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⌘2章 高貴なる人質 《こうきなるひとじち》
34.青菫色の夕暮れ
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コリンは自分でも驚いたが、食事を全て平らげた。
「・・・素晴らしい料理人をお持ちでいらっしゃる」
素直に称賛すると残雪が笑った。
「あら、褒められた!」
「だからって、雪様がやることないのに」
「だって、2人ともできないじゃない」
と言い合っている。
母国語ではなくこちらの言葉で話すのは、自分への配慮と、何かいらぬ疑いを持たれぬ為だろう。
「・・・まさか、これは特使殿が作られた・・・?」
「そうなの。お口に合うようで安心したわ」
ストップウォッチや温度計を睨みながらの特訓でお茶はいれられるようになった駒鳥が、可愛らしい星が輝く柄のカップを運んで来て、ソファで寛ぐ主人と客人のテーブルにそっと置いた。
「・・・特使殿、料理人が必要ならこちらで用意します、いや、公邸に来て頂けたら、食事だって」
わかっております、と残雪が頷いた。
「でも、よろしいのよ。私はしばらくここで暮らすのだもの。生活の身の回りのことはこちらでします。まあ、そちらに出向いた際は、あれこれお願いするかもしれないけど」
残雪は立ち上がるとテーブルの皿を洗い場に運んだ。
とりあえず皿を洗えるようになった蜂鳥が、とんでもない量の泡と格闘しながら皿洗いをしている。
「・・・蜂っちゃん、そんなに洗剤入れて車でも洗うの?」
と残雪が吹き出した。
「だって雪様、ちゃんと洗えないかもしれないじゃないですか!?」
不思議な気持ちでコリンは残雪を眺めた。
家令とは、こんなに距離が近いものなのだろうか。
まるで、親子や兄弟姉妹のようだ。
残雪がソファに戻り、居住まいを正した。
「分析官さん。いえ、皆さんにも申し訳ないとは思っているのよ。話が違うって。いろいろ準備もして頂いていたわけだし」
コリンが首を振った。
「・・・確かに少々動揺はしましたが。正直、ほっとした部分もあります。そちらの国と違い、継室や公式寵姫という制度こそありませんが・・・無い分、なんと言うか、厄介なんです」
この国は、元首すら厳格な一夫一妻制。
しかし、例外は無いとは言えない。
どんな場所、どんな時代もそうであるように。
実際、元首にも複数の恋人がいる。
彼は悪い人間では決してないのだ。
亡命政府を樹立し、乱れに乱れた国に身ひとつで戻り国体を立て直すまでに至った。
政治的手腕、人格、また人間的魅力から、信頼も厚く、国民の支持もかつてない程に高い。
今回、残雪を迎えるに当たり、正式に公邸内に特使のオフィスと生活の場を与えるということであったが、それは遠回しに愛人候補だ。
その事に彼の妻はずいぶん神経質になっていた。
苦しんでいるのは妻ばかり、しかも彼女だけが正しいのに。
それを間近で長く見てきて、やはり気の毒だった。
実は誰もが、残雪が、生活の場は別とすると言い出したのに、戸惑いつつも安堵したのだ。
公邸に関わる人々、彼の妻、そして愛人達も。
特に自分は、友人夫妻の私生活をこれ以上乱したくはない。
「・・・貴女がどの程度、我々の事をご存じなのか存じ上げないのですが。我々は革命後の最後の生き残りなのです。軍隊が国を覆し、その後は知識階級が身内の粛清を始めた。私の父も、とても公正とは言えない裁判の後に処刑場に送られました。私と兄はアダム、元首一家と一時亡命して過ごしまして。アダムも私の兄もいつ届くかはわからない追手や召集状に怯える日々でしてね」
まるで狂気が蔓延したかのように、国は燃え、乱れた。
ほぼ無関係の人間や、女子供すら、流れ作業のような〝平等な裁判の権利に与あずかった〟後に、処刑されたのだ。
残雪がそっと目を伏せた。
「・・・前の大統領がお亡くなりになって後は、大変な事だと聞き及んでおりましたけれど、それ程でしたか」
蜂鳥と駒鳥も押し黙っていた。
「フィンはまだ小さかったけれど何も分からない年齢では無い。毎日、父親が処刑場に呼ばれていくのでは無いかと怯えて暮らした日々は、彼にとっても辛いものだったでしょう」
だから、あの少年は人質と言う人事に頷いたのだろう。
自分が、父の、ひいては家族の平安の国の役に立つならと。
「夫妻は私の友人でもあります。私としても貴女の配慮は助かります。・・・フィンも両親を心配していたから」
空港で手を離した瞬間を、何度も思い出す。
たった一人で、家族や、まだ若いこの国の為に精一杯の勇気を振り絞って旅立ったあの少年の平安を願う。
残雪は、フィンに貴方が居てくれて良かったと言って微笑んだ。
「フィンと同じ年頃の家令の男の子がいるんですよ。この蜂鳥や駒鳥の弟弟子なんです。きっとフィンと友達になれるんじゃないかなあと思うの」
家令の姉弟も頷いた。
「花鶏はまだ若いけど、宮廷の使いもしますし、神殿で神官職としても仕えています。お役に立てる事でしょう」
「意地悪な貴族連中にだってあの子は負けてませんわ。大丈夫です。何せ、私達世代は貴族の方よりもっと底意地の悪い、悪魔みたいな双子の姉弟子で鍛えられてますから」
太鼓判を押すのに残雪は笑い、コリンは自分は励まされたのだと気づくと苦笑した。
「・・・それから、特使殿。気がかりがもう一つ」
言い辛そうにしているのに、残雪が促した。
「・・・公邸の人間、特に女性達が貴女が来るのを待ちかねているのですが。皆、貴女の国の宮廷の様子が気になる。となると、どうしても、先の女皇帝陛下の話になる事でしょう。貴女が先の女公皇帝陛下は優しい方だったと仰ったと聞きました。・・・その方を喪ったのは我々が原因でもある。それなのに、その方の話をいくらでもせよと言われるのはお辛いと思うのです」
何せ、彼女の娘に母乳をあげたのはその女皇帝だと言うでは無いか。
それはやはり、特別な存在であるだろう。
「ああ、でもどうか、彼女達は無礼かもしれないけれど、無神経だとか意地悪だと思わないで頂きたいんです。・・・まだ、いろいろな事を知らないのです」
コリンの脳裏にサマーの顔が浮かんだ。
若く、率直で純真で素直な輝くばかりの彼女。
生まれ変わりつつあるこの国は、彼女のようにまだ若く、未熟。
だけど、それは希望でもある。
「特に、彼らの父や兄弟や夫。中には女性もいるわけですが。革命に関わった家族がいる者も多い。・・・自分達がしたのは全て正しい事だと信じている者もいる。そう言った気持ちはどうしても言葉や行動に出るものです。あなたはそれに傷つく事もあると思う」
残雪は少し驚いてコリンを見た。
こんな事を気に病んでいた人間がいたのか。
蛍石の思い出を問われる程に、話せる喜びと同じくらい悲しい気持ちもあったのも事実。
「・・・いい意味でね。女が少しくらい鈍感なのは幸せという事です。大丈夫。でも、ありがとうございます」
残雪は、テーブルの林檎をナイフで器用に剥いて、コリンや蜂鳥や駒鳥に差し出しながら、早朝に農家市場に行って来たのだと楽し気に話した。
大きく取られた窓から見える夕暮れが西の空を美しく染めていた。
「きれいな夕焼けねえ。明日もお天気がいいといいけれど。・・・あら、あなたも葡萄色ね」
コリンの瞳が、珍しい夕暮れのような青菫色であるのを、今、気付いたと言うように残雪が微笑んだ。
「・・・素晴らしい料理人をお持ちでいらっしゃる」
素直に称賛すると残雪が笑った。
「あら、褒められた!」
「だからって、雪様がやることないのに」
「だって、2人ともできないじゃない」
と言い合っている。
母国語ではなくこちらの言葉で話すのは、自分への配慮と、何かいらぬ疑いを持たれぬ為だろう。
「・・・まさか、これは特使殿が作られた・・・?」
「そうなの。お口に合うようで安心したわ」
ストップウォッチや温度計を睨みながらの特訓でお茶はいれられるようになった駒鳥が、可愛らしい星が輝く柄のカップを運んで来て、ソファで寛ぐ主人と客人のテーブルにそっと置いた。
「・・・特使殿、料理人が必要ならこちらで用意します、いや、公邸に来て頂けたら、食事だって」
わかっております、と残雪が頷いた。
「でも、よろしいのよ。私はしばらくここで暮らすのだもの。生活の身の回りのことはこちらでします。まあ、そちらに出向いた際は、あれこれお願いするかもしれないけど」
残雪は立ち上がるとテーブルの皿を洗い場に運んだ。
とりあえず皿を洗えるようになった蜂鳥が、とんでもない量の泡と格闘しながら皿洗いをしている。
「・・・蜂っちゃん、そんなに洗剤入れて車でも洗うの?」
と残雪が吹き出した。
「だって雪様、ちゃんと洗えないかもしれないじゃないですか!?」
不思議な気持ちでコリンは残雪を眺めた。
家令とは、こんなに距離が近いものなのだろうか。
まるで、親子や兄弟姉妹のようだ。
残雪がソファに戻り、居住まいを正した。
「分析官さん。いえ、皆さんにも申し訳ないとは思っているのよ。話が違うって。いろいろ準備もして頂いていたわけだし」
コリンが首を振った。
「・・・確かに少々動揺はしましたが。正直、ほっとした部分もあります。そちらの国と違い、継室や公式寵姫という制度こそありませんが・・・無い分、なんと言うか、厄介なんです」
この国は、元首すら厳格な一夫一妻制。
しかし、例外は無いとは言えない。
どんな場所、どんな時代もそうであるように。
実際、元首にも複数の恋人がいる。
彼は悪い人間では決してないのだ。
亡命政府を樹立し、乱れに乱れた国に身ひとつで戻り国体を立て直すまでに至った。
政治的手腕、人格、また人間的魅力から、信頼も厚く、国民の支持もかつてない程に高い。
今回、残雪を迎えるに当たり、正式に公邸内に特使のオフィスと生活の場を与えるということであったが、それは遠回しに愛人候補だ。
その事に彼の妻はずいぶん神経質になっていた。
苦しんでいるのは妻ばかり、しかも彼女だけが正しいのに。
それを間近で長く見てきて、やはり気の毒だった。
実は誰もが、残雪が、生活の場は別とすると言い出したのに、戸惑いつつも安堵したのだ。
公邸に関わる人々、彼の妻、そして愛人達も。
特に自分は、友人夫妻の私生活をこれ以上乱したくはない。
「・・・貴女がどの程度、我々の事をご存じなのか存じ上げないのですが。我々は革命後の最後の生き残りなのです。軍隊が国を覆し、その後は知識階級が身内の粛清を始めた。私の父も、とても公正とは言えない裁判の後に処刑場に送られました。私と兄はアダム、元首一家と一時亡命して過ごしまして。アダムも私の兄もいつ届くかはわからない追手や召集状に怯える日々でしてね」
まるで狂気が蔓延したかのように、国は燃え、乱れた。
ほぼ無関係の人間や、女子供すら、流れ作業のような〝平等な裁判の権利に与あずかった〟後に、処刑されたのだ。
残雪がそっと目を伏せた。
「・・・前の大統領がお亡くなりになって後は、大変な事だと聞き及んでおりましたけれど、それ程でしたか」
蜂鳥と駒鳥も押し黙っていた。
「フィンはまだ小さかったけれど何も分からない年齢では無い。毎日、父親が処刑場に呼ばれていくのでは無いかと怯えて暮らした日々は、彼にとっても辛いものだったでしょう」
だから、あの少年は人質と言う人事に頷いたのだろう。
自分が、父の、ひいては家族の平安の国の役に立つならと。
「夫妻は私の友人でもあります。私としても貴女の配慮は助かります。・・・フィンも両親を心配していたから」
空港で手を離した瞬間を、何度も思い出す。
たった一人で、家族や、まだ若いこの国の為に精一杯の勇気を振り絞って旅立ったあの少年の平安を願う。
残雪は、フィンに貴方が居てくれて良かったと言って微笑んだ。
「フィンと同じ年頃の家令の男の子がいるんですよ。この蜂鳥や駒鳥の弟弟子なんです。きっとフィンと友達になれるんじゃないかなあと思うの」
家令の姉弟も頷いた。
「花鶏はまだ若いけど、宮廷の使いもしますし、神殿で神官職としても仕えています。お役に立てる事でしょう」
「意地悪な貴族連中にだってあの子は負けてませんわ。大丈夫です。何せ、私達世代は貴族の方よりもっと底意地の悪い、悪魔みたいな双子の姉弟子で鍛えられてますから」
太鼓判を押すのに残雪は笑い、コリンは自分は励まされたのだと気づくと苦笑した。
「・・・それから、特使殿。気がかりがもう一つ」
言い辛そうにしているのに、残雪が促した。
「・・・公邸の人間、特に女性達が貴女が来るのを待ちかねているのですが。皆、貴女の国の宮廷の様子が気になる。となると、どうしても、先の女皇帝陛下の話になる事でしょう。貴女が先の女公皇帝陛下は優しい方だったと仰ったと聞きました。・・・その方を喪ったのは我々が原因でもある。それなのに、その方の話をいくらでもせよと言われるのはお辛いと思うのです」
何せ、彼女の娘に母乳をあげたのはその女皇帝だと言うでは無いか。
それはやはり、特別な存在であるだろう。
「ああ、でもどうか、彼女達は無礼かもしれないけれど、無神経だとか意地悪だと思わないで頂きたいんです。・・・まだ、いろいろな事を知らないのです」
コリンの脳裏にサマーの顔が浮かんだ。
若く、率直で純真で素直な輝くばかりの彼女。
生まれ変わりつつあるこの国は、彼女のようにまだ若く、未熟。
だけど、それは希望でもある。
「特に、彼らの父や兄弟や夫。中には女性もいるわけですが。革命に関わった家族がいる者も多い。・・・自分達がしたのは全て正しい事だと信じている者もいる。そう言った気持ちはどうしても言葉や行動に出るものです。あなたはそれに傷つく事もあると思う」
残雪は少し驚いてコリンを見た。
こんな事を気に病んでいた人間がいたのか。
蛍石の思い出を問われる程に、話せる喜びと同じくらい悲しい気持ちもあったのも事実。
「・・・いい意味でね。女が少しくらい鈍感なのは幸せという事です。大丈夫。でも、ありがとうございます」
残雪は、テーブルの林檎をナイフで器用に剥いて、コリンや蜂鳥や駒鳥に差し出しながら、早朝に農家市場に行って来たのだと楽し気に話した。
大きく取られた窓から見える夕暮れが西の空を美しく染めていた。
「きれいな夕焼けねえ。明日もお天気がいいといいけれど。・・・あら、あなたも葡萄色ね」
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