25 / 31
女性
しおりを挟む
結局のところ、蓮夜は最後までラーメンを食べることは出来なかった。
蓮夜が最後まで食べきれなかった分は僕がしっかりと食べてあげたので、食べきれなかったことはそこまで問題でもないだろう。
「大丈夫かね?あいつは」
ただ、あの後のあいつの姿が心配だった。
男の時には食べられていたラーメンが食べられてなくなっていたことに加え、あれだけ豪語しておきながらも結局残してしまったというところに蓮夜はかなりの負い目持っているような様子だった。
「……はぁー、ほんと。複雑だろうな」
蓮夜のことを考えながらも僕は一人、帰路の方へとつく。
家の方面がかなり違う蓮夜とはまずラーメン屋の方で別れ、つい先ほど陽太とも別れた。
「……ただいまっと」
陽太と別れてから数分ほど。
自分の家へとたどり着いた僕は
「うぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええっ!」
そんな僕が踏み入れた家の玄関に。
スーツをびっしりと着こなしたまだ若い女性が一人。
「お腹すいたぁぁぁぁぁああああああああああああっ!」
パッと見はクールビューティー。
されど、口を開いて表情を崩せば残念。
そんな女性が玄関のところで転がっていた。
「何をしているの?あゆねぇ」
僕は自分の目の前に転がっている女性、加藤歩佳の名前を呼びながら呆れた声をもらす。
「お腹すいて、この家に来てみれば誰もいなくて……ずっと輪廻のご飯を待っていたのだよ?」
「うちは飲食店でもなければ、僕も料理人じゃない」
「うぇぇぇぇ。ひどい!私が大学生の時はちゃんと作ってくれたじゃん!」
「社会人になったから独り立ちするのでは?」
「限界だったぁ!ダメだった!もう三食カップ麺っ!家にあったカップ麺ももう切れちゃて!なんもなくて……カップ麺にも飽きて、もう買いにいきたくもなくて」
「……はぁー」
自分のよく知る女性。
隣の家に住んでいた人であり、自分が幼少期から知っている女性の現在を前に僕はため息を吐く。
昔はもっと頼もしく、大人に見えたものだが。
「あっ、もしかして私が君の元から離れたことに拗ねて……!」
「んなわけあるか」
僕は容赦なくあゆねぇの頭に手刀を落とす。
「いたいっ!」
「はぁー、何が食べたい?家にあるものなら作ってあげるよ」
頭を押さえてうずくまるあゆねぇの隣を通り抜けながら僕は声をかける。
「ほんと!?わーいっ!え、えっと、それじゃあ……オムライスでも食べてみたいな!」
そんな僕の言葉を受けて、あゆねぇは意気揚々と歓喜の声を上げるのだった。
蓮夜が最後まで食べきれなかった分は僕がしっかりと食べてあげたので、食べきれなかったことはそこまで問題でもないだろう。
「大丈夫かね?あいつは」
ただ、あの後のあいつの姿が心配だった。
男の時には食べられていたラーメンが食べられてなくなっていたことに加え、あれだけ豪語しておきながらも結局残してしまったというところに蓮夜はかなりの負い目持っているような様子だった。
「……はぁー、ほんと。複雑だろうな」
蓮夜のことを考えながらも僕は一人、帰路の方へとつく。
家の方面がかなり違う蓮夜とはまずラーメン屋の方で別れ、つい先ほど陽太とも別れた。
「……ただいまっと」
陽太と別れてから数分ほど。
自分の家へとたどり着いた僕は
「うぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええっ!」
そんな僕が踏み入れた家の玄関に。
スーツをびっしりと着こなしたまだ若い女性が一人。
「お腹すいたぁぁぁぁぁああああああああああああっ!」
パッと見はクールビューティー。
されど、口を開いて表情を崩せば残念。
そんな女性が玄関のところで転がっていた。
「何をしているの?あゆねぇ」
僕は自分の目の前に転がっている女性、加藤歩佳の名前を呼びながら呆れた声をもらす。
「お腹すいて、この家に来てみれば誰もいなくて……ずっと輪廻のご飯を待っていたのだよ?」
「うちは飲食店でもなければ、僕も料理人じゃない」
「うぇぇぇぇ。ひどい!私が大学生の時はちゃんと作ってくれたじゃん!」
「社会人になったから独り立ちするのでは?」
「限界だったぁ!ダメだった!もう三食カップ麺っ!家にあったカップ麺ももう切れちゃて!なんもなくて……カップ麺にも飽きて、もう買いにいきたくもなくて」
「……はぁー」
自分のよく知る女性。
隣の家に住んでいた人であり、自分が幼少期から知っている女性の現在を前に僕はため息を吐く。
昔はもっと頼もしく、大人に見えたものだが。
「あっ、もしかして私が君の元から離れたことに拗ねて……!」
「んなわけあるか」
僕は容赦なくあゆねぇの頭に手刀を落とす。
「いたいっ!」
「はぁー、何が食べたい?家にあるものなら作ってあげるよ」
頭を押さえてうずくまるあゆねぇの隣を通り抜けながら僕は声をかける。
「ほんと!?わーいっ!え、えっと、それじゃあ……オムライスでも食べてみたいな!」
そんな僕の言葉を受けて、あゆねぇは意気揚々と歓喜の声を上げるのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる