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二章 魔女のたしなみ
2-3 まごちゃん!ちょっと付き合って!
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「ばあちゃん、ここは冒険者ギルドだよね」
「は、はひ」
「ばあちゃんが片手に持ってるのは、どう見てもお酒だよね」
「…は、はひ…」
「冒険者ギルドから足を洗い、じいちゃんと笑って生きて行こう!今までの不健康な生活からおさらばして、新しい人生を二人で歩んで行こう…そう心に決めたのは、どこの誰だっけ?」
「……………」
「清く正しく生活していけば、今までの荒んだ心も癒され、新しく生まれ変われる気がする…って、僕に熱心に話してくれたの誰だっけ?」
「そうやって理詰めでじっとりくるまごちゃんキライ!!そんなのまごちゃんじゃないもん!」
「ばあちゃん。僕ね、ばあちゃんにもっと長生きしてほしいんだ。今のばあちゃんは僕の知ってるばあちゃんじゃないけど・・・若くて綺麗で可愛くて、そしてとっても強くてキラキラしててね、正直このまま若いままのばあちゃんだったら僕は何も言わないし、もっと楽しんでほしいと思うよ。でもね、80歳のばあちゃんが一瞬でこんなに綺麗な女の子になっちゃうのはどう考えてもおかしいよ!いつ元に戻っちゃうのか?もしかしたら反動で死んじゃうかも知れない。そんな事考えたら僕、とてもじゃないけど耐えられなかったよ!ばあちゃん!若くなってはしゃいじゃうのはしょうがないけど、お願い!もっと体の事考えて!僕を一人にしないでよ!!!!!!!!!」
そう言いながら、涙が止まらなくなっちゃった僕を見て、そっと「ごめんなさい」と呟いたばあちゃんは、ギルドの周りに一言言うと、僕と一緒に冒険者ギルドをあとにしました。
ギルドのある城塞都市を出て、ふもとの村まである行く途中でようやく涙が引いたと思ったら、周りはすっかり夕焼けに染まっていて、ばあちゃんと僕の顔も赤く染めていましたが、ばあちゃんがいなくなってしまうことを考えては悲しくなっちゃって、また涙が止まらなくなり、ヒックヒックと泣きながら歩きました。
そんな僕の頭を、ばあちゃんはそっと優しくなでながら、僕に向かって話します。
「言い訳になっちゃうけどね、お酒飲みながらふざけたやり方をしてしまったのは悪かったけど、あそこで私が魔物を倒さなかったら、村一つつぶれていたし、倒した魔物をそのままにしていたら、それを目当てにした魔物が増え、それこそ二次三次災害を招いてしまうから回収も仕方がない事」
「魔物を素材として売ればお金が生まれ、そのお金をいろいろな場所に使えば自分を含めた多くの人達が少しだけ幸せになるから、私はやっぱり冒険者ギルドに行っただろうし、素材を売るために冒険者にも返り咲いたとも思う。まごちゃんが私の事を思ってくれることは嬉しいけど、自分が動くことで幸せになる人が多いのであれば、私はやっぱり冒険者として魔女として、少しでも力があるモノとして何かをすることになったと思うよ」
と。
そして、最後に、
「そんな相手を思いやる心を持つ子に育ってくれて、私は貴方の事を誇りに思いますよ」
というばあちゃんに、再度泣かされながら、僕は一緒に家に帰りました。
家に帰ったばあちゃんは、僕の置手紙を見てにへら~っとしながらも、ふと何かを思い出したようで、なにやらメモをとりだし必死にモノを書き始めたので、そっと麦茶を出すと「ありがとう」と言ってまた机に向かってモノを書き出しました。
こう言うところは年をとっても取らなくても一緒なんだなと思いながら、食事とお風呂の準備をしていると、臭いに釣られてふらふらと近寄ってきたばあちゃんと一緒にご飯を食べ、「お風呂一緒に入る?」というばあちゃんの誘惑?にぺしっとチョップを入れる僕。
こんな日がいつまで続くかわからないけど、ばあちゃんはばあちゃんで考えていることがあるんだなぁって思えたので、それを受け入れていかないといけないのかな?と思った僕。少なくとも今この時を楽しまないといけないよなぁと思いながら、いつの間にか夢の中に行ってしまいました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日の朝、そうそうに何かをしていたのか?朝からばあちゃんの姿がなかったのですが、久しぶりのモンペ姿で土まみれになったばあちゃんを見て、ちょっとほっとしてると、昨日のビキニアーマーとは違い、おとなしめなブルーのワンピースに麦わら帽子、歩きやすい靴に着替えたばあちゃんが、僕にも着替えるように言ってきたので、慌てて支度をしました。
「さて、まごちゃん!ちょっと付き合って!」
そういうばあちゃんは、チョークで少し大き目な円形の魔法陣を書いていきます。
最近、魔法陣を用いての移動手段なんて見かけなかったので、魔法学校の学生だった僕は興味津々で見ていると、「ごめん!機会があったら教えてあげるから、今はそのリアカーもってきてぇ~」なんて言われてしまい、少し残念に思いながら少し離れた場所にある2台のリアカーを運ぼうとすると、そこには大量のお野菜がありました。
「今からお詫びとお礼に行かないといけないから、孫ちゃんも手伝ってね」
そういうばあちゃんの言葉に、何のお詫びとお礼なんだろうか?なんて思いながらも、身体強化の魔法の練習と思っててんこ盛りの野菜を魔法陣に引き入れると、それを確認したばあちゃんはもごもごと口の中で魔法を詠唱し、「今から行きますよー」というばあちゃんの声と共に、僕たちの姿はシュンという音と共に消えていくのでした。
「は、はひ」
「ばあちゃんが片手に持ってるのは、どう見てもお酒だよね」
「…は、はひ…」
「冒険者ギルドから足を洗い、じいちゃんと笑って生きて行こう!今までの不健康な生活からおさらばして、新しい人生を二人で歩んで行こう…そう心に決めたのは、どこの誰だっけ?」
「……………」
「清く正しく生活していけば、今までの荒んだ心も癒され、新しく生まれ変われる気がする…って、僕に熱心に話してくれたの誰だっけ?」
「そうやって理詰めでじっとりくるまごちゃんキライ!!そんなのまごちゃんじゃないもん!」
「ばあちゃん。僕ね、ばあちゃんにもっと長生きしてほしいんだ。今のばあちゃんは僕の知ってるばあちゃんじゃないけど・・・若くて綺麗で可愛くて、そしてとっても強くてキラキラしててね、正直このまま若いままのばあちゃんだったら僕は何も言わないし、もっと楽しんでほしいと思うよ。でもね、80歳のばあちゃんが一瞬でこんなに綺麗な女の子になっちゃうのはどう考えてもおかしいよ!いつ元に戻っちゃうのか?もしかしたら反動で死んじゃうかも知れない。そんな事考えたら僕、とてもじゃないけど耐えられなかったよ!ばあちゃん!若くなってはしゃいじゃうのはしょうがないけど、お願い!もっと体の事考えて!僕を一人にしないでよ!!!!!!!!!」
そう言いながら、涙が止まらなくなっちゃった僕を見て、そっと「ごめんなさい」と呟いたばあちゃんは、ギルドの周りに一言言うと、僕と一緒に冒険者ギルドをあとにしました。
ギルドのある城塞都市を出て、ふもとの村まである行く途中でようやく涙が引いたと思ったら、周りはすっかり夕焼けに染まっていて、ばあちゃんと僕の顔も赤く染めていましたが、ばあちゃんがいなくなってしまうことを考えては悲しくなっちゃって、また涙が止まらなくなり、ヒックヒックと泣きながら歩きました。
そんな僕の頭を、ばあちゃんはそっと優しくなでながら、僕に向かって話します。
「言い訳になっちゃうけどね、お酒飲みながらふざけたやり方をしてしまったのは悪かったけど、あそこで私が魔物を倒さなかったら、村一つつぶれていたし、倒した魔物をそのままにしていたら、それを目当てにした魔物が増え、それこそ二次三次災害を招いてしまうから回収も仕方がない事」
「魔物を素材として売ればお金が生まれ、そのお金をいろいろな場所に使えば自分を含めた多くの人達が少しだけ幸せになるから、私はやっぱり冒険者ギルドに行っただろうし、素材を売るために冒険者にも返り咲いたとも思う。まごちゃんが私の事を思ってくれることは嬉しいけど、自分が動くことで幸せになる人が多いのであれば、私はやっぱり冒険者として魔女として、少しでも力があるモノとして何かをすることになったと思うよ」
と。
そして、最後に、
「そんな相手を思いやる心を持つ子に育ってくれて、私は貴方の事を誇りに思いますよ」
というばあちゃんに、再度泣かされながら、僕は一緒に家に帰りました。
家に帰ったばあちゃんは、僕の置手紙を見てにへら~っとしながらも、ふと何かを思い出したようで、なにやらメモをとりだし必死にモノを書き始めたので、そっと麦茶を出すと「ありがとう」と言ってまた机に向かってモノを書き出しました。
こう言うところは年をとっても取らなくても一緒なんだなと思いながら、食事とお風呂の準備をしていると、臭いに釣られてふらふらと近寄ってきたばあちゃんと一緒にご飯を食べ、「お風呂一緒に入る?」というばあちゃんの誘惑?にぺしっとチョップを入れる僕。
こんな日がいつまで続くかわからないけど、ばあちゃんはばあちゃんで考えていることがあるんだなぁって思えたので、それを受け入れていかないといけないのかな?と思った僕。少なくとも今この時を楽しまないといけないよなぁと思いながら、いつの間にか夢の中に行ってしまいました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日の朝、そうそうに何かをしていたのか?朝からばあちゃんの姿がなかったのですが、久しぶりのモンペ姿で土まみれになったばあちゃんを見て、ちょっとほっとしてると、昨日のビキニアーマーとは違い、おとなしめなブルーのワンピースに麦わら帽子、歩きやすい靴に着替えたばあちゃんが、僕にも着替えるように言ってきたので、慌てて支度をしました。
「さて、まごちゃん!ちょっと付き合って!」
そういうばあちゃんは、チョークで少し大き目な円形の魔法陣を書いていきます。
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「今からお詫びとお礼に行かないといけないから、孫ちゃんも手伝ってね」
そういうばあちゃんの言葉に、何のお詫びとお礼なんだろうか?なんて思いながらも、身体強化の魔法の練習と思っててんこ盛りの野菜を魔法陣に引き入れると、それを確認したばあちゃんはもごもごと口の中で魔法を詠唱し、「今から行きますよー」というばあちゃんの声と共に、僕たちの姿はシュンという音と共に消えていくのでした。
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