異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて2 新たに2人

118 入浴までの作業 (改)

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 慣れ親しんだ我が家に現れた見慣れない巨大な浴室に、期待と戸惑いで胸がドキドキしてくる。


「お、おおおお……。これはこれは……」


 暗くてよく見えない部分もあるけれど、もう完成してるのかなこれ?


 1部屋分は脱衣所で、もう1部屋が丸々浴室だ。

 床も壁も天井も、石材みたいな材質に変わっているなぁ。


 肝心の浴槽は、思ったより小さいかな? いや個人宅にあるものと思えば大きいか。

 イメージ的には2畳って感じ? 流石にそんなに幅はないけど。


 横長のお風呂は足を伸ばしても余裕があるし、5人全員で入っても、多少狭く感じる程度かなぁ?

 密着する分には嬉しさしか無いので、何も問題ないですね。


「これが浴室ですか。今晩から使用されるんですか?」


 ニーナがきょろきょろと周りを見ながら聞いてくる。

 使いたいっ! めちゃくちゃ使いたいんだけどぉっ……!


「いや、明日ムーリさんに聞いてからにしよっか。見た目は完成してるけど排水とか耐水とか完成してるか分からないし、使ってみてダメだったら後が大変だからね」

「そうですね。4日は早く戻ってきてしまいましたし、工事が終わっていない可能性もありますかぁ……」


 少し残念そうにしているニーナ。

 ニーナはお風呂未体験だし、思ったよりも楽しみにしててくれたのかな?


「それでは簡単に夕食を取って休みましょうか。ご主人様。今晩はどうします?」


 こここ、今晩はどうします、だとぉっ!? 聞いちゃうの!? それを俺に聞いちゃうのぉっ!?


「…………や、やめておこうかぁ。今日のところはゆっくり休もう」


 く、くっそおおおおっ! でも仕方ない、仕方ないんだぁっ!


「疲れた体でみんなと抱き合うよりも、1度寝て元気になってからの方が楽しいかなって。予定より早く帰ってきたおかげで休息日も多めに取れそうだしさ」


 このお風呂を見て、お風呂でみんなを労いたい気持ちが強くなりすぎてダメだ。

 完成してないなら諦めもつくけど、もし完成しているなら堪能したいんだよぉっ。


「それじゃ俺が水を汲んでくるから、調理はニーナとティムルでお願いね。フラッタとリーチェは装備品のチェックと、家の中の戸締りの確認。あと全員分の着替えを用意してもらえると助かるよ」


 みんなで役割分担して、さっさと用事を済ませてしまう。今回の遠征で得た報酬も話し合いたいしね。


 ちゃちゃっと大量の水を汲んでくる。

 俺とティムルの2人用に、他の人が使わない巨大な釣る瓶があったりする。滑車も使用されてないので人力だ。

 それでもスイスイ汲み上げられる行商人の重量軽減スキルは強力だ。だから余裕があれば荷運び人も上げてみたいんだけどねぇ。


 大きな水瓶に4つほど水を汲んで、家の中に運ぶ。

 調理にも使うし体を拭くのにも水を使う。遠征で汚れた服の洗濯にも、大量に水が必要なんだよねぇ。

 
 そして完成した夕食を食べながら、今後の予定を話し合う。


「24日間の予定だったけど、4日も早く帰ってこれた。短縮された日数はそのまま休息日にあててしまうつもりだけど、それでいいかな?」

「休息日が伸びる分には文句を言う人はいませんよ。お金にも余裕が出来ましたしね」


 ニーナの言葉に、うんうんと頷く他のメンバー。


「1つ野暮なことを聞くけど、リーチェ。お前、今回の分け前とか必要か? 俺達の遠征に付き合ってもらったのに、お前に何も報酬が無いってのも少し考えものだとは思うんだけど」

「ふふふ。本当に野暮なことだね。勿論要らないよ」


 半ば予想通りのリーチェの返答。

 お風呂の建設費用もポンと出そうとしたり、恐らくリーチェはお金に困ってないんだろうな。リーチェの実力ならいくらでも魔物を狩ることもできそうだし。


「ぼくにとってはみんなと一緒に居るのが1番の報酬だし、今回は少し本気で期待が持てたからね。ぼくが1番得をしたとさえ思ってるよ」


 リーチェが本気で期待してくれたなら、付き合ってもらった甲斐もあるってもんだね。


「ごめんね。一応の確認だから、気を悪くしないでくれると嬉しいよ」


 リーチェだってもう家族の1人だとは思ってるけどさ。お金の問題ってちゃんと確認しておかないと後々禍根を残したりするものだから。


「それじゃ次ね。発光魔玉が今125個ある状態なんだけどさぁ。ドロップアイテムを売却する前に、これを使って防具を作っちゃうのはどうかな?」


 最深部まで行っておいて皮防具もないだろ、流石に。

 全員にミスリル防具を用意するのは無理だとしても、可能な限り高品質な装備に更新したいよね。


「何を作るかは、全員の防具の希望を聞いてからってことになるけどね。フラッタとかプレートメイル着てたし」

「ダンの判断に任せるが、妾はプレートメイルだと嬉しいのぅ。今は少し身軽すぎての、加減が難しいのじゃ」


 防具が軽すぎて困るって、これだから竜人族は恐ろしい。


「私は逆に軽い防具……、それこそ魔絹の衣装だとありがたいですね。発光魔玉を大量に使うみたいなので、私もご主人様の判断に任せますけど」


 ティムルは回避重視だから、鎧系は避けたいわけね。


「私もあまり重くない装備の方がいいんですけど、回避するのも難しいので……。なにか良さそうな装備があれば、ご主人様の判断で用意してもらえたらと」


 ニーナは重すぎず、でも弱すぎずね。

 難しいけど何か用意してあげたいところだなぁ。


「それじゃあまずは全員分の材料が溢れてる、革装備に更新してしまおうか。あ、ティムルの魔絹の服は作れるから作っちゃおう」


 革の帽子を3つ、革の軽鎧を3つ、革の篭手を4つ、魔絹の服を1つ、革の靴を3つ作成することになった。

 魔力の問題で1度には作れないので、まずは発光魔玉20個を消費して魔絹の服と、他に革の靴3つを作成する。


 
 魔絹の服
 無し 無し 無し



 革の靴にはスキル枠は無かった。


「あとはアクセサリーかな。宝飾職人も上がったからアクセサリーが作れるんだけど、何かこれが欲しいなぁとかある?」


 ふるふると首を振るニーナとティムル。ですよねぇ。


「フラッタとリーチェは何かオススメとかあるかな? アクセサリーならこれを着けておけ、みたいな」

「ふむぅ。鉄板と言えば攻撃力が上がる力の腕輪、体力が回復する癒しのネックレスなどがいいかもしれぬが、2人はどちらかと言うと後衛じゃからのぅ」

「そういう意味では幸運のお守りとされるラビットシンボルとか、魔法攻撃を防ぐ魔除けのネックレスなんかもいいかもね。あ、あと精神耐性を上げるアクセサリーなんかも有用だよ。精神攻撃って結構面倒だから」


 精神耐性と聞いて、ルーナ家の異変を思い出す。

 精神攻撃は耐性を持ってないと、攻撃されてることに気付く事さえ出来ないんじゃないだろうか。


 精神耐性を上げるアクセサリーは……、静穏の首飾りね。なんでネックレスと首飾りって統一されてないんだよぉ。


「うん。じゃあ俺は精神耐性を上げることにするよ。一応パーティリーダーを務めさせてもらってる身だしね。2人は希望が無ければ、魔除けか癒しのネックレスになるかな」

「私は弓もあるし前線に出なくても戦えるので……。魔除けの方が良いかもです」

「逆に私はダガーを持って最前線で戦いますから、癒しのほうが有用だと思います」


 俺が静穏、ニーナが魔除け、ティムルが癒しね。

 これも休息日の間に作ってしまおう。


「それじゃ明日は装備品のメンテナンス。買出し。あとは服を買いにも行こうね。ドロップアイテムの売却は、装備品の材料を売らないようにだけ気をつけよう」


 みんなが頷きを返してくれる。

 明日のうちに主だった用事を済ませてしまって、あとはゆっくり休養しようね。


「今回は休息日が……、9日くらいになるのかな? なら買出しはもう1度行くことになりそうだね。魔玉は今回は手を付けないようにしよう。マグエルでの生活費や遠征の準備費用も、流石にドロップアイテムの売却で賄えるでしょ」


 前回でもドロップアイテムの売却額は10万くらいだったはずだし、今回は30万リーフくらいいっても驚かないね。

 10日分の食費や遠征の準備は5万リーフもあれば過剰なくらいだろうし、魔玉を売らなくても余裕のはずだ。


「今日はゆっくり寝て、明日用事を済ませたら、そのあとはもうずーっと一緒にいようね。出来ればお風呂にも入りたいんだけどなぁ。完成してたら良いんだけど……」


 5人一緒にお風呂とか、正気が保てる気がしないなぁっ。

 おっとぉ、好色家先生をセットしておかないとっ。


 寝る前に革の篭手を4つ作って、20日振りの自宅のベッドで、5人くっついて眠りに付いた。




 次の日。まずは朝イチで革の軽鎧を3つ作ってしまう。

 家でのリラックスしたおはようのちゅーを堪能して、まずは1番大事な事を朝訪ねてきたムーリさんに確認する。


「ええ、工事は3日前に終わってますよ。もう使えるはずです。使用してから何か問題が起こったら遠慮なく声をかけてくれ、と言ってました」


 っしゃあああああああっ! 大工さんたち、あっりがとおおおおおっ!

 なんでも金払いが良い客と見做された様で、大工さんたちも張り切って工事してくれたらしい。ありがてぇありがてぇ……!


 遠征物資の余りを朝食で消費して、出かける前に革の帽子3つと、癒し、魔除け、静穏の首飾りを作成する。

 アクセサリー製作は少し魔力消費が重い気がするな?


 ちなみにそれぞれのアクセサリー製作で発光魔玉を15個ずつ消費した。たっけぇよぉ。

 それでも発光魔玉はあと60個あるけどさぁ。



 癒しのネックレス
 体力自動回復 無し 無し


 魔除けのネックレス
 魔法耐性 無し 無し
 

 静穏の首飾り
 精神異常耐性 無し 無し



 静穏の首飾りの効果は中耐性か。過信は禁物だな。

 全員の装備を更新し終えたので、鑑定結果がこんな感じになった。



 ダン
 男 25歳 人間族 好色家LV20 付与術士LV18
 装備 鋼鉄のロングソード 魚鱗の盾 革の帽子 革の軽鎧 
    革の篭手 革の靴 静穏の首飾り


 ニーナ
 女 16歳 獣人族 紳商LV18
 装備 ブルーメタルダガー 魚鱗の盾 革の帽子 革の軽鎧
    革の篭手 革の靴 魔除けのネックレス
 状態異常 呪い(移動阻害)


 ティムル
 女 32歳 ドワーフ族 熱視解放 武器職人LV32
 装備 鋼鉄のダガー 鋼鉄のダガー 魔絹のターバン 魔絹の服
    革の篭手 革の靴 癒しのネックレス


 フラッタ・ム・ソクトルーナ
 女 13歳 竜人族 竜化解放 紳商LV14
 装備 聖銀のバスタードソード 革の帽子 革の軽鎧 革の篭手
    飛竜の靴 竜珠の護り



 もう好色家を隠さなくっていいんだっ!

 ティムルはアッチンで見た装備の水準に大分戻ってきたなぁ。感無量だよ。


 次回の遠征でミスリル武器は全員に行き渡ると思うし、マグエルを発つ準備は着々と整いつつあると言っていいだろう。


 5人で家を出て、まずは武器と防具のメンテナンスに足を運ぶ。

 フラッタの聖銀のバスタードソードは武器屋でもかなり注目を浴びてたっぽい。やっぱ高級品は違うんだなぁ。


 防具は皮製品の方をメンテに出す。革製品の方は新品だからね。

 もう皮の防具は使うこともないと思うんだけど、装備品は高額なので簡単に手放すのが怖いんだよなぁ。俺ってゲームでも装備を売れない人だったよぉ。


 今回の遠征で得たドロップアイテムの売却額は、なんと34万リーフにも到達した。

 しかも装備品の材料はキープしつつこの報酬なんだから凄いよ。


 レアドロップ品が多かったのもあるけど、何より量が半端じゃない。

 8㎥のインベントリを5人全員が持ってるパーティとか、他にあるんだろうか?

 俺に至ってはそのサイズのインベントリ、2つ持ってるわけだし。


 冒険者ギルドで売却を済ませたら、今度は服屋さんで全員の衣装を上下1着ずつ購入する。

 お金も出来たので、前回より1ランクだけ品質が良い物を購入した。


 あと質の良いタオル類を大人買いしてしまった。

 用途は言うまでもなく、お風呂で使うんだよぉっ!


 そして市場に行き、行商人2人で大量の食料を買い込むことになった。

 だけどこれでも恐らく、休暇中にもう1度買出しする必要があるんだろうなぁ。

 お金にも余裕が出来たし、なに1つ文句は無いけどね。みんな美味しそうに食べてくれるしさ。


 買い物を済ませたら、家に戻って諸々の準備を始める。

 ニーナとティムルに夕食を任せ、俺はお風呂周りに専念する。排水の確認。問題なし。

 よし、それじゃさっさと水を汲んでしまおう。


 大きな水瓶で何度も水を運び、浴槽に水を満たす。

 水運びの回数こそ面倒臭いけれど、重量軽減のおかげで大変ではないな。自宅に井戸があって本当に良かった。


 そして最後に魔法でお湯を沸かす練習だ。


 お風呂を沸かす為に使用する魔法はフレイムランスである。

 フレイムサークルは魔物がいないと発動出来ないし、フレイムフィールドは魔物以外に影響を及ぼせないからね。


 以前木切れを燃やした事があるように、フレイムランスは魔物以外にも影響を及ぼせる魔法なのだ。だけどやっぱり対人戦には効果が無い。不思議だ。


 早速フレイムランスを発動する。けどこれを発射しないでキープする。これこそが魔法の応用的な使い方だ。

 フレイムランスは発射せずキープできるし、発射せずにキャンセルする事も出来るのだ。


 手の平にキープしたフレイムランスを水につける。

 勿論消えそうになるけれど、魔力を注ぎ続けて炎を維持する。


 な、なかなかに魔力使うなぁこれっ……!

 だが風呂の為だ! 魔力枯渇がナンボのもんじゃぁっ!


 幸いフレイムランスの温度が高かったのか、魔力枯渇になる前にそこそこの温度にすることが出来た。

 実際に入る時にはもう1度暖めなおす必要があるかな? もう11月で、かなり冷えてきてるし。


 お風呂の準備ができたので、食堂に戻ってみんなと一緒に食事する。


「どうやらお風呂の方は問題なく使用できそうだよ。夕食を食べたら一緒に入ろうね」

「おーっ。とうとうお風呂を体験できるんだねっ。楽しみだよぅ」


 ふふふ、ニーナ。俺もものすごーく楽しみだよっ。


「ふふふ。エッチな意味でも楽しみねぇダン。すっごく気持ちよくしてあげるからねぇ?」


 ティムルエロ教官殿。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いしますっ!


「ふははははっ。みんなでお風呂に入るのは楽しみなのじゃっ! 1人で入るのは味気ないからのぅ」


 ははは。もう2度とフラッタを1人でなんか入浴させないぞぉっ!


「夏にこの家に来て、もう間もなく冬になるところだね。お風呂まで、長かったぁっ……!」


 長く息を吐くリーチェに心から同意する。

 本当ソレな! ほんっと長かったわぁ~!


「多分お風呂に入ったら俺も止まれないと思うからさ。俺がまた無理してそうだったら止めて欲しい」


 リボルバーの時に心配を掛けてしまった事を反省して、今回は予めみんなにブレーキ役をお願いしておく。


「それとリーチェも気をつけてな。俺もなんとか気をつけるつもりではあるんだけど……、ごめん、自信無いわ」

「ぼ、ぼくもちょっと自信ないよぅ……。ダ、ダンが気をつけて欲しいなぁ……?」


 上目遣いでこっちの様子を窺わないでくれますぅ? その仕草が余計に我慢出来なくなるんですけどぉ?

 ま、みんなもいるから大丈夫だとは思うんだけどさぁ。


 夕食を済ませ、片付けを済ませたら、新設された浴室に全員で移動する。

 さぁ、お楽しみの始まりだぜぇっ! 
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