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最終章
第108話 竜一の告白
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「え…?」
舞は呆けた声をあげた。
一瞬、何を言われたか分からず目をしばたたかせた。
竜一はそんな舞を見て、ふっと笑った。
どこまでも優しい笑みを。
「…聞こえなかったのか?俺、二度も言わないよ?」
「え、ええ……」
あたふたする舞を見て、竜一は噴き出して笑う。
舞は恥ずかしさに両手で顔を覆う。
こんな状況だというのに、赤面してしまうのを止められなかった。
竜一は握った手に力を込めた。
「陽菜子が死んだ時、舞のことを一瞬でも疑ってしまったこと、本当に後悔していたんだ。舞がそんなことをする奴じゃないって近くで見てきて分かっていたのに信じてあげれなかった。だから、河野の口車にも乗せられることなかったんだよ。そんなに絡んでない奴の言葉と、大事な友達だったお前のこと…そんなの天秤にかけるまでもない。俺は間違いなくお前を信じる。それでやっぱり俺の判断が正しかったって今日分かって、嬉しいんだ。」
「…竜一くん。」
「舞のことは、再会した時からずっと気になっていた。でも陽菜子のことがあったし、俺は他の人を好きになる資格なんかあるのかなってずっと悩んでたんだ。」
竜一は、一言一言大事に嚙みしめるように言葉を紡いでいく。
その一つ一つが、すぅっと舞の心に入り染み込んでいく。
とてもあたたかくて、優しい。
胸が締め付けれるけれど、それは心地よい痛みだった。
ずっと舞が望んでいたもの。
"ほんの少しの幸せ"。
「竜一くん、私ね……」
「ん?」
首を傾げて、舞の言葉を待っている竜一。
その表情は、今までで一番穏やかだった。
「…私もね、竜一くんのこと大好きだよ。ずっと好きだった。」
瞳にあたたかいものが溜まっていく。
耐え切れず、舞は竜一の胸に顔を埋めた。
「知ってた。」
頭上からふはっと吐息がかかる。
そして舞の髪に指を滑らせ、優しく撫でた。
顔を埋めているから表情は見えないけれど、想像に容易かった。
好きな人と思いが通じ合えること、それがこんなに幸せなことだなんて思ってもいなかった。
これまでの人生で一番幸せだと、舞は思った。
「あーあ、お熱いことですね。いったい私は何を見せられているのかしら。」
冷たい声が響き、舞と竜一ははっと顔を上げた。
紗耶香が、団扇で顔をあおぐように手を振っている。
バカにしたような、見下したような、笑みを浮かべて。
「お互い思いが通じ合って、幸せいっぱいってところでしょうね。けど、とぉっても幸せなお二人さん?自分達の世界に入り込んでいて、制限時間のことお忘れじゃありません?」
紗耶香は壁に立てかけている時計を指差した。
「今は十三時五十六分。あと、四分しかありませんよ。貴重な時間なのですから、そこにいるもう一人の方にも時間をさしあげたらどうです?」
そう言って、紗耶香は千早に視線を移した。
千早は警戒するように、紗耶香をきっと見上げる。
しかし、紗耶香はまったく動揺するそぶりもなく、冷たく微笑んだ。
「栗花落千早さん?あなたも何か言うことはあるでしょう。だぁいじなお友達にね。」
舞は呆けた声をあげた。
一瞬、何を言われたか分からず目をしばたたかせた。
竜一はそんな舞を見て、ふっと笑った。
どこまでも優しい笑みを。
「…聞こえなかったのか?俺、二度も言わないよ?」
「え、ええ……」
あたふたする舞を見て、竜一は噴き出して笑う。
舞は恥ずかしさに両手で顔を覆う。
こんな状況だというのに、赤面してしまうのを止められなかった。
竜一は握った手に力を込めた。
「陽菜子が死んだ時、舞のことを一瞬でも疑ってしまったこと、本当に後悔していたんだ。舞がそんなことをする奴じゃないって近くで見てきて分かっていたのに信じてあげれなかった。だから、河野の口車にも乗せられることなかったんだよ。そんなに絡んでない奴の言葉と、大事な友達だったお前のこと…そんなの天秤にかけるまでもない。俺は間違いなくお前を信じる。それでやっぱり俺の判断が正しかったって今日分かって、嬉しいんだ。」
「…竜一くん。」
「舞のことは、再会した時からずっと気になっていた。でも陽菜子のことがあったし、俺は他の人を好きになる資格なんかあるのかなってずっと悩んでたんだ。」
竜一は、一言一言大事に嚙みしめるように言葉を紡いでいく。
その一つ一つが、すぅっと舞の心に入り染み込んでいく。
とてもあたたかくて、優しい。
胸が締め付けれるけれど、それは心地よい痛みだった。
ずっと舞が望んでいたもの。
"ほんの少しの幸せ"。
「竜一くん、私ね……」
「ん?」
首を傾げて、舞の言葉を待っている竜一。
その表情は、今までで一番穏やかだった。
「…私もね、竜一くんのこと大好きだよ。ずっと好きだった。」
瞳にあたたかいものが溜まっていく。
耐え切れず、舞は竜一の胸に顔を埋めた。
「知ってた。」
頭上からふはっと吐息がかかる。
そして舞の髪に指を滑らせ、優しく撫でた。
顔を埋めているから表情は見えないけれど、想像に容易かった。
好きな人と思いが通じ合えること、それがこんなに幸せなことだなんて思ってもいなかった。
これまでの人生で一番幸せだと、舞は思った。
「あーあ、お熱いことですね。いったい私は何を見せられているのかしら。」
冷たい声が響き、舞と竜一ははっと顔を上げた。
紗耶香が、団扇で顔をあおぐように手を振っている。
バカにしたような、見下したような、笑みを浮かべて。
「お互い思いが通じ合って、幸せいっぱいってところでしょうね。けど、とぉっても幸せなお二人さん?自分達の世界に入り込んでいて、制限時間のことお忘れじゃありません?」
紗耶香は壁に立てかけている時計を指差した。
「今は十三時五十六分。あと、四分しかありませんよ。貴重な時間なのですから、そこにいるもう一人の方にも時間をさしあげたらどうです?」
そう言って、紗耶香は千早に視線を移した。
千早は警戒するように、紗耶香をきっと見上げる。
しかし、紗耶香はまったく動揺するそぶりもなく、冷たく微笑んだ。
「栗花落千早さん?あなたも何か言うことはあるでしょう。だぁいじなお友達にね。」
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