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いざ王宮の夜会へ

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 いよいよ王宮での夜会の日。
着飾ったお姉様たちと一緒に、馬車に乗って自宅を後にした。
「今日は国中の若い令嬢が集まるんでしょ?みなさんどんなドレスかしら?きっとみなさん一番素敵なドレスを選んで来るでしょ?一堂に会したらとても煌びやかでしょうね」
「お父様もお母様も、私たちの誰かが王子様に見染められるかも、なんて期待していたけど、そんなたくさんの令嬢がいたら誰が誰だかわからないんじゃない?でもまあ、三人の中ではエラが一番可能性があるかもしれないわね、華があるもの」
ある程度の贅沢と引く手数多の縁談話が、彼女たちを穏やかにしているのだろう。友好的な異母姉妹として付き合っている。
「いえ、私は王子様に大して興味がないですし。今日はご令嬢たちの流行を探りに来たくらいですもの」
とは言え、これまで度々発動した原作強制力がどんな形で作用するか分からないので、気を引き締めて行かなくては……。


 王宮のホールに案内されると、お姉様たちの予想通り、気合いの入った一張羅に身を包んだ令嬢で溢れかえっていた。
彼女たちが歩く姿をさりげなくチェックすると、三分の一……いや、もう少し多いかもしれない数の令嬢が、うちの商会のガラスの靴を履いている。もし、私が片方だけ落としても、『ガラスの靴を履いた令嬢』は私以外にもたくさんいるので、特定する要素にはならないはずだ。
 そうこうしている内に、王子様が登場し、夜会の始まりが告げられた。
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