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聖女の暴力編
第52話 聖女の説得
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あれから私とお母さんは魔界事情を更に詳しくアンリさんに聞いた。
残りの魔神、ルシーフとバルバスについて。
魔神ルシーフは兎に角酒癖が悪く……飲む、酔う、暴れる、二日酔い、機嫌が悪くて再び暴れる、という事をひたすら繰り返す魔神だそうだ。
毎日何百という悪魔の民が犠牲になり、死んでいるらしい。
なんて奴なの……。絶対に許せない。
そして魔神バルバスは権力欲が強いらしく、才能のありそうな悪魔を片っ端から狩ってまわっているのだとか。
なんでも、魔神という権力を手放したくないそうで、その立場を脅かす可能性を許容できないそうだ。
「あいつら二体は本当に自分勝手だから、領土も近いしいずれにしても戦争にはなっていたでしょうね。」
どっちにしても戦争は避けられなかったんだ……。
考えてみれば当たり前か。むしろ、良く今まで戦争にならなかったと感心してしまうくらいだ。
「今度こそは私が戦いたいわ。母さん良いでしょ?」
アドンとは私が戦ったし、今回はお母さんに譲るのも仕方ないか。
「あの二体は最初から加減抜きの全力で向かって来るから、あまり戦わせたくないのよね……。」
アンリさんは渋い顔で難色を示す。
「ベーゼブは修行に付き合ってくれてたから加減はしてたし、アドンだってキノコ栽培? をアリエンナちゃんとしたいからって、最初は殺さないようにして戦ってくれたでしょ?」
「確かにその通りですね。」
「そういう事だから、全く加減しないあいつらと戦うなら全力の魔神相手でも瞬殺されない程度には力が必要よ。」
そうよね。いくらお母さんが戦いの中で成長するとは言っても、成長する暇もなく殺されてしまってはどうしようもない。
「帰ったぞ。」
「あら、お帰りなさい。」
ベーゼブとアドンが配下? の人達を連れて転移で帰ってきていた。
「皆がすぐ説得に応じてくれて助かったよ。」
「そうだな。まぁ、殺し合いはするなと言っておいたから当然と言えば当然なんだが。ついでにアンリの所の四天王も連れてきておいたぞ。」
「助かるわ。」
四天王の人達は縮こまっている。魔神が3体も居て緊張してるのかな?
幹部級と言うだけあって、皆強そうだわ。
「皆に紹介するよ。こちらのアリエンナちゃんが、今後僕の主人になる。」
室内が大きくざわめき、一部の悪魔は不満そうな顔をしている。
どうも納得がいっていないようね。
「アドン様! このような小娘に従うと言うのですか!?」
「勿論だとも。僕はこの子に負けちゃったからね。」
「負けた? オセロでですか?」
「戦いで。」
「まさか……色仕掛けですか? それとも、珍しいキノコでも貰ったんですか?」
「君は僕を何だと思ってるのさ。普通に戦いで負けたんだよ。」
多分、アドンの配下の人でしょうね。この人はどうすれば納得するのかしら……。
「……納得がいきません。どうせ卑怯な手を使ったに決まっています!」
「アドンの所の……メフィスちゃん? だったかしら。やめておいた方が良いわよ?」
「アンリ様、何故ですか? どう見てもそこの小娘は魔神を倒せるとは思えません。」
「アリエンナちゃんはアンリの孫なんだよ。」
アドン……今それを言ったら火に油を注ぐ事にならない?
「要するにアンリ様と手を組んで二対一で勝ったって事ですよね? しかも、隣にもう1人似た奴がいる…………三対一って事!? そんなの卑怯よ!!」
ビシっとお母さんを指さすメフィス……ちゃん?
うーん。そんな事言われても……本当に勝ったんだけどな。
「嘘じゃないわよ? うちの娘は強いんだから。」
「嘘よ! 絶対嘘! 私と同じくらいにしか見えないじゃない!」
お母さんにあまり口答えしない方が良いと思うよ?
四天王の人達は顔を青くし、3歩その場から後ろに下がっている。
「私がいつ嘘をついたって言うの?」
あっ……お母さんが怒りそう。
「今よ! 今も嘘をつき続けてるじゃない!」
「何で私が嘘をつかなきゃいけないのよ。意味が分からないわ。ぷちっと潰しておこうかしら……。」
身体強化魔法の出力を一気に引き上げ、メフィスちゃんに襲い掛かるお母さん。
マズっ……
ドォォォン!!
私は間一髪、メフィスちゃんとお母さんの間に割って入る事が出来た。
ふぅ、危ない危ない。危うくお母さんが仲間をミンチにしちゃうところだったわ。
「アリエンナ? どうして邪魔をするの?」
「お母さん。仲間を殺したらダメってアンリさんが言ってたでしょ?」
「あぁ……なんかそんな事言ってたわね。忘れてたわ。」
「もう、お母さんったら。うっかりなんだから。」
「ふふっ、そうね。アリエンナに教えられちゃったわ。」
良かった。
お母さんはさっきベーゼブと戦ってストレス解消出来てるから、すぐに思いとどまってくれた。
「見ての通りだ。この2人は戦闘力を自在に操る事が出来るようで、一見魔神と戦えそうには見えんかもしれんが強い。」
「そういう事。特にアリエンナちゃんは、僕を倒せるレベルまで戦闘力が上がるんだ。驚いた?」
ベーゼブとアドンが補足説明してくれている。
それにしても、何で皆黙るの?
残りの魔神、ルシーフとバルバスについて。
魔神ルシーフは兎に角酒癖が悪く……飲む、酔う、暴れる、二日酔い、機嫌が悪くて再び暴れる、という事をひたすら繰り返す魔神だそうだ。
毎日何百という悪魔の民が犠牲になり、死んでいるらしい。
なんて奴なの……。絶対に許せない。
そして魔神バルバスは権力欲が強いらしく、才能のありそうな悪魔を片っ端から狩ってまわっているのだとか。
なんでも、魔神という権力を手放したくないそうで、その立場を脅かす可能性を許容できないそうだ。
「あいつら二体は本当に自分勝手だから、領土も近いしいずれにしても戦争にはなっていたでしょうね。」
どっちにしても戦争は避けられなかったんだ……。
考えてみれば当たり前か。むしろ、良く今まで戦争にならなかったと感心してしまうくらいだ。
「今度こそは私が戦いたいわ。母さん良いでしょ?」
アドンとは私が戦ったし、今回はお母さんに譲るのも仕方ないか。
「あの二体は最初から加減抜きの全力で向かって来るから、あまり戦わせたくないのよね……。」
アンリさんは渋い顔で難色を示す。
「ベーゼブは修行に付き合ってくれてたから加減はしてたし、アドンだってキノコ栽培? をアリエンナちゃんとしたいからって、最初は殺さないようにして戦ってくれたでしょ?」
「確かにその通りですね。」
「そういう事だから、全く加減しないあいつらと戦うなら全力の魔神相手でも瞬殺されない程度には力が必要よ。」
そうよね。いくらお母さんが戦いの中で成長するとは言っても、成長する暇もなく殺されてしまってはどうしようもない。
「帰ったぞ。」
「あら、お帰りなさい。」
ベーゼブとアドンが配下? の人達を連れて転移で帰ってきていた。
「皆がすぐ説得に応じてくれて助かったよ。」
「そうだな。まぁ、殺し合いはするなと言っておいたから当然と言えば当然なんだが。ついでにアンリの所の四天王も連れてきておいたぞ。」
「助かるわ。」
四天王の人達は縮こまっている。魔神が3体も居て緊張してるのかな?
幹部級と言うだけあって、皆強そうだわ。
「皆に紹介するよ。こちらのアリエンナちゃんが、今後僕の主人になる。」
室内が大きくざわめき、一部の悪魔は不満そうな顔をしている。
どうも納得がいっていないようね。
「アドン様! このような小娘に従うと言うのですか!?」
「勿論だとも。僕はこの子に負けちゃったからね。」
「負けた? オセロでですか?」
「戦いで。」
「まさか……色仕掛けですか? それとも、珍しいキノコでも貰ったんですか?」
「君は僕を何だと思ってるのさ。普通に戦いで負けたんだよ。」
多分、アドンの配下の人でしょうね。この人はどうすれば納得するのかしら……。
「……納得がいきません。どうせ卑怯な手を使ったに決まっています!」
「アドンの所の……メフィスちゃん? だったかしら。やめておいた方が良いわよ?」
「アンリ様、何故ですか? どう見てもそこの小娘は魔神を倒せるとは思えません。」
「アリエンナちゃんはアンリの孫なんだよ。」
アドン……今それを言ったら火に油を注ぐ事にならない?
「要するにアンリ様と手を組んで二対一で勝ったって事ですよね? しかも、隣にもう1人似た奴がいる…………三対一って事!? そんなの卑怯よ!!」
ビシっとお母さんを指さすメフィス……ちゃん?
うーん。そんな事言われても……本当に勝ったんだけどな。
「嘘じゃないわよ? うちの娘は強いんだから。」
「嘘よ! 絶対嘘! 私と同じくらいにしか見えないじゃない!」
お母さんにあまり口答えしない方が良いと思うよ?
四天王の人達は顔を青くし、3歩その場から後ろに下がっている。
「私がいつ嘘をついたって言うの?」
あっ……お母さんが怒りそう。
「今よ! 今も嘘をつき続けてるじゃない!」
「何で私が嘘をつかなきゃいけないのよ。意味が分からないわ。ぷちっと潰しておこうかしら……。」
身体強化魔法の出力を一気に引き上げ、メフィスちゃんに襲い掛かるお母さん。
マズっ……
ドォォォン!!
私は間一髪、メフィスちゃんとお母さんの間に割って入る事が出来た。
ふぅ、危ない危ない。危うくお母さんが仲間をミンチにしちゃうところだったわ。
「アリエンナ? どうして邪魔をするの?」
「お母さん。仲間を殺したらダメってアンリさんが言ってたでしょ?」
「あぁ……なんかそんな事言ってたわね。忘れてたわ。」
「もう、お母さんったら。うっかりなんだから。」
「ふふっ、そうね。アリエンナに教えられちゃったわ。」
良かった。
お母さんはさっきベーゼブと戦ってストレス解消出来てるから、すぐに思いとどまってくれた。
「見ての通りだ。この2人は戦闘力を自在に操る事が出来るようで、一見魔神と戦えそうには見えんかもしれんが強い。」
「そういう事。特にアリエンナちゃんは、僕を倒せるレベルまで戦闘力が上がるんだ。驚いた?」
ベーゼブとアドンが補足説明してくれている。
それにしても、何で皆黙るの?
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