異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて1 3人の日々

059 お風呂の為に必要な事は (改)

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 ムーリさんとリーチェも一緒に5人で朝食を取った後、依頼に向かうリーチェを見送る。


「それじゃ僕は行ってくるよ。みんながいる間はなるべく帰るから」

「おういってらっしゃい。がんばってな」


 見送りの言葉を受け取ったリーチェは、嬉しそうに手を振ってから転移していった。
 ただの挨拶に大袈裟だっての。

 リーチェは俺たちがいない間もちょくちょく我が家で寝泊りしてるみたいだけど、俺たちがいる間は無理してでも帰ってくると宣言していた。いや普通に依頼こなせよと言いたい。

 泣いてる依頼人だって居るんですよっ! いや居ないか。


 今回の休息日は3日間を予定している。しかし、4日目になってまだ体調が万全ではないと判断したら無理せず延長する予定だ。


 次回の遠征は、日程は今回と同じ予定だけど内容を少し変えることにした。ポイントフラッタで止まらずに、野営しながら奥に向かって進みたいと思っている。

 スポット内で野営をする場合、テントや拠点を設営できるわけではなく、単純に焚き火を焚いたり、石で簡易的な窯を組んだりする程度のことしかできない。
 長くても2~3時間に1度、早いと30分と空けずに魔物に襲撃される為、テントに入ってる余裕なんて無いのだ。

 だからその状況を逆手にとって、戦いながら少しでも奥に進もうという作戦なのだ。奥に進むほど効率良く稼げるのは間違いないだろうからね。


 ティムルは次回の遠征の早い段階で、旅人を育て終わって戦士の育成に入れるだろう。戦士の職業補正で体力と装備品の性能が強化されるため、戦うほどに安全性は増していくはずだ。

 それに今回金欠で補充できなかった矢を、次は潤沢に持ち込むことが出来るだろう。つまり次回の遠征では、射手になったニーナが本領を発揮できるのだ。

 ティムルのこともニーナのことも、次回の遠征のことを考えるとワクワクしてくるね。


 そして俺自身は行商人を上げきったら、好色家を1つだけ上げてから剣士を上げようと思っている。

 そう、職業を1つ上げきる毎にご褒美として、転職の合間に好色家を1つあげることにしたのだ。こっそりと。


 これが俺の編み出した、戦闘面、資金面の影響を最小限にした好色家育成計画である。むふふ。


 好色家の話は別として、まずは補正とスキルで2重に攻撃力を上げられる剣士を育成し、その後に斬撃と敏捷性に補正がかかる短剣使い、そして敏捷性補正繋がりで武道家に繋いでいく予定だ。

 これは火力を底上げしながら敏捷性の補正も獲得しつつ、累積ボーナスを狙っていくルートとして採用してみたのだ。


 剣士、短剣使い、武道家の3つを上げきったら、次は豪商にして魔玉で稼ぐか、あるいは職人を上げて生産職の職業ツリーも解放してみたいところだ。

 う~ん、選択肢が多すぎて迷っちゃうよ。ほんと、サブクラスシステムとか無いっすかねぇ?


 ……実はここだけの話、ニーナとティムルも好色家の転職は可能になっている。3人同時に職業を獲得できたことから察するに、複数人でニャンニャンするのが好色家の転職条件なのだろう。


 ここで1つ不思議なのはティムルだ。

 ティムルの過去の話を聞くと脳細胞が破壊されそうなのであまり深堀りしたくないけれど、不特定多数の男性と肉体関係を持ったことがあるはずのティムルが好色家を得たのは、なぜか俺たちと同じタイミングだったのだ。

 アッチンでティムルと同行した時に鑑定したけど、その時には好色家は得ていなかったはずだ。好色家なんて目にしたら絶対に記憶している自信があるから間違いない。


 ティムルの過去を思えば好色家の転職条件を満たしててもおかしくないはず。ならば何故俺とニーナと同じタイミングで好色家を獲得することが出来たのだろうか?

 改めて、好色家とはどんな人なのだろうと考えると、この言葉は色事の好きな人に贈られる言葉だと思うのだ。色事が好き、つまり自ら望んで異性と愛し合わなければ、好色とは認められないのではないだろうか?

 ステータスプレートが己の魂に紐付いているように、職業だって魂に紐付いていると考えるのが自然だ。心の底から、魂の芯から愛し合う関係でなければいけないのだ。


 くくく……! 残念だったなぁティムルと関係を持った過去の男たちよ!
 お前らがティムルをどれだけ弄んだかは知ったこっちゃないが、というか知ったら脳細胞が粉砕されそうなので知りたくないんですけど、じゃなくてティムルに心から求められている男は俺だけなのだよ! ふははははーっ!


 まったく、男冥利に尽きる話である。そこまで求められるならばこちらも魂を込めて応えねばなるまいよっ。

 ……けれど好色家の事は2人にも秘密だ。これは墓まで持っていくべき情報なのだ。俺が好色家になっても、相手2人まで好色家になってしまったら戦力差は広がるばかりだからねぇ……。


 恍惚の表情で干からびている自分の姿が目に浮かぶようだぜぇっ……! ……でも、そんな死に方ならありか……? いやいやっ、2人を残して死ねるかっての!



 頭を振ってアホな考えを振り払い、ニーナとティムルを伴ってトライラム教会に足を運ぶ。
 ムーリさんにも催促されたことだし、早速家庭菜園の話を進めることにしたのだ。

 子供達もかなり乗り気だって言ってたもんね。やる気がある今のうちに話を進めてあげたほうがみんなも喜んでくれるだろう。


 そして全ての用事を済ませたら、今日はもう完全オフの休息日にする予定だ。

 10日振りのお楽しみを思う存分楽しむ為に、早いところ全ての用事を終わらせるのだぁっ。


 はははっ! 好色家乙でーす!


 教会でムーリさんと合流し、子供達に話す前に大人だけで簡単に打ち合わせをする。

 子供達に話しちゃうと、きっともう止まれなくなっちゃうだろうからね。先に問題点がないか軽く確認しあうのだ。


「家の玄関側に横長に花壇を、花壇から少し離した場所に畑を作ってもらおうかなと思っています。花壇は人目につく場所でも良いのですけど、畑が家の表側にあるのは少し見苦しい印象が出てしまいますので」

「はい。場所の指定は私たちとしてもありがたいです。あのお庭は本当に広いので、好きに使ってと言われると逆に難しくて……」


 先ほどからニーナとムーリさんが細かい打ち合わせをしている。

 報酬などもニーナに一任してあるので、俺とティムルは立ち会っているだけの状態だ。


「花壇と畑の管理は、最年長のコットンに任せようと思ってます。お花の好きな子ですので、ある程度でも自由に花壇を作れると聞いて、とっても喜んでましたよっ」

「ああ、コットンなら安心して任せられそうですね。仕事も丁寧ですし、私とも考え方が似てる気がしますから」


 2人の会話に出てきたコットンという子は水汲みや掃除で何度も我が家に来たことがあるので、当然俺も面識がある。
 マグエルのトライラム教会で保護されている孤児の中では最年長で、真面目だけど少し臆病な印象の大人しい女の子だ。
 
 コットンはニーナと特に仲が良い印象なんだよねぇ。年も近いし、草花の話で盛り上がってるのを良く見かける。

 人見知りの為か、未だに俺にはぎこちない態度なんだけど。


 ……だけどコットンは14歳。マグエルでは最年長の孤児なのだ。
 現在14歳であるコットンは、年明けに納税が出来なければ借金奴隷に落とされてしまう。

 奴隷回避に必要な納税額は、15年分滞納していたとするなら約150万リーフ。とても孤児に用意できる額ではない。


 150万リーフは大金だよなぁ……。せっかく仲良くなったんだし、なんとかしてやりたいと思わないでもないけど…、150万リーフは俺の手に余る金額だ。
 ティムルを加え3人になった今の俺たちでも年内に用意できる気がしないほどの、とてつもない大金だ。


 ティムル2.5人分のお金なんてあるはずもなし。ならばティムルにそうしたように借金奴隷に落ちた瞬間を買い上げるか?

 だけど俺を求めていない相手を奴隷にするのは憚られるし、なによりそんなことやってたらキリがない。コットン1人救えたところで、税金を滞納している孤児はまだまだ居るのだから。


 ……はぁ。俺ってまだまだ全然無力なんだと思い知らされるねぇ、まったく。


 ネガティブなことばかり考えている俺とは対照的に、ニーナとムーリさんの打ち合わせは楽しげな雰囲気だ。

 花壇の花は季節に合わせて、ニーナとコットンが相談して決めることになり、畑の野菜はイモ類を中心に、栽培が比較的簡単で、なるべくお腹に溜まる物を植えていくことになったようだ。

 収穫物は子供達に分けると伝えてあるから、悩み抜いた結果のイモ類なんだろうなぁ。カロリー重視的な意味で。


 ちなみに花壇用の種や畑用の種芋は、ティムルのツテで用意してもらえそうだ。どうやら今回の打ち合わせにおいて、ただの置物だったのは俺だけだった模様。

 置物らしく余計な口も挟まなかったので許して欲しいところだ。


 大きな問題点も無さそうだということで、早速明日から少しずつでも作業を進めていく事で話はまとまった。


 打ち合わせが終わったので教会を後にし、ニーナとティムルと相談しながら花壇と家庭菜園の予定地をざっと決めておく。家も庭も広いので、まぁまぁの規模になりそうだなぁ。

 俺としては収穫のほうが楽しみだ。花より団子である。


 外での用事を全て済ませ、家に入ってもまだまだ日は高い時間。リーチェも夕食まで戻らないだろう。つまり当分の間は誰の邪魔も入らない。

 我が家に入って素早く確実に施錠を確認。オールグリーン。攻撃を開始します。


「きゃっ」「えっ」


 ニーナとティムルを抱き寄せ、そこで止まらず2人の服の中に手を突っ込む。
 俺の両手は2人の服の中で好き勝手に暴れまわって、女性らしい柔らかい感触や、次第に硬くなる感触を満喫している。

 ああ、我が家って、我が嫁って、ほんっと素晴らしいよぉ。もみもみ。


 ニーナもティムルも嫌がる素振りもなく、というかちょっと呆れた様な様子で身を寄せてくれる。しょうがない主人で済みませんね。めちゃくちゃ楽しいです。


「まだ明るいよダン。ここじゃそのうちリーチェだって帰ってきちゃうから、するなら寝室に行こ?」

「そうね。リーチェは夕食まで戻ってこないでしょうし、それまで好きなだけ相手してあげるわぁ」


 耳元で囁かれた悩ましいティムルのお誘いがゴング代わりだ。2人のおっぱいを鷲掴みにしたまま寝室という名の戦場に移動する。

 決戦の時は来たれり。いざ尋常に……、勝負っ!


 10日振りの決戦ということで、お互いに士気も高く接戦が続く。

 両者譲らず一進一退の攻防が続く中、時間的な理由で一時休戦を余儀なくされる。互いに余力を残しつつ、勝負は夜に持ち越された。


 好色家の影響はどうだろ? 特に何も感じないけど。

 でも夜に向けて余力がある時点で恩恵があるのかもしれない。


 戦いが終わればノーサイド。敵も味方もいない。ニーナとティムルを抱き寄せて、リーチェと話したお風呂の話題で盛り上がる。まぁ敵なんて元々居ないんですけどね。


「温かいお湯を張って、そこに体を入れるの? 私はなんだかよく分からないかなぁ?」

「お風呂ねぇ。私もあったら嬉しいと思うけど、やっぱり管理が大変じゃないかしら?」


 ニーナはお風呂自体を知らないようだ。ティムルは入ったことがあるようだけど、多分そこは地雷原なので踏み込んだりはしない。


「それにダンはみんなで入れるような大きい浴槽が欲しいんでしょ? 大きければ大きいほど作るのも大変、使うのも大変、維持するのも大変よ? 水を張るだけでもかなりの重労働になっちゃうんじゃないかしら」


 うーん、やっぱりこの世界で自宅に入浴設備を備えるのは贅沢すぎるかぁ?

 ニーナは入ったことがないからピンと来てないし、ティムルは商人の観点からコスト面を危惧している。


「水の運搬は俺とティムルのダブル行商人でこなせばいいけど、やっぱり資金面が課題だよねぇ。シュパイン商会の幹部でも自宅にお風呂って持ってない感じなの?」

「ジジイは持ってたけど、2人も入れば狭く感じるような広さの浴槽だったわね。だいたいジジイは入浴目的で持ってたわけじゃないし。プレイの一環って感じだったんじゃないかしらね?」


 しまった! うっかり地雷原に踏み込んでしまった!

 このままで俺の脳細胞が致命傷を負ってしまいそうだ……! 話題を逸らそう。


「お風呂に入ると疲れの取れ方が変わってくるんだよ。以前の生活では入浴するのが当たり前だったから、遠征から帰ってきた日に温かいお風呂でゆっくり出来たら最高だなってね」


 日本人としてそこまで風呂好きなほうじゃないと思ってたんだけど、失って初めて分かるお風呂の良さ。
 浴槽に浸かるのが面倒で、シャワーでパパッと済ませることも多かったのになぁ。

 この世界でボロボロに疲れて、あぁ風呂に入りたいなぁっ! と思う機会が結構増えた。


「俺もお風呂で2人といちゃつきたいって思うけど、その為に無理をするのは本末転倒だよなぁ」

「んー。この家の場合、排水はトイレの下水道に合流させてしまう手もあるかしら……?」


 コスト面をクリアできずに半ば諦めの入った俺とは逆に、ティムルがお風呂導入を具体的に想定してくれている。


「浴槽は私達が作るのは無理があるから、職人に作ってもらうことになるでしょうね。水汲みは確かに私とダンの2人ならそこまで苦でもないでしょう。奴隷と一緒に水を運搬する主人の姿はどうかと思うけど」


 どうかと思わないで欲しいなぁ。奴隷を大切にする為に手間を惜しまない素晴らしい所有者だと思いたまへ。


「……となると1番の問題は、どうやってお湯を沸かすかに尽きると思うわね。台所で順に沸かしても、浴槽に溜まる頃には冷めちゃうでしょう?」


 ティムルの言うやり方じゃキリが無いし、そもそもそんなことしたら燃料代で破産しかねない。

 う~ん……、お風呂はやっぱり諦めざるを得ないかぁ?


「ねぇティムル。シュパイン商会にもお風呂があったんでしょ? そこではどうしてたの?」

「そりゃあ別室で沸かして奴隷が運搬よぉ。毎日入ってたわけでもないしね。あのジジイはコストとか考える人間でもなかったし」


 ……そのジジイ、本当に商会長なの? ティムルからの又聞きってせいもあると思うけど、無能感しか感じられないんだけど?


「ああそうだ。お風呂と言えばね……」


 ティムルが何かを思い出したように、顎に人差し指を当てながら話し始める。


「今回リーチェが盗難に遭った宿。あそこでは確か、魔法使いを雇ってお湯を沸かしていた気がするわねぇ。魔法使いってだけで貴重なのに魔物狩りに出さないなんて、随分と贅沢な使い方をするものよねぇ?」


 へぇ、魔法使いでお湯を……? それはそれは……。

 ティムルのおかげで、ほんの少しだけお風呂の建設が現実味を帯びて参りましたねぇ……?
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