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第131話 武闘試験/ライム。

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第131話 武闘試験/ライム。


 とりあえず、言われた通りブロスターを直して……。あ、ついでに訓練場の地面とかを元に戻してやるか。

「『完全回復』『意識覚醒』『補修』『頑丈』」

「はっ!?」

 っしと。こんなもんでいいかな。
 ……あ、一応説明すると、前2つでブロスターの回復と意識の覚醒、後ろ2つで訓練場の補修と壊れにくくさせるやつだ。

「あァ? 俺ゃー、一体何を……?」

 ……っと、とりあえずブロスターの意識が戻ったからこれで試験続けられるかな?
 ……まだ頭がぼけてるみたいだから少し時間置いてからになるだろうけど。……とりあえず何が起こったかをブロスターに教えるか。

◇◆◇◆◇

「ガッハッハ! なるほど! 俺ゃー負けたのか! やっぱゼロの妹ってこともあって異常なくれーにつえぇーんだな!
 なぁ、良かったらまたやろうぜ!」

 ・・・こいつ、本当に戦うことしか脳にねぇのな。普通、こんな簡単にあっさりと負けたら、それ以降戦おうとも思わんだろうに。
 ……いや、そもそも避けるよな?普通。・・・まぁ脳筋に言っても無駄なことか。

 一一そして、先の戦いのことやブロスターについて話していると、その本人ブロスターが声を上げた

「一一っと、時間も勿体ねぇし、早いとこ次の試合やろうぜ!」

 ……いや、おめぇの場合、時間どーのこーのじゃなくておめぇ自身が早く戦いたいってだけだろ……。
 ってか、おめぇが戦闘できるまで戻るのをみんな待ってたんだよ。ボケが。
 ……だが、まぁそこを突っかかっるだけ時間の無駄だしな。今回はスルーしとくか。

「ん。そうしようかね。えーと、次はライムだっけか。」

「あ、はい!」

「よし、頑張って勝ってこいよ。」

「はい! では行ってきます!」

「ん。」

 ライムは元気に返事をすると、先程のハクが立っていた辺りへと向かった。
(・・・俺達は先程と同じく巻き込まれないように遠く離れる。)


「お! 今度は嬢ちゃんが相手か! どんな戦いになるか楽しみにしてるぜ!」

「はい! よろしくお願いします!」

「おう!」

 ブロスターは返事だけをして校長に視線をうつし、少し合図した。

「うむ。それでは両者準備は良いな?
 ・・・では、始め!」

◇◆◇◆◇

 一一校長の合図後、先に動いたのはまたもやブロスターだった。

(・・・あいつ学ばねぇな。ってか試験官なら相手の攻撃を待てよ……。)

 ライムもこれを見るのは2回目なので、ハクと似たように避け、躱し、流した。

 やり方はほぼハクと同じだが、ハクとの唯一の違いといえば武器を持っていないことだろう。
 ……先程、ハク達の会話でちらっと聞いたのだが、どうやら徒手で戦うらしい。
 どんな戦いになるか実に楽しみだ。

 ブロスターはライムが避ける、流すのを見て、驚き、また笑顔になる。

 ……が、今度の笑顔がそう長く続かず、数分間避ける流すが続くと、すぐさま流れを理解し、ハクと同じく反撃しないことを理解した。

 その瞬間、ブロスターの顔が険しくなり、やや不機嫌になった。
 だが、直ぐには言わず、さらに10~20分くらいだったところで

「……おい、なんだよ!! おめぇのとこは避ける、流すしか教わってねぇのか!?  さっきも言ったが、反撃しねぇと試験の結果が出せねぇぞ!?」

 と、言い放った。対するライムはブロスターの圧に怖気ず、とても落ち着いた感じで

「あ、はい。わかりました。では反撃致します。」
 と、返した。

 ブロスターは嬉しそうに「よっしそれでいい! んじゃ俺も少しばかり本気で行くぜぇ!」と言い、ライムに殴りかかった。

 一一そしてその瞬間……ブロスターの意識は途切れた。

◇◆◇◆◇

 一一ブロスターは意気揚々と立ち向かったが、反撃を開始したライムとブロスターの戦いは一瞬だった。

 何をしたかと言うと、ライムがブロスターからの攻撃の勢いを、殺さずに下に流して前のめりにさせた。
 その後、後頭部、背中に浸透波のような攻撃をして脳と内臓の機能を一時的に……ほんの一瞬だけ止めたようだ。
 その一瞬だけでブロスターはの意識は刈り取られ、気絶した。


(・・・ライムパネェ。あれって超精密な制御力ないとできねぇ攻撃なのに……。あんなにあっさりとやるとか……。
 制御ミスったらしたら相手死ぬぞ? それを意識を刈り取るだけに制御するなんてなー。ライムも成長してんだなぁ。
 ……え? 俺はできるかって? HAHAHA。)

 ……とりあえず、これでライムも試験は合格なのは決定だな。

「……のぅ、ゼロよ。」

 ……あ、へいへーい。ブロスターの回復っすねー。了解しゃしたー。
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