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外伝:メイド喫茶でバイトテロしたら異世界召喚されました。しかも死に戻り特典付きで。
第7話 アドバイス
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「寿命でさえもだと?」
「そうだよ。取り敢えず今の状態だともう少し持ちそう。死までの時間を延ばせれば解決策も見つかるかもしれないからね。」
かなり無理な魔力消費を行っているから多分一日程度しか持たない。
私にだけ許された膨大な魔力が、穴の開いた容器に水を注ぐように次々と零れ減っていっている。
ただ幸いなことに、痛みや苦しはかなり緩和されるみたい。
「苦しくは……ないのか?」
「今は大丈夫。魔力が尽きたら反動ですぐに死ぬかもしれないけど。」
「繰り返しの発動を止める方法を考えないとダメだな。根本的な解決が必要だ。」
私の方が圧倒的に強いけど、こういう時は本当に頼りになるんだよね。
でも……。
「いくらなんでも能力の発動を止めるのは流石に難しいよ。」
能力の制御なんて考えた事も無かったし、取っ掛かりさえない。
「なら時間を稼げば良い。サクラはその……相手を倒せば吸収出来るんだろう?」
「まぁ、出来るけどさ。でも無闇に殺生するのは良くないって。」
確かに召喚された当初は言われるがままにストレッチ王国兵を吹っ飛ばしてたけど、自身の力が如何に規格外かを知っているのであまり力を奮う気にはなれない。
そうして私が吸収する事を渋っていると……。
1.もう最後なんだし、ふざけよう。
2.最後くらいは湿っぽいのもいいかもしれない。
3. モリちゃんのアドバイスを聞く。
第三の選択肢が追加されていた。
今までは選択肢に逆らおうとは思った事もない。なんとなくどちらかを選ばなければいけないんだと思っていた。
選択肢を選ばずに放置した結果、新たな選択肢が追加されるだなんて思いもしなかった。
これで少しだけ希望が見えたね。3を選択。
「俺だって罪もない相手を殺傷しろと言っているわけじゃない。サクラにはうってつけの相手がいるだろ?」
誰よそれ。そんな奴いないって。
「モリちゃん。こんな時に冗談はよしこちゃんだよ?」
「サクラには言われたくない。」
「そんな殺生なぁ……。」
モリちゃんは私の冗談を聞いて何かを言いかけ、そして……。
「無理しなくて良いぞ。」
「え?」
「何でもない。」
そう言って私の手をモリちゃんがそっと握ってくれた。
もしかして……私が怖がっていること、察してくれた?
これから先、何度も死んでは戻り、死んでは戻りを繰り返すことは想像がつく。私はそんな恐怖を誤魔化す為に、わざとふざけていたんだけど……バレてたみたいだね。
「話を戻す。サクラが倒すべき相手はかつてサクラが召喚してしまったという化物だ。そいつなら倒してしまっても誰の迷惑にもならない。」
「危険だよ。私が負けたら世界はどうするの?」
「サクラは絶対に負けない。」
「そんなの分かんないじゃん!」
「負けないさ。俺が愛した女性は誰よりも美人で強いからな。」
モリちゃん……。
「それでも負けたら……大人しく世界と一緒に滅びるさ。俺にとっては世界よりもサクラの方が大事だから。」
「今更口説いたって嬉ションしか出ないよ?」
「サクラ。今良い雰囲気だから。もうキスとかしそうな感じだったから。だから茶化すのはやめてくれ。」
「あ、はい。」
私の悪い癖ね。
そうして私はゲギャヒちゃんを召喚した。
繰り返しの能力が発動するまでの時を少しでも遅らせる為という、なんとも身勝手な理由で。
私の目の前には、黒くてずんぐりした胴体とヌメヌメした触手がたくさん生えた良く分からない生き物——ゲギャヒちゃんがいた。
「ごめんね。私の問題なのに巻き込んで。」
たとえ人間にとっては害のある生き物だとしても、こっちに呼ばなければ平穏に暮らしていただけなのかもしれないのに……。
殺すつもりで召喚したけど、出来れば殺さずに済ませたいと思うのは私の甘さなんだろうね。
『げぎゃげぎゃげぎゃ! こnちには。ボクを呼んでくrてアリゲート。あなtAを食べさせてくさだい。』
「やっぱり死ね。」
私は風の刃でゲギャヒちゃんを五つに分割してやった。
「まあ、こんなもんか。」
召喚した時に分かったけど、ゲギャヒちゃんは死にかけの私と比べてさえ力が劣る存在だった。
多分……私は強くなり過ぎたんだ。
「なあサクラ。」
「どしたん? モリちゃん。」
「話に聞いていた怪物と違うな。弱いじゃないか。」
弱くはない。
彼女を討伐出来る人間なんて私を除いて他にはいないと思う。
「彼女は強いよ。人間には到底敵いっこないくらいにはね。」
「サクラだって人間じゃないか。」
「私は例外。」
「流石は勇者って事だな。で? 魔力は増えたのか?」
そう言えば……。
今の私の魔力残量はMax時の三分の二程度。特別増えたような感覚もない。
まさかっ!?
「モリちゃん離れて!」
「おい。急にどうし……」
「良いから離れてっ!」
嫌な予感がした私はモリちゃんを大急ぎで退かせる。
私の勘は外れていなかったらしく、分割されたはずのゲギャヒちゃんの体がうぞうぞと蠢き、瞬く間にそれぞれ独立した個として活動を開始した。
「死んでなかったんだね。」
『いkなり攻撃するなんてひどいDeath。』
『今回の召喚主は鬼畜。』
『うmでるぺヴprまぬえrべ。』
『ボクの顔をお食べよ。』
『ミンナナカヨク。』
どういうわけか元のゲギャヒちゃんが小さな五体に分かれ、それぞれが好き勝手に話している。
「分裂能力を持っていたの?」
『ブンレツチガウ。』
『ボクたち。』
『ワタシたちは。』
『五体で一体。』
『ミンナが同一。』
成る程ね。
元々五体が合体した生き物だったって事か。
「だからと言ってやる事は変わらない。」
私は五体のゲギャヒちゃんに魔法を放ち、それぞれの胴体をぶち抜いてやった。
「今度こそ倒したはず。」
五つになった時点で力は五分の一ずつに減少していた彼女。どう頑張っても私には勝てない程度でしかない。
ただ、私のような能力を持っていない勇者だとしたら……恐らく勝ち目がないね。
五体に力が分割されていてなお、もし相手を吸収する力を持っていない私が順当に鍛えたとしたら同じくらいになっていただろうな、と思えるくらいには強かった。
「やった……のか?」
「うん。魔力を吸収出来たし間違いないよ。それに何て言うか……寿命が少し伸びたような感覚がある。」
ゲギャヒちゃんを吸収する事で少し人間から外れてしまったのかもしれない。
でも、そうでもしなければ私は生と死を延々と繰り返す羽目になってしまう。
「これで時間が稼げたな。」
「うん。ありがとねモリちゃん。」
「礼なんて良い。俺がもっとサクラと一緒に居たいから提案したんだからな。サクラにとってはそれどころじゃないと言うのに……。」
「気にしないで。私もモリちゃんともっと一緒に居たかったから。」
一度目の寿命を迎えた時には本当にそう願っていたしね。モリちゃんのお蔭で出来たこの時間を有効に使わないと。
「今は何も思いつかないけど、きっと何とかなるって。」
「俺も一緒に考えるからな。」
「本当にありがとう。多分何度もやり直す事にはなるだろうけど、モリちゃんと私ならきっと大丈夫だよね?」
「勿論だ。」
私は一抹の不安を胸に、笑顔でモリちゃんに抱き着いた。
これから永い永い時の牢獄に囚われる事を意識の隅から追い出そうと、努めて楽天的に振る舞うしか出来なかった私を…………愚かだと人は笑うだろうか?
「そうだよ。取り敢えず今の状態だともう少し持ちそう。死までの時間を延ばせれば解決策も見つかるかもしれないからね。」
かなり無理な魔力消費を行っているから多分一日程度しか持たない。
私にだけ許された膨大な魔力が、穴の開いた容器に水を注ぐように次々と零れ減っていっている。
ただ幸いなことに、痛みや苦しはかなり緩和されるみたい。
「苦しくは……ないのか?」
「今は大丈夫。魔力が尽きたら反動ですぐに死ぬかもしれないけど。」
「繰り返しの発動を止める方法を考えないとダメだな。根本的な解決が必要だ。」
私の方が圧倒的に強いけど、こういう時は本当に頼りになるんだよね。
でも……。
「いくらなんでも能力の発動を止めるのは流石に難しいよ。」
能力の制御なんて考えた事も無かったし、取っ掛かりさえない。
「なら時間を稼げば良い。サクラはその……相手を倒せば吸収出来るんだろう?」
「まぁ、出来るけどさ。でも無闇に殺生するのは良くないって。」
確かに召喚された当初は言われるがままにストレッチ王国兵を吹っ飛ばしてたけど、自身の力が如何に規格外かを知っているのであまり力を奮う気にはなれない。
そうして私が吸収する事を渋っていると……。
1.もう最後なんだし、ふざけよう。
2.最後くらいは湿っぽいのもいいかもしれない。
3. モリちゃんのアドバイスを聞く。
第三の選択肢が追加されていた。
今までは選択肢に逆らおうとは思った事もない。なんとなくどちらかを選ばなければいけないんだと思っていた。
選択肢を選ばずに放置した結果、新たな選択肢が追加されるだなんて思いもしなかった。
これで少しだけ希望が見えたね。3を選択。
「俺だって罪もない相手を殺傷しろと言っているわけじゃない。サクラにはうってつけの相手がいるだろ?」
誰よそれ。そんな奴いないって。
「モリちゃん。こんな時に冗談はよしこちゃんだよ?」
「サクラには言われたくない。」
「そんな殺生なぁ……。」
モリちゃんは私の冗談を聞いて何かを言いかけ、そして……。
「無理しなくて良いぞ。」
「え?」
「何でもない。」
そう言って私の手をモリちゃんがそっと握ってくれた。
もしかして……私が怖がっていること、察してくれた?
これから先、何度も死んでは戻り、死んでは戻りを繰り返すことは想像がつく。私はそんな恐怖を誤魔化す為に、わざとふざけていたんだけど……バレてたみたいだね。
「話を戻す。サクラが倒すべき相手はかつてサクラが召喚してしまったという化物だ。そいつなら倒してしまっても誰の迷惑にもならない。」
「危険だよ。私が負けたら世界はどうするの?」
「サクラは絶対に負けない。」
「そんなの分かんないじゃん!」
「負けないさ。俺が愛した女性は誰よりも美人で強いからな。」
モリちゃん……。
「それでも負けたら……大人しく世界と一緒に滅びるさ。俺にとっては世界よりもサクラの方が大事だから。」
「今更口説いたって嬉ションしか出ないよ?」
「サクラ。今良い雰囲気だから。もうキスとかしそうな感じだったから。だから茶化すのはやめてくれ。」
「あ、はい。」
私の悪い癖ね。
そうして私はゲギャヒちゃんを召喚した。
繰り返しの能力が発動するまでの時を少しでも遅らせる為という、なんとも身勝手な理由で。
私の目の前には、黒くてずんぐりした胴体とヌメヌメした触手がたくさん生えた良く分からない生き物——ゲギャヒちゃんがいた。
「ごめんね。私の問題なのに巻き込んで。」
たとえ人間にとっては害のある生き物だとしても、こっちに呼ばなければ平穏に暮らしていただけなのかもしれないのに……。
殺すつもりで召喚したけど、出来れば殺さずに済ませたいと思うのは私の甘さなんだろうね。
『げぎゃげぎゃげぎゃ! こnちには。ボクを呼んでくrてアリゲート。あなtAを食べさせてくさだい。』
「やっぱり死ね。」
私は風の刃でゲギャヒちゃんを五つに分割してやった。
「まあ、こんなもんか。」
召喚した時に分かったけど、ゲギャヒちゃんは死にかけの私と比べてさえ力が劣る存在だった。
多分……私は強くなり過ぎたんだ。
「なあサクラ。」
「どしたん? モリちゃん。」
「話に聞いていた怪物と違うな。弱いじゃないか。」
弱くはない。
彼女を討伐出来る人間なんて私を除いて他にはいないと思う。
「彼女は強いよ。人間には到底敵いっこないくらいにはね。」
「サクラだって人間じゃないか。」
「私は例外。」
「流石は勇者って事だな。で? 魔力は増えたのか?」
そう言えば……。
今の私の魔力残量はMax時の三分の二程度。特別増えたような感覚もない。
まさかっ!?
「モリちゃん離れて!」
「おい。急にどうし……」
「良いから離れてっ!」
嫌な予感がした私はモリちゃんを大急ぎで退かせる。
私の勘は外れていなかったらしく、分割されたはずのゲギャヒちゃんの体がうぞうぞと蠢き、瞬く間にそれぞれ独立した個として活動を開始した。
「死んでなかったんだね。」
『いkなり攻撃するなんてひどいDeath。』
『今回の召喚主は鬼畜。』
『うmでるぺヴprまぬえrべ。』
『ボクの顔をお食べよ。』
『ミンナナカヨク。』
どういうわけか元のゲギャヒちゃんが小さな五体に分かれ、それぞれが好き勝手に話している。
「分裂能力を持っていたの?」
『ブンレツチガウ。』
『ボクたち。』
『ワタシたちは。』
『五体で一体。』
『ミンナが同一。』
成る程ね。
元々五体が合体した生き物だったって事か。
「だからと言ってやる事は変わらない。」
私は五体のゲギャヒちゃんに魔法を放ち、それぞれの胴体をぶち抜いてやった。
「今度こそ倒したはず。」
五つになった時点で力は五分の一ずつに減少していた彼女。どう頑張っても私には勝てない程度でしかない。
ただ、私のような能力を持っていない勇者だとしたら……恐らく勝ち目がないね。
五体に力が分割されていてなお、もし相手を吸収する力を持っていない私が順当に鍛えたとしたら同じくらいになっていただろうな、と思えるくらいには強かった。
「やった……のか?」
「うん。魔力を吸収出来たし間違いないよ。それに何て言うか……寿命が少し伸びたような感覚がある。」
ゲギャヒちゃんを吸収する事で少し人間から外れてしまったのかもしれない。
でも、そうでもしなければ私は生と死を延々と繰り返す羽目になってしまう。
「これで時間が稼げたな。」
「うん。ありがとねモリちゃん。」
「礼なんて良い。俺がもっとサクラと一緒に居たいから提案したんだからな。サクラにとってはそれどころじゃないと言うのに……。」
「気にしないで。私もモリちゃんともっと一緒に居たかったから。」
一度目の寿命を迎えた時には本当にそう願っていたしね。モリちゃんのお蔭で出来たこの時間を有効に使わないと。
「今は何も思いつかないけど、きっと何とかなるって。」
「俺も一緒に考えるからな。」
「本当にありがとう。多分何度もやり直す事にはなるだろうけど、モリちゃんと私ならきっと大丈夫だよね?」
「勿論だ。」
私は一抹の不安を胸に、笑顔でモリちゃんに抱き着いた。
これから永い永い時の牢獄に囚われる事を意識の隅から追い出そうと、努めて楽天的に振る舞うしか出来なかった私を…………愚かだと人は笑うだろうか?
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※表紙イラスト Bu-cha作
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