるよぉっ!
「ニーナ。戦うんだったら、まずは呪いの効果範囲を確認してくれるかな? どこまで動けてどこからが呪いの効果範囲なのか、しっかり確認してくれる?」
「うんっ! ダンのおかげで私になにが出来るようになったのか、しっかりダンに見てて欲しいのっ」
や、やばぁ……。ニーナが可愛すぎて、俺の方が戦闘不能にされちゃいそうだよぉ。
たたたーっと俺から離れたニーナは、全力で走って見せてくれた。彼女がどれだけ早く動いても、呪いの阻害は見受けられないようだ。
小効果の割に、結構な緩和具合じゃないか? 移動速度が多少速くなるかも、くらいを想定してたんだけど。
たたたーっと走り回って見せたニーナは、たたたーっと走って俺に飛びついてきた。
「走れるよっ! こんなに早く走れるよっ! ダンのおかげで、呪いなんか関係なく走れるようになったんだよっ!」
「うんうん見てたよ。ニーナすっごく足が速いんだねぇ」
ぎゅーっ。よしよしなでなで。
ニーナは流石獣人族とでも言うべきか、敏捷性補正が殆ど無いのにかなりの瞬発力を発揮してみせた。こんなに早く動いても呪いが発動しないなら、自力移動には呪いが発動しないのかな?
「ニーナ。どうやら自分で動く分にはほぼ自由に動けるみたいだね。次は馬や乗り物に乗れるかどうか、自力以外での移動を試してみようか」
「うんっ。やってみるっ! ……でもここには馬なんていないよ? どうするの?」
「勿論こうするに決まってるでしょ?」
よしよしなでなでしているニーナを1度離して、お姫様抱っこに抱きなおす。
「はぁぁ……。かっこよすぎるよぅ……。私、ダンに横抱きにされるの、大好きぃ……」
「ニーナこそ可愛すぎるでしょぉ? それじゃお姫様。しばし俺の腕の中で、スポットの旅をお楽しみください」
なんてかっこつけてニーナをお姫様抱っこしたまま走り出したけど、すぐに呪いが発動するのが分かった。
自分の感覚は変わらないんだけど、景色が進まないチグハグさ。ニーナをお風呂から寝室に連れて行く時によく起こる現象が今回も発生したようだ。
「なるほどねぇ。どうやらお姫様を抱きしめたままで移動するには、もうちょっと呪いを解かなきゃいけないみたいだよ」
足を止めて、抱っこしているニーナの顔を見る。
頬を染めながらキラッキラした瞳で俺を見詰めるニーナが可愛すぎて戦闘不能になりそう。
「多分小効果では、自分自身の動きに対して制限が解除された感じなのかな。乗り物だったり移動魔法だったりは、恐らくまだ使えないかもね」
「自力移動に制限が無くなっただけでも凄く嬉しいよぅ。戦闘でももっと役に立てるし、遠征での移動時間もぐっと減らせるし、嬉しさしか無いのっ。ダン。休憩の時はいっぱいいっぱい相手してね?」
だぁぁぁぁぁ! 今すぐ相手してぇぇぇぇぇぇ!
なんだこの幸せ成分100%のぽわぽわニーナは! 可愛すぎるだろぉぉ!?
「今すぐニーナと繋がりたい気分だけど、呪いに関して1つ前に進めたのも確かだからね。ニーナをもっと幸せにするために、予定通り魔物狩りをしないとね」
「はぁぁぁ……。これ以上、これ以上幸せになることなんてあるのぉ……? 今でも幸せしかないのに、これ以上の幸せがあるなんて信じられないよぅ……」
俺も信じられないよ。今でさえ細胞1つ1つに至るまで幸せで満たされてるのに、解呪に成功すればもっと幸せになれるなんて。
ニーナをお姫様抱っこしたままみんなの元に戻り、ニーナをお姫様抱っこしたまま情報を共有する。
「乗り物はムリ、でも自分で移動する分には制限がなくなった可能性が高いのね? それはかなりの朗報よ。ニーナちゃんは獣人族だし、元々瞬発力が高い種族だから」
やっぱり獣人だから瞬発力が元々高いのね。
抱っこしてるニーナと頬ずりする。すりすり。
「一般的に獣人族は瞬発力に優れ、ドワーフ族は筋力に優れていると言われておるのじゃ。竜人族はその両方の長所を併せ持つ代わりに寿命が短く、エルフ族は魔法の適正が高いと言われておるのぅ」
フラッタを見てると獣人とトワーフの特性を併せ持つというよりは、その2種族の長所を更に凌駕しているように見えるんだよなぁ。
いや、これはフラッタ個人の資質に因るところが大きいんだろうか? すりすり。ほっぺ柔らかいなぁ。
「ん~、ニーナが動けるようになると、戦い方を少し変えることになるかもね。ティムルとのペアも、2人とも回避特化になる感じかも? ティムルもここで普通に戦えてるから問題は無いと思うけど」
なるほど。確かに動けるのであれば盾を使って受け止める戦い方よりも、素早く動いて敵を翻弄すべきなのか。
そもそもうちのパーティって、被弾しないことが前提だからなぁ。
ニーナが動けるようになったなら、むしろうちのパーティ本来の戦い方が出来るようになったとも言えなくもない。ぎゅー。すりすり。
「うーん。盾も常にインベントリに入れておきたいかなぁ? ティムルみたいな戦い方が出来るかどうかは、ちょっと分からないし。せっかく使えるようになった弓も無駄にしたくないよぅ」
「ふふ。色々試してみればいいんだよ。生まれて初めて制限無しで動けるようになったんだから、戸惑うのも当たり前だよ。色々試して、ニーナのスタイルを確立すればいいんだからね」
最後に柔らかい両側のほっぺにちゅっちゅっとキスをして、ニーナを下ろしてあげる。
「制限が解除されてニーナの戦闘能力は向上したと思うけど、ペース配分とかは慣れてないと思うから、みんなも気にしてあげて欲しい」
「分かってるわよぉ! ニーナちゃん。今まで守ってくれてありがとうね。これからは2人でどんどん魔物を狩っちゃいましょーっ!」
せっかく俺が解放したのに、ティムルがニーナに抱きついて頬ずりしたら意味無いじゃん!?
「まずは第1歩なのじゃ! 移動魔法まで使えるようになれば、妾がヴァルハールを案内することも出来るのじゃっ」
そうだなフラッタ。こんなのまだ第1歩でしかないよな。
でもこのまま止まらずに、一気に解呪まで突っ走ってやりたいところだ。
「うん。ニーナも前に出られるなら、やっぱりぼくは弓を使おうかな? ふふ、いつ以来だろう。弓を握るのは……」
おお。とうとうラスボスリーチェの真の実力が明らかに?
剣術ですら凄まじいのに、得意武器を扱ったリーチェの技量とはどれほどなんだろうなぁ。
「みんなも今までありがとうっ! これからもよろしくねっ! 勝手が変わって迷惑かけちゃうかもしれないけど、やっぱりよろしくねっ」
はは、ははははっ! 迷惑かけてごめんなさいじゃなくて、迷惑かけるけど宜しくね、か。
ニーナがみんなに甘えてる。ニーナがみんなを頼りにしてる。
嬉しい! 最高に嬉しい!
魔物が現れたけど、嬉しい気持ちが破裂しそうで、魔物にすら敵意を抱けないよぉ。
常にフレイムランスをチャージして、ロングソードで斬りつけながら、フレイムサークルと同時に2発のフレイムランスを発射。エレガントエレファントが燃え尽きる。
フライトイールの群れなんて、飛び掛ってくる前に自分からどんどん斬り捨ててやる。
ああもう体の中が嬉しい気持ちで爆発しそうだ。爆発しそうな気持ちを剣に載せて、フレイムフィールドを発動。スウォームワームを炙り出す。
魔物を見つけてはロングソードを叩きつけ、フレイムランスで貫き、フレイムサークルで焼き殺す。
視界の端で、ニーナとティムルが一緒に魔物を斬りつけているのが見える。
遠くの敵を、緑色の美しい弓から放たれた実体の無い矢で貫くリーチェが見える。
いつも通り獅子奮迅の活躍を見せる、無双将軍フラッタの姿が見える。
今だってこんなに嬉しくて幸せではち切れそうでじっとしてられないのに、まだまだみんなともっと幸せになれるなんて、その事実こそが1番の幸福だよぉぉっ!
くっそぉぉ! 体が幸せで爆発しそうだ! じっとしてられない!
なにが最深部だよ! 魔物足りてないよ! じゃんじゃん持ってきてよっ!
魔物の群れがいなくなったので、仕方なくドロップアイテムを回収する。
あ、でも戦闘が終わればまたみんなと一緒にいられるのかっ! わぁい!
「あははっ! なんでダンの方が私より嬉しそうにしてるのっ? おいでーっ。ぎゅーっとしてあげるねっ」
ニーナにおいでおいでされたら飛び込まざるを得ませんよぉっ! 正面から抱きついてぎゅーっ! の刑だ!
「あはーっ。こんなに嬉しそうなダン、初めて見るわねぇ。私も混ぜて混ぜてーっ」
ティムルが俺とニーナごと、ぎゅーっと抱きしめてくる。
「妾もみんな大好きじゃーっ! ニーナ、大好きなのじゃーっ!」
フラッタが今回は俺じゃなくて、ニーナにぎゅーっと抱きついている。
「ぼくだって、もう見てるだけじゃないんだからねっ! ぼくだってもう、自分からみんなに抱きつけるんだからぁっ」
リーチェが俺の背中にぎゅーっと、というかむにゅーっと抱きついてくる。
「なんか俺、スポットでの魔物狩りが大好きになりそうだよ。入る度にみんなのことが好きになって好きになって仕方なくなっちゃうよぉ」
おかしいなぁ? スポットの、しかも最深部なんて、危険でいっぱいの場所じゃなかった? 前回も今回も、スポット最深部で活動するほど、みんなのことがどんどん好きになっちゃうんだけど?
嬉しすぎて確認するのを忘れていたけど、修道士も慈善家もLV30になっていることに今更気付いてしまったよ。
まったく、浮かれすぎだ俺。でもみんな大好きぃ!
今の俺はニーナ大好きパワーに包まれてるから、はっきり言って誰にも負ける気はしない。
でも想いの力以外にも、ミスリル武器になったことで威力が上がった攻撃魔法を付与術士LV100の魔力大補正のおかげで撃ちまくれるし、生産職全てを浸透させた五感上昇と身体操作性補正のおかげで敵の動きを敏感に察知できるし、自身の体は自由自在に動かせる。
もうスポット最深部の魔物の群れ程度、俺1人でも皆殺しにするのは容易くなった。
決して自惚れてはいけないけれど、スポットの最深部で遅れを取る心配はもうない。各地のアウターを巡る旅も問題なくこなせるようになったはずだ。
少なくとも、戦力的な意味でなら。
あとはポータル、アナザーポータルと、探索魔法を浸透させておきたいよね。
特に魔法士関係は攻撃魔法の威力を底上げしてくれるみたいだし、魔法剣士スタイルの俺にはありがたい補正だ。
「赤き戦槍。紅蓮の暴虐。汝、貫きたる者よ。フレイムランス」
累積された五感上昇のおかげか身体操作性補正の影響か、フレイムランスの使い方にも幅が出てきた。
予め魔法を発動をしてそれをキープしながら剣で戦い、任意のタイミングで発射したり、片手にフレイムランスをキープしたままもう1度フレイムランスを詠唱して、両手でフレイムランスをキープしたままフレイムサークルを放ったりなど、魔法剣士としての戦術の広がりを感じる。
残念ながら射出型のフレイムランスは両手から発動する必要があるので、同時キープは2つが限界だ。
キープ中は常に魔力を消費し続けるし、両手キープ中に発動できるのは対象指定型のフレイムサークル、対象指定無しのフレイムフィールドだけで、3つ目のフレイムランスを発動することは出来ないらしい。
うん。こうやって色々試すのは楽しいな。
魔物を全滅させ、ドロップアイテムを回収してニーナとティムルのいる場所に戻る。
「はぁぁぁぁ……。ダン、かっこいいよぅ……」
戻るなり抱きついてくるニーナが可愛いのでよしよしなでなで。
でもちょっと戦える状態じゃないかなぁ?
「ニーナ。戦うのが難しそうなら一旦出ようか?」
「ううん。大丈夫。大丈夫だよ……! ただダンがかっこよすぎて、ついつい目で追っちゃうだけなのっ」
ぜぜぜっ、全然大丈夫じゃないですよねぇっ!?
うおおおっ! こんな素直に甘えてくるニーナ新鮮すぎるぅっ!
なんと言っても、外なのに奴隷口調じゃなくなってるニーナが可愛すぎるよぉっ!
「ニーナ。戦うんだったら、まずは呪いの効果範囲を確認してくれるかな? どこまで動けてどこからが呪いの効果範囲なのか、しっかり確認してくれる?」
「うんっ! ダンのおかげで私になにが出来るようになったのか、しっかりダンに見てて欲しいのっ」
や、やばぁ……。ニーナが可愛すぎて、俺の方が戦闘不能にされちゃいそうだよぉ。
たたたーっと俺から離れたニーナは、全力で走って見せてくれた。彼女がどれだけ早く動いても、呪いの阻害は見受けられないようだ。
小効果の割に、結構な緩和具合じゃないか? 移動速度が多少速くなるかも、くらいを想定してたんだけど。
たたたーっと走り回って見せたニーナは、たたたーっと走って俺に飛びついてきた。
「走れるよっ! こんなに早く走れるよっ! ダンのおかげで、呪いなんか関係なく走れるようになったんだよっ!」
「うんうん見てたよ。ニーナすっごく足が速いんだねぇ」
ぎゅーっ。よしよしなでなで。
ニーナは流石獣人族とでも言うべきか、敏捷性補正が殆ど無いのにかなりの瞬発力を発揮してみせた。こんなに早く動いても呪いが発動しないなら、自力移動には呪いが発動しないのかな?
「ニーナ。どうやら自分で動く分にはほぼ自由に動けるみたいだね。次は馬や乗り物に乗れるかどうか、自力以外での移動を試してみようか」
「うんっ。やってみるっ! ……でもここには馬なんていないよ? どうするの?」
「勿論こうするに決まってるでしょ?」
よしよしなでなでしているニーナを1度離して、お姫様抱っこに抱きなおす。
「はぁぁ……。かっこよすぎるよぅ……。私、ダンに横抱きにされるの、大好きぃ……」
「ニーナこそ可愛すぎるでしょぉ? それじゃお姫様。しばし俺の腕の中で、スポットの旅をお楽しみください」
なんてかっこつけてニーナをお姫様抱っこしたまま走り出したけど、すぐに呪いが発動するのが分かった。
自分の感覚は変わらないんだけど、景色が進まないチグハグさ。ニーナをお風呂から寝室に連れて行く時によく起こる現象が今回も発生したようだ。
「なるほどねぇ。どうやらお姫様を抱きしめたままで移動するには、もうちょっと呪いを解かなきゃいけないみたいだよ」
足を止めて、抱っこしているニーナの顔を見る。
頬を染めながらキラッキラした瞳で俺を見詰めるニーナが可愛すぎて戦闘不能になりそう。
「多分小効果では、自分自身の動きに対して制限が解除された感じなのかな。乗り物だったり移動魔法だったりは、恐らくまだ使えないかもね」
「自力移動に制限が無くなっただけでも凄く嬉しいよぅ。戦闘でももっと役に立てるし、遠征での移動時間もぐっと減らせるし、嬉しさしか無いのっ。ダン。休憩の時はいっぱいいっぱい相手してね?」
だぁぁぁぁぁ! 今すぐ相手してぇぇぇぇぇぇ!
なんだこの幸せ成分100%のぽわぽわニーナは! 可愛すぎるだろぉぉ!?
「今すぐニーナと繋がりたい気分だけど、呪いに関して1つ前に進めたのも確かだからね。ニーナをもっと幸せにするために、予定通り魔物狩りをしないとね」
「はぁぁぁ……。これ以上、これ以上幸せになることなんてあるのぉ……? 今でも幸せしかないのに、これ以上の幸せがあるなんて信じられないよぅ……」
俺も信じられないよ。今でさえ細胞1つ1つに至るまで幸せで満たされてるのに、解呪に成功すればもっと幸せになれるなんて。
ニーナをお姫様抱っこしたままみんなの元に戻り、ニーナをお姫様抱っこしたまま情報を共有する。
「乗り物はムリ、でも自分で移動する分には制限がなくなった可能性が高いのね? それはかなりの朗報よ。ニーナちゃんは獣人族だし、元々瞬発力が高い種族だから」
やっぱり獣人だから瞬発力が元々高いのね。
抱っこしてるニーナと頬ずりする。すりすり。
「一般的に獣人族は瞬発力に優れ、ドワーフ族は筋力に優れていると言われておるのじゃ。竜人族はその両方の長所を併せ持つ代わりに寿命が短く、エルフ族は魔法の適正が高いと言われておるのぅ」
フラッタを見てると獣人とトワーフの特性を併せ持つというよりは、その2種族の長所を更に凌駕しているように見えるんだよなぁ。
いや、これはフラッタ個人の資質に因るところが大きいんだろうか? すりすり。ほっぺ柔らかいなぁ。
「ん~、ニーナが動けるようになると、戦い方を少し変えることになるかもね。ティムルとのペアも、2人とも回避特化になる感じかも? ティムルもここで普通に戦えてるから問題は無いと思うけど」
なるほど。確かに動けるのであれば盾を使って受け止める戦い方よりも、素早く動いて敵を翻弄すべきなのか。
そもそもうちのパーティって、被弾しないことが前提だからなぁ。
ニーナが動けるようになったなら、むしろうちのパーティ本来の戦い方が出来るようになったとも言えなくもない。ぎゅー。すりすり。
「うーん。盾も常にインベントリに入れておきたいかなぁ? ティムルみたいな戦い方が出来るかどうかは、ちょっと分からないし。せっかく使えるようになった弓も無駄にしたくないよぅ」
「ふふ。色々試してみればいいんだよ。生まれて初めて制限無しで動けるようになったんだから、戸惑うのも当たり前だよ。色々試して、ニーナのスタイルを確立すればいいんだからね」
最後に柔らかい両側のほっぺにちゅっちゅっとキスをして、ニーナを下ろしてあげる。
「制限が解除されてニーナの戦闘能力は向上したと思うけど、ペース配分とかは慣れてないと思うから、みんなも気にしてあげて欲しい」
「分かってるわよぉ! ニーナちゃん。今まで守ってくれてありがとうね。これからは2人でどんどん魔物を狩っちゃいましょーっ!」
せっかく俺が解放したのに、ティムルがニーナに抱きついて頬ずりしたら意味無いじゃん!?
「まずは第1歩なのじゃ! 移動魔法まで使えるようになれば、妾がヴァルハールを案内することも出来るのじゃっ」
そうだなフラッタ。こんなのまだ第1歩でしかないよな。
でもこのまま止まらずに、一気に解呪まで突っ走ってやりたいところだ。
「うん。ニーナも前に出られるなら、やっぱりぼくは弓を使おうかな? ふふ、いつ以来だろう。弓を握るのは……」
おお。とうとうラスボスリーチェの真の実力が明らかに?
剣術ですら凄まじいのに、得意武器を扱ったリーチェの技量とはどれほどなんだろうなぁ。
「みんなも今までありがとうっ! これからもよろしくねっ! 勝手が変わって迷惑かけちゃうかもしれないけど、やっぱりよろしくねっ」
はは、ははははっ! 迷惑かけてごめんなさいじゃなくて、迷惑かけるけど宜しくね、か。
ニーナがみんなに甘えてる。ニーナがみんなを頼りにしてる。
嬉しい! 最高に嬉しい!
魔物が現れたけど、嬉しい気持ちが破裂しそうで、魔物にすら敵意を抱けないよぉ。
常にフレイムランスをチャージして、ロングソードで斬りつけながら、フレイムサークルと同時に2発のフレイムランスを発射。エレガントエレファントが燃え尽きる。
フライトイールの群れなんて、飛び掛ってくる前に自分からどんどん斬り捨ててやる。
ああもう体の中が嬉しい気持ちで爆発しそうだ。爆発しそうな気持ちを剣に載せて、フレイムフィールドを発動。スウォームワームを炙り出す。
魔物を見つけてはロングソードを叩きつけ、フレイムランスで貫き、フレイムサークルで焼き殺す。
視界の端で、ニーナとティムルが一緒に魔物を斬りつけているのが見える。
遠くの敵を、緑色の美しい弓から放たれた実体の無い矢で貫くリーチェが見える。
いつも通り獅子奮迅の活躍を見せる、無双将軍フラッタの姿が見える。
今だってこんなに嬉しくて幸せではち切れそうでじっとしてられないのに、まだまだみんなともっと幸せになれるなんて、その事実こそが1番の幸福だよぉぉっ!
くっそぉぉ! 体が幸せで爆発しそうだ! じっとしてられない!
なにが最深部だよ! 魔物足りてないよ! じゃんじゃん持ってきてよっ!
魔物の群れがいなくなったので、仕方なくドロップアイテムを回収する。
あ、でも戦闘が終わればまたみんなと一緒にいられるのかっ! わぁい!
「あははっ! なんでダンの方が私より嬉しそうにしてるのっ? おいでーっ。ぎゅーっとしてあげるねっ」
ニーナにおいでおいでされたら飛び込まざるを得ませんよぉっ! 正面から抱きついてぎゅーっ! の刑だ!
「あはーっ。こんなに嬉しそうなダン、初めて見るわねぇ。私も混ぜて混ぜてーっ」
ティムルが俺とニーナごと、ぎゅーっと抱きしめてくる。
「妾もみんな大好きじゃーっ! ニーナ、大好きなのじゃーっ!」
フラッタが今回は俺じゃなくて、ニーナにぎゅーっと抱きついている。
「ぼくだって、もう見てるだけじゃないんだからねっ! ぼくだってもう、自分からみんなに抱きつけるんだからぁっ」
リーチェが俺の背中にぎゅーっと、というかむにゅーっと抱きついてくる。
「なんか俺、スポットでの魔物狩りが大好きになりそうだよ。入る度にみんなのことが好きになって好きになって仕方なくなっちゃうよぉ」
おかしいなぁ? スポットの、しかも最深部なんて、危険でいっぱいの場所じゃなかった? 前回も今回も、スポット最深部で活動するほど、みんなのことがどんどん好きになっちゃうんだけど?
嬉しすぎて確認するのを忘れていたけど、修道士も慈善家もLV30になっていることに今更気付いてしまったよ。
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