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サイザス防衛戦
46 夜間防衛③ (改)
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「おっらああああ!!」
咆哮と共にモンスターに襲い掛かる若き冒険者達。
1人1人が今までの鬱憤を晴らすかのような獅子奮迅の活躍で、次々とモンスターを蹴散らしている。
「スミス! 前に出過ぎだ! 戻ってこい!」
「おっと! 悪い悪い!」
気持ちが逸って突出しがちな奴が出るのは少し困りものだが、その度に他の奴が声をかけてパーティの輪に引き戻しているから問題ないだろう。
イルミネイト無しでも戦えていたから心配していなかったけれど、思った以上にモンスターを圧倒することが出来ている。
10分ちょっとの交戦で、今回襲ってきた群れを全滅させる事に成功した。それも1人の怪我人も無く、だ。
イルミネイトで照らされた先にもまだ敵影はいない。魔力感知にも未だ反応は無い。
このペースなら充分な休憩を挟みながら迎撃を続けられそうだ。
「……けどなぁ」
周囲に散らばるモンスターの死体を見回す。
今までは一切余裕が無かったからと、邪魔にならないように全て谷底に捨てていたが……。この数の魔物の素材、無駄にする手は無いよな?
特に駆け出しのコイツらにゃあ、些細な収入だって生命線になりえるんだから。
「みんな。敵がいない間に軽く解体を教えてやるから、金になる部位だけでも確保しようぜ。報酬の他の副収入って奴だ」
「かっ、解体を教えてくれんのかっ!? お、おーいっ! みんな集まれ! 解体を教えてくれるってよっ!」
俺の言葉を聞いてすぐに動いてくれるのはありがたいけど……、解体自体は誰でも出来るもんじゃないのか? こんなに血相を変えて喜ぶほどのもんじゃないと思うが。
近場の死体を引き寄せて、イルミネイトの照明を確認する。
流石に日中よりは暗いけど、手元もハッキリ見えるし解体作業に問題はなさそうだ。
すぐに集まってくれた若者たちに、時間が無いから大雑把な説明だぞと断って、解体の見本を見せてやる。
「今回はみんな武器しか用意してないから、細かい解体は諦めてくれ」
「そっか。せめて解体用のナイフ1本だけでも用意しておけばいいんだなっ……。まさかここで解体を学べるなんて思ってもなかったからなぁ……!」
「今後余裕があれば更に細かく教えてやっからさ。今は我慢してくれよ」
いつモンスターの襲撃が再開されるか分からないので、武器で切り落とせるような本当に大雑把な部位だけを解体する。
一応細かい解体の知識も口頭で説明をしていくが、実際に作業しないと覚えるのは無理だろうからな。
「しっかし、なんで解体なんかにそんなに熱心になってんだ? 未開地域も近いし、解体なんて慣れてんじゃねぇの?」
「…………はぁ?」
食い気味に俺の手元を見詰める若者たちが不思議に思えて、ひと通りの解説を終えてから問いかけてみた。
しかし聞かれた若者たちは、何言ってんだコイツ? という表情を俺に向けてきた。まるで俺の言っていることが理解できていないようだ。
「ソイルが居た街のことは知らねぇけどさ。サイザスの先輩たちは解体なんて教えてくれないんだよ」
「はぁっ!? 解体を教えてくれないって、ウッソだろ!?」
「嘘じゃないよ……。そんな状態だから、新人は素材を何度もダメにしながら、自分で試行錯誤して解体の経験を積んでいくしかないの……」
モンスターの素材は街の発展に欠かせない大切な資源のはずだ。
なのにそれを無駄にしている状況を放置してるとか、サイザスに何が起こってんだよ……?
「苦労して倒したモンスターの解体方法を知らないと悲惨なんだ。ボロボロになって討伐したのに、ギルドに持っていったら、これじゃ買取できません、だよ? やってられないよ……」
「それ、私も言われたことある……! 経費すら回収できなくて泣きたくなったなぁ……」
俺が見せた手本通り、嵩張らない部分だけ素材を切り取り、残った部分は戦闘の邪魔にならないよう手早く谷に捨てながら、次々と解体の苦労話を口にする若者達。
「しっかし、なんでサイザスではこんな状況を放置してるんだ? ちょっと信じ難いんだが……」
「サイザスは未開地域が近いからモンスターの素材には困らないの。だからギルドもあまり問題視してくれなくって……」
素材が豊富だからって、無駄になる素材なんて出さない方が街が潤うはずだ。
サイザスの冒険者ギルド、ちょっとおかしいんじゃないか?
「なまじ素材が豊富なせいで、先輩たちは相場が下がることを嫌がって私たちには解体を教えてくれないの。ほんっとイヤになっちゃう!」
「新人に優しくねぇなぁ……。でも冒険者の先輩が教えてくれないにしても、冒険者ギルドで解体の講習とか開いてないのか?」
「冒険者ギルドも新人が解体技術を知りたがってるのを分かってるからさ。有料の解体講習を開いてはくれるんだけど……」
「それがすっごい高いんだっ! たった1日の講習で金貨5枚だよっ? そんなの受けれる訳ないってば……」
き、金貨5枚はいくらなんでも足元見すぎだろ……。
新人を育てて優秀な冒険者を増やそうって考えじゃなくて、その新人を搾り上げて利益をあげようって方針なのか、サイザスの冒険者ギルドは。
話を聞くと、1回の講習の開催に金貨5枚が必要らしく、複数のパーティがお金を出し合って金貨5枚を工面することが多いらしい。
それだけ苦労して得た技術を、新人に無料で教えたくないって思っちまうわけかぁ。悪循環過ぎるね、まったく。
まぁいい。サイザスにはサイザスの都合があるのかもしれねぇけど、余所者の俺には知ったこっちゃねぇわ。
「これだけの素材を無駄にするなんて、勿体無くて寒気がするからよ。次回からは全員に解体用ナイフを持参してもらうぜ?」
「ホントっ!? やったぁっ! これでこの仕事が終わっても稼ぐのに困らなくなるわ! こうなったら絶対にこんなところで死ぬわけにはいかないねっ」
やったぁやったぁと仲間達と喜びあう若者達。場所が変われば常識も変わるもんなんだなぁ。
イコンでは解体作業は基本的に新人の仕事のイメージだ。師匠にも良く怒鳴られたっけな。解体はテメーの仕事だろうがってよ。
ま、他の冒険者となんて殆ど一緒に仕事したこたぁねぇから、俺の感覚だって一般からズレてるかもしれねぇけどよ。
……ん? 俺の感覚が、一般的じゃない?
モンスターの解体は新人の仕事っていう俺の感覚は、もしかしたら他の冒険者の間では一般的じゃないのか? でも師匠は新人がやるのが当たり前って……。
……まさか師匠。俺に解体の経験を積ませるために?
魔力が殆ど無いからとイコンでは誰もパーティを組んでくれなかった俺を、雑用にちょうどいいなんて言いながら拾ってくれた師匠。
口を開けばお前には魔力がねぇんだからと、魔法以外の様々な仕事を俺に押し付けて、その間自分はグースカ寝てやがったっけ……。
ま、あのクソ師匠のことだ。雑用が欲しかったってのも本音だったとは思うけどな。
でも師匠があらゆる仕事を押し付けてくれたおかげで、俺は今まで冒険者を続けてこれたんだ。
……はっ、自分が指導する立場になるまでこんなことにも気付けないなんて、やっぱり俺は落ち零れだわ。
「剥ぎ取った部位は後ろの方にまとめておいてくれ。残った死体は速やかに谷底に捨てること」
「うう……。りょーかい……」
解体が出来ると、モンスターの死体はお金の山みたいな物に見えるのだろう。さっきまで躊躇なく捨てていたモンスターの死体を、少し躊躇いがちに捨てるようになってるな。
でも襲撃はまだまだ続くんだ。戦闘の邪魔になる物を片付けないわけにはいかねぇんだよ。悪いな。
イルミネイトの照らす遥か先に、モンスターの影が見え始める。新人たちに作業を切り上げさせて、改めて戦闘準備を整える。
「どうやら次のお客さんが間もなく到着するみたいだから、まだ解体してない死体は諦めて捨ててくれ。安全第一で行くぞ」
「わ、分かってるわよっ……! せっかく解体を覚えても、死んだら意味が無いもんねっ……!」
俺がガキだった時と比べると、本当に素直に言う事を聞いてくれるもんだ。
思えば師匠が生きている間に、礼の1つも言えなかったなぁ。
ガキだった俺は、いつも仕事を押し付けてくる師匠をいつか出し抜いてやる、としか思ってなかった。
ま、今は故人を偲んでいる場合じゃない。
師匠に返せなかった借りは、師匠から教えてもらったモノを新人たちに伝えることで返させてもらいますよ。
だからこんなところで死ぬわけにはいかねぇし、誰1人として死なせるわけにはいかないよな!
咆哮と共にモンスターに襲い掛かる若き冒険者達。
1人1人が今までの鬱憤を晴らすかのような獅子奮迅の活躍で、次々とモンスターを蹴散らしている。
「スミス! 前に出過ぎだ! 戻ってこい!」
「おっと! 悪い悪い!」
気持ちが逸って突出しがちな奴が出るのは少し困りものだが、その度に他の奴が声をかけてパーティの輪に引き戻しているから問題ないだろう。
イルミネイト無しでも戦えていたから心配していなかったけれど、思った以上にモンスターを圧倒することが出来ている。
10分ちょっとの交戦で、今回襲ってきた群れを全滅させる事に成功した。それも1人の怪我人も無く、だ。
イルミネイトで照らされた先にもまだ敵影はいない。魔力感知にも未だ反応は無い。
このペースなら充分な休憩を挟みながら迎撃を続けられそうだ。
「……けどなぁ」
周囲に散らばるモンスターの死体を見回す。
今までは一切余裕が無かったからと、邪魔にならないように全て谷底に捨てていたが……。この数の魔物の素材、無駄にする手は無いよな?
特に駆け出しのコイツらにゃあ、些細な収入だって生命線になりえるんだから。
「みんな。敵がいない間に軽く解体を教えてやるから、金になる部位だけでも確保しようぜ。報酬の他の副収入って奴だ」
「かっ、解体を教えてくれんのかっ!? お、おーいっ! みんな集まれ! 解体を教えてくれるってよっ!」
俺の言葉を聞いてすぐに動いてくれるのはありがたいけど……、解体自体は誰でも出来るもんじゃないのか? こんなに血相を変えて喜ぶほどのもんじゃないと思うが。
近場の死体を引き寄せて、イルミネイトの照明を確認する。
流石に日中よりは暗いけど、手元もハッキリ見えるし解体作業に問題はなさそうだ。
すぐに集まってくれた若者たちに、時間が無いから大雑把な説明だぞと断って、解体の見本を見せてやる。
「今回はみんな武器しか用意してないから、細かい解体は諦めてくれ」
「そっか。せめて解体用のナイフ1本だけでも用意しておけばいいんだなっ……。まさかここで解体を学べるなんて思ってもなかったからなぁ……!」
「今後余裕があれば更に細かく教えてやっからさ。今は我慢してくれよ」
いつモンスターの襲撃が再開されるか分からないので、武器で切り落とせるような本当に大雑把な部位だけを解体する。
一応細かい解体の知識も口頭で説明をしていくが、実際に作業しないと覚えるのは無理だろうからな。
「しっかし、なんで解体なんかにそんなに熱心になってんだ? 未開地域も近いし、解体なんて慣れてんじゃねぇの?」
「…………はぁ?」
食い気味に俺の手元を見詰める若者たちが不思議に思えて、ひと通りの解説を終えてから問いかけてみた。
しかし聞かれた若者たちは、何言ってんだコイツ? という表情を俺に向けてきた。まるで俺の言っていることが理解できていないようだ。
「ソイルが居た街のことは知らねぇけどさ。サイザスの先輩たちは解体なんて教えてくれないんだよ」
「はぁっ!? 解体を教えてくれないって、ウッソだろ!?」
「嘘じゃないよ……。そんな状態だから、新人は素材を何度もダメにしながら、自分で試行錯誤して解体の経験を積んでいくしかないの……」
モンスターの素材は街の発展に欠かせない大切な資源のはずだ。
なのにそれを無駄にしている状況を放置してるとか、サイザスに何が起こってんだよ……?
「苦労して倒したモンスターの解体方法を知らないと悲惨なんだ。ボロボロになって討伐したのに、ギルドに持っていったら、これじゃ買取できません、だよ? やってられないよ……」
「それ、私も言われたことある……! 経費すら回収できなくて泣きたくなったなぁ……」
俺が見せた手本通り、嵩張らない部分だけ素材を切り取り、残った部分は戦闘の邪魔にならないよう手早く谷に捨てながら、次々と解体の苦労話を口にする若者達。
「しっかし、なんでサイザスではこんな状況を放置してるんだ? ちょっと信じ難いんだが……」
「サイザスは未開地域が近いからモンスターの素材には困らないの。だからギルドもあまり問題視してくれなくって……」
素材が豊富だからって、無駄になる素材なんて出さない方が街が潤うはずだ。
サイザスの冒険者ギルド、ちょっとおかしいんじゃないか?
「なまじ素材が豊富なせいで、先輩たちは相場が下がることを嫌がって私たちには解体を教えてくれないの。ほんっとイヤになっちゃう!」
「新人に優しくねぇなぁ……。でも冒険者の先輩が教えてくれないにしても、冒険者ギルドで解体の講習とか開いてないのか?」
「冒険者ギルドも新人が解体技術を知りたがってるのを分かってるからさ。有料の解体講習を開いてはくれるんだけど……」
「それがすっごい高いんだっ! たった1日の講習で金貨5枚だよっ? そんなの受けれる訳ないってば……」
き、金貨5枚はいくらなんでも足元見すぎだろ……。
新人を育てて優秀な冒険者を増やそうって考えじゃなくて、その新人を搾り上げて利益をあげようって方針なのか、サイザスの冒険者ギルドは。
話を聞くと、1回の講習の開催に金貨5枚が必要らしく、複数のパーティがお金を出し合って金貨5枚を工面することが多いらしい。
それだけ苦労して得た技術を、新人に無料で教えたくないって思っちまうわけかぁ。悪循環過ぎるね、まったく。
まぁいい。サイザスにはサイザスの都合があるのかもしれねぇけど、余所者の俺には知ったこっちゃねぇわ。
「これだけの素材を無駄にするなんて、勿体無くて寒気がするからよ。次回からは全員に解体用ナイフを持参してもらうぜ?」
「ホントっ!? やったぁっ! これでこの仕事が終わっても稼ぐのに困らなくなるわ! こうなったら絶対にこんなところで死ぬわけにはいかないねっ」
やったぁやったぁと仲間達と喜びあう若者達。場所が変われば常識も変わるもんなんだなぁ。
イコンでは解体作業は基本的に新人の仕事のイメージだ。師匠にも良く怒鳴られたっけな。解体はテメーの仕事だろうがってよ。
ま、他の冒険者となんて殆ど一緒に仕事したこたぁねぇから、俺の感覚だって一般からズレてるかもしれねぇけどよ。
……ん? 俺の感覚が、一般的じゃない?
モンスターの解体は新人の仕事っていう俺の感覚は、もしかしたら他の冒険者の間では一般的じゃないのか? でも師匠は新人がやるのが当たり前って……。
……まさか師匠。俺に解体の経験を積ませるために?
魔力が殆ど無いからとイコンでは誰もパーティを組んでくれなかった俺を、雑用にちょうどいいなんて言いながら拾ってくれた師匠。
口を開けばお前には魔力がねぇんだからと、魔法以外の様々な仕事を俺に押し付けて、その間自分はグースカ寝てやがったっけ……。
ま、あのクソ師匠のことだ。雑用が欲しかったってのも本音だったとは思うけどな。
でも師匠があらゆる仕事を押し付けてくれたおかげで、俺は今まで冒険者を続けてこれたんだ。
……はっ、自分が指導する立場になるまでこんなことにも気付けないなんて、やっぱり俺は落ち零れだわ。
「剥ぎ取った部位は後ろの方にまとめておいてくれ。残った死体は速やかに谷底に捨てること」
「うう……。りょーかい……」
解体が出来ると、モンスターの死体はお金の山みたいな物に見えるのだろう。さっきまで躊躇なく捨てていたモンスターの死体を、少し躊躇いがちに捨てるようになってるな。
でも襲撃はまだまだ続くんだ。戦闘の邪魔になる物を片付けないわけにはいかねぇんだよ。悪いな。
イルミネイトの照らす遥か先に、モンスターの影が見え始める。新人たちに作業を切り上げさせて、改めて戦闘準備を整える。
「どうやら次のお客さんが間もなく到着するみたいだから、まだ解体してない死体は諦めて捨ててくれ。安全第一で行くぞ」
「わ、分かってるわよっ……! せっかく解体を覚えても、死んだら意味が無いもんねっ……!」
俺がガキだった時と比べると、本当に素直に言う事を聞いてくれるもんだ。
思えば師匠が生きている間に、礼の1つも言えなかったなぁ。
ガキだった俺は、いつも仕事を押し付けてくる師匠をいつか出し抜いてやる、としか思ってなかった。
ま、今は故人を偲んでいる場合じゃない。
師匠に返せなかった借りは、師匠から教えてもらったモノを新人たちに伝えることで返させてもらいますよ。
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