異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて3 孤児と修道女

123 君に届け、剣と想い (改)

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 朝食を食べ終えて、みんなと今日の予定を確認する。

 お風呂の後始末と洗濯。冒険者ギルドでアウターの情報を確認。教会に行って礼拝日を確認。フラッタとリーチェに稽古もつけてもらいたい。

 それと服屋で高級タオルを大量注文しておきたいな。


 あとは……、雑貨屋でシャンプーとかボディソープとか、その辺を確認したいところなんだよねぇ。


「結構忙しいね。その間に私達の相手もして欲しいし。あ、そうだダン。徹夜は2日に1回にしようね。休息日で疲れたら意味無いからね?」


 ニーナの指摘にちょっとバツが悪くなる。

 好色家先生のハイパー持久力補正のおかげで、多分ずっと起きてても耐えられる気はしてたからね。


「お風呂と洗濯は毎日する必要があるけど、外出の用事は別々の日に分けて欲しいかしら? ダンとデートする口実にもなるから、ねっ」


 ティムルの言葉になるほどと思う。


 あえて外出日を増やして、みんなとデート。悪くないねぇ。

 ニーナを奴隷解放したら、改めて1人1人ともデートしてみたいなぁ。


「妾ならいつでも胸を貸すのじゃ。無論えっちな意味ではないのじゃ」


 俺が反応する事を見越したのか、即座に自分の言葉を補足するフラッタ。えっちな意味じゃなくて残念だ。


「妾たちとの稽古は教会のみんなが庭を弄りに来る時が良いのではないかのぅ。それならニーナも花壇の世話に参加しやすかろう」


 つまりニーナの目の届く範囲で稽古をしようって提案だね?

 フラッタもニーナの事を考えて行動できるようになったんだなぁと、ちょっと感心した。


「デートもいいけど、ずっと相手してもらうのも捨てがたいんだよねぇ……。外出の用事、手分けして一気に済ませちゃわない?」


 エロ神リーチェ様は今日もエロに一直線の全力投球だなぁ。

 でも本当に捨てがたい選択肢だから、俺も困っちゃうよぉ。


 
 皆で検討した結果、稽古は教会の皆が来ている時に行い、冒険者ギルドと教会への顔出しは全員で。

 タオルの発注や雑貨屋での物色は、俺が稽古してる時とかにティムルが代行してやってくれることになった。


 確かにティムルが適任だよな。俺自身が動き回るより上手いことやってくれそう。


「そうそう。教会と言えば、子供達の税金に関して少し思いついた事があるんだよ。その為に今ある魔玉60個、俺の好きにしちゃっていいかな?」

「……私は構わないけど、大丈夫? ダンの負担、大きすぎない?」


 ニーナは少し嬉しそうな気持ちを隠しながら、俺の心配をしてくれる。

 でも安心してニーナ。多分俺、殆ど何も負担しないで済むから。


「俺の負担は……そうだなぁ、コットンの分の税金を払ってやるくらいかな? それも最終的には回収するつもりだし、俺の負担は殆どないと思うよ。必要なのは初期資金だけなんだ」

「何を思いついたのかは知らないけど、魔玉はダンの好きにしていいわよ。私たちみんなダンの家族なんだから、貴方のすることに文句なんかないわよ」


 ティムルの寄せてくれる全幅の信頼が重いなんて、もう全然感じない。全面的に信頼してくれることがただただ嬉しい。

 でも家族だからこそ、俺が間違ってるときは止めて欲しいんだよ? 止めてくれるって信じてるけどね。


「妾たちの税金と生活費さえ忘れなければ、ダンの好きにしていいのじゃ。装備品もダンが作ってしまうし、妾たちにお金はあまり必要ないからのう」


 本当にフラッタの言う通りだと思う。

 装備品を自前で調達できるようになった時点で、俺たちに大金は必要なくなったのだ。


「魔玉60個って言うと凄い数なんだけどねぇ。1ヶ月でその倍の数を発光させてしまったわけだし、次回の遠征ではもっと増える可能性が高いんだもん。些細な事に感じちゃうよねぇ」


 リーチェが少し呆れたような口調で息を吐く。

 発光した魔玉125個だもんなぁ。60個くらい好きにすれば? となるのも頷ける。


「確認してくれた事は嬉しいけど、はっきり言ってぼくたちに断らないで勝手に使われても、そこまで問題には感じないかな?」


 リーチェの結論に同意するように頷くみんな。

 どうやら光った魔玉は俺が好きにしても大丈夫そうだ。


「ティムル。雑貨屋に行く時に空魔玉を買えるだけ買っておいてくれる? いや、みんなで冒険者ギルドに行く時でもいいのか? とにかく空魔玉を常に300……、欲を言えば500個くらいはキープしておきたいからさ」

「あはーっ。確かにねぇ。少なくとも次回は200は光りそう」


 上機嫌で俺に頷いてくれるティムル。

 1回の魔玉発光に1ヶ月以上かかっていた頃が遠い昔のようだねぇ……。


「空魔玉は冒険者ギルドで販売してるけど、大量に購入しようとすると時間がかかっちゃうからね。私が買っておくわ」

「ありがとティムル。助かるよ」


 大量発注の場合は商品を用意するのに多少時間がかかる感じなのか。

 前もって連絡しておけば在庫は常に用意してもらえる感じ? まぁ魔物狩りにとっては必需品だもんなぁ。


「っていうかみんな、俺に用途とか聞かないわけ?」

「ん~、そこはムーリさんと一緒に聞こうかなぁ。先に知っちゃうと楽しみが減っちゃうからねっ」


 ネタバレ防止的な?

 ニーナの言葉に、他の3人もうんうんと頷いている。


「それでは稽古をつけるとして……、正午くらいに教会に顔を出せばいいのではないかのぅ? 楽しみなことは楽しみじゃが、早く知りたいとも思うのじゃっ」

「了解。教会には今日行こうか」


 ワクワクニコニコしているフラッタの希望に応じて、早速今日のうちに教会に顔を出す事に決まった。


「ま、そんなに大した話じゃないんだけどね。みんなの期待に添えるかは分からないよ?」


 他の人の真似事をするだけの話だし。

 ダンの大したことないは信用してないのっ、とニコニコするニーナを抱きしめて、話し合いは終了した。



 予定が決まったので早速行動。

 お風呂の掃除や洗濯もニーナとティムルがやってくれることになったので、俺は正午までひたすらボコられることにする。


 俺の激情を体中に巡らせて、極限の集中状態を得る。

 だけど目の前のフラッタに怒りなんか抱けるわけがない。ならなにを乗せるかって? そんなの決まってる。


 フラッタ、大好きだああああああっ!


 もう体の外まで溢れてきそうなフラッタを大好きな気持ちを剣に乗せて、エロ集中なんか置き去りにするくらいの集中状態になる。

 この想いを剣に乗せて、目の前のフラッタに届けるんだぁぁぁぁっ!


 激しい剣戟。あっさり受け止められる俺の想い。

 だけど俺の気持ちはまだまだ収まらない。どこまでも湧き出るフラッタへの想いは、尽きる事を知らない無限のエネルギーに間違いない。

 フラッタが俺の想いを受け止めてくれて、フラッタからも剣を振ってもらえて、なんだか2人でダンスを踊っている気分だ。


 大好きなフラッタと好きなだけ打ち合える、邪魔な雑音が一切ない、幸せな時間。


 剣を重ねるほど楽しくて、剣を打ち合うほど幸せで、もう世界は俺とフラッタしかいなくて、まるでフラッタと溶け合って1つになってしまったようだ。

 フラッタとの至福の舞踏は、リーチェに止められるまで続けられた。




「……確かに最深部でダンの力の片鱗は感じたけどさぁ。ちょっと、強くなるの早すぎない?」


 呆れ顔のリーチェ先生の評価。どうやらちゃんと強くなれているらしい。


「楽しかったのじゃっ! 楽しかったのじゃっ! 怖い時のダンの剣だったのに、全然怖くなかったのじゃっ! なんだか1撃受けるたびに、愛を告げられた気がしたのじゃっ!」

「ああ、フラッタに怒りなんて抱ける訳ないからさ。フラッタが大好きだーっ! て想いを乗せて剣を振ってたんだよ」

「妾もダンが大好きじゃーっ!」


 木剣を放り投げて抱きついてくるフラッタ。可愛すぎるぅ。

 こんなの大好きになるに決まってるわぁ。よしよしなでなで。


「へぇ? それじゃダン。今度はぼくにも大好きだーって伝えてくれるかな?」

「当然。口でも剣でも伝えてやるよ。フラッタもリーチェのこと大好きだよなーっ?」

「大好きじゃーっ! リーチェの事も大好きじゃーっ!」


 フラッタと2人で、リーチェに大好きだと叫びながら斬りかかる。


 日本にいた頃に読んだ漫画で、剣を交えれば、拳を交えれば相手の心が分かる、みたいな描写をよく目にした。

 そういうシーンを見る度に、いや普通に口頭で会話しろよ、と思ったものだ。

 だけど今なら俺にも少し分かる。剣ってのはその人の送ってきた人生そのものが宿っている。剣を合わせるということは、互いの本質をぶつけ合うことに他ならない。


 エロ集中? はっ、今思えば馬鹿らしい。いやいつ思っても馬鹿らしいネーミングなんだけど。

 そしてエロは本当に大好きで、エロ自体を馬鹿にする気は毛頭ないんだけど、ってそうでもなくて。


 大好きだから伝えたい。大好きだから受け止めたい。

 互いの本質のぶつかり合いに、お互いの本質が何度も重なり合う。


 大好きだリーチェ。大好きなんだ。俺もフラッタも、お前の事が好きで好きで堪らないんだ。

 今はまだ俺の想いもフラッタの想いもお前に届かせることは出来ないけれど、届かなくても伝えずにはいられないんだ。

 リーチェの事を愛している、と。


 俺とフラッタはまるで2人で1つになったかのように、相手の思考が通じている気がする。

 フラッタが次に何をしようとして、俺が何をしようとしているのか、お互いに通じ合っている。


 俺とフラッタの想いは1つ。リーチェに好きだと届けたい。

 それを阻むリーチェの剣が、邪魔で仕方ないんだ。


 俺とフラッタ、2人がかりでも実力差は明白で、結局リーチェの剣に阻まれて、俺とフラッタの想いをリーチェに届かせることは出来なかった。

 その前に、リーチェが泣き出してしまったから。


「ぼくだって、ぼくだって2人のこと、大好きだよぉ……! 2人のこと、みんなのこと、大好きで大好きで、幸せで、苦しいよぉ……!」


 泣き続けるリーチェを、フラッタと2人で抱きしめる。


「悪いね。お前を苦しめることになったけど、それでもお前に好きだと伝えたかったんだよ。な? フラッタ」

「うむ。妾もダンも、ニーナもティムルも、リーチェの事が大好きなのじゃ。この気持ちがリーチェを苦しめているのなら謝るのじゃ。でも大好きで仕方ないのじゃ」

「苦しいよぉ、辛いよぉ……。苦しいくらい幸せで、辛くなるくらいにみんなのことが、大好きだよぉ……」


 フラッタと2人で泣きじゃくるリーチェをよしよしなでなで。

 何気に、フラッタがよしよしなでなでするという珍しいものを見ることが出来たな。


「それで? リーチェ先生。俺とフラッタ、強くなってた? 大好きなお前を迎えられる可能性くらいは、感じてもらえたかな?」

「別人だよぉ……。遠征前と同じ人とは思えないよぉ……。ダンだけじゃなくって、フラッタも凄く腕を上げてるよぉ……!」

「だってさ。やったなフラッタ」

「うむっ。まだまだ力及ばぬが、必ずリーチェを助けてみせるのじゃっ」


 リーチェ先生に褒められた事をフラッタと2人で喜んでいると、リーチェが俺達を抱きしめ返してきた。


「ありがとう。ありがとう2人とも……。ぼくのためにこんなに早く、こんなに強くなってくれて……」


 おっぱいの反発に負けないくらいの力強い抱擁で、俺とフラッタに感謝の気持ちを伝えてくるリーチェ。


「ぼくは信じるよ。ダンもフラッタも、ニーナもティムルも信じる。みんなと一緒に笑って暮らせるって、もう絶対に疑わないっ……!」


 まだまだ実力不足で申し訳ないんだけどね。

 リーチェを俺の女にするってことだけは諦める気はないんだよ、俺は。


「ああ、そう信じてくれるなら、もう今のうちから気楽に笑ってくれていいんだよ?」


 お前が背負っている問題のことはまだなにも分かっていないけどさ。でももうリーチェは俺達の家族なんだよ。


「どうせ近いうちにお前の問題なんて全部解決してやるんだ。だからもう変に引いたり遠慮したりしないで、今の生活を心から楽しんでくれよ。どうせいつかみんなと笑って暮らせるなら、今から笑って暮らしても一緒だろ?」

「ふはははーっ! まったくなのじゃっ! 未だ力が及ばぬが、どうせいつかは解決するのじゃっ! リーチェはもう問題が解決した気になっておれば良いのじゃっ!」


 はは。こういう時にフラッタがいると、後押し半端ないねっ。


「うん。信じる……。ぼくのこと、全部貰ってくれるって信じてる……! どうしても言えなくて申し訳ないけど、それでも君たちならぼくを助けてくれるって、絶対に信じるよっ……!」


 リーチェを丸ごともらってやるのは決定事項だ。

 だけどまだ全部受け取ることが出来ないのなら、まずはその心だけでもいただいておくさ。


 2人がかりとはいえ、初めてリーチェに打ち倒されなかった事実になんて俺もフラッタも全く思い当たらないまま、リーチェと3人でしばらく抱きあっていた。
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