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夜会の後
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ようやく、日付が変わる鐘が鳴り出した。
ホール内は、王子と一曲踊ろうと令嬢たちがまだ列をなしている。
お姉様たちは……王子そっちのけで、噂話を楽しむ令嬢の輪にいた。
「お姉様、少し疲れましたので先に馬車に戻っていますね。もしまだ滞在されるのなら、私だけ先に自宅に戻り、馬車をまたこちらに寄越しましょうか?」
「あら、大丈夫?ええ、私たちはもう少しみなさんとお話してから帰るわ。気を付けてね」
お姉様たちを置いて馬車に乗り込む。
間も無く鐘も鳴り終わりそうだ。靴を落とすイベントは回避できたのだろう。
これであの、使者がガラスの靴を持って令嬢たちを訪ね回るという馬鹿げた行事も発生しないはずだ。
自宅に帰り、両親に夜会の報告をしたのち、未処理の書類をチェックするため仕事に戻った。
深夜に帰宅したお姉様たちは、自分たちが広めたガラスの靴が令嬢たちに大好評だったと鼻高々の様子だ。
翌日、再び国王のお達しが届いた。
結局、婚約者を決められなかった王子のために、一ヶ月後にまた夜会を開催するようだ。ただし次回は、王子の婚約者になる意志がある令嬢のみの出席でいいとのこと。行くか行かないかは自分で決められるのだ。
「お前たち、次の夜会はどうする?」
食事の席でお父様が聞いてきた。
「私は、王子様はともかくご令嬢たちと夜会を楽しみたいです」
「ええ、私も。みなさんとのお話はとても楽しいですもの」
「エラはどうする?」
「私は……少し考えさせてください。お父様に届いている縁談の打診も一度検討する必要がありますし、もしかしたら良いお婿さんが見つかるかもしれませんもの、お父様のように」
そうだな、と了承され、原作と全く違う展開を迎えたことを実感した。
ホール内は、王子と一曲踊ろうと令嬢たちがまだ列をなしている。
お姉様たちは……王子そっちのけで、噂話を楽しむ令嬢の輪にいた。
「お姉様、少し疲れましたので先に馬車に戻っていますね。もしまだ滞在されるのなら、私だけ先に自宅に戻り、馬車をまたこちらに寄越しましょうか?」
「あら、大丈夫?ええ、私たちはもう少しみなさんとお話してから帰るわ。気を付けてね」
お姉様たちを置いて馬車に乗り込む。
間も無く鐘も鳴り終わりそうだ。靴を落とすイベントは回避できたのだろう。
これであの、使者がガラスの靴を持って令嬢たちを訪ね回るという馬鹿げた行事も発生しないはずだ。
自宅に帰り、両親に夜会の報告をしたのち、未処理の書類をチェックするため仕事に戻った。
深夜に帰宅したお姉様たちは、自分たちが広めたガラスの靴が令嬢たちに大好評だったと鼻高々の様子だ。
翌日、再び国王のお達しが届いた。
結局、婚約者を決められなかった王子のために、一ヶ月後にまた夜会を開催するようだ。ただし次回は、王子の婚約者になる意志がある令嬢のみの出席でいいとのこと。行くか行かないかは自分で決められるのだ。
「お前たち、次の夜会はどうする?」
食事の席でお父様が聞いてきた。
「私は、王子様はともかくご令嬢たちと夜会を楽しみたいです」
「ええ、私も。みなさんとのお話はとても楽しいですもの」
「エラはどうする?」
「私は……少し考えさせてください。お父様に届いている縁談の打診も一度検討する必要がありますし、もしかしたら良いお婿さんが見つかるかもしれませんもの、お父様のように」
そうだな、と了承され、原作と全く違う展開を迎えたことを実感した。
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