異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて2 新たに2人

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 こいつらの細い体の何処に食材が消えているのか。それが夕食を終えたときの率直な感想だ。

 ニーナとティムルに夕食を振舞うのはいいんだよ。労いの意味も込めてるし、食べる量も常識の範囲だし?


 だけど1番体が小さいフラッタが1番食べるのは納得いかないよぉ。竜人族だからなの? いやフラッタだからな気がする。フラッタだからに違いない。

 リーチェはエルフなのに初対面から食いしん坊キャラ全開だもんね。食事のためにうちに押しかけてきたくらいだしさぁ。


 大量に買い込んだ食材は流石に足りそうだけど……、それでも1週間分の食料は普通に食べ尽くされそうなんですけどぉ。
 ダメだな。ティムルにホットサンドメーカーの追加注文をお願いしておこう。毎回この調子じゃ流石に回しきれないよ。


 我が家の食材を食い尽くした腹ペコエルフが、満足げに膨れたお腹を擦っている。


「ふぅ。美味しかったよ。これが毎日食べられるなら確かにダンのお嫁さんは魅力的な話だね」

「別にそんな料理上手いわけじゃないはずなんだけどねぇ? 嫁に来るのは歓迎だけど」


 俺を拒絶する意志は無いけれど、受け入れる気も全く無い。リーチェの態度はそんな感じの距離感だねぇ。

 ま、今は仕方ないかぁ。


 さ、夕食も済んだしそろそろ話を聞かせてもらおうか。俺の女の話をねっ。


「そんで? 俺たちにも聞かせたい話っての、そろそろ始めてもらえるかな? 最初に言っておくけど、役に立つとは思わないでくれよ?」

「……君ねぇ? 今まで僕の前で君が何をしてきたと思ってるのさ、まったく。まぁいい。それじゃ聞いてくれるかい」


 まずはリーチェから、最近の調査の結果を教えてくれる。


 シルヴァの足取りではなく、ネプトゥコの街に注目して調査した結果、ネプトゥコを代々治めているカザラフト家とやらの関与を窺わせる証拠がざくざくと見つかってしまって、とても困惑しているらしい。

 ネプトゥコの領主の関与自体はフラッタから既に聞いてあったからな。関与している事が分かってるなら調査も捗るのか。


「君の話を聞くまでは、証拠を依頼人に報告して終わり、で疑問を持たずに済んだと思うんだけどね……」


 1度ウンザリした様子で言葉を切るリーチェ。

 いやぁ無理矢理聞き出したのはそっちじゃん? そこを俺のせいにされましてもねぇ?


「ダンの話を聞いた後だと、ネプトゥコの領主の関与の証拠ばかりが集まりすぎているように感じるよ。まるで見つけやすいように用意してくれたみたいでさ」


 あんまり俺の話を真に受けられても困るんだけどなぁ。

 ネプトゥコの領主は吊るし上げるにはちょうど良さそうではあるもんねぇ。適度に大物で、かと言って国政には関わっていないっぽいし。

 知らんけど?


「色々と調べて回ってるんだけどね。ネプトゥコのカザラフト家の関与以外のものは、一切見つからないんだよ。飼育されていた竜人族の痕跡、マルドック商会の動きや街での役割とか、本来無いとおかしいものも出てこない」


 秘密裏にとはいえ大規模に竜人を飼育、販売なんてしていた以上、痕跡が無いなんてありえない。かなり丁寧に隠蔽されたっぽいなぁ。


「ダンの話を聞いてなければ違和感を覚えなかったんだけどね。これって完全にカザラフト家に注意を集めて、他の何かから目を逸らせようとする動き、だよね?」


 俺に確認するように視線を送ってくるリーチェ。


 だろうな、なんて言わないぞ。

 えぇいっ、上目遣いでこっちを窺ってもダメだってばっ。


「それに関連して、ここからは妾の話に移るのじゃ」


 リーチェの説明を引き継いで、1番大量に食べたくせに1番ケロッとしているフラッタが語り出した。


「妾は調べごとが苦手なゆえ、調査が難航しているというのは先に述べた通りじゃ。なので兄上の過去の調査はあまり進んでおらぬ」


 きっぱりと、苦手だから仕事が進んでません! って言えるのも凄いな。

 もう文句もつけられないよね。ここまで言い切られちゃうと。


「じゃがのう。妾も苦手なりに知恵を絞って考えてみたのじゃ。ダンの言っていたこと、今回の事件の全容、色々なことをな」


 話し続けるフラッタの声が微かに震え始める。

 フラッタってフラッタだけど、馬鹿じゃないからなぁ。むしろ本質を見抜くのは誰よりも得意な印象がある。思い至っちゃったかなぁ。


「長年続いていた、少なくとも15年以上は確実に続いていた、竜人族の違法人身売買。その協力者が兄上だけというのは計算が合わぬ。今回の件に竜人族の協力者がいたとすれば、それは兄上だけのはずがないのじゃ……」


 消え入りそうな声で、兄以外の竜人族の関与の可能性に言及するフラッタ。


 ……そうなんだよねぇ。

 フラッタが何歳なのかは知らないけど、フラッタのお兄さんだってまだ若いはずだ。違法奴隷だから15歳を待たずに販売されていた可能性はあるから、100%15年以上飼育が続いていたとは言い切れないけど。

 普通に考えればシルヴァだけが協力者だっていうのは、ちょっとありえないと思う。


「なのに兄上が全ての罪を被って逃走を続けているということは、恐らく竜爵家よりも更に上の協力者が、兄上に全てをなすりつけようとしているのであろう?」


 あろう? って俺に確認されても困るんだけどなぁ、

 罪を被って。なすりつけ。この言い分から、フラッタはまだお兄さんのことを信じているみたいだ。


 う~んフラッタには悪いけど、聞けば聞くほど関わりたくない、どう考えても俺の手には余る話だよぉ。そしてこの2人にも関わってほしくない案件だよぉ。


「つまりお前たちが元々追っていた相手の背後に、更に強大な存在の気配を感じたってわけだろ? そこまではいい。んでお前らはそれを俺に聞かせて、俺に何を聞きたいって言うんだ?」


 雑魚で申し訳ないけど、俺が力になれるとは思えないんだけど。

 でも恐らくこの2人は、俺が力になれないことを分かった上でこの話をしてると思うんだよな。


「うん。僕は少しどうするか迷っちゃってるんだよね。これ以上踏み込むのは危険だと僕も思う。でもここで調査を終わらせていいのか、それが正しいことなのか良くわからなくて」

「妾は踏み込みたいのじゃがなぁ。それには力が足りぬと思っておるのじゃ。この事件の真相を暴くと、下手すると竜人族の社会全体が大きく変わりそうでのう。その責任も取れぬ妾に手を出して良いものなのかとな」


 う~ん。俺が下手に黒幕の存在を匂わせてしまった事で、2人に迷いを生んじゃったわけかぁ。

 でも本人も危険だと感じているなら、2人にはこれ以上踏み込んで欲しくないなぁ。


「俺の希望を述べるなら、リーチェは領主の関与だけを報告して終了。フラッタはシルヴァの捜索以外のことは忘れて欲しいとこなんだけど。そういうわけにはいかないのかな?」

「僕は……、ちょっと後味が良くないけど、それで手を引いても良いと思ってる。ちょっと今回の件は、僕の独断で暴くのは影響が大きすぎる気がしてね。これ以上関わりたくないかな」

「妾は、妾は出来れば全貌を明らかにしたいと思うのじゃ。でも妾にはそれが出来る力がないのじゃ」


 リーチェが手を引いてくれるのは素直にありがたい。

 影響。闇を暴く事でどこまで影響が出るか分からない。下手をすると国全体が大きく揺れることになるかもしれない。
 だから手を引く。踏み込まない。自分の身を守るために。


 それに反してフラッタは、自分の身の危険ではなく力不足を理由に踏み込むのを躊躇っているようだ。自分の安全性を度外視している姿勢に少し危うさを感じる。


「……フラッタはなんでそこまでこの件を暴きたがってるんだ? シルヴァに会うだけじゃダメなのか?」

「……だって、こんなことは間違っておるのじゃ。闇は暴かれ、悪は裁かれるべきじゃろう? 妾はこの事件の闇を暴く事が正しい行いじゃと、信じておるのじゃよ」


 まるで懇願するように真っ赤な瞳を俺に向けてくるフラッタ。


 正しい行いを貫きたいか。何処までも真っ直ぐだなコイツは。

 出来れば手を引いて欲しいけど、でもこんな真っ直ぐなフラッタだから俺も好きになったんだ。


 でもこのままだと間違いなくフラッタが危ない。ルーナ竜爵家の過去を探るのすらやばいかもしれないのに。


「なぁフラッタ。真相を暴くのをもうちょっと待ってもらうことは出来ないかな?」

「ダン……?」


 ……となると、やっぱこれしかないよなぁ。これが惚れた弱みって奴かぁ。

 首を傾げるフラッタを正面から見つめて、覚悟を決めて提案する。


「俺がもっと強くなって、フラッタと一緒に真相を暴く手伝いをするよ。だから俺が強くなるまで、待っててはもらえないかなぁ?」


 巨悪になんて挑みたくないんだけど、フラッタを止めることは出来ない。でもフラッタを止めないと危険だ。

 じゃあどうするか。どうも出来ない。彼女を守ってあげたくても、無力な今の俺にはなにもして上げられない。


 ……だから、せめての先延ばしだ。時間を稼いで牙を研ぐしかないだろう。


「……おぬし、貴族令嬢に手を出して貴族を敵に回すなどごめんだ、などと抜かしておってなかったかのぅ? 竜爵家程度ではない存在と敵対することになるやもしれぬぞ? それでも良いのか?」


 俺の言葉に一瞬思い切り嬉しそうな表情を浮かべたフラッタは、だけど直ぐに表情を引き締めて俺に警告してくる。

 くっそ、その反応可愛すぎるんだよぉ……! これだからフラッタはぁ……!


「いいよ。フラッタを危険に晒すよりはずっといい。フラッタを危険な場所に送り出すくらいなら、フラッタと一緒に危険に踏み込んでやるさ」


 ……おいフラッタ。真面目な顔しながらも口元がニヤけてんぞ。可愛いなぁコイツ。


「出来ればフラッタを独りにしておきたくないな。フラッタさえ良ければお前もここに同居して欲しいんだけどどうかな? 嫁になるのは後でいいからさ」


 ルーナ竜爵家自体も味方かどうか俺には判断できない。

 シルヴァに全ての罪を被せて、過去にも協力関係にあったルーナ竜爵家に捜査が及ぶ前に、お取り潰しにして闇に葬る気なのかも、なんて考え出したらキリがない。

 ここに居るメンバーだけは絶対に信用できる。だからフラッタにはここにいて欲しい。


「ふむっ。この家に住むのは吝かではないのじゃっ」


 俺の提案を思ったよりも素直に受け入れてくれるフラッタ。だから嬉しそうな顔するなよぉこいつ可愛すぎるよぉ。


「というか年明けに恐らくルーナ竜爵家は取り潰しになるのじゃ。その後には行くアテがなくての。実は妾からお願いするつもりだったのじゃ」

「行くアテが無い? 他の家族とかどうなってんだ?」

「両親や家の者は奴隷となって他の竜人族の家に引き取られるであろうな。だが妾はまだ13で奴隷にはなれぬからの。個人で魔物狩りでもして生きていくしかないところじゃったのじゃ」


 え、13? フラッタってまだ13歳だったの? 見た目は13歳でも全然納得いくけど。

 ……えっ、俺13歳のおっぱいを、あんなに好き勝手に弄んじゃったの?


 そ、そう考えると流石に罪悪感が……。


「正直、ダンの言っている事も分かるのじゃ。最近の我が家は何かがおかしい。違和感を覚えることが多いのじゃ」


 不安そうに語るフラッタ。家の様子がおかしい? でもなにがおかしいのか分からない? どういうことだ?


「明日1度荷物を取りに戻るから、早速明日からずっとこの家に住むのじゃ」

「行動早いなっ!? 流れるように引越しの話に持ってったけど、お前こっちが本題だったんじゃないだろうなっ!? 仮にそうだったとしても歓迎するけどさっ」


 なんだか安心した様子のフラッタに追求することも出来ない。


 俺、誘導された? 手玉に取られちゃった? おのれフラッタ。


「なんだか分からないけど、フラッタのほうも解決したみたいだね?」


 ちょっとびっくりした様子のリーチェ。

 うん。俺もなにがなんだか分からないうちにフラッタの引越しが決まってたよ。


「僕も今回はとりあえずカザラフト家の関与の証拠を提出して終わりにするよ。もし真相を暴きたくなったら、フラッタとダンが協力してくれるみたいだし、でしょ?」


 凄くいい笑顔でウィンクを飛ばしてくるリーチェ。

 あれ? 俺ってもしかして嵌められた? リーチェとフラッタに誘導されちゃってない?


 そんな俺の様子を見たニーナとティムルが、ふむふむと頷きながら相談している。


「思ったよりフラッタの同居は早かったですね。年内はないかと思っておりましたが。13歳のフラッタを奴隷には出来ませんし、当分客人待遇となりますかね? リーチェと一緒で」

「そうですね。フラッタちゃんもご主人様のお嫁さんになるつもりでしたら、家族待遇でも良いと思いますけど。あまり事を急ぎすぎるとかえって上手くいかなくなりますし」


 うん。俺としては早くお嫁さんにしてまたあのおっぱいを好きなだけ玩具にしたいところだけど、弱みに付け込むようなことはしたくないからね。まずは客人待遇から始めようか。


「あ、ご主人様。婚姻契約は12歳から結べますからね。フラッタちゃんと結ぶことは既に可能ですよ」


 ほう! ティムルは何時だって、俺の背中を後押ししてくれるねっ!

 フラッタと俺の間には既に何の障害もないということか。


「まぁ嫁云々はまだ考えなくて良いよ。フラッタはまず身の安全だけ考えて欲しい」

「この家に住むのが貞操の危機、なんてことにならねばいいのじゃがのぅ?」


 冗談っぽく笑いながらからかってくるフラッタ。

 それはお前次第だフラッタ。流石にお前の意志を蔑ろにする気はないよ。


「ダン。ニーナ。ティムル、リーチェ。済まぬが明日から世話になるのじゃ。よろしく頼むのじゃ」


 ぺこりと頭を下げるフラッタ。


 う~ん。なんか、なんていうか、フラッタの同居がスムーズすぎて違和感があるなぁ?

 うちに来ること自体は歓迎だけど、今はまだ9月。年末まではまだ時間がある。なのになんか一刻も早く家を離れようとしてない?


 顔を上げてにっこり笑ったフラッタの顔を見たら、全部どうでも良くなっちゃったけどさぁ。
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