異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて1 3人の日々

070 トップクラス (改)

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「ティムルーっ! 貴方がいながらこの惨状って、いったいなにやってるのよーっ」


 寝室にニーナの怒号が谺する。


 ……というかニーナ、俺じゃなくてティムルに怒るの? 確かに今回のティムルは共犯だったけどさぁ。

 いやほんと最高かよティムル。お前は女神だ。間違いない。


 目の前には天上の美女2人のあられもない姿。
 真っ白な肌と褐色の肌は上気して、乱れた呼吸には甘さが混じる。これを成し遂げたのが俺の両手であるというその事実だけでご飯3杯はいけそうだ。

 2人とも全身汗だくのびしょ濡れで、昨日は普通に寝たはずなのに日課の洗濯をする必要がありそうだな。シーツだけじゃなく、2人が着てる衣服一式を洗わないといけないね。


 流石に俺の両手は既に抜けている。
 目を覚ましたニーナに強制的に引き抜かれ「触るならこっちにしてっ」とニーナとティムルの服の中に突っ込まれてそのままだ。

 いやほんと最高かよニーナ。お前は天使だ。間違いない。もみもみ。


 フラッタとリーチェに続いてニーナとティムルの直パイをもみもみくりくりと弄んでいると、ニーナに詰め寄られたティムルが少し思案げに言葉を返した。


「んー。なんかね、ニーナちゃんもダンも、色々溜め込んでるように思えたのよ。普段のニーナちゃんだったらダンの様子にはすぐ気付けたと思うんだけど、今回はニーナちゃんも余裕が無かったのよね?」

「そ、それはっ……! えと、だって、仕方ないじゃない……? ティムルはどうして平気なの……?」


 あら? やっぱりニーナも普段通りじゃなかったのか。普段通りに振舞ってるように見えたけど、なんだか疲れが溜まってるみたいだったもんね。もみもみくりくり。

 ……ああやっぱり2人の触り心地は安心するなぁ。もう俺の体の一部みたいだ。触れないと不安になる。


「私は今が夢みたいなものだからね。2人の生活に受け入れてもらって、これ以上ないほど幸せなのよ。だからニーナちゃんより少しだけ余裕があるの」


 にっこりと笑って俺の頭を撫でてくれるティムル。

 おいおいおい、おっぱいを揉んでる俺の頭を撫でてくれるなんて、ティムルって本当に女神じゃないの? 逆に信じられないんだけど?


「だけどニーナちゃんは今までずっとダンと2人だけの生活だったから、この2日間は自分で思ってる以上に色々我慢してたんじゃないかしら?」

「自分で、思ってる以上に……? そう、なのかな……」


 ティムルの言葉に思い当たる事があったようで、すっかり怒りの治まったニーナは逆にもじもじと縮こまってしまった。もみもみ。


 ああそっか。俺のストレスもニーナのストレスも、結局同じだったのか。

 遠征から帰ってきて、ようやく家でイチャイチャできると思ったら邪魔が入って、でもそれが自分も好きな相手だから無碍にも出来なくて。


 最後に1度引っ張ってからおっぱいから手を離して、2人の腰に手を回し軽く抱き寄せる。


「ニーナ。ティムル。いつもありがとう」


 そしてニーナとティムルの唇に、感謝の気持ちを込めた触れるくらいの軽いキス。


「俺も2人のことめちゃくちゃにしてやりたいと思って帰ってきたら、こんなことになっちゃってさぁ。腹いせにこんなことしちゃったんだよ」


 この世の楽園かと思うほど楽しかったのは否定しないけど。


 ニーナがそんなに俺に触れたいと思ってくれてるのが凄く嬉しい。

 だからニーナもその想いを否定しなくていい。我が侭だとか負担だとか、そんな風に思わなくて良いんだ。


「俺もニーナをいっぱい抱きたいと思ってる。だから抱けなくてついこんなことしちゃっただけさ」

「ダンー? そんなこ言ったって誤魔化されないからねー?」


 ジトーッとした視線を送ってくるニーナ。
 だけど直ぐに笑顔になって、俺にぎゅーっと抱きついてきてくれる。


「でも、うん。こんな状況だから仕方ないとか、抱いて欲しいって想いが負担になっちゃうとか、もし苦しくなったらちゃんと言うね。溜め込むのは無し。お互いにだよ?」

「もちろん。今溜め込んでる分は今夜にでも全部吐き出したいところだね」


 約束を交わすようにニーナと唇を交わす。少し短めのおはようのキスだ。


「ティムルもありがとう。お前のおかげで多分バランスを崩さなくて済んだんだと思う」


 ニーナとのキスを終えたら、今回物凄くお世話になった女神ティムルにも感謝を伝える。


「……難しいこと頼んで悪いけどさ、俺とニーナが危うそうだったら今回みたいに手を貸して欲しいんだ」

「それこそもちろん。こう見えてお姉さんなんですからね? 2人こそもっと私に頼っていいのよぉ?」

「ははっ、とっくに頼りにしてるっての」


 そう言ってティムルともおはようのキスを開始する。

 けど言い忘れたことがあったのを思いだして、1度彼女から口を離した。


「あと今回の件は改めてありがとう。最高でした。もうティムルが女神に見えたね」


 そして改めてティムルの口に蓋をした。


 あそこでティムルが後押ししてくれたおかげで、最後に残っていた理性が粉砕されたところがある。崖っぷちで背中を押されたような?

 あれがなかったらきっと、2人の目が覚めた時点で動きを止めてしまっていただろう。たぶん。


 え? ティムルと目が合う前に2人は起きていたって? まったく記憶にございませんね。


「な、なにを良い話風にまとめようとしてるのじゃー!」

「僕達の落ち度も認めるけどやりすぎっ! 絶対やりすぎだったからねっ!?」


 未だにベッドの上で動けない2人の魂の叫びが谺する。

 うん。今朝は最高に楽しかったよ。本当にありがとうございました。2人ともこれに懲りたらベッドは別々でお願いしますね?


 朝食を済ませた後、罰として寝具と寝巻きの洗濯を命じられる。これって罰なのかなぁ? やったことに対して刑が軽すぎない?

 びしょ濡れになったフラッタとリーチェの寝巻きを手に取る。


 ……うん。不快感しか感じないな。俺に変な趣味がなくて何よりだ。中身に触れたのに今更衣服などに興味は無いね。


 ニーナは子供たちと一緒に庭の手入れに参加するようだ。

 ティムルには明日からの遠征の準備に回ってもらって、俺はフラッタとリーチェに稽古をつけてもらうことにした。


 2人の実力は俺より遥か高みにあるだろうし、前回フラッタが来た時と違って木剣も用意してある。

 それに2人もやられっぱなしじゃやってられないだろう。俺に反撃する機会は必要だと思う。

 そこから何を学び取れるのかは俺次第ってか。


 リーチェは「流石に今日は仕事どころじゃないよぅ……」とモジモジしながら休むことに決めたみたいだ。うん。働きすぎは良くないもんな。

 休むことになった原因? 知りませんねそんなもの。


 手合わせが始まる。当然のようにボコられる。秒でボコられる。ボコボコボコボコと際限なくボコられ続ける。対人戦はHPが働かないので、普通に全身がボコボコだ。


 稽古は俺と2人くらいの実力差が無いと怪我が怖い。

 2人は俺のことなど冗談抜きで、目を瞑っていても簡単に制圧できるほどの実力者だからね。だからお互い怪我の心配もなくひたすらボコられる。ボコボコボコボコ。


 っていい加減にしろやぁっ! いくらなんでも限度があるだろこらぁっ!

 と冷静さを失いかけたときは朝の出来事を思い出す。
 するとあら不思議。どれだけボコられても2人には感謝の念しか抱けない。ボコボコボコ。

 痛い痛い痛い! でもその節はありがとうございました! ボコボコボコボコ。


 少しでも訓練の質を上げようと、好色家から職人に変更してから稽古に望んだんだけど、LV1では何も体感できなかった。
 職人の補正である身体操作性上昇-と、スキルの五感上昇-は対人戦でこそ光りそうなもんなんだけどなぁ。


 ボッコボコにされて庭に大の字に横たわる俺を、満足げに頷きながら見据えるフラッタ。


「うむ。前回会った時よりも間違いなく腕を上げておるのじゃ。魔物相手とてその技術は無駄にならぬ。この調子で励むと良いのじゃっ」


 こいつ、朝の仕返しとかもう忘れてるんじゃないかなぁ。

 こういうところが扱いやすくて扱いにくいんだよなぁフラッタは。


「それにしてもリーチェは凄いのじゃ。妾も腕に覚えがあったつもりじゃが、上には上がいるものじゃのう」

「僕は長く生きてるし、1人だから剣も扱えないと生きていけないからね。必要に駆られて覚えただけさ」


 フラッタの裏表を感じさせない賞賛の言葉に、少し照れくさそうに謙遜するリーチェ。


「得意なのはやはり弓なんだ。エルフは種族的に弓が得意な者が多いのさ。植物と風が味方してくれるからね」


 マジかよぉ。フラッタですら怪物じみてると思ってるのに、得意武器でもない剣でフラッタを圧倒するとか、リーチェってこの世界ではどのレベルの戦士なんだろ?

 この国最強と謳われる断魔の煌きと同格なのか? 自分の英雄譚があるらしいし。


 俺が伸びてる間に行われた2人の剣による手合わせは、五感上昇をつけて遠目から見ていても目で追えない程の高速戦闘で、お互い本気じゃなかったにしろ、フラッタの苛烈な攻めをリーチェは涼しい顔をして捌いていた。

 この2人が敵に回る状況ってのはもう頭に無いけど、この2人クラスの実力者が敵になる事は全然ありえる話だ。というかアウターを巡る旅では、どんな強敵が待ち受けているのか分かったものじゃない。


 補正に頼ってばかりもいられない。強くならなきゃな。





 稽古も終わり遠征の準備を済ませたティムルが戻ってきた。

 稽古の後は日が落ちてるまで花壇と畑の仕事を手伝い、そして夕食の時間がやってきた。まではいいんだけどぉ。


 ……なぁんでフラッタがまだいるんだよぉ。


「今朝の件は夕食でチャラにしてやるのじゃ。夕食を食べたらちゃんと帰るから安心せぃ」

「ああ、それなら僕にもあれ作ってよあれ。朝の件はそれでチャラでいいからさ」

「お前ら俺を甘やかしすぎ。食事の対価でアレやっていいなら毎食世話してしまうわ」


 コイツらってめちゃくちゃ食うから、3食お世話してたらそれだけで破産しかねない。だけど破産してでも世話したくなるくらい、この2人のおっぱいは極上のおっぱいなのだ。


「ティムル。食材はだいじょうぶ?」

「はい。フラッタちゃんが夕食前に帰るとは思ってなかったので、ちゃんと夕食分多めに買い込んで来ましたから」


 ティムルとは今回初対面のはずなのに、信頼と安定のフラッタである。

 っていうか考えてみたらフラッタとリーチェも今回が初対面なんだよな? なんかもう完全にセットで考えちゃってたわ。


「今回の滞在はダンに好き勝手弄ばれてしまったのじゃが、それでも収穫は大きかった。妾は兄上の足取りばかり追っていたのじゃが、今まで兄上が何をしてきたか、そちらの方に目を向けて考えてみようと思うのじゃ」

「うん。僕も生まれて初めてってくらい好き放題されちゃったけど、考えさせられる話だったよ。少し目線を変えて事件の全体像を意識してみるよ」

「2人ともありがとうございました。本当に最高でした。あれが食事の対価で良いなら、もうお前らうちに住み込みでも良いよ」


 あ、でもそうするとニーナとティムルと色々出来ないのか? うーん、ままならないね。


「おぬしのぅ……。没落予定だからほぼ確実に破談になると思うのじゃが、妾には婚約者が居るのじゃぞ? まぁ会った事もないがな」


 呆れた様子のフラッタが衝撃の事実を告げてくる。

 フラッタに婚約者……だと!? いや貴族令嬢なんだし居てもおかしくはないんだけどさ。


「会ったことがないとは言え仮にも婚約者がいる女の体を、何を好き勝手弄くる気満々なのじゃ、まったく」

「えぇ……。フラッタって婚約者居るのかぁ。なんかそれは微妙だなぁ……」


 破談になるらしいけど、それでもフラッタに婚約者が居るのは面白くないなぁ。
 というかフラッタに限らず、なんかもうフラッタもリーチェも誰にも渡したくないと思ってる俺がいる。

 あの直パイを俺以外の男が? ダメだ。脳細胞が破壊されそう。


 ……うん。この2人のことを誰にも渡す気には、もうなれないかな?


「よし、ならフラッタもリーチェも俺と結婚しよう。実際に婚姻を結ぶのはニーナの呪いが解けてからだけど」

「「……え?」」


 呆けるフラッタ。固まるリーチェ。

 肩を竦めるニーナと、ニコニコのティムル。


「お前らのおっぱいを、いやお前らを他の男に渡すなんて耐えられそうもない。フラッタ。リーチェ。俺と結婚しよう。もうベッドを共にした仲なんだし」

「なななな、なにを言っておるのじゃおぬしはーっ! おぬしにはっ、おぬしにはニーナもティムルもおるではないかっーー!」


 真っ赤になって暴れるフラッタ。

 前回同衾した時は散々似たようなことを言ったくせに、自分が言うのは良くても言われるのには慣れてないのね。


「人間族は年中盛りっぱなしだからだいじょうぶ。ニーナもティムルもフラッタもリーチェも一緒に愛してみせるよ。だから没落したらそのままうちに来いフラッタ。俺がもらってやる。俺の女になれ」


 真っ赤になって暴れる姿も、俺をボコボコにした姿も、ニーナにおねだりする強かな姿も全部可愛いフラッタのことが好きになったんだ。

 4人も娶るなんて俺の手には余ることなのかもしれないけど……。どっかのジジイは44人も娶ったらしいし、10分の1くらいヨユーヨユー。


 たとえ余裕が無くたって、もうお前のこと諦められないよ。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにおーっ! にゃにを言っておるのじゃあ……!」

「お前の意志を無視する気はないよ。でも会った事もない婚約者に嫁ぐくらいなら俺を選べフラッタ」


 服越しにおっぱいに触れる程度なら我慢できたかもしれないけど。俺はもうフラッタを他の男に渡したくないんだ。

 だから、俺の女になってくれよフラッタ。


「にゃにをぅ……、にゃにを言って……」


 真っ赤になって同じことを繰り返すだけのフラッタ。壊れたレコードかな? レコードなんて見たことないけど。


 っと、ニーナがフラッタを抱きしめて、俺に向かって頭を振ってみせる。

 ふむ、ドクターストップか。命拾いしたなフラッタ。だけど絶対に誰にも渡さないからなぁ?


 ……っと、フラッタと違って静かなリーチェに目を向ける。

 するとリーチェを俺に何か告げようとして、でも喉まで出掛かっているその言葉を吐き出すのを堪えているような、苦悶の表情を見せている。

 
「……ダンのお嫁さんになって、みんなでこの家でずーっと一緒に。うん、いいね。凄く魅力的な提案だよ。僕も、僕も出来ることならそんな未来を選びたいよ」


 リーチェの顔は苦痛に歪み、その翠の瞳から涙が零れる。


「でも……、うん。ごめんねダン。君のことか嫌なわけじゃないんだ。だけど僕にはそれを受け入れられない。僕にその未来を選び取る資格は無いんだよ……」


 ……リーチェ。お前の言ってる事はなにも分からないんだけどさ。 

 そんな苦しそうに、そんな申し訳なさそうにするなよ。


 それじゃまるで、俺に助けを求めてるようにしか……、見えないんだよ。


 今の俺じゃきっと彼女の力になれない。でもそんなこと気にしてられない。惚れた女が目の前で泣いているのに、己の無力に打ちひしがれている場合じゃない。


「……リーチェ。お前の事情なんか知らない。お前の資格とか全然知らない。お前の都合もお前の悩みも、全部関係なく、俺はお前を他の誰かに渡す気はないから」

「……うん、ありがとう。ダンの気持ち、凄く嬉しい。でもごめん。ごめんね。ダメなんだよ。僕はそれを受け入れちゃダメなんだ」


 大粒の涙を流しながら、それでも拒絶の言葉を紡ぐリーチェの体を静かに抱きしめる。


「だいじょうぶ。絶対俺は他の男にお前を渡したりなんかしない。今はまだまだ頼りないけど、もっと強くなって、絶対にリーチェをもらってやる」


 今は無力でごめん。
 だけど絶対に諦めないから。

 リーチェもそれまで待っていて欲しい


「ダメなんだよぉ……。どうしてもダメなんだよぉ……。ごめんダン。ごめん、ごめんよぅ……」


 拒絶の言葉を紡ぎながらも俺の胸に顔を埋め、その両手で俺に力いっぱい抱き付いてくるリーチェ。その姿はまるで俺に助けを求めて縋り付いているようにしか思えなかった。


 この世界でトップクラスの実力者であるリーチェでも、ここまでどうにもならない事情ねぇ。

 ……強く、ならなきゃなぁ。
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