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父と娘の確認事項

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 お父様が再婚する前に、一つ確かめておかなければならないことがある。非常に聞き辛いのだけれど……意を決して、父親の執務室をノックした。

「お父様、少しお時間よろしいでしょうか?」
「ああ、エラ。ちょっとだけ待ってもらえるかな?この書類にサインをしてしまいたいんだ」
数分後、手を止めてお茶にしようと誘ってくれた。

 原作では何の役にも立たない空気のような存在だったけれど、今は彼の補佐を務め、財務管理も任され、領地経営も学ぶことが出来ているので、それなりに感謝もしているのだ。

「お父様、失礼を承知でお聞きしますが、今度新しく来られるお母様とは、いわゆる、恋仲……なのでしょうか?」
「なっ⁈……ああ、いや、そうだね、新しく家族になるのだから、娘であるエラにはちゃんと話しておくべきだね。新しく君の母親になる女性とは、実は会ったこともなかったんだ。先日、兄さんの紹介で初めて顔を合わせた。だから、その……恋人というわけではない」
とりあえず、第一関門はクリアだ。
「そうなんですね。では不躾で申し訳ありませんが、連れ子であるお二人は、お父様の子ではない、ということですね?」
「もちろんじゃないか!何でそんな事を聞くんだい⁈」
「いえ、万が一、お父様の実の子であったなら、家門の後継としての権利を主張されるのでは、と不安になりましたので。今までと変わらず、私が唯一無二の後継者であると思ってくださっているのなら安心です。ですが……念の為、公的に証書を作成しておきませんか?彼女たちには不自由のない生活を保障する代わりに、家業のこと、財産のことには一切の口出しを禁ずる、と……」

 しばらく考え込んでいたが、その方が平和に、友好的に付き合えるのなら、と承諾してくれた。
これで、私が虐げられる展開から、また一歩遠のいた。
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