上 下
23 / 57
蠢く影

集落襲撃

しおりを挟む
ネェージュがマリの肩へ戻ってくる。

「お疲れ様ネェージュ」

アイテムスペースからベリームの実を取り出してネェージュに手のひらであげるながら後頭部をコリコリと撫でる。

ネェージュの様子からして村に入ったゴブリンたちは全て排除されたようだ。

残るはゴブリンたちの根城である集落を潰せば今回の件は片付く。

3人で行ってもいいが何があるかわからない。

「村にはゴブリンはいないのであとは集落です。お二人は残っていてくださいー」

「ですが…」

「僕達では足手まといですか?」

不安と不満が混じった表情と声で訴えてくるがマリはマリは首を振って2人をまっすぐ見る。

「いいえ、そんなことありません。ただ、私達3人が抜けて村の人たちは不安になります。無名な冒険者が残るより、国の騎士である2人がここに残っていたほうが村の人たちは安心すると思います」

はっきりとしたマリの主張に驚いたような表情で立ち尽くしている。

「それに結界が張ってあるとはいえ完全には防げられないんですー」

ちょっと拗ねたようなマリの声に不思議そうな顔をしてお互いに顔を見合わせた。

「それはどう言う?」

「簡単です。結界ドーム型で襲撃や認識で地上に作用しています。円形状じゃないです」

「マリさんは地下からの襲撃を想定しているのですか?」

コクリと頷いて少し考えながら口を開いた。

「普段あまり群れで動かないゴブリンが集団となって人間のように集落を作っていると言うことは、仲間の中に頭のいい指示を出す個体がいるはずです」

考えすぎではと思うが中には洞窟や家などを使い集落を作っていたりする。

「だから何かしらの警戒は必要です。魔法は万能であって万能ではないんです。どこかに穴があるんです」

マリの言葉は二人にはなかった発想で驚きながらも筋を通す考えで反論するところが無かった。

結界も一度張ればいいと言うものではなく、意識の問題で綻びも生まれる。
戦闘をしていたら本人の意思ではなくとも魔法の作用が薄れる時がある。

「わかりました。私達二人はここに残ります。マリさんの考えでいきましょう」

「何かあった時にわかるようにこれを渡しておきます」

筒状のものを渡され片方の先から紐が出ている。

「救難信号を出せる道具です。紐がついていない方を上に向けて紐を引っ張ると、赤いライトが飛び出できます」

クラッカーのの花火バージョン?

なんとなくそう思ったマリはそれを受け取りアイテムカバンの中はしまい。

ネェージュを巨大化してその背にまたがり、空へ上がりあたりを見渡した。

村人の話によるとゴブリンの集落は小さい川を越えた先川に囲まれた開けた土地にあると言う。もともとそこには数人の人が住んでいたが、今はそこには誰もいなく。何かあっては大変だと言うことで家などを解体し始めていたらゴブリンが住み着いていたと言う。

あたりを見渡しとすぐに目的の場所が分かる。小川は村の近くに流れる川と繋がっていた。

「水よ増えて激流となれ」

それを確認すると村に被害が行かないように、氷魔法で川の水を堰き止め、完全に集落がある場所だけど日本の城の堀のようにした。

「水よ全てを流すように覆いかぶされ」

水魔法でぐるぐると集落の周りだけを流れる水流を作り水流と水かさを増やして、一気に津波のように全方向から水に飲み込ませた。

しばらく住んでいなかった家は水の勢いに押されて崩れていく。

水がはけて集落が露わになると、生き残ったゴブリンや水に流されたが這い上がったゴブリンなどが集落の中央へ集まってきた。

「全部は倒せなかったかー」

先程の攻撃で倒せたゴブリンは堰き止めてある場所でプカプカついている。

「一箇所に集まってくれてるなら一気に倒してしまうほうが効率いいよねー」

ネェージュの背を撫でつつこれ以上水の魔法は地盤が緩み村に被害がいく可能性があるためこれ以上避けたい。

堰き止めていた川も氷を消し元の水流に戻し自然の流れに沿って流れ始めた。

「氷魔法ならいいかな」

氷魔法なら氷を消し去ることができる。消し去るとは言え空気上に霧になる。

「氷よ足を止まらせ、降り注ぐ矢となれ」

逃げれないようにゴブリン達の足を凍らせると集落の空一面に氷の矢が出来上がるとマリは手を上げ振り下ろした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦 ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが 突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして 子供の身代わりに車にはねられてしまう

隠密スキルでコレクター道まっしぐら

たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。 その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。 しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。 奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。 これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

神々の仲間入りしました。

ラキレスト
ファンタジー
 日本の一般家庭に生まれ平凡に暮らしていた神田えいみ。これからも普通に平凡に暮らしていくと思っていたが、突然巻き込まれたトラブルによって世界は一変する。そこから始まる物語。 「私の娘として生まれ変わりませんか?」 「………、はいぃ!?」 女神の娘になり、兄弟姉妹達、周りの神達に溺愛されながら一人前の神になるべく学び、成長していく。 (ご都合主義展開が多々あります……それでも良ければ読んで下さい) カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜

ノデミチ
ファンタジー
西門 愛衣楽、19歳。花の短大生。 年明けの誕生日も近いのに、未だ就活中。 そんな彼女の癒しは3匹のペット達。 シベリアンハスキーのコロ。 カナリアのカナ。 キバラガメのキィ。 犬と小鳥は、元は父のペットだったけど、母が出て行ってから父は変わってしまった…。 ペットの世話もせず、それどころか働く意欲も失い酒に溺れて…。 挙句に無理心中しようとして家に火を付けて焼け死んで。 アイラもペット達も焼け死んでしまう。 それを不憫に思った異世界の神が、自らの世界へ招き入れる。せっかくだからとペット達も一緒に。 何故かペット達がチートな力を持って…。 アイラは只の幼女になって…。 そんな彼女達のほのぼの異世界生活。 テイマー物 第3弾。 カクヨムでも公開中。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

処理中です...