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第180話 ユウ=マイペース。

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第180話 ユウ=マイペース。


 勇者達にはとりあえず今暴走中のアイツユウは俺の友人だと伝えた。

「えっ!? ゼロ先生って同世代の友人いたんですかっ!?」
「お、なんだ? 喧嘩か? 買うぞ?」

 いや、俺にもユウ以外に友人くらい……くら……い? んん? ちょっと待てよ? 
 ・・・そういや知り合いの半数以上が、というか知り合いってほぼほぼ生徒だけな気が……。

 しかもユウって見た目は同世代だけど中身は違うし、そう考えると……。……よし、この話はやめよう。

「いえ、そんなことより。あの人急に戦闘に入ってきたんですが、なんなんですか?!」
「あー、アイツはあれだ。ただよ戦闘狂だ。」
「えぇ!? そんな人って本当にっ……あぁ、居ましたね。」

 おい、今なんで俺を見て納得した? あ?

「な、なんとか出来ないんですか?」
「あー、頑張ってなんとかしてみるわ。」

 えーと、どうしようか。とりあえずいつもの脳筋みたいな感じにやってみようか。

「『召喚』『鎮静化』」
「『拒否』! 『拒否』!」

 あ、拒否られた。・・・えぇ、これ対抗させられちゃ俺どうしようもなくない? ってかアイツも権能使えんの忘れてたわ。

「あぁ、ごめん。俺にゃあ無理だわ。」
「ちょ、諦めるの早くないですかっ!?」
「いや、だってあの状態で助けに行ったら俺まで攻撃くらいそうだし。そもそも俺の力効かないし。」

 あ、でも今のアイツ弱体化してるしやれないことは無いか?
 ・・・ん、ちょっと待てよ? 今さっきあいつ、俺の権能拒否したよな?ってことはあいつも今の状態で権能が使えるってことだよな?

 弱体化した状態のアイツだと俺の力は拒否出来ないはず……ってことは、もしかしてあいつ弱体化消した?
 さらに言うと、アイツ今力抑えてないっぽくね? ・・・あ、これヤバいな。早めに止めねぇとさらにやべぇことになる。

「前言撤回。あれは俺がやらんとダメだわ。 すまん、ちょっと行ってくる!」
「えぁ!? あ、は、はいっ! ありがとうございますっ!!」

 とりあえず、あの状態のユウ相手だと生半可な力じゃ効かんし、俺の力も完全解放しようか。

「ユウー! ちょっと止まれっ!!」
「えぇー、ヤダ! あ、ならゼロが相手してよっ!」

 あ、こっちに意識向いた……しかもかなり目に嫌な感じに。

「あぁ! わかったから! じゃあさっさと終わらせるから一撃勝負なっ! 」
「やかった!!!」

 やかったってなんだし。 『やったー』と『わかった』が混ざったのか?

 ユウはそう言った瞬間、拳に力を込めながらこちらに飛んできた。俺も対抗して拳に力を込めて解き放つ。

「それじゃ行くぞっ! オッッリャァァァァァァ!!!!」

 ユウは俺と同時に拳を前に突き出し、二人の拳はちょうど間で衝突した。

 瞬間、迷宮内に衝撃波や轟音が響──かない。しかし、その変わりに、いくつものガラスが割れるようなパリンッという音が響いた。

 ──ぶっねー!! 周りの被害考えんの忘れてたっ!! なんとか障壁が間に合ったけど、咄嗟に貼ったせいでやや不完全だったみたいだわ。
 まぁそれでも複数枚貼っといたから、それでなんとか助かったみたいだな。

 あ、ちなみに今のユウとの拳のぶつけ合いは俺が勝った。・・・まぁそりゃ倒れた状態でこんなに話せるわけねぇわな。
 あとユウ本人はぶつかった衝撃で吹っ飛んで行った。少し遠いが、なんか満足気な顔して倒れているのが見える。

 そして、ユウとの対応(HANASHIAI)が終わった頃、丁度ハク達が寄ってきた。

「兄上、お疲れ様なのじゃ。・・・これはまた派手にやったみたいじゃな。というよりユウ殿の腕大丈夫なのじゃ? なんじゃかあらぬ方向へ曲がっておるのじゃが。」
「お疲れ様です、お兄ちゃん。あの状態のユウさんを止めるなんて流石です! 」
「ああ、二人ともありがと。あとハク? ユウのは気にするな。あいつの事だからすぐ戻る。」

 俺らは軽く雑談をすると、今度は5人組の団体がこちらに向かってきた。

「はぁ、はぁ。さっきの人、こっちの方に……ってなんでゼロ先生がいるんですかっ?」
「………。」(時雨:いつも通り)
「………。」(白銀:少し息切れ)
「………。」(マル:睨みつける)
「あ、ゼロ先生。えーと、お疲れ様です。というか、その友人さんだいじょうぶなんですか?!」

 勇者ーズも揃ったみたいだな。
 とりあえず勝手に戦闘に入っちゃったこと詫びとくか。・・・ユウが勝手にやったことだけど連れてきたの俺だし、あと今一応パーティメンバーだし。

「あー、とりあえず簡単に説明するな。今あっちに倒れてんのは俺の友人で今はパーティメンバーの1人だ。今回の騒動の犯人だな。・・・騒動ってほどでもないか。
 んで、本来なら本人が言うべきなんだろうけど、勝手に戦闘に入ってすまなかったな。今回はこちらの不手際だったわ。」

 俺が謝ると勇者のうち三人が

「ゼ、ゼロ先生が謝るなんてっ! 明日は雪でも降るんでしょうかっ!?」(雲海)
「ゼロ先生が謝るの初めて見たかもしれない……。」(帝)
「………なにか企んでるの?」(マル)

 と、反応した。(なお、残り2人はこちらを見つめるか無言)

 ・・・まぁたしかにマルの反応はわかる。少し前に警戒させるようなことをしたからな。
 だが、雲海と帝。それはなくない? いや、まぁ確かに俺が謝ることなんてそうそうないがな。

「……うぅん??」

 あ、ユウが起きたみたいだな。・・・腕が曲がってるせいで上手く立てないでいる。

「『回「『回復』」」

 ……回復してやろうと思ったけど、自分で治した。

「えーと、ああ、そっかー。僕また魔物見て突っ走っちゃったのかー。
 んとー、あ! 君たち勇者って呼ばれてる子達だよねっ! そっかぁ、君たちが先に行ってたのかー! 
 あ、ごめんね急に話し出してっ! あと急に戦闘に入ってごめんねー! なんか魔物との戦闘音聞いたら歯止め効かなくなっちゃって!
 僕はユウって言うんだっ! よろしくねっ!」

 ユウはそう言うと一人一人に握手する。
 ・・・はぁ、勇者達よ、もう一度言う。ユウがすまんな。
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