上 下
226 / 228

第211話 片手間時間で才能を発揮。

しおりを挟む
第211話 片手間時間で才能を発揮。


 ──そして時間は過ぎていき、早くも放課後。

「先生さようならー」
「はい、さいならー」

 帰りの号令やら何やらを終わらせ、適当に生徒たちを見送って帰る準備を進めていると、ハクとライムが息を切らして俺の方に寄ってきた。

「はぁ、はぁ。ゼロ先生、お疲れ様、でした……」
「おう、お疲れさん。・・・思ったよりお仕置きが効いてるみたいだな」
「ぬ、ぬぅ……。のぅ、ゼロ先生。そろそろ、これを、解除して、ほしいのじゃ」

 うーむ。………うん、もう十分反省してるみたいだし、解除してやってもいいかな。
 ・・・というか今更だけど、別にそんなに怒ってると言うか、恨んでるわけじゃなかったんだけどな。……なんというか、こいつらの反応が面白かったから、つい、ね。


 まぁ俺はそんな雰囲気(楽しんでやった感)を出さないように、落ち着いた様子で伝える。

「ああ、ちゃんと反省してるみたいだしな。そろそろいいか。『解除』っと……よし、ちゃんと解除できてるか確認してくれ」

 俺がそう言うと、二人は軽く手をグーパーしたりジャンプしたり、身体を動かして確認をした。

「……はい、問題ありません。ちゃんと解除できてるみたいです」
「我の方も同じくなのじゃ」
「ん、おk。んじゃ俺は……家庭教師のやつがあるし、先行くな。二人とも気をつけて帰んな。」

「「はーいです(なのじゃ)っ!」」

 二人は声を合わせて元気よく返事をした。

 んじゃ行くか・・・あ、そうだ。一応『リミィの居場所は?』

 ……うん、やっぱり思ってた通り校門前で待ってるわ。……今更だけど、校門前がリミィとの待ち合わせ場所に定着してきてない? まぁ別にいいけど。

 ってことで、さっさと校門前に転移じゃいっ。


~校門前~

「ゼロまだ〝ザンっ〟か……なー?……」

「っと、リミィ。お待たせ」

「・・・」

 ……なんか、ポカーンって状態で口パクパクしてる。・・・カッコつけてリミィの目の前に転移したから驚いてるのかな?

「……うん、もういいわ。あ、それよりゼロ……先生っ。今日もお疲れ様っ!」

 あ、思考停止っていうか考えるのを諦めた。・・・へぇ、こうやって人は適応していくんだなぁ。

「おう、そっちもお疲れさん。それじゃ、早いとこ行こうか」
「うんっ!! ……あっ、ところで今日は何を教えてくれるのー?」

 あー、そういや何教えようかねー? 考えてなかったわ。
 んー……あ、じゃあ今日はちょっといつもと違う感じに、他の世界の魔法系……妖術とか陰陽術とか教えようかね? おお、いいかも。よし、決まり。

「ってことで、今日は系統を変えて他の世界の魔法というか術を教えようと思う。妖術とか陰陽術とか……」
「なにが〝ってことで〟なのかわかんないけど、異世界の術かーっ!  楽しみっ!!」
「おうっ、楽しみにしとけっ。・・・あ、でも先に軽く基礎を教えとくわ。霊力の掴み方とか覚えておけばスムーズに教えられるし」
「うんっ! わかったわっ!」

 さてさて、リミィは家に着くまでの間に霊力の掴み方を理解できるかなー?

◇◆◇◆◇

~そしてリミィの家前~

「ゼロッ見てみてっ!! こんなことも出来たわっ!!」

 ・・・リミィの才能凄すぎぃ。霊力の掴み方を理解するだけじゃなく、まさか霊力と魔力を混ぜる方法を見つけるとは思ってなかったわ……。
 俺、霊力がどんなのかを軽く説明しただけなのに……。リミィの理解力とか想像力やべぇな。マジやばくね?

「ああっ! 流石リミィだな。んで、もうリミィん家ついたから続きはまた後でな」
「はぁーい!!」

 リミィが元気よく返事をし、門番に軽く挨拶をして門を開けてもらうと、それと同時に執事のセルスが来て、リミィに挨拶を交わし、その後に俺の方を向いた。

「お嬢様、おかえりなさいませ。ゼロ様はどうぞこちらに」
「了解。それじゃリミィ、また後でな」
「うんっ!! また後でねっ!!」

 リミィを軽く見送った後、俺もセルスについていって屋敷に向かう・・・さて、今日はこのまま一旦、リミィのお父さんの執務室へと案内されるわけか。
 ……うーん、悪くはならないと思うが、少しだけ不安だな。何も無ければいいんだが……。……ん? あれ? なんかこれフラグっぽくね?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。 冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。 味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。 死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

処理中です...