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2章 強さを求めて1 3人の日々
071 波状攻撃 (改)
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さて、勢いだけで2人にプロポーズみたいな事をしてしまったけどどうしよう? みたいっていうか完全にプロポーズでしたよね?
どうしようって、別にプロポーズしたことは後悔してない。
でもプロポーズしたことによって元々ポンコツだったフラッタが完全に故障してしまって、流石にこの状態で帰らせるのは気になるし、という意味でのどうしようだ。
ニーナの腕の中のフラッタ(大破)は動かせそうもないし、俺の腕の中ではリーチェが泣いてるし、なにこの修羅場?
原因は俺だって? そんな馬鹿なっ。
「んー、流石にフラッタをこれから帰す訳にはいかないよね? でも今のフラッタが俺と一緒に寝るのも不味いよね? どうしよっか」
「勢いだけで行動するからこういうことになるんですーっ」
ニーナの指摘にはぐうの音も出ない。まっことその通りでございますな。
「帰せないだけじゃなくて、この状態じゃ1人で寝かせるのも難しいですよぅ。ご主人様。明日の出発は諦めた方が良いのでは?」
フラッタ(故障)を抱きしめながら頭をナデナデしたり、ほっぺに頬ずりしたりしながらニーナが進言してくる。
ニーナ、今ちょっと真面目な話してるんだけど?
「まったく、ご主人様は女泣かせなんですからぁ……」
困ったような口調の割にはニッコニコのティムル。
なんかティムル、ずっとニッコニコのご機嫌状態なんだけど、なにがそんなに嬉しいんだろ?
「フラッタちゃんもですけど、リーチェも1人で寝かせられませんよ? やっぱりご主人様が1人別室にいくしかないんじゃないですか?」
「……僕とフラッタが一緒に地下で寝るよ。これ以上みんなの邪魔をする気はないさ」
腕の中から声がする。
視線を下げて確認すると、どうやら泣き止んだリーチェが、まだ潤んだままの瞳で上目遣いに俺を見ていた。
……うん、ダメだ。やっぱ他の誰にも渡せないな。
でもとりあえず今は、名残惜しいけど解放してやるよリーチェ。
「流石に僕もこの流れじゃ人恋しくなりそうだからね。ダンに求婚された女同士、仲良くするよ」
「……そっか。それじゃ頼むよ。正直ありがたい」
するりと俺の腕から逃げていくリーチェを逃がしたくない、そんな気持ちを必死に押し殺して、離れていってしまうリーチェを見送る。
「今日のところはこれで引くけど、俺はフラッタもリーチェも諦める気はないからな? 忘れないでほしい」
「ふふ。君は人の話を聞く気が無いのかな? でもありがとうダン。フラッタのことは任せて欲しい」
俺の宣言に柔らかく微笑むリーチェ。その笑顔のあまりの美しさに引き込まれてしまう。
俺がリーチェの笑顔に見蕩れている間に、ニーナにされるがままだったフラッタを引き取って、リーチェは地下に消えていった。
「うん。リーチェには申し訳ないですけど助かりました。さぁ早く寝室に行きますよご主人様」
「たったひと晩しかないんですから時間は無駄に出来ません。ほら行きますよっ」
去っていった2人に想いを馳せる暇も無く、奴隷2人にグイグイと腕を引っ張られる。
やる気満々のニーナとティムルに両腕を抱えられて、強制的に寝室に引っ張り込まれてしまった。
しかしそこは俺のファインプレー。職業だけは好色家にセットできたぜっ。
寝室で裸の語らいが始まった。
帰還後2日間もお預けを喰らったこと、2日連続で自分達以外の女がこのベッドで乱れたこともあって、焦らされまくったニーナとティムルの怒涛の勢いに、好色家LV2では全く太刀打ちできなかった。
ニーナは己の全てを捧げるかのような必死さで、逆にティムルは冷静に今まであまり披露してこなかった様々な技術を駆使して俺を責め立ててきた。
いつも以上の苛烈さを極める戦いだけど、勿論俺は全力で応戦するのみだぁっ。
ニーナとティムルの様子がいつもと少し違うのは、やっぱり2人ともそれなりにストレスが溜まっていたのかもしれない。
そしてストレスが溜まるとティムルはちょっとSっ気が増すんですね? これは良い事を教えていただきました。
いや俺別にMっ気無いと思うけどね? でも2人の色んな顔が見れるのが新鮮なんだよ。
スタートダッシュで2回戦ずつ死闘を繰り広げて、一旦休憩を挟む。
フラッタがいなかったらこれで終了してた可能性もあるけど、今宵の我等は血に飢えておるわ。血っていうか乳に? なんにしても3回戦は確定らしい。
「ニーナとティムルがいるのに、フラッタとリーチェまでもらおうなんて言ってごめんね。でももうあの2人を誰かに渡すのが我慢できそうもなくってさ」
抱きしめた2人に今更ながら謝罪する。
だけどニーナは困ったように微笑みながら軽く首を振ってくれた。
「んー、仕方ないよ、ダンだもの。正直あの2人に初めて会ったときから、こうなりそうだなぁって思ってたし?」
「だよねーっ? 流石はダンだわ。俺のと決めたら一切躊躇せずにいきなり俺の女になれ、だもんねーっ」
2人が怒ってる感じはしない。それはありがたいんだけど、それにしてもティムルはなんでこんなにニッコニコなんだ?
「なんかフラッタとリーチェの話になってから、ティムルすっごいご機嫌じゃない? 何がそんなに楽しいわけ?」
「あは。顔に出ちゃってた? いやぁ面白くって、ダンがあの2人を弄ぶ姿」
おい、性格悪すぎだろ。朝の女神はどこ行った。
「男ってさぁ。女を抱く時に欲情するものでしょ? その欲情ってさ、征服欲だったり支配欲だったり、女を思い通りにしたい、女をめちゃくちゃにしたいって、少なからず悪意が混じるものなのよねぇ」
んー、そりゃそうだろうなぁ。
欲望が全て悪意ってわけじゃないんだろうけど、悪意と表裏一体なところはあると思う。
俺自身、ニーナとティムルのことは毎回めちゃくちゃにしたいと思ってるし?
「でも笑っちゃったわダン。貴方、あの2人のおっぱい好きにしてる時、悪意の欠片もなかったんですもの。ただおっぱいを触りたいからおっぱいを触ってた。貴方どれだけ純粋な気持ちでおっぱい触るのを楽しんでたのよ?」
は? おっぱいに触れるのに善意も悪意もないだろ。
そこにあるのはおっぱいに対する深い敬意と愛情、そして感謝の念だけだ。
ありがとう、ありがとうと感謝しながら引っ張ってたに決まってるだろ。
「あの2人にプロポーズしてた時ね。やっぱりダンは素敵だなって思ったわ。ああ、この人が私の所有者で婚約者なんだなって、凄く嬉しかったのよ」
「ええ……? 他の女に手を出すところを見て感動したってことぉ? それってなんで嬉しいのさ」
「はぁ~? なんでダンって自分のことだけ鈍感なワケ? 貴方のどこが女に手を出してるって言うのよ? あ、おっぱいの件は手を出してるって言えるわね」
舌の根も乾かぬうちから前言撤回すんなよっ。まさに手を出した形でしたけどぉっ!
「ティムル。ダンは本気で分かってないの。私達がどれだけダンに感謝していても、ダンだけがそれを信じ切れないんだよ。だからね、ダンにはちゃんと言葉で伝えてあげないとダメなの」
黙っていられないといわんばかりにニーナが口を挟んできた。
俺が分かってないって、何を? 心当たり多すぎて逆に分からないんですけどぉ。
「ねぇダン。貴方が自分のモノにしてきた女って、私もティムルも、今回のフラッタやリーチェの時も、みんな貴方は自分から手を出したりしてないじゃない。私達が伸ばした手を、貴方は受け入れてくれたの。手を出すことと受け入れることは違う。全然違うの」
「え、え~……? 流石にそれは俺の事を美化しすぎじゃないかなぁ? ニーナの時もティムルの時も今回の件も、俺からみんなにプロポーズした記憶しかないんだけど?」
ニーナもティムルも、フラッタもリーチェも、俺に助けを求めてきたわけじゃない。
ただ俺が、みんなを欲しいと思って、みんなと生きたいと思って、だから捕まえたんだ。
「うん。私達の伸ばしていた手は目には見えなかったの。だから誰にも気付いてもらえなかった。だけどダンは、ダンだけはその伸ばした見えない手に気付いて、強く握ってくれたの。ダンが好きになったと思っている女は、ダンに助けを求めた女しかいないんだよ?」
いや? 単純にみんな美人だから好きになっただけでしょ。
ニーナが美人じゃなかったら、俺多分放置してたよ?
「ダンは私たちを見捨てられなかったのを、自分が好きになったからって勘違いしてるの。だからフラッタの話を聞いて、きっとダンはフラッタが伸ばした手も掴んであげるんだろうなって思ってた。私も気付かなかったリーチェが伸ばした手にも気付いて、やっぱり掴んじゃったの」
え、ええ……? 俺が掴んだの、2人の手じゃなくておっぱいだったよ?
「だからダンがあの2人に俺の女になれって言った時、やっぱりなぁって思っちゃった。これが私の愛する人なんだなぁって」
言い終わるとニーナは俺に唇を重ね、舌を絡めてくる。
「……不思議ねぇ。どうして貴方だけが、貴方を信じてあげられないのかしら……」
俺とニーナが互いの口を塞いでいる為、口の空いているティムルが俺の頭を撫でながら小さく呟く。
「貴方ほど誠実な男を私は知らないわ。だけど貴方ほど自分を嫌いな人も私は知らない。誰よりも優しいのに、信じられないほど人の悪意を深く理解している。本当に不思議な人ね……」
言葉を終えると同時にニーナとキスを交替し、俺の口の中に舌を入れてくるティムル。
俺が口を開こうとするたび、ニーナとティムルが交互にキスをして反論を封じてくる。
こ、これはズルくないっすかねえ……?
なにがズルいって、反論する気が溶かされるぅ。
「きっとあの2人に留まらず、もっとお嫁さんが増えちゃうと思う。だから今のうちは、私たちだけでいっぱいいっぱい愛してあげるからね、ダン」
「ふふ、そうねぇ。このベッドじゃ5人で寝るのも狭かったし、もっと大きいベッドを用意しましょっか。ニーナちゃん、何人くらい乗れれば良いと思う?」
「ぷはぁっ! ちょ、2人ともムグゥ!」
「そうだなぁ。ぶっちゃけ、あの2人の他にムーリさんも怪しいんだよねぇ。ダンが考えてることなんてお見通しなんだからね? きっと来年にはムーリさんもここにいると思うの。ちゅうう」
俺の考えてることってなにっ!?
来年になったらムーリさんのあのおっぱいが俺のモノになってんの!?
「となると、私たち3人に新たに3人が加わって、6人は同時に寝れないといけないわねぇ。でもそれで終わりってワケじゃないんでしょ? やっぱり10人くらい乗れる大きいベッドを特注したほうがいいかしら? ちゅうう」
「うん。とりあえず10人くらい乗れれば当面は充分じゃないかな? ああもう、大きなお屋敷を借りられて良かったよぅ。なんだか最終的には、客室もみんなお嫁さんで埋まっちゃいそうだね? ちゅうう」
10人て! 無理でしょ!?
今だってニーナとティムルにめろめろにされてるのに、10人も恋人がいたら干からびちゃうよぉっ!
「そうね。ダンがこの世界に来て4ヶ月? 5ヶ月? 半年もしないうちにほぼ確定のお嫁さんが5人だもんねぇ。ふふ。ダン。貴方の身は1つしかないんだから、あんまりお嫁さん増やしすぎちゃダメよ? ちゅうう」
ダメだ。何も考えられない。
脳が溶かされる。いや溶かされてるのは口の中?
今までだって2人とキスを繰り返す機会なんてあったけど、世間話しながら交互にキスしてくるなんて初めてだ。
なんだこれ。2人が日常的な雰囲気で会話してくるのがめちゃくちゃ興奮する。
脳が完全に思考を放棄して、体に力も入らない。ただ2人から与えられる刺激を、黙って享受することしかできない。
と、溶けちゃうっ。このままじゃマジで溶けちゃうからぁっ。
「いっつもいっぱい甘やかしてくれてありがとう。今晩はティムルと2人でダンをすっごく甘やかしてあげるね。ちゅうう」
「今までどれだけ色んな男と肌を重ねたことよりも、貴方と重ねるキス1つのほうがずっとずっと幸せなの。貴方が自分を嫌いだって構わないわ。私達はそんな貴方が大好きよ。ちゅうう」
耳と口から絶え間なく伝えられる、ニーナとティムルの愛情に溺れてしまいそうだ。
ま、まさかこんな、こんな方法があるなんてぇっ。
3回戦? 4回戦? 望むところじゃないか、受けて立とう!
そう思っていたのに、まさかのキスの応酬だけで俺の体はボロボロだ? いやメロメロのトロトロだ?
口を離すごとに耳元で愛を囁く2人の声。その声を聞きながら口の中に感じる2人の感触。
ダ、ダメぇ。こんなの初めてっ。
ま、マジでやばいっ。し、死ぬっ。幸せすぎて死ぬぅっ。
ニーナもティムルもフラッタもリーチェも、みんな残して死ぬわけにはいかないのにぃっ。ああああっ。2人とも大好きぃぃぃっ!
どうしようって、別にプロポーズしたことは後悔してない。
でもプロポーズしたことによって元々ポンコツだったフラッタが完全に故障してしまって、流石にこの状態で帰らせるのは気になるし、という意味でのどうしようだ。
ニーナの腕の中のフラッタ(大破)は動かせそうもないし、俺の腕の中ではリーチェが泣いてるし、なにこの修羅場?
原因は俺だって? そんな馬鹿なっ。
「んー、流石にフラッタをこれから帰す訳にはいかないよね? でも今のフラッタが俺と一緒に寝るのも不味いよね? どうしよっか」
「勢いだけで行動するからこういうことになるんですーっ」
ニーナの指摘にはぐうの音も出ない。まっことその通りでございますな。
「帰せないだけじゃなくて、この状態じゃ1人で寝かせるのも難しいですよぅ。ご主人様。明日の出発は諦めた方が良いのでは?」
フラッタ(故障)を抱きしめながら頭をナデナデしたり、ほっぺに頬ずりしたりしながらニーナが進言してくる。
ニーナ、今ちょっと真面目な話してるんだけど?
「まったく、ご主人様は女泣かせなんですからぁ……」
困ったような口調の割にはニッコニコのティムル。
なんかティムル、ずっとニッコニコのご機嫌状態なんだけど、なにがそんなに嬉しいんだろ?
「フラッタちゃんもですけど、リーチェも1人で寝かせられませんよ? やっぱりご主人様が1人別室にいくしかないんじゃないですか?」
「……僕とフラッタが一緒に地下で寝るよ。これ以上みんなの邪魔をする気はないさ」
腕の中から声がする。
視線を下げて確認すると、どうやら泣き止んだリーチェが、まだ潤んだままの瞳で上目遣いに俺を見ていた。
……うん、ダメだ。やっぱ他の誰にも渡せないな。
でもとりあえず今は、名残惜しいけど解放してやるよリーチェ。
「流石に僕もこの流れじゃ人恋しくなりそうだからね。ダンに求婚された女同士、仲良くするよ」
「……そっか。それじゃ頼むよ。正直ありがたい」
するりと俺の腕から逃げていくリーチェを逃がしたくない、そんな気持ちを必死に押し殺して、離れていってしまうリーチェを見送る。
「今日のところはこれで引くけど、俺はフラッタもリーチェも諦める気はないからな? 忘れないでほしい」
「ふふ。君は人の話を聞く気が無いのかな? でもありがとうダン。フラッタのことは任せて欲しい」
俺の宣言に柔らかく微笑むリーチェ。その笑顔のあまりの美しさに引き込まれてしまう。
俺がリーチェの笑顔に見蕩れている間に、ニーナにされるがままだったフラッタを引き取って、リーチェは地下に消えていった。
「うん。リーチェには申し訳ないですけど助かりました。さぁ早く寝室に行きますよご主人様」
「たったひと晩しかないんですから時間は無駄に出来ません。ほら行きますよっ」
去っていった2人に想いを馳せる暇も無く、奴隷2人にグイグイと腕を引っ張られる。
やる気満々のニーナとティムルに両腕を抱えられて、強制的に寝室に引っ張り込まれてしまった。
しかしそこは俺のファインプレー。職業だけは好色家にセットできたぜっ。
寝室で裸の語らいが始まった。
帰還後2日間もお預けを喰らったこと、2日連続で自分達以外の女がこのベッドで乱れたこともあって、焦らされまくったニーナとティムルの怒涛の勢いに、好色家LV2では全く太刀打ちできなかった。
ニーナは己の全てを捧げるかのような必死さで、逆にティムルは冷静に今まであまり披露してこなかった様々な技術を駆使して俺を責め立ててきた。
いつも以上の苛烈さを極める戦いだけど、勿論俺は全力で応戦するのみだぁっ。
ニーナとティムルの様子がいつもと少し違うのは、やっぱり2人ともそれなりにストレスが溜まっていたのかもしれない。
そしてストレスが溜まるとティムルはちょっとSっ気が増すんですね? これは良い事を教えていただきました。
いや俺別にMっ気無いと思うけどね? でも2人の色んな顔が見れるのが新鮮なんだよ。
スタートダッシュで2回戦ずつ死闘を繰り広げて、一旦休憩を挟む。
フラッタがいなかったらこれで終了してた可能性もあるけど、今宵の我等は血に飢えておるわ。血っていうか乳に? なんにしても3回戦は確定らしい。
「ニーナとティムルがいるのに、フラッタとリーチェまでもらおうなんて言ってごめんね。でももうあの2人を誰かに渡すのが我慢できそうもなくってさ」
抱きしめた2人に今更ながら謝罪する。
だけどニーナは困ったように微笑みながら軽く首を振ってくれた。
「んー、仕方ないよ、ダンだもの。正直あの2人に初めて会ったときから、こうなりそうだなぁって思ってたし?」
「だよねーっ? 流石はダンだわ。俺のと決めたら一切躊躇せずにいきなり俺の女になれ、だもんねーっ」
2人が怒ってる感じはしない。それはありがたいんだけど、それにしてもティムルはなんでこんなにニッコニコなんだ?
「なんかフラッタとリーチェの話になってから、ティムルすっごいご機嫌じゃない? 何がそんなに楽しいわけ?」
「あは。顔に出ちゃってた? いやぁ面白くって、ダンがあの2人を弄ぶ姿」
おい、性格悪すぎだろ。朝の女神はどこ行った。
「男ってさぁ。女を抱く時に欲情するものでしょ? その欲情ってさ、征服欲だったり支配欲だったり、女を思い通りにしたい、女をめちゃくちゃにしたいって、少なからず悪意が混じるものなのよねぇ」
んー、そりゃそうだろうなぁ。
欲望が全て悪意ってわけじゃないんだろうけど、悪意と表裏一体なところはあると思う。
俺自身、ニーナとティムルのことは毎回めちゃくちゃにしたいと思ってるし?
「でも笑っちゃったわダン。貴方、あの2人のおっぱい好きにしてる時、悪意の欠片もなかったんですもの。ただおっぱいを触りたいからおっぱいを触ってた。貴方どれだけ純粋な気持ちでおっぱい触るのを楽しんでたのよ?」
は? おっぱいに触れるのに善意も悪意もないだろ。
そこにあるのはおっぱいに対する深い敬意と愛情、そして感謝の念だけだ。
ありがとう、ありがとうと感謝しながら引っ張ってたに決まってるだろ。
「あの2人にプロポーズしてた時ね。やっぱりダンは素敵だなって思ったわ。ああ、この人が私の所有者で婚約者なんだなって、凄く嬉しかったのよ」
「ええ……? 他の女に手を出すところを見て感動したってことぉ? それってなんで嬉しいのさ」
「はぁ~? なんでダンって自分のことだけ鈍感なワケ? 貴方のどこが女に手を出してるって言うのよ? あ、おっぱいの件は手を出してるって言えるわね」
舌の根も乾かぬうちから前言撤回すんなよっ。まさに手を出した形でしたけどぉっ!
「ティムル。ダンは本気で分かってないの。私達がどれだけダンに感謝していても、ダンだけがそれを信じ切れないんだよ。だからね、ダンにはちゃんと言葉で伝えてあげないとダメなの」
黙っていられないといわんばかりにニーナが口を挟んできた。
俺が分かってないって、何を? 心当たり多すぎて逆に分からないんですけどぉ。
「ねぇダン。貴方が自分のモノにしてきた女って、私もティムルも、今回のフラッタやリーチェの時も、みんな貴方は自分から手を出したりしてないじゃない。私達が伸ばした手を、貴方は受け入れてくれたの。手を出すことと受け入れることは違う。全然違うの」
「え、え~……? 流石にそれは俺の事を美化しすぎじゃないかなぁ? ニーナの時もティムルの時も今回の件も、俺からみんなにプロポーズした記憶しかないんだけど?」
ニーナもティムルも、フラッタもリーチェも、俺に助けを求めてきたわけじゃない。
ただ俺が、みんなを欲しいと思って、みんなと生きたいと思って、だから捕まえたんだ。
「うん。私達の伸ばしていた手は目には見えなかったの。だから誰にも気付いてもらえなかった。だけどダンは、ダンだけはその伸ばした見えない手に気付いて、強く握ってくれたの。ダンが好きになったと思っている女は、ダンに助けを求めた女しかいないんだよ?」
いや? 単純にみんな美人だから好きになっただけでしょ。
ニーナが美人じゃなかったら、俺多分放置してたよ?
「ダンは私たちを見捨てられなかったのを、自分が好きになったからって勘違いしてるの。だからフラッタの話を聞いて、きっとダンはフラッタが伸ばした手も掴んであげるんだろうなって思ってた。私も気付かなかったリーチェが伸ばした手にも気付いて、やっぱり掴んじゃったの」
え、ええ……? 俺が掴んだの、2人の手じゃなくておっぱいだったよ?
「だからダンがあの2人に俺の女になれって言った時、やっぱりなぁって思っちゃった。これが私の愛する人なんだなぁって」
言い終わるとニーナは俺に唇を重ね、舌を絡めてくる。
「……不思議ねぇ。どうして貴方だけが、貴方を信じてあげられないのかしら……」
俺とニーナが互いの口を塞いでいる為、口の空いているティムルが俺の頭を撫でながら小さく呟く。
「貴方ほど誠実な男を私は知らないわ。だけど貴方ほど自分を嫌いな人も私は知らない。誰よりも優しいのに、信じられないほど人の悪意を深く理解している。本当に不思議な人ね……」
言葉を終えると同時にニーナとキスを交替し、俺の口の中に舌を入れてくるティムル。
俺が口を開こうとするたび、ニーナとティムルが交互にキスをして反論を封じてくる。
こ、これはズルくないっすかねえ……?
なにがズルいって、反論する気が溶かされるぅ。
「きっとあの2人に留まらず、もっとお嫁さんが増えちゃうと思う。だから今のうちは、私たちだけでいっぱいいっぱい愛してあげるからね、ダン」
「ふふ、そうねぇ。このベッドじゃ5人で寝るのも狭かったし、もっと大きいベッドを用意しましょっか。ニーナちゃん、何人くらい乗れれば良いと思う?」
「ぷはぁっ! ちょ、2人ともムグゥ!」
「そうだなぁ。ぶっちゃけ、あの2人の他にムーリさんも怪しいんだよねぇ。ダンが考えてることなんてお見通しなんだからね? きっと来年にはムーリさんもここにいると思うの。ちゅうう」
俺の考えてることってなにっ!?
来年になったらムーリさんのあのおっぱいが俺のモノになってんの!?
「となると、私たち3人に新たに3人が加わって、6人は同時に寝れないといけないわねぇ。でもそれで終わりってワケじゃないんでしょ? やっぱり10人くらい乗れる大きいベッドを特注したほうがいいかしら? ちゅうう」
「うん。とりあえず10人くらい乗れれば当面は充分じゃないかな? ああもう、大きなお屋敷を借りられて良かったよぅ。なんだか最終的には、客室もみんなお嫁さんで埋まっちゃいそうだね? ちゅうう」
10人て! 無理でしょ!?
今だってニーナとティムルにめろめろにされてるのに、10人も恋人がいたら干からびちゃうよぉっ!
「そうね。ダンがこの世界に来て4ヶ月? 5ヶ月? 半年もしないうちにほぼ確定のお嫁さんが5人だもんねぇ。ふふ。ダン。貴方の身は1つしかないんだから、あんまりお嫁さん増やしすぎちゃダメよ? ちゅうう」
ダメだ。何も考えられない。
脳が溶かされる。いや溶かされてるのは口の中?
今までだって2人とキスを繰り返す機会なんてあったけど、世間話しながら交互にキスしてくるなんて初めてだ。
なんだこれ。2人が日常的な雰囲気で会話してくるのがめちゃくちゃ興奮する。
脳が完全に思考を放棄して、体に力も入らない。ただ2人から与えられる刺激を、黙って享受することしかできない。
と、溶けちゃうっ。このままじゃマジで溶けちゃうからぁっ。
「いっつもいっぱい甘やかしてくれてありがとう。今晩はティムルと2人でダンをすっごく甘やかしてあげるね。ちゅうう」
「今までどれだけ色んな男と肌を重ねたことよりも、貴方と重ねるキス1つのほうがずっとずっと幸せなの。貴方が自分を嫌いだって構わないわ。私達はそんな貴方が大好きよ。ちゅうう」
耳と口から絶え間なく伝えられる、ニーナとティムルの愛情に溺れてしまいそうだ。
ま、まさかこんな、こんな方法があるなんてぇっ。
3回戦? 4回戦? 望むところじゃないか、受けて立とう!
そう思っていたのに、まさかのキスの応酬だけで俺の体はボロボロだ? いやメロメロのトロトロだ?
口を離すごとに耳元で愛を囁く2人の声。その声を聞きながら口の中に感じる2人の感触。
ダ、ダメぇ。こんなの初めてっ。
ま、マジでやばいっ。し、死ぬっ。幸せすぎて死ぬぅっ。
ニーナもティムルもフラッタもリーチェも、みんな残して死ぬわけにはいかないのにぃっ。ああああっ。2人とも大好きぃぃぃっ!
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いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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