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聖女の暴力編
第53話 聖女の赦し
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変ね。実力は見せたから納得して返事をしてくれても良いんだけど……もしかして、ちゃんと見せろって事?
「納得してないみたいなので、本気を見せますね。」
私は身体強化魔法を今の出来る最大出力まで上げた。
このレベルまで強化すると、戦いたくてムズムズしてくる。無性に何かブッ叩きたい気分だわ。
「あっ……。」
目の前のメフィスちゃんが尻餅をついた状態で泣きそうな顔をしている。
「大丈夫? オシッコ漏らしちゃってるけど……。」
そっか。トイレを我慢出来なくて泣きそうだったのね。
「トイレに……」
でも、もう漏らしちゃってるし……なら、お風呂かな?
「お風呂に行ってきて下さい。」
「は……ひ……。」
メフィスちゃんは上手く返事が出来ていない。
分かった、余程お母さんの事が怖かったのね?
「ほら。お母さんはもう怒ってないみたいですよ?」
私が笑顔で手を差し伸べようとすると……
「ひぃぃぃ!! 殺さないで! お願いしますっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
必死に土下座し始めるメフィスちゃん。
えぇ……? もしかして、怖がられてる?
むしろ私が助けてあげたはずなのに……。なんて失礼な人なの。
というか、オシッコで出来た水溜りに顔がついちゃってるけど。
「あの……。」
誰かに止めてもらおうと声を掛けるが、配下の人達は全員が下を向いて、私と目を合わせないようにしていた。
皆酷くない?
「ふふっ……アリエンナったら怖がられてるわよ? もっと優しくしてあげないと。」
優しい対応をしなかったお母さんには言われたくないんだけど。
「何でアドンまで下を向いているんですか?」
「はっ! ごめんよ。咄嗟に恐怖が沸き上がってきてね。それよりも、メフィスを許してあげてくれないか?」
おかしくない? それだと私が凄く怖いみたいに聞こえるから、やめて欲しい。
後、許すも何も最初から怒ってなかったよ。
怒ってたのはお母さんの方なのに……。
「それはお母さんに言って下さい。私は止めてあげた側ですよ? 何で怖がられなければいけないんです?」
「えっと、予想外に強かったからだと思う。」
アドンは言い難そうに答えたけど、それは変よ。
「最初、アドンに勝ったって言ったじゃないですか。嘘だ嘘だって言うから強さを証明したのに、その態度はおかしくありませんか?」
メフィスちゃんが土下座の体勢のまま、体をビクリと震わせている。
「アリエンナ? 瞳孔が開いてるわよ?」
そんな事言ってる場合じゃないよ。お母さんも何か言ってやってよ。
「アリエンナちゃん、すまなかったね。うちのメフィスが失礼な事をした。」
アドンは悪くないから別に良いんだけど。まぁ、こうして謝ってもくれたから許してあげよう。
……アドンは。
「謝罪は受け入れますが、肝心の本人がこれでは……。」
無言で頭を下げ続ける女悪魔のメフィスちゃん。体をぷるぷると震えさせているけど、村人とは違った失礼さを感じる子ね。
「申し訳ありません! 気が動転して失礼な事をしました!」
「もう良いです。……お母さんが殴りかかった気持ちが良く分かりました。」
「でしょう? 失礼な人はどこまでいっても失礼だから、躾が必要なのよ。」
「お母さん。躾って言っても、あの威力じゃ死んじゃうよ?」
「大丈夫よ。悪魔は復活出来るんだし、死んで反省するのも良いんじゃないかしら?」
いっそそれもアリなのかなぁ……。
さっきから何かブッ叩きたくて仕方ないし、この人をブッ叩いちゃダメかな?
「……そうかも。」
そうぽつりと呟いた瞬間、アドンが土下座で謝ってきた。
「アリエンナちゃんとアリエーンちゃんには迷惑をかけた。どうか許して欲しい! この通りだよ。」
うーん……。
「……そこまでされたら許すしかないじゃないですか。」
魔界の最高戦力の一角、魔神にここまでされたら許さざるを得ない。
あまり責めると私が悪いみたいになっちゃうし。
「ありがとう。助かるよ。」
「アドンは顔を上げて下さい。メフィスちゃんはしばらくそのままで居ると良いと思います。」
「本当にすまなかったね。」
アドンはようやく顔を上げて立ち上がり、周囲を見渡して言った。
「こういうワケで、本当にこの2人は強い。僕がアリエンナちゃんの配下になったのも納得しただろ?」
魔神配下の人達は全員が下を向き、決して私とお母さんに目を合わせないようにしていた。
「皆さんちゃんと返事して下さいよ。こんなに優しくしてあげてるのに、下を向いてるなんて酷いじゃないですか。」
部屋の中が一瞬だけシンと静まり、魔神勢が口を開いた。
「す、すまないね。皆魔神より強い人なんて見た事が無いから、きっと驚いてるんだよ。」
「そう、そうよ。アリエンナちゃんが強すぎてビビってるだけだから、気にしないでね?」
「……何故アドンと戦った時よりも強くなっているのだ? アンリの孫よ。」
それで怖がられてたの?
力を見せなきゃ舐められるし、力を見せたら今度は怖がられるし、どうしろって言うのよ。
ムカついちゃうじゃない。
「アリエンナは昔から、イライラすると力が強くなるみたいなのよね。身体強化魔法を覚えた今、そちらにも影響があるのかもしれないわ。」
言われてみれば、イライラし出してから出力が上がっている気がする。
「まぁまぁ、そんなにイライラしないで? アリエンナちゃんは優しいから、もう怒らないでくれるわよね?」
「……はい。」
自分でも分かる。結構不貞腐れた返事をしてしまった。
「誰かアリエンナと戦ってくれる人いない?」
お母さん……。やっぱり娘の事を分かってくれるのね。
誰かいないかなぁ……。戦ってくれる人。
「納得してないみたいなので、本気を見せますね。」
私は身体強化魔法を今の出来る最大出力まで上げた。
このレベルまで強化すると、戦いたくてムズムズしてくる。無性に何かブッ叩きたい気分だわ。
「あっ……。」
目の前のメフィスちゃんが尻餅をついた状態で泣きそうな顔をしている。
「大丈夫? オシッコ漏らしちゃってるけど……。」
そっか。トイレを我慢出来なくて泣きそうだったのね。
「トイレに……」
でも、もう漏らしちゃってるし……なら、お風呂かな?
「お風呂に行ってきて下さい。」
「は……ひ……。」
メフィスちゃんは上手く返事が出来ていない。
分かった、余程お母さんの事が怖かったのね?
「ほら。お母さんはもう怒ってないみたいですよ?」
私が笑顔で手を差し伸べようとすると……
「ひぃぃぃ!! 殺さないで! お願いしますっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
必死に土下座し始めるメフィスちゃん。
えぇ……? もしかして、怖がられてる?
むしろ私が助けてあげたはずなのに……。なんて失礼な人なの。
というか、オシッコで出来た水溜りに顔がついちゃってるけど。
「あの……。」
誰かに止めてもらおうと声を掛けるが、配下の人達は全員が下を向いて、私と目を合わせないようにしていた。
皆酷くない?
「ふふっ……アリエンナったら怖がられてるわよ? もっと優しくしてあげないと。」
優しい対応をしなかったお母さんには言われたくないんだけど。
「何でアドンまで下を向いているんですか?」
「はっ! ごめんよ。咄嗟に恐怖が沸き上がってきてね。それよりも、メフィスを許してあげてくれないか?」
おかしくない? それだと私が凄く怖いみたいに聞こえるから、やめて欲しい。
後、許すも何も最初から怒ってなかったよ。
怒ってたのはお母さんの方なのに……。
「それはお母さんに言って下さい。私は止めてあげた側ですよ? 何で怖がられなければいけないんです?」
「えっと、予想外に強かったからだと思う。」
アドンは言い難そうに答えたけど、それは変よ。
「最初、アドンに勝ったって言ったじゃないですか。嘘だ嘘だって言うから強さを証明したのに、その態度はおかしくありませんか?」
メフィスちゃんが土下座の体勢のまま、体をビクリと震わせている。
「アリエンナ? 瞳孔が開いてるわよ?」
そんな事言ってる場合じゃないよ。お母さんも何か言ってやってよ。
「アリエンナちゃん、すまなかったね。うちのメフィスが失礼な事をした。」
アドンは悪くないから別に良いんだけど。まぁ、こうして謝ってもくれたから許してあげよう。
……アドンは。
「謝罪は受け入れますが、肝心の本人がこれでは……。」
無言で頭を下げ続ける女悪魔のメフィスちゃん。体をぷるぷると震えさせているけど、村人とは違った失礼さを感じる子ね。
「申し訳ありません! 気が動転して失礼な事をしました!」
「もう良いです。……お母さんが殴りかかった気持ちが良く分かりました。」
「でしょう? 失礼な人はどこまでいっても失礼だから、躾が必要なのよ。」
「お母さん。躾って言っても、あの威力じゃ死んじゃうよ?」
「大丈夫よ。悪魔は復活出来るんだし、死んで反省するのも良いんじゃないかしら?」
いっそそれもアリなのかなぁ……。
さっきから何かブッ叩きたくて仕方ないし、この人をブッ叩いちゃダメかな?
「……そうかも。」
そうぽつりと呟いた瞬間、アドンが土下座で謝ってきた。
「アリエンナちゃんとアリエーンちゃんには迷惑をかけた。どうか許して欲しい! この通りだよ。」
うーん……。
「……そこまでされたら許すしかないじゃないですか。」
魔界の最高戦力の一角、魔神にここまでされたら許さざるを得ない。
あまり責めると私が悪いみたいになっちゃうし。
「ありがとう。助かるよ。」
「アドンは顔を上げて下さい。メフィスちゃんはしばらくそのままで居ると良いと思います。」
「本当にすまなかったね。」
アドンはようやく顔を上げて立ち上がり、周囲を見渡して言った。
「こういうワケで、本当にこの2人は強い。僕がアリエンナちゃんの配下になったのも納得しただろ?」
魔神配下の人達は全員が下を向き、決して私とお母さんに目を合わせないようにしていた。
「皆さんちゃんと返事して下さいよ。こんなに優しくしてあげてるのに、下を向いてるなんて酷いじゃないですか。」
部屋の中が一瞬だけシンと静まり、魔神勢が口を開いた。
「す、すまないね。皆魔神より強い人なんて見た事が無いから、きっと驚いてるんだよ。」
「そう、そうよ。アリエンナちゃんが強すぎてビビってるだけだから、気にしないでね?」
「……何故アドンと戦った時よりも強くなっているのだ? アンリの孫よ。」
それで怖がられてたの?
力を見せなきゃ舐められるし、力を見せたら今度は怖がられるし、どうしろって言うのよ。
ムカついちゃうじゃない。
「アリエンナは昔から、イライラすると力が強くなるみたいなのよね。身体強化魔法を覚えた今、そちらにも影響があるのかもしれないわ。」
言われてみれば、イライラし出してから出力が上がっている気がする。
「まぁまぁ、そんなにイライラしないで? アリエンナちゃんは優しいから、もう怒らないでくれるわよね?」
「……はい。」
自分でも分かる。結構不貞腐れた返事をしてしまった。
「誰かアリエンナと戦ってくれる人いない?」
お母さん……。やっぱり娘の事を分かってくれるのね。
誰かいないかなぁ……。戦ってくれる人。
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