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最終章 幸せな日々

番外編 第14話 人間とは?

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「エミエミ、どうやって魔力を隠してるの? 全然気付かなかったわ。」

「コツがあるのよ。体を濃い魔力で包み込んで、更にその上を濃度の薄い魔力で包み込む。そうすると薄い方を漏れ出ている魔力、濃い方を隠している魔力、という感じで誤認させられるの。」

「そんな方法がねぇ……。」


 以前やり方は教わったけど、特に使い道のない技術だったのですっかり忘れてた。

 普段から半分は隠してたんだね。


『それにしてもランキングが急に更新されたのは不可解だ。どういう事なのだろうか?』

「多分、私がここに来てエミエミを観測したからじゃないかと思ってるわ。見た感じエミエミってさぐぬtヴぃらヴんみrとの繋がりが薄いみたいじゃない? だから、私が存在を確認して初めてランキングに載ったんだと思うのよ。」

『成る程。我はエイミー殿に出会い頭封印されたのでカウントされなかったという事か。』


 出会って即封印なんて流石はエイミー。まるで容赦がない。


「エミエミってどうして魔力を隠すの? 特にメリットがあるとは思えないけど。」

「あんまり強いと人間だと思われないから隠してるのよ?」

「エミエミって人間だったの?!」


 シューメルの顔は驚きに満ち溢れている。

 今の今まで本気で人間ではないと思っていたみたい。


「シューメルちゃん酷い! 私は人間ですよーだ!」

「隠してたとしてもあの魔力量は十分人間じゃないって。」

「碧ちゃんまで酷くない?」


 もうっ! と言って頬を膨らませるエイミー。

 最強の生物が可愛い顔してむくれているのがなんとも言えない。


「あれ? 発言から察するに、もしかして碧ちゃんも人間のフリしてるの?」


 え?


「人間以外の何に見えるのさ。」


 失礼しちゃうよ。

 大体、フリって何なのさ。


「碧ちゃんって魔力値が四十万くらいよね。普通の人間は二百もあれば良い方よ? それで人間だって言い張られてもなぁ。」

「私は勇者だから魔力多めなんですぅだ!」

「仮に勇者だったとしても相当オカシイから。兄さんと同レベルなのは有り得ないって。」


 どうやら本当に人間じゃないと思われてる。

 私もエイミーも最初から人外だと思われてたんだぁ……。

 なんかショックかも。


「ふんだ! ナガツキ家には私と碧ちゃん以外にも強い人はたくさんいるもん。私達だけが人間離れしてるわけじゃないんだから!」

「え? 何それ? 凄く興味あるわ! というか、本当は人間と一緒に暮らしている別種の生き物で、きっと事情は明かせないのよね?」


 別種の生き物って……。


「私達が人間だって証明してあげる! 今連れてくるから待ってて!」


 エイミーは勢いのままに、シューメルに皆を紹介すると言って走り去ってしまった。

















「お待たせ!」


 うわ。

 ナガツキ家で特に強い奴を皆連れて来たわね。


「ここにいる生き物が皆人間だって言うの?」

「勿論!」

「うぷぷぷっ! 皆人間のフリしてるだけで別の生き物でしょ? 私だって嘘かどうかくらい分かるわよ。ぷぷっ!」


 シューメルは何が面白いのか、笑いを堪えきれずに吹き出していた。

 エイミーが連れて来たのはレイベルト、サクラ、エイミー親衛隊隊長のザック、ナガツキ大公軍の将軍ジェイとザイン。

 レイベルトは勇者級を飛び越えて私と同じレベル。サクラ、ザック、ジェイ、ザインの四人は勇者級で実力が拮抗している。


「碧ちゃんが頭一つ抜けてるね。他の五体は同じくらいかな?」


 うん?


「何言ってんの? レイベルトは私と同じくらい強いよ?」

「え?」


 あれ? もしかして分かってない?


「レイベルトってこの生き物でしょ? 魔力値が十五万しかないのに碧ちゃんと同レベルなわけないよね?」


 シューメルはレイベルトを指差して見当違いな事を言い出した。


「本当に私と同じレベルだよ。疑うなら軽く魔法でも撃ってみれば?」


 人間じゃないと何度も否定され、いい加減少し腹が立ってきた。


「危ないからダメよ。魔法は凄く危険なんだからね?」


 ここよりも危険な世界出身の癖に妙に常識的だ。


「大丈夫だから。本当に大丈夫だから。」

「えぇ? でもなぁ。」


 心根は優しいのかもしれない。ここまで渋るのだから、本気でレイベルトを心配してるのだとは思う。

 でも、一度鼻を明かしてやらないと私の気が済まない。


「大丈夫。エイミーの魔法も防ぐんだから。」

「うーん……そこまで言うならやってみるけど、危なかったらすぐに魔法を消すからね?」

「オッケーオッケー!」


 ふふふ。見てなさいよ?

 私の旦那だって捨てたもんじゃないんだから。


「俺は何で呼ばれたんだ?」

「レイベルト。あの可愛らしい子の魔法を防いでみて。」

「はぁ。やれって言うならやるけどな。一体なんの意味があるんだ?」

「気にしない気にしない。本気で防いでよ? もし防げなかったら夜の回数増やすから。」

「俺に全て任せろ!」


 なんで今の台詞でやる気出すのよ。

 もっと回数増やして欲しいって言ってよね。


「えっと、じゃあいくよ?」

「おう!」


 シューメルはエイミーのような膨大な魔力を放ち、火魔法をレイベルトに撃ち込んだ。

 地獄の業火を思わせるその炎はまるで、自らの意思があるかのようにうねうねと動きながらレイベルトに迫る。

 放たれた魔法は想像通りエイミーが使う魔法と同等の威力だった。

 でも、想像以上ではないね。


「はあっ!」


 レイベルトが剣を抜き放ち、スパンと魔法の核を斬って捨てる。

 それと同時にシューメルが放った魔法は消滅してしまった。


「…………え?」


 ふふふ。驚いてるね?

 レイベルトは魔法さえも斬れるんだから。


「何それ? 魔力、ちょっとしか使ってないよね?」

「あぁ。」

「凄い! 本当にどうやったの!?」

「やり方が知りたいのか? それなら剣を薄く魔力で覆って速く斬るだけだぞ。」


 流石はレイベルト。

 相変わらず頭がおかしい。


「魔法以外も斬れるの? 他にも何か出来るの? 逆に斬れない物はあるの?」

「大体何でも斬れるぞ。」

「じゃあこれ! これは!?」


 シューメルは自らの懐より赤い玉を取り出し、これを斬ってみろと興奮している。


「斬っても良いのか? 高価そうに見えるが。」

「良いの!」

「まぁ、それなら……もう斬ったぞ。」


 チンッと剣が鞘に収まる音だけが聞こえた。


「うん? 剣を鳴らしただけでしょ? 斬れてな…………え?」


 赤い玉の上半分がスルリと落ちた。

 まるで初めから斬れていたかのように。


「ちょっと何その技。私も知らないんだけど。」

「おう。最近あいつらに負けてから更に訓練したら出来るようになった。凄いだろ?」


 親衛隊に負けたから、か。

 レイベルトは負けず嫌いだから訓練する理由としては分かるけど、だからってこんな技が使えるようになるのは全然意味が分からない。

 私なんかよりもレイベルトこそ本当に人間か疑わしい。


「碧ちゃん。レイベルトって生き物は凄いね。この赤い玉はさ、さぐぬtヴぃらヴんみrで一番硬いヴんみr鋼っていう物質なの。私の魔法でも壊すには相当苦労するのよ?」


 シューメルの魔法でも苦労するなら相当な硬さなんでしょうね。


「貴方、レイベルトって言う種族なんでしょ? 仲間はどこで暮らしてるの?」


 レイベルトがとんでもなく勘違いされてる。


「何を言ってるんだ? 俺は普通の人間だ。」

「その嘘はいくらなんでも無理があるわ。そもそも魔法って斬れないよ?」

「斬れたじゃないか。」


 魔法を斬る方法は以前レイベルトに教えて貰ったけど、私には再現出来なかった。


「えっと……確かに斬れてたけど、普通は出来ないの。」

「だが斬ったぞ。」

「…………エミエミも碧ちゃんもレイベルトが人間だって言い張るの?」

「た、多分人間だと思う。」


 どうしよう。レイベルトが人間かどうかちょっと自信なくなってきた。


「私はレイベルトの両親を知ってるけど、ちゃんと人間だったよ。」

「皆嘘つき過ぎじゃない? 私が人間じゃないからってバレないと思ってる?」


 これ、どうやったら納得してくれるんだろう。

 エイミーが変なの連れて来たせいで余計話が拗れてる。


「レイベルト様は人間の中でも突然変異体なのです。」

「その通りです。」

「言われてみれば確かに。」


 ザック、ジェイ、ザインが思った事を口にする。


「失礼だな。俺がそうだと言うならお前らだって突然変異体だろう。」

「我らは訓練によってここまで成長しましたが、正直これ以上は伸びそうにありません。しかしレイベルト様はまだ伸び続けています。これが突然変異体でなくて何なのです?」

「多分お前らは訓練が足りていない。」


 え? 才能の限界を感じたって言ってるのに、言うに事を欠いて返答がそれなの?


「やっと分かったわ。どこまでも訓練し続けるのがレイベルトって種族の特徴なのね。どこでこんな不思議な生き物見つけたの?」

「この世界に最初から住んでたよ。」


 うん。

 今までのやり取りでレイベルトって種族は確かにしっくりきた。

 もしかすると、レイベルトって訓練馬鹿の称号だったのかもしれないね……レイベルト?


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