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第六話
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エルサは、理事長秘書の男性に連れられ、アカデミー内の女子校舎を歩いていた。
時折すれ違う女子生徒たちは、元気よく、こんにちは!と挨拶するものや、廊下の端に寄り立ち止まって頭を下げるもの、はたまた何の反応もないものもいて、俯瞰してみるとやはりお育ちには逆らえないな、と感じていた。
ふと、中庭のテラスで談笑する女子生徒のグループが目に入った。ラッキーなことに、ワトソン子爵の令嬢、ジェニーがいたのだ。
「すいません、あちらの生徒さんたちと少しお話ししてもよろしいですか?」
秘書の足を止め、彼女たちの方に歩いて行った。
「こんにちは、お嬢さんたち」
突然の声かけに、彼女たちの背筋が伸びた。
秘書の男性が、
「こちらは近々あなた方に講義を開いてくださる、キャリー夫人です」
と紹介してくれると、彼女たちは立ち上がり、順に挨拶を始めた。
「初めまして、キャリー夫人。私はワトソン子爵の娘、ジェニーと申します」
綺麗な角度でお辞儀をする彼女は、爵位家の令嬢としての自覚と自信に満ちていた。
聡明そうで、爵位家に生まれた自分の役割もしっかり認識している子だ、とエルサは思った。
「私はあなた方がこのアカデミーを巣立った後の人生で、良き妻、良き母なるための心算をお教えするためにこちらに参りました。教室であなた方にお会いするのを楽しみにしておりますね」
そう告げて彼女たちから離れたエルサは、ジェニーがヘンリーのことを実際はどう思っているのか確かめなくては、と考えていた。
エルサが歩を進め、女子校舎から共同校舎に差し掛かったところで、今度はヘンリーと、元気で快活だが、決して上品とは言えない笑い声の女子生徒を見かけた。察するに、ヘンリーが想いを寄せている女子生徒だろう。
ヴィンスから聞いているのは、職人の娘、という情報のみだったが、ほぼ間違いなく、彼女がその人物であろうことがわかった。
彼女と話をしてみるのが先か、ジェニーの本心を聞くのが先か……エルサは考えながら、自室に戻って行った。
時折すれ違う女子生徒たちは、元気よく、こんにちは!と挨拶するものや、廊下の端に寄り立ち止まって頭を下げるもの、はたまた何の反応もないものもいて、俯瞰してみるとやはりお育ちには逆らえないな、と感じていた。
ふと、中庭のテラスで談笑する女子生徒のグループが目に入った。ラッキーなことに、ワトソン子爵の令嬢、ジェニーがいたのだ。
「すいません、あちらの生徒さんたちと少しお話ししてもよろしいですか?」
秘書の足を止め、彼女たちの方に歩いて行った。
「こんにちは、お嬢さんたち」
突然の声かけに、彼女たちの背筋が伸びた。
秘書の男性が、
「こちらは近々あなた方に講義を開いてくださる、キャリー夫人です」
と紹介してくれると、彼女たちは立ち上がり、順に挨拶を始めた。
「初めまして、キャリー夫人。私はワトソン子爵の娘、ジェニーと申します」
綺麗な角度でお辞儀をする彼女は、爵位家の令嬢としての自覚と自信に満ちていた。
聡明そうで、爵位家に生まれた自分の役割もしっかり認識している子だ、とエルサは思った。
「私はあなた方がこのアカデミーを巣立った後の人生で、良き妻、良き母なるための心算をお教えするためにこちらに参りました。教室であなた方にお会いするのを楽しみにしておりますね」
そう告げて彼女たちから離れたエルサは、ジェニーがヘンリーのことを実際はどう思っているのか確かめなくては、と考えていた。
エルサが歩を進め、女子校舎から共同校舎に差し掛かったところで、今度はヘンリーと、元気で快活だが、決して上品とは言えない笑い声の女子生徒を見かけた。察するに、ヘンリーが想いを寄せている女子生徒だろう。
ヴィンスから聞いているのは、職人の娘、という情報のみだったが、ほぼ間違いなく、彼女がその人物であろうことがわかった。
彼女と話をしてみるのが先か、ジェニーの本心を聞くのが先か……エルサは考えながら、自室に戻って行った。
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