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片想い章
ステータス
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好きなひとの誕生日。それすなわち、恋する女子のステータス。だから、私は、今日絶対、聞くと決めていた。
大好きな、想い人。後輩くんの誕生日。私は決意あらたに、一年生の教室前の廊下に来ていた。
ドアの小窓から彼がいるかどうかを確認していたら
「せーんぱい、何してるんすか」
聞き覚えのある声がして、胸がきゅっと縮んだ。振りかえると大好きな彼が目の前にいる。
聞こうとしていた言葉が出てこない。
「あ、あの……あのね」
「なんすか」
大きい目を細めて、私を見つめる。彼の視界に入ってる、こんなに近くで。瞳に私が映ってる。
ノックアウト寸前。もう、だめだ、私。無理だ。
「き、今日はいいや!」
きびすを返し、小走りで行くと彼が私を呼び止めた。
「あ、せんぱーい」
立ち止まって声だけの返事をした。
「……何」
「前から聞こうと思ってたんすけど」
この声が好き。甘くて、適度に低いこの声。その声に耳を傾けていると、彼は言う。
「先輩の誕生日っていつですかあ?」
どうして私の誕生日を聞きたいの、という純粋な疑問とか、もしかしたら私と同じ気持ちでいてくれてるの、という淡い期待とか……たくさんの事が頭の中を駆け巡る。
やっとの思いで
「7月の7日」と答えたら
「おお、すげー。七夕っすね、教えてくれてあざーす」
彼は元気いっぱいにそう言って、教室の中に入ってしまった。
「ああ、やっぱりだめだった」
…………結局今日も、彼の誕生日は謎のまま。
ステータス画面に、彼の誕生日情報はまだない。了
大好きな、想い人。後輩くんの誕生日。私は決意あらたに、一年生の教室前の廊下に来ていた。
ドアの小窓から彼がいるかどうかを確認していたら
「せーんぱい、何してるんすか」
聞き覚えのある声がして、胸がきゅっと縮んだ。振りかえると大好きな彼が目の前にいる。
聞こうとしていた言葉が出てこない。
「あ、あの……あのね」
「なんすか」
大きい目を細めて、私を見つめる。彼の視界に入ってる、こんなに近くで。瞳に私が映ってる。
ノックアウト寸前。もう、だめだ、私。無理だ。
「き、今日はいいや!」
きびすを返し、小走りで行くと彼が私を呼び止めた。
「あ、せんぱーい」
立ち止まって声だけの返事をした。
「……何」
「前から聞こうと思ってたんすけど」
この声が好き。甘くて、適度に低いこの声。その声に耳を傾けていると、彼は言う。
「先輩の誕生日っていつですかあ?」
どうして私の誕生日を聞きたいの、という純粋な疑問とか、もしかしたら私と同じ気持ちでいてくれてるの、という淡い期待とか……たくさんの事が頭の中を駆け巡る。
やっとの思いで
「7月の7日」と答えたら
「おお、すげー。七夕っすね、教えてくれてあざーす」
彼は元気いっぱいにそう言って、教室の中に入ってしまった。
「ああ、やっぱりだめだった」
…………結局今日も、彼の誕生日は謎のまま。
ステータス画面に、彼の誕生日情報はまだない。了
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