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47話 7日目 犬耳の少女・②
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目の前の犬耳の女の子、チィナに指を向けられ、渡したい物があると言われるが、チィナを知らない。
オーク領から始まり、魔族領、そして二日程前に獣人族の領へと来たばかりだ。
それまでに出会った人物の中には、犬耳の少女なんていなかった。
「お兄ちゃん、何か勘違いしてるの。 チィナはお兄ちゃんに会った事はないの。 でも見てはいたの。」
どういう事だろうか? 見ていた。 少なくともこの世界に来て七日。お墓の汚れからすると、それよりも前に亡くなったのは、間違いないだろう。
「トオル様?これはどういう事ですの? 会った事はないけど見ていたっておかしくありませんこと?」
「ストーカーにゃ。」
「いえ、ちょっと僕にも・・・。 考えても分かりませんね。」
「チィナは嘘ついてないの。 渡したい物はチィナのお友達に預けてるの。」
「預けてる? 一体誰に?」
「にゃんちゃんなの! 銀色の猫さんなの。」
銀色の猫・・・。似た名前に白銀猫がいるが、それを示してるのだろうか? ちょうどこの墓地の近くに目撃証言がある。
「そのお友達に会えば良いんですね。 そのお友達は何処に?」
「にゃんちゃんはわからないの。 お別れしてとても長い時間が経ってるの。」
長い時間となるとやはり、デフォルトニアに来るよりも前に知っていたと言う事だろう。
これは間違いなく、神様へ報告案件だ。
「ちょっと、すいません。 少しだけ離れます。」
ノベールにメッセージを送り、クロクへ連絡する旨を伝えた。
「それでチィナ様はこれからも、ずっとここに一人・・・なんですの?」
「チィナはお兄ちゃんに渡したら、どうなるかわからないの。 でも大丈夫だと思うの。」
「トオル様なら、たしかになんとか出来るかもしれませんわね。」
「にゃ? にゃんか別の匂いが近づいて来てるにゃ!」
少し離れた所に、人らしき影が見えた。
少しずつこちらに近づいて来ており、影は狐耳の獣人族だと分かった。
「もしかするとあれが、トオル様の言っていた幽霊かしら? 半透明で顔に生気を感じませんわ。」
「臭いにゃ!臭いにゃ! 何か危ない感じがするにゃ!」
俊が離れてるのもあり、対処方法が分からない。
逃げるにも目の前のチィナという女の子を置いていく訳にはいかない。
「ちなみにチィナ様?あそこに見える獣人族の男性はお友達。という事はありませんの?」
「チィナは知らないの。」
やはり、戦う選択しかないのかもしれない。
ノベールは剣を構え、カニャンは爪を伸ばす。
「渡してくれ・・・。 渡してくれ・・・。」
近づいてきた獣人族の男は同じ言葉を繰り返す。
「何を・・・渡せば良いんですの?」
冷や汗が流れ、目の前の男を最大限、警戒している。
渡す物・・・? 何を誰に渡せば? それよりもどう時間を稼ぐか。 メッセージを使い知らせる方法もあるが、目の前の状況のままメッセージは、気が散ってしまい、うまく伝えれるかわからない。
二人は少し後ずさったが、決して目の前の男から目を離さなかった。
「お前達は俺から逃げないんだな。 良かった・・・。やっとまともに話が出来そうだ。」
おや?今までの空気はなんだったのだろうか? 普通に話しかけられている。
「貴方は・・・誰ですの? 私達を襲うつもりですの?」
「襲うならもう、襲っている。 怖がらせて悪かったな。 お二人さん。」
お二人さん? チィナの姿が見えていないのだろうか? この距離で見えるとすれば三人のはずだ。
「おじさん、チィナ見えてないの?」
「おわっ!? ちびっ子もいたのか? ビックリさせんじゃない!」
「いえ? 多分、貴方と同じだと思いますわよ?」
「ん?ってーと死んだ獣人って事か?」
「そうにゃ。」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
獣人族の男はものすごい高い声で悲鳴を上げた。
-----現在のバグ一覧-----
-----バグ?不明-----
死者が蘇える。
-----調査-----
魔法の威力について
オーク領から始まり、魔族領、そして二日程前に獣人族の領へと来たばかりだ。
それまでに出会った人物の中には、犬耳の少女なんていなかった。
「お兄ちゃん、何か勘違いしてるの。 チィナはお兄ちゃんに会った事はないの。 でも見てはいたの。」
どういう事だろうか? 見ていた。 少なくともこの世界に来て七日。お墓の汚れからすると、それよりも前に亡くなったのは、間違いないだろう。
「トオル様?これはどういう事ですの? 会った事はないけど見ていたっておかしくありませんこと?」
「ストーカーにゃ。」
「いえ、ちょっと僕にも・・・。 考えても分かりませんね。」
「チィナは嘘ついてないの。 渡したい物はチィナのお友達に預けてるの。」
「預けてる? 一体誰に?」
「にゃんちゃんなの! 銀色の猫さんなの。」
銀色の猫・・・。似た名前に白銀猫がいるが、それを示してるのだろうか? ちょうどこの墓地の近くに目撃証言がある。
「そのお友達に会えば良いんですね。 そのお友達は何処に?」
「にゃんちゃんはわからないの。 お別れしてとても長い時間が経ってるの。」
長い時間となるとやはり、デフォルトニアに来るよりも前に知っていたと言う事だろう。
これは間違いなく、神様へ報告案件だ。
「ちょっと、すいません。 少しだけ離れます。」
ノベールにメッセージを送り、クロクへ連絡する旨を伝えた。
「それでチィナ様はこれからも、ずっとここに一人・・・なんですの?」
「チィナはお兄ちゃんに渡したら、どうなるかわからないの。 でも大丈夫だと思うの。」
「トオル様なら、たしかになんとか出来るかもしれませんわね。」
「にゃ? にゃんか別の匂いが近づいて来てるにゃ!」
少し離れた所に、人らしき影が見えた。
少しずつこちらに近づいて来ており、影は狐耳の獣人族だと分かった。
「もしかするとあれが、トオル様の言っていた幽霊かしら? 半透明で顔に生気を感じませんわ。」
「臭いにゃ!臭いにゃ! 何か危ない感じがするにゃ!」
俊が離れてるのもあり、対処方法が分からない。
逃げるにも目の前のチィナという女の子を置いていく訳にはいかない。
「ちなみにチィナ様?あそこに見える獣人族の男性はお友達。という事はありませんの?」
「チィナは知らないの。」
やはり、戦う選択しかないのかもしれない。
ノベールは剣を構え、カニャンは爪を伸ばす。
「渡してくれ・・・。 渡してくれ・・・。」
近づいてきた獣人族の男は同じ言葉を繰り返す。
「何を・・・渡せば良いんですの?」
冷や汗が流れ、目の前の男を最大限、警戒している。
渡す物・・・? 何を誰に渡せば? それよりもどう時間を稼ぐか。 メッセージを使い知らせる方法もあるが、目の前の状況のままメッセージは、気が散ってしまい、うまく伝えれるかわからない。
二人は少し後ずさったが、決して目の前の男から目を離さなかった。
「お前達は俺から逃げないんだな。 良かった・・・。やっとまともに話が出来そうだ。」
おや?今までの空気はなんだったのだろうか? 普通に話しかけられている。
「貴方は・・・誰ですの? 私達を襲うつもりですの?」
「襲うならもう、襲っている。 怖がらせて悪かったな。 お二人さん。」
お二人さん? チィナの姿が見えていないのだろうか? この距離で見えるとすれば三人のはずだ。
「おじさん、チィナ見えてないの?」
「おわっ!? ちびっ子もいたのか? ビックリさせんじゃない!」
「いえ? 多分、貴方と同じだと思いますわよ?」
「ん?ってーと死んだ獣人って事か?」
「そうにゃ。」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
獣人族の男はものすごい高い声で悲鳴を上げた。
-----現在のバグ一覧-----
-----バグ?不明-----
死者が蘇える。
-----調査-----
魔法の威力について
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