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蠢く影

ゴブリン

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どのくらい走っただろうか。お尻と捕まっている腕が疲れてきた頃、視界の向こう側にうっすらと民家が見えてきた。

「見えました。チフン村です!」

自然と詰まっていた息が吐き出され体から力が抜けた。
そこからはあっという間に目の前に村が広がった。

村の近くに人間とは違う緑の肌色をした人型の小規模だが群れが村へ入ろうとしていた。

「ゴブリンだ。まずい!」

「おふたりとも魔法は?!」

「属性はありますが魔力が弱くて生活に使う程度です!」

キースに自信満々に言われた。そしてブルーノも首を縦に大きく上下させた。

ブルーノお前もか……じゃなくて…

馬に乗った状態で何処までいつも通りに行けるかわからない。

上で飛んでいるネェージュをマリは見ると声を張り上げた。

「ネェージュ、村の人たちをお願い!」

マリの言葉にまつってましたとスピードを上げて先に村に入っていくと村への侵入を阻むように入り口で竜巻が起こった。

お陰でこれ以上の村への被害は逃れられそうだ。

「凍てついて!」

声を張ったマリの声が辺りに響き、ゴブリンがいる場所に氷の結晶が辺りに広がると一気に囲むように氷漬けになり大きな塊と化した。

見事に凍りついたゴブリンに向かって氷の矢を放ち砕けるようにゴブリン達は散る。

ようやく村へ辿り着くと騎士2人は素早くおりマリを降ろすと村の中へと駆けていく。

「結界を張って侵入を防ごう」

村を囲うイメージで空間魔法を使い結界張る。
これで、後から来たゴブリン達の侵入も防ぐことができるだろう。

「キャァー!!」

ブルーノとキースを追うように村の中を駆けていくと悲鳴をあげる村の女性を襲おうと棍棒を振り上げているゴブリンが視界に入ると、素早くホルダーから投擲用の短剣を取り出すと素早く投げ、頭にヒットする。

倒れたゴブリンに押されるように尻餅をついてしまった。

素早く駆け寄るとゴブリンを退かし女性を助け起こした。

「あ、ありがとうございます」

「どういたしましてーここは危険ですから避難する場所があるならそっちへ行きましょう」

ここで別れても他のゴブリンに襲われては同じことの繰り返しだ。とりあえず一緒に向かってそこに結界をもう一つ張ってしまうのが一番いいだろう。

「そ、村長の家が避難場所に…」

「他の村人の方は?」

「たぶん、そこにいるかと」

「そうですっか!!」

「……ゴガッ…?」

マリは頷くと背後に近寄ってきたゴブリンに素早く抜いた短剣でザッと急所へ攻撃すると数秒動きを止め訳がわからないという表情のまま剣を振り下げようとした状態で生命活動を止め、その場に倒れた。

「行きましょうかー」

恐怖で顔をこわばらせ、固まっている女性の手を取り転ばないよう速度を落とした速さで気配察知で人が多く集まる場所を目指しかけていく。

ちらほらまだゴブリンがいる。
それらを女性を守りながら倒しつつ目的の場所までかけていく。

「ホォー!ホォ」

村何処かでネェージュも戦っている。
賢いネェージュはマリの考えを察して行動し、それが終われば心得たようにゴブリンを駆逐している。

キンキンキンっ!!カーンッ!
マリが走っている通路の民家を挟んだ向こう側で、手合わせしている時のような、それでいてその音は練習とは違った緊張が走った練習とはまたちがう刃を合わせる音が響いた。

「やっぱり上位種がいるのねー!」

足がもつれ始めた女性を支えながら村の中を駆ける。家と家の間の細い道から杖を持ったゴブリンメイジが現れマリに気づくと魔法を使おうと何かを唱え、周りに火の粉のようなものが集まる。

「っと…!この場合魔法より、武器の方が断然速い!」

ぐっと足を踏み入れ間合いを縮ませゴブリンメイジが息を呑んだように喉を引き攣らせ、後ろを下がるがマリは容赦なく攻撃を仕掛け倒す。

振り返り女性の元へ戻りながら素早く右に短剣を投げ隠れてこちらの様子を伺い奇襲をかけようとしていた。別個体の同種のゴブリンも倒す。

「はあっどんだけ、いるの………」

ため息をついたマリに困ったように首を傾げた。
女性に向かって言った言葉にないが肩をすくめ目的の場所へとまた足出すと目的の場所はすぐ見えた。

「氷よ悪しきものを弾く守りとなれ」

氷柱が村長の家を囲うように出現させ、その内側から結構を張る。

強い魔力を持つマリの氷は溶けるまで時間がかかる。
何より氷漬けにされた場合、その物体に攻撃するとそこを起点に中の物や人は砕けてしまう。
その原理を利用するため、水が得意と言いつつも氷魔法を使うことが多くなった。

無事結界を貼り終わらせると気配察知を使い村中に散らばるゴブリンたちを排除していった
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