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57話 8日目 Tポーズ
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「兄さまよ、俊が言っておったのじゃが、分かる限りじゃと、獣人族の王都でTポーズになる病気が流行ってるそうじゃが、バグじゃと思うんじゃけど。」
「バグではないかな。 種族が増えると、世界生成で自動で外見の調整がされるんだけど・・・マニュアルに載ってたはずだけど?」
マニュアルにそんな事、書いてあったのじゃ? 見返した方が良さそうじゃが・・・。 何処に直したか、探しておくのじゃ。
「あとで見返すのじゃ! でもじゃ。 それと今回の件は大きく関係するのじゃ? あくまで、外見調整の段階での出来事じゃと思うんじゃけど。」
「関係なくはないんだけど・・・、種族の初期デザインは世界生成が調整して原初を作ってるんだよね。 つまり遺伝子として受け継がれてるんだよ。」
「そんなところまで話が行くのじゃ!? 行きすぎじゃろ!」
思ったより根の深い話に驚愕し、イシディウスを見つめる。
「ただ、Tポーズが今になって出てくるのは謎だね。 調整するのは最初だけだし、今から新種族が増えるなんてのも、急すぎて在り得ないかな。」
「そうなるとじゃが、この修正はどうしたもんじゃろ。 ポーズそのものを無くす事は出来るのじゃ?」
「出来るには出来るけど、世界生成システムを根本から変える事になるから、推奨はしないよ。」
「大事すぎじゃろ!?」
腕を組み考えるクロクは一つ思い浮かんだ事を口にした。
「そうじゃ、Tポーズを自然体にすれば修正いらないのじゃ?」
「アホな事、言ってないで原因を探るよ。」
人蹴りされて、落ち込ちこんだクロクはおとなしく、作業に戻った。
「そもそも、なんでTポーズが出てるんじゃ・・・。 ゲームとかじゃと、設定されてないモーションとかじゃろ・・・。」
「ほかにも、想定外にキャンセルされた場合も、読み取りで発生する可能性はあるね。」
「読み取る物があるとは思えぬのじゃが? うーむ、原因がわからぬ。」
二人揃って原因を探すも、それらしき情報は出なかった。
「動作をキャンセルしてる訳でもないし、ちょっと動きを全体的に見直してみるよ。」
「こっちは症状が出てるところを見てみるのじゃ。」
二時間ほど調べたすえ、症状が出ている獣人族に謎のモーションがあった。
「のう、兄さまよ。 このTポーズじゃが、犬人に出てるんじゃが、鼻をほじる行為なんてないはずじゃよな? 爪で大けがする未来しか見えぬのじゃが。」
「うん、その行為は存在しないね。」
「あるんじゃが」
犬人に鼻をいじる行為はあっても、ほじる行為はない。 想像してみるとわかるが、爪が長い為、ほじると自傷行為をするのと同義である。
「それじゃないかな? 人種族の派生だから出来なくもないけど・・・。 よし、その動きを追加しよう。 あと概念としては消せないから怪我をしそうだ。と危機感を抱くようにすれば収まりそうだね。」
「わかったのじゃ! 動きはわしが作るのじゃ。」
「わかった。 じゃ、危機感の方を調整してるよ。 出来たら教えてね。 いきなりやっちゃうと、怪我人が続出しそうだし。」
「わかったのじゃ!」
作業に戻った二人はもくもくと修正を加えていく。
三時間ほど経過し、動きを追加したクロクはデフォルトニアに追加作業を行った。
「しかし、これで追加すると行為をする者達が発想するってゲームみたいじゃな。 俊も同じ事、言いそうじゃが。」
「え? まってまって!? 追加いきなりしないでって言ったよね!?」
「のじゃあ!? 忘れておったのじゃあ!?」
イシディウスは急ぎ、獣人族王都の対象者を調べていく。
「あぁぁぁ! 獣人族が鼻をほじって出血していくぅぅぅ!?」
「のじゃぁぁぁ!? 急ぎ、危機感を抱くようにするのじゃぁあ!」
システムメッセージ【 子を自傷させた為、信仰心がマイナスされました。】
「のじゃぁぁぁぁ!?」
「あぁ・・・。 避けようとしてたのに・・・。 クロク・・・。 言ったよね? 概念として消せないから危機感を抱くようにしてから動きを追加するって・・・。」
イシディウスは青筋を浮かべ、クロクをジト目で見ている。
「すまんのじゃぁぁ! 集中しすぎて忘れてたのじゃぁぁ!?」
「クロク、正座。」
「!?」
まずいと思ったのか、クロクは急ぎ正座をした。
「獣人族の人だから幸い、治癒力も高いから一時的とは言え、子供達を怪我させるって駄目でしょ?」
静かながら怒ってるだろうとわかるクロクはこの後、作業時間と同じ時間の説教を受けるのだった。
「バグではないかな。 種族が増えると、世界生成で自動で外見の調整がされるんだけど・・・マニュアルに載ってたはずだけど?」
マニュアルにそんな事、書いてあったのじゃ? 見返した方が良さそうじゃが・・・。 何処に直したか、探しておくのじゃ。
「あとで見返すのじゃ! でもじゃ。 それと今回の件は大きく関係するのじゃ? あくまで、外見調整の段階での出来事じゃと思うんじゃけど。」
「関係なくはないんだけど・・・、種族の初期デザインは世界生成が調整して原初を作ってるんだよね。 つまり遺伝子として受け継がれてるんだよ。」
「そんなところまで話が行くのじゃ!? 行きすぎじゃろ!」
思ったより根の深い話に驚愕し、イシディウスを見つめる。
「ただ、Tポーズが今になって出てくるのは謎だね。 調整するのは最初だけだし、今から新種族が増えるなんてのも、急すぎて在り得ないかな。」
「そうなるとじゃが、この修正はどうしたもんじゃろ。 ポーズそのものを無くす事は出来るのじゃ?」
「出来るには出来るけど、世界生成システムを根本から変える事になるから、推奨はしないよ。」
「大事すぎじゃろ!?」
腕を組み考えるクロクは一つ思い浮かんだ事を口にした。
「そうじゃ、Tポーズを自然体にすれば修正いらないのじゃ?」
「アホな事、言ってないで原因を探るよ。」
人蹴りされて、落ち込ちこんだクロクはおとなしく、作業に戻った。
「そもそも、なんでTポーズが出てるんじゃ・・・。 ゲームとかじゃと、設定されてないモーションとかじゃろ・・・。」
「ほかにも、想定外にキャンセルされた場合も、読み取りで発生する可能性はあるね。」
「読み取る物があるとは思えぬのじゃが? うーむ、原因がわからぬ。」
二人揃って原因を探すも、それらしき情報は出なかった。
「動作をキャンセルしてる訳でもないし、ちょっと動きを全体的に見直してみるよ。」
「こっちは症状が出てるところを見てみるのじゃ。」
二時間ほど調べたすえ、症状が出ている獣人族に謎のモーションがあった。
「のう、兄さまよ。 このTポーズじゃが、犬人に出てるんじゃが、鼻をほじる行為なんてないはずじゃよな? 爪で大けがする未来しか見えぬのじゃが。」
「うん、その行為は存在しないね。」
「あるんじゃが」
犬人に鼻をいじる行為はあっても、ほじる行為はない。 想像してみるとわかるが、爪が長い為、ほじると自傷行為をするのと同義である。
「それじゃないかな? 人種族の派生だから出来なくもないけど・・・。 よし、その動きを追加しよう。 あと概念としては消せないから怪我をしそうだ。と危機感を抱くようにすれば収まりそうだね。」
「わかったのじゃ! 動きはわしが作るのじゃ。」
「わかった。 じゃ、危機感の方を調整してるよ。 出来たら教えてね。 いきなりやっちゃうと、怪我人が続出しそうだし。」
「わかったのじゃ!」
作業に戻った二人はもくもくと修正を加えていく。
三時間ほど経過し、動きを追加したクロクはデフォルトニアに追加作業を行った。
「しかし、これで追加すると行為をする者達が発想するってゲームみたいじゃな。 俊も同じ事、言いそうじゃが。」
「え? まってまって!? 追加いきなりしないでって言ったよね!?」
「のじゃあ!? 忘れておったのじゃあ!?」
イシディウスは急ぎ、獣人族王都の対象者を調べていく。
「あぁぁぁ! 獣人族が鼻をほじって出血していくぅぅぅ!?」
「のじゃぁぁぁ!? 急ぎ、危機感を抱くようにするのじゃぁあ!」
システムメッセージ【 子を自傷させた為、信仰心がマイナスされました。】
「のじゃぁぁぁぁ!?」
「あぁ・・・。 避けようとしてたのに・・・。 クロク・・・。 言ったよね? 概念として消せないから危機感を抱くようにしてから動きを追加するって・・・。」
イシディウスは青筋を浮かべ、クロクをジト目で見ている。
「すまんのじゃぁぁ! 集中しすぎて忘れてたのじゃぁぁ!?」
「クロク、正座。」
「!?」
まずいと思ったのか、クロクは急ぎ正座をした。
「獣人族の人だから幸い、治癒力も高いから一時的とは言え、子供達を怪我させるって駄目でしょ?」
静かながら怒ってるだろうとわかるクロクはこの後、作業時間と同じ時間の説教を受けるのだった。
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