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⌘1章 雲母の水底 《きららのみなぞこ》
15.罪を賜る
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夜になり、后妃の事を切り出した残雪に蛍石が悲鳴を上げた。
「雪は、そんなこと気にしなくていいのよ!病気になっちゃう!」
本気で言っているのだ。
「蛍、でも、私、情報を遮断されたようで、不安だわ」
「そんなつもりはないのよ?!ただ、悪いことで雪の耳を汚したくなかったの。気持ちを騒がせたくなかったの。精神的なストレスで病気になったりしたら大変でしょ」
「私、ハムスターとかじゃない」
「だから言ったでしょう。新聞とテレビは必要ですって」
五位鷺が言った。
「だめよ!音や文字の無遠慮な事ったらないわ。雪の目や耳を汚して、気持ちが傷つくわ!・・・それでなくとも、ギルドの情報網って、すごいでしょ。・・・これは悪口じゃないの。でも、きっと今日叔母様から聞いたのでしょう?・・・議会でもギルド連中ってびっくりするような情報持ってくるもの」
「そう。そしてその正確な事。元老院のジジイ共もボンボン共も面白い顔してギルドが持って来た書類眺めてるもの」
五位鷺が愉快そうに言った。
「そして驚くべき事は、ギルド議長が糾弾もされず恨まれもせず。大した御仁だね、岳父殿は」
「情報はお商売のキモだし、恨まれていては長くお取引出来ませんからね」
村長様よろしくまあまあと言って周りをまとめ、時に周囲の感情を煙に巻くであろう議会での父を想像して残雪はおかしくなって笑った。
「私、お義母様方にはお会いしたいし、雪にも会わせたいんだけど。兎にも角にも私にいい印象を持って頂きたいからね。でも、同じくらい不安なの。きっと・・・私の悪い話も聞くかもしれないから。五位鷺だってそうよ?でも、私の悪い話の半分以上は、ほとんどが嘘や誇張なのよ?五位鷺の悪評の3分の2は本当だとしても」
「え?ちょっと、それは・・・」
五位鷺が蛍石の都合のいい話に反論した。
「自分の娘の夫がそんな悪人だと知るのは、ご家族だって辛いでしょうし」
「いやいや、あのですね・・・」
残雪は思い切ったように口を開いた。
「ねぇ、蛍、私、お后妃様方にお会いしたことはないけれど」
身分というものが厳然としてある宮廷において、后妃にもその公主や太子にも目通りは叶わなかった。
「楸様と柊様の事は・・・」
蛍石がだめよ、と声を密めた。
「そんな悪い名前を呼んじゃダメ。雪の健康に悪いから」
困惑して残雪は五位鷺を見た。
けれど、彼も同意見のようだ。
「・・・ならこれだけ。ご継室様方のお子様はどうしているの」
ああ、それ?と蛍石が言った。
「子供は、三人とも正室が育てることになったの」
正室の竜胆に預けられた。
「三人?」
蛍石の子供は、正室に一人、三妃の間に一人。
「皇后様の冷宮が解かれてすぐに公主様は離宮からお戻りになって、廃三妃との太子様は廃嫡になったんだよ。あまりな事件だからね」
「もう1人は廃二妃の楸と女官の間の子よ。ほら、女官も罪に問われたでしょう?太子と乳母に危害を加えたのだから、それは当然」
残雪がため息をついた。
男継室の隠し子か。
遠縁に預けられていたが、母親が断罪されて亡くなり、父親の実家からは認められずにいよいよ行く先が無くなったそうだ。
そもそも父親の実家も事実上の取り潰しだ。
それを知った蛍石が、皇后に身柄を預けたらしい。
「自分がしたんだから、自分で責任取るべきよ」
蛍石が冷たく言った。
后妃は後宮のなんたるかを分かって入宮したのだから。
王族や廷臣、家令は、その規律や思想に守られ縛られ生きて、場合によっては死んでいく。
それを当然、と言うのは女皇帝ならばそれこそ正しい。宮宰である総家令も当然同意見。
けれど、その子は?
親は勝手に生きて、勝手に死んだ。
宮城に関わって生きるとは、その栄華の一端に触れる事もあるが、何かあればすり潰される事もあると言う事。
以前、十一がそう言ったのは誇張や恫喝や嫌味では無く、事実なのだと、残雪は恐ろしくも悲しくも思う。
特殊な立場の大人達が自分達の都合で作り上げた世界のルールに従って生きて死んで、それは正しいのかもしれない。
でもその子ども達が、そのメルヘンに巻き込まれて、それが正しいからと苦しみ死んで行くのは正しいのか。
蛍石が残雪の頬に触れた。
「ギルドったら本当になんでも知ってるから多分聞いたんでしょうけど。・・・皇后が妃達に女官を斡旋していたのも本当よ」
五位鷺が呆れたもんだと吐き捨てた。
「皇后が、自分のお気に入りを飽きたら妃に払い下げてたと言う事だ」
ああ、なんと救いようの無い話。
残雪が息を飲んだ。
「・・・なんて下世話な事言うのよ!そんな話聞いたら、雪の血がドロドロになって血管が詰まるわ。・・・雪、ねぇ、この話はもうおしまい。・・・でも私が冷たいからじゃないのよ?」
冷たい云々より、面倒くさくなったのではあろうと五位鷺は思った。
残雪は、年の頃ならおそらく春北斗や銀星と同じ年頃であろうその子供の今を思い、心細くなった。
「五位鷺、お願いがあるの」
「ダメだよ。ご継室の子たちはここには呼べない」
五位鷺が首を振った。
優しい残雪がきっと何か言い出すからと蛍石に釘を刺されていた。
残雪は家令の子供達を宮廷から度々呼招よんでは自由に過ごさせていた。
銀星や春北斗の遊び相手として丁度良いし、何より幼い子供が親から離れて宮廷でのみ育つ家令の習慣が心配だったからだ。
「雪。廃妃、廃嫡というのはね。つまり背信罪という事。その罪の子を預けられたという事は、ご正室には、死なずにその罪を贖う義務と権利があるということ。罪を賜ったんだから」
罪を賜る、という言葉に残雪はざらりとした苦いものを感じた。
五位鷺がため息をついた。
「・・・廃三妃の第一太子様は、蛍石様の代では難しいけど。次の皇帝の代なら、恩赦を頂いて爵位を賜る事も出来るかもしれない」
それはあまりにも低い可能性だけれど、確かに希望だ。
ゆりかごに火を放ったという女官。
継室に自分の子と認められず、処理しろと言われ、そうしたと告げたらまた寵愛されたらしい。
裁判にもならぬ取り調べで、ではなぜその子を実際処理しなかったのかと問われ、彼女は、そんなのただの嫌がらせと言ったらしい。
彼女もやはりそもそもは皇后に仕えていたが、二妃に与えられたそうだ。
それこそ、物のように。
「私の、たった一つの、あの男達にできる復讐」
女官はそう言い残して、断罪され死んでいったそうだ。
その話を残雪にした春北風はその女官もその子も哀れだと嘆いていた。
そう、なんと愚かで、悲しい話だろう。
そして、その子は継室の私生児どころか隠し子だ。
父親が貴族であろうが、皇帝の子でもないその子を、事件に関わった皇后がそして後宮がどう扱うか。
女皇帝と三妃の子は、廃されたといは言え、いずれ爵位を賜り貴族に復位するかもしれない。
しかし、二妃と女官の子は、まさに罪の子だ。
まだ五歳だと言うではないか。
残雪は夫をまっすぐに見据えた。
自分のこの思いが、響け、叶え、と願いながら。
「・・・五位鷺、その子を家令にする事は出来るはずよね」
家令ならば、身の上は問われない。
総家令の意思ひとつだ。皇帝の許諾の必要が無い。
五位鷺が驚いて残雪を見つめ返した。
「家令のシステムって、きっとそういう救済の意味もあるんじゃないのと思うの。・・・ねぇ、雛鳥のうちから大事にしてあげましょうよ。きっといい家令になるわ。だって貴方の弟弟子になるのだもの」
五位鷺は改めて彼女に目を付けた女皇帝と、残雪を妻にした自分に得々たる気持ちになった。
「・・・残雪、君こそ、家令であったら我々にどれほどの利益であったろう・・・」
つい、口から出た言葉に残雪は、吹き出した。
「雪は、そんなこと気にしなくていいのよ!病気になっちゃう!」
本気で言っているのだ。
「蛍、でも、私、情報を遮断されたようで、不安だわ」
「そんなつもりはないのよ?!ただ、悪いことで雪の耳を汚したくなかったの。気持ちを騒がせたくなかったの。精神的なストレスで病気になったりしたら大変でしょ」
「私、ハムスターとかじゃない」
「だから言ったでしょう。新聞とテレビは必要ですって」
五位鷺が言った。
「だめよ!音や文字の無遠慮な事ったらないわ。雪の目や耳を汚して、気持ちが傷つくわ!・・・それでなくとも、ギルドの情報網って、すごいでしょ。・・・これは悪口じゃないの。でも、きっと今日叔母様から聞いたのでしょう?・・・議会でもギルド連中ってびっくりするような情報持ってくるもの」
「そう。そしてその正確な事。元老院のジジイ共もボンボン共も面白い顔してギルドが持って来た書類眺めてるもの」
五位鷺が愉快そうに言った。
「そして驚くべき事は、ギルド議長が糾弾もされず恨まれもせず。大した御仁だね、岳父殿は」
「情報はお商売のキモだし、恨まれていては長くお取引出来ませんからね」
村長様よろしくまあまあと言って周りをまとめ、時に周囲の感情を煙に巻くであろう議会での父を想像して残雪はおかしくなって笑った。
「私、お義母様方にはお会いしたいし、雪にも会わせたいんだけど。兎にも角にも私にいい印象を持って頂きたいからね。でも、同じくらい不安なの。きっと・・・私の悪い話も聞くかもしれないから。五位鷺だってそうよ?でも、私の悪い話の半分以上は、ほとんどが嘘や誇張なのよ?五位鷺の悪評の3分の2は本当だとしても」
「え?ちょっと、それは・・・」
五位鷺が蛍石の都合のいい話に反論した。
「自分の娘の夫がそんな悪人だと知るのは、ご家族だって辛いでしょうし」
「いやいや、あのですね・・・」
残雪は思い切ったように口を開いた。
「ねぇ、蛍、私、お后妃様方にお会いしたことはないけれど」
身分というものが厳然としてある宮廷において、后妃にもその公主や太子にも目通りは叶わなかった。
「楸様と柊様の事は・・・」
蛍石がだめよ、と声を密めた。
「そんな悪い名前を呼んじゃダメ。雪の健康に悪いから」
困惑して残雪は五位鷺を見た。
けれど、彼も同意見のようだ。
「・・・ならこれだけ。ご継室様方のお子様はどうしているの」
ああ、それ?と蛍石が言った。
「子供は、三人とも正室が育てることになったの」
正室の竜胆に預けられた。
「三人?」
蛍石の子供は、正室に一人、三妃の間に一人。
「皇后様の冷宮が解かれてすぐに公主様は離宮からお戻りになって、廃三妃との太子様は廃嫡になったんだよ。あまりな事件だからね」
「もう1人は廃二妃の楸と女官の間の子よ。ほら、女官も罪に問われたでしょう?太子と乳母に危害を加えたのだから、それは当然」
残雪がため息をついた。
男継室の隠し子か。
遠縁に預けられていたが、母親が断罪されて亡くなり、父親の実家からは認められずにいよいよ行く先が無くなったそうだ。
そもそも父親の実家も事実上の取り潰しだ。
それを知った蛍石が、皇后に身柄を預けたらしい。
「自分がしたんだから、自分で責任取るべきよ」
蛍石が冷たく言った。
后妃は後宮のなんたるかを分かって入宮したのだから。
王族や廷臣、家令は、その規律や思想に守られ縛られ生きて、場合によっては死んでいく。
それを当然、と言うのは女皇帝ならばそれこそ正しい。宮宰である総家令も当然同意見。
けれど、その子は?
親は勝手に生きて、勝手に死んだ。
宮城に関わって生きるとは、その栄華の一端に触れる事もあるが、何かあればすり潰される事もあると言う事。
以前、十一がそう言ったのは誇張や恫喝や嫌味では無く、事実なのだと、残雪は恐ろしくも悲しくも思う。
特殊な立場の大人達が自分達の都合で作り上げた世界のルールに従って生きて死んで、それは正しいのかもしれない。
でもその子ども達が、そのメルヘンに巻き込まれて、それが正しいからと苦しみ死んで行くのは正しいのか。
蛍石が残雪の頬に触れた。
「ギルドったら本当になんでも知ってるから多分聞いたんでしょうけど。・・・皇后が妃達に女官を斡旋していたのも本当よ」
五位鷺が呆れたもんだと吐き捨てた。
「皇后が、自分のお気に入りを飽きたら妃に払い下げてたと言う事だ」
ああ、なんと救いようの無い話。
残雪が息を飲んだ。
「・・・なんて下世話な事言うのよ!そんな話聞いたら、雪の血がドロドロになって血管が詰まるわ。・・・雪、ねぇ、この話はもうおしまい。・・・でも私が冷たいからじゃないのよ?」
冷たい云々より、面倒くさくなったのではあろうと五位鷺は思った。
残雪は、年の頃ならおそらく春北斗や銀星と同じ年頃であろうその子供の今を思い、心細くなった。
「五位鷺、お願いがあるの」
「ダメだよ。ご継室の子たちはここには呼べない」
五位鷺が首を振った。
優しい残雪がきっと何か言い出すからと蛍石に釘を刺されていた。
残雪は家令の子供達を宮廷から度々呼招よんでは自由に過ごさせていた。
銀星や春北斗の遊び相手として丁度良いし、何より幼い子供が親から離れて宮廷でのみ育つ家令の習慣が心配だったからだ。
「雪。廃妃、廃嫡というのはね。つまり背信罪という事。その罪の子を預けられたという事は、ご正室には、死なずにその罪を贖う義務と権利があるということ。罪を賜ったんだから」
罪を賜る、という言葉に残雪はざらりとした苦いものを感じた。
五位鷺がため息をついた。
「・・・廃三妃の第一太子様は、蛍石様の代では難しいけど。次の皇帝の代なら、恩赦を頂いて爵位を賜る事も出来るかもしれない」
それはあまりにも低い可能性だけれど、確かに希望だ。
ゆりかごに火を放ったという女官。
継室に自分の子と認められず、処理しろと言われ、そうしたと告げたらまた寵愛されたらしい。
裁判にもならぬ取り調べで、ではなぜその子を実際処理しなかったのかと問われ、彼女は、そんなのただの嫌がらせと言ったらしい。
彼女もやはりそもそもは皇后に仕えていたが、二妃に与えられたそうだ。
それこそ、物のように。
「私の、たった一つの、あの男達にできる復讐」
女官はそう言い残して、断罪され死んでいったそうだ。
その話を残雪にした春北風はその女官もその子も哀れだと嘆いていた。
そう、なんと愚かで、悲しい話だろう。
そして、その子は継室の私生児どころか隠し子だ。
父親が貴族であろうが、皇帝の子でもないその子を、事件に関わった皇后がそして後宮がどう扱うか。
女皇帝と三妃の子は、廃されたといは言え、いずれ爵位を賜り貴族に復位するかもしれない。
しかし、二妃と女官の子は、まさに罪の子だ。
まだ五歳だと言うではないか。
残雪は夫をまっすぐに見据えた。
自分のこの思いが、響け、叶え、と願いながら。
「・・・五位鷺、その子を家令にする事は出来るはずよね」
家令ならば、身の上は問われない。
総家令の意思ひとつだ。皇帝の許諾の必要が無い。
五位鷺が驚いて残雪を見つめ返した。
「家令のシステムって、きっとそういう救済の意味もあるんじゃないのと思うの。・・・ねぇ、雛鳥のうちから大事にしてあげましょうよ。きっといい家令になるわ。だって貴方の弟弟子になるのだもの」
五位鷺は改めて彼女に目を付けた女皇帝と、残雪を妻にした自分に得々たる気持ちになった。
「・・・残雪、君こそ、家令であったら我々にどれほどの利益であったろう・・・」
つい、口から出た言葉に残雪は、吹き出した。
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