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夫婦円満の秘訣編

11 ヒモですわ 前編

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 あの後、一日をかけて販売と予約の受け付けを行った。

 在庫分の売り上げが金貨50枚。そしてあの時点での予約分を販売すれば、金貨400枚以上の売り上げになる。

(ヒット間違いなしと思ってはいましたが、想定を上回る勢いでしたわ。)

「ただ……人手が足りませんわ。」

 予約を受け付けたは良いものの、生産が追い付かない。大行列を捌いてから二日……こうしている間にも注文が殺到している。

「他の工房も買収しましょう。今ならばあの噂が流れて事業が下火になっている事ですし……。」

 セリアは元々、他の工房の買収を考えていた。商会巡りをしている際、兵士達に違法金利の噂を流すよう命じていたのはその為だ。

(こんなに早くから買収する事は考えていませんでしたが……。)

「今ならば丁度、事業ごと買い叩く事は難しくありませんわね。」


 セリアは、ライフ商会とアイジー商会から魔道具事業を買い取り、現在のセリア魔道具工房が吸収する形での合併を行った。

 そして僅か一ヶ月でベリオーテ家の借金を完済する。その後も魔道具事業はどんどん拡大し、国内トップの魔道具工房へと成長を遂げる。

 セリア魔道具工房は既に、ベリオーテ公爵領の年間税収を上回る利益を叩き出すようになってしまっているのだ。

 彼女は来る日も来る日も午前は仕事をし、午後からはキャロルと遊び、夜はケイスで遊ぶ。

 そんな充実した生活を送っていた。

 そして結婚してから一年が経ったある日……


「旦那様? どうかしまして?」

 ケイスは最近セリアにべったりだ。四六時中一緒に行動しようと、付いて歩くようになってしまっていた。

(流石にちゃんと仕事もして欲しいですわね。)

「特にどうもしないさ。」

 そんなワケはない。常にセリアのどこかしらを触っている。

(また意地悪してみましょう。)

「マリアージュ様はよろしいんですの?」

「え?」

「だからマリアージュ様ですわ。旦那様の愛する人、ですわよね?」

「な、なんで君がその名を知っているんだ?」
「な、なんで君がその名を知っているんだ……ですか?」

 セリアが全く同じ事を被せて言うと、ケイスは顔を青ざめさせている。

(面白いですわ。)

「勿論最初から存じ上げておりましたが。言っていませんでしたか?」

「聞いてません。」

(なぜ敬語を……?)
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