彼と私のお友達計画

百川凛

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STEP6:テスト勉強をしましょう

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「そういえばさ、笹川さんって高校どこ受けるか決まってんの?」

 さっきまでテスト勉強をしていたからだろうか。珍しく進路の話をされた。部活も一旦区切りがついたし、色々気になるのだろう。

「えっと、八坂やさか第一にしようかと思ってる」
「八坂?」
「うん。本当は八坂女子校やさじょに行きたかったんだけど、去年男子校と統合して共学になっちゃったから」
「ああ……なるほど」

 最近は少子化の影響で学校の統合や閉校が相次いでいる。女子校や男子校もどんどん少なくなっていて、行きたい学校の選択肢がなくなっているのが現状だ。

「鳴海くんは志望校決まってるの?」」
「あー……実は鏑木かぶらぎ学園から推薦の話来てて」
「推薦? すごいじゃん!」
「鏑木ってバスケの強豪校でさ、バスケ続けたいからそこに行こうかと思ってる。そこで優勝して、こないだのリベンジしたいんだ」
「……そうなんだ」

 負けた直後はあまり元気がなかったけど、今はふっきれたようで安心した。次の目標も決まってるみたいだしね。なんか、夢があっていいなぁ。

「鳴海くんなら勝てるよ」
「まぁ、その前にちゃんと受かってレギュラーになんないと話になんねーけどな」
「ふはっ。確かに」

 私たちは笑った。でも……そっか。高校生になったら鳴海くんと離れ離れになっちゃうのかぁ。きっと、高校生になったらこうやって鳴海くんと話すことも一緒に帰ることもなくなるんだろう。そう考えると、なんだかとても寂しい気がする。

 私はチラリと隣を盗み見る。サラサラの黒い髪が風に揺れ、つりあがった三白眼は真っ直ぐ前を向いていた。

 この時、私はふと思ってしまった。高校生になっても、バスケをしてる鳴海くんの姿を応援しに行きたいなぁ、だなんて。らしくないことを。

 横断歩道を渡って、立ち止まる。私の家はすぐそこだ。だから、鳴海くんとはもうお別れ。

「鳴海くん、今日も送ってくれてありがとう」
「別に。俺がしたくてしてるだけだから」

 ぶっきらぼうな言い方は相変わらずだけど、今は怖いと思わなくなった。うん、慣れってすごい。

「じゃあ、気を付けてな」

 あとほんの数メートルの距離なのに、鳴海くんはいつも気を付けてな、と言う。こういう細かい気遣いが出来る鳴海くんは、やっぱり優しい人なんだろう。

「また明日ね」

 ヒラヒラと手を振ると、鳴海くんは来た道を引き返して行った。その背中を見送りながら、私は今までの自分を反省した。昔の出来事にとらわれて、ずっと男の子を避けてきたこと。相手のことをよく知ろうともしないでただただ怖がっていたこと。性別なんて関係なく、良い人はちゃんといるのに。……これからは少しずつでも、相手と向き合うようにしていきたいなぁ。

 こういう風に考えられるようになったのは、皐月ちゃんと鳴海くんのおかげだ。私は気持ちを前向きに、家の中に入って行った。
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